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17.濡れる身体、溺れる心

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「好きよ――」

 そんなありきたりな言葉しか言えない自分がもどかしい。

 私は自ら彼の唇を求めた。

 同時に、彼のベルトに触れる。

 駿介が僅かに身を逸らしたが、私は唇を離さなかった。

「ま――っ」

 私の名前を飲み込んで、舌を滑り込ませると、戸惑う彼の舌を探り当て、絡めとる。

 手探りでベルトを外し、ファスナーを下ろし、問答無用でパンツに手を入れた。

 窮屈そうに立ち尽くしている猛りを握り締め、姿勢の良さを褒めるように上下に撫でる。

「ふぅ――っん」

 私の口の中に、駿介の艶めかしい声が響く。

 鼻から抜けるその声に、私の身体が熱を帯びる。

 もっと聞きたくて、強く、早く扱くと、猛りは一段と大きく硬く熱くなる。

 唇を離すと、駿介は目を閉じ、浅い呼吸を繰り返す。その、素直に快感に酔いしれる表情に、背筋がゾクリと痺れた。

「駿介の方こそ、焦らされて意地になってるだけじゃない?」

 彼の耳元に唇を寄せ、わざと息のかかる距離で囁いた。

 絶えず押し寄せる快感の波に、駿介はすぐに返事が出来ずにいる。

 私の言葉の意味も分からないほどの快感なのかもしれない。

 私が彼を、前後不覚になるほど感じさせていると思うと、堪らない。

「シたら、飽きちゃわない?」

「――っ、そんな……こと……」

「気持ちいい?」

「んっ――」

「このままイッちゃうの?」

「手……止めて……っ」

 そう言いながらも、駿介はじっとなされるがままで、私の手は滲み出た先走りで湿って、扱く度にぬちぬちと卑猥な水音が響く。

「挿れたい……のにぃ……」

 呟きながら、駿介が瞼を上げ、私を見た。顔を赤らめ、涙を浮かべて。

 よく、小説や漫画なんかの台詞にある、男が女に『もっと泣かせたい』って気持ちがわかる気がした。

 もっと、泣かせたい。

 もっと、感じさせたい。

 もっと、求めさせたい。

「駿介、可愛い……」



 癖になりそう……。



 駿介の表情や声で、私まで身体が火照る。ショーツが湿ってきている気さえ、する。

「もっと感じて……?」

 次の瞬間、しっかりと握っていたはずの猛りがスポンッとすり抜けた。同時に、主導権も。

 肩を押されて、私はベッドに仰向けに転がった。

「優しくしたかったのに」

「えっ!?」

 私を見下ろす駿介は、それまでとは違って鋭い眼光で、力強い口調。

「ゆっくり、優しく蕩けさせたかったのに、な?」

 そう言うと、駿介の手がワイドパンツのボタンを外し、ファスナーを下ろす。そして、ワイドパンツとストッキング、ショーツまでも一緒くたに引き下ろした。

 雰囲気ムードも何もない。

 私はズルッと上半身を滑らせ、まるでおむつ替えの時の赤ちゃんのような格好だ。

 恥ずかしさのあまり、足を閉じて膝を折ろうとしたが、彼の身体が挟み込まれて出来ない。その上、膝の裏を持ち上げられ、私の両足がベッドに対してほぼ直角になった。

「ひゃぁっ!」

「ねぇ、見える?」

 駿介は真下を向いて嬉しそうに言った。無意識に視線の先を追う。

「やっ――!」

 私の茂みから、駿介の先端が覗いている。
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