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15.賭け

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 そんな精神状態だったから、麻衣に真綾と一緒に居たことを問い詰められた時、いつもなら必死に弁解して、ついでに妬いてくれたことを喜んだりしただろうが、今日は違った。

 自分は俺に隠れて男と会っていたくせに、俺ばかりを責める麻衣に苛立ちはピークに達していた。

「仁美さんは、駿介と遠藤さんの様子を見て、ただの友達には見えなかったって言ってたけど! 駿介がそう言うなら、信じるよ」

 微塵も信じていないと主張するような、投げやりな言い方が最高に可愛くなくて、ムカついた。

「なんだよ、その言い方。全然信じてないじゃん」

 俺もまた、語尾を強めて苛立ちを主張する。

「言いたいことがあるならハッキリ言えよ」

 珍しく強気な口調に、麻衣は一瞬だけ目を見開いたが、すぐに反撃を開始した。

「私の誘いを断って元カノと会ってたとか、疑っちゃうの当たり前でしょ? この前まで顔を合わせるのも嫌だって言ってたのに、急に二人きりで食事なんて、焼け木杭になんとやらって――」

「――先に! 俺の誘いを断って元カレと会ったのは麻衣だろっ!」

「何言って――」

「――麻衣が濡れた相手って、あの男だろ」

「え――?」

「陸……さん」

 こうなるとわかっていたから、昨日は麻衣を避けたのに。

「くそ――っ!」

 ドサッと床に座る。

 クシャッと前髪を握り、わしゃわしゃと搔き乱す。

 もう、引っ込みがつかない。

「今も、好きなの?」

「……え……っ!?」

「陸……さんのこと、今も好きなの?」

「そんなんじゃ――」

「――少なくとも、仮とはいえ恋人である俺に隠れて会いたいくらいには好きなんだよね?」

「陸は……友達だから――」

「――麻衣は友達とセックスするの?」

 言葉にすると同時に、その様子が脳裏に浮かぶ。

 あの男に抱かれて嬌声を上げる麻衣を。

 悔しかった。

 この半年、俺なりに麻衣を大切にしてきたし、じゃれ合うことはあっても決して一線は越えなかった。何度も、このまま挿れてしまえと思ったけれど、そうしてしまったら麻衣の信頼を裏切ることになる、麻衣に愛してもらえなくなると耐えた。

 が、全ては無駄だったのかもしれない。

 麻衣が、再びあの男に抱かれていない確信なんてない。

 俺の想像は、一昨日の夜の現実かもしれない。

 そう思うと、自制の仕方なんて忘れた。

『我慢してると、続かねーんじゃね』

『我慢ばっかして同じ失敗しないようにね』

 祥平と真綾の言葉を思い出す。



 我慢なんて、クソくらえだ――っ!!



「俺とも……しようよ」

「えっ!?」

 彼女の腕を掴んで抱き寄せ、俺に乗っかるように落ちてきた彼女の身体を反転させて押し倒す。

「セックス、しよう」

「――っ!」

 一瞬、麻衣が戸惑い、隙を見せた。俺はすかさず唇に触れた。触れて、舌をねじ込み、歯列をなぞり、彼女の舌を絡み取る。

 両手で両胸を撫で上げ、先端を捏ね回す。
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