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【番外編】最後の夜、最初の夜

最後の夜 -13

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「むりむりむり! 絶対ダメ!! お嫁に行けなくなる!!」

 私は力の限りじたばたと暴れ、叫んだ。

 基弘も、お尻が好きだった。

 セックスはバックでしかしなかったし、胸を揉むよりお尻を揉むのが好きだった。

 彼も、ソコでさせて欲しいと言ったことがあったけれど、私は全力で拒み、彼は諦めてくれた。

 別れのきっかけは私の浮気が原因だったけれど、きっとそれがなくても結婚はしなかっただろう。

 セックスの度に狙われるなんて、堪らない。

 駿介は違う。

 お尻フェチではないし、今は調子づいているだけ。



 とにかく、ソコだけは死守しなければ!!



「駿介! ソコは本当に――」

 ガバッと身体を起こして振り返る。

 が、その瞬間にベッドに押し付けられた。

 駿介の両手が私の両手首を掴み、ベッドに縫い付ける。

 射貫くような鋭い視線で見下ろされる。

「――誰んとこにお嫁に行くつもり?」

「え?」

「お嫁に行けなくなる、って言った」

 数秒前の自分の言葉を思い出す。

「え? あ! それは、言葉の綾で――」

「――麻衣はもう、俺の嫁だろ! 麻衣の結婚相手は、最初も最後もないからな! 俺一人だからな!!」

 顔を真っ赤にしてそう言うと、駿介は少しだけ唇を尖らせた。

 さっきまでの意地悪な表情かおとも、私を先輩と呼ぶいたずらっ子のような表情かおとも違う。

 私を好きで好きで堪らない、って表情かお

 駿介本人は子供っぽくて嫌らしいが、ヤキモチ焼きで甘えたな年下の表情《かお》。



 私の大好きな表情かお――。



「当たり前でしょう? 私の旦那様は、駿介だけだよ」

 駿介は尖らせた唇を引っ込めて噛んだ。

「結婚式の間中、お尻が痛いのなんて嫌だよ」と言って、今度は私が唇を尖らせた。

「それに、私のハジメテ、他にもあるよ」

「なに?」

 私は伸ばしていた膝を立てると、私を跨ぐ駿介の足の付け根に膝頭を擦りつけた。

 覇気を失くして柔らかくなったソレを刺激され、彼がギュッと瞬きをする。

膣内なかに出して」

「え?」

「誰にも、させたことないよ」

 足をゆっくりと動かすと、少しずつ硬く熱くなっていく。

 私は彼を見つめたまま、膝頭でその感触を楽しんだ。

「一生、駿介だけだよ」

「ま……い……」

 はあっと、彼の熱っぽい吐息が頬をくすぐる。

「挿れて? なかに……出して?」

 見開いた駿介の瞳は、興奮を通り越して血走っていた。

「煽ったのは、麻衣だからな!」

 結婚式前に二人で過ごす最後の夜。

 私は七歳年下の若さと本気を、身をもって知ることになった。
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