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満月を抱いて

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 楽しんでいる自分がいる。喜んでいる自分がいる。

 こんな風にセックスを楽しむなんて、忘れていた。

「俊哉ってさ――」

 片手を服の中へ、片手をショーツの中へ突っ込みながら、彼女の耳元に唇を寄せた。

「セックスうまかった?」

「……え?」

 ペロッと耳朶を舐めると、満月の背が仰け反った。ブラジャーを押し上げて、膨らみを持ち上げるように指を食い込ませる。もう片方の手は、茂みをかき分けて花芽を擦る。

「見た目には、俺以上に淡泊な感じだったけど?」

「あなたのどこが――っ、たん……ぱくなの……よ」

 髪を切った彼女の耳裏から首筋、肩のラインがはっきり見えて、その白い肌に噛みつきたい衝動を覚えた。

 前回もそうだったが、彼女といると、自分でも知らなかった嗜好に気づかされる。

「満月に会うまで、淡泊だったよ」

 噛みつく代わりに、口づけた。

 俺の痕が真っ赤に残るほど強く、吸い付いた。

「やっ――!」

 身を捩った彼女を逃すまいと、潤んだ蜜口に指を立てた。ゆっくりと、温かく迎い入れられた。

 同時に胸の頂を指の腹で捏ねる。

「はっ……、あ……」

「あの男と、どっちがいい?」

 スラックスの下で張りつめたモノを、彼女の尻に押し当てる。

「そんなこ……と……っ」

「里奈は、動物みたいで嫌だって、バックはさせてくんなかったな」

「え――?」

「それほどシたいとも思わなかったから気にしてなかったけど、俊哉はどうかな」

 彼女の膣内なかの指の関節を曲げると、腰が揺れ、俺のモノに尻を押し付ける格好になる。

 正直、彼女の乱れた姿を後ろから見ているだけで、痛いほど勃ち上がっていた。

「満月、ベルト外して」

 耳朶を食みながら、囁く。

 彼女は片手を窓から離し、後ろ手に俺のベルトに手をかけた。

「片手じゃ……ムリッ」

「じゃあ、両手で」

「手、抜いて」

「ムリ」と言って、円を書くように指を動かす。

「やぁ……っ」

「ほら、早く。痛くて堪んない。満月の身体は俺が支えてるから」

 渋々、満月はもう片方の手を窓から離し、両手で俺のベルトを外しにかかる。

 窓に映る彼女の姿は、後ろ手に縛られていながら、俺に嬲られているようにも見えた。

 本当に、縛ってしまいたいと思った。

「ヤバい」

「え?」

「満月に開花させられる」

「はっ!?」

「マジで」

 満月がベルトを引っ張っる度にスラックスの布地に擦れて、感じてしまう。僅かな刺激がもどかしい。

 俺は、はぁ、と息をついた。

 彼女は器用にベルトを外し、スラックスのボタンとファスナーを解放した。ボクサーパンツの隔たりはあるものの、だいぶん楽になった。

「俊哉は……させなかったわね」と、満月が言った。

 窓越しに、視線が絡む。

「え?」

「セックスは男がリードするものって、変なこだわりがあったから」

 そう言うと、彼女は俺のボクサーパンツに手を突っ込んだ。

 今度は、俺の腰が引ける。

 いきり勃つモノを握られ、引けた腰に力が入る。

 満月の温かな手に扱かれ、息を詰まらせた。

「ふぅ……う」
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