124 / 179
15.賭け
7
しおりを挟む
そんな精神状態だったから、麻衣に真綾と一緒に居たことを問い詰められた時、いつもなら必死に弁解して、ついでに妬いてくれたことを喜んだりしただろうが、今日は違った。
自分は俺に隠れて男と会っていたくせに、俺ばかりを責める麻衣に苛立ちはピークに達していた。
「仁美さんは、駿介と遠藤さんの様子を見て、ただの友達には見えなかったって言ってたけど! 駿介がそう言うなら、信じるよ」
微塵も信じていないと主張するような、投げやりな言い方が最高に可愛くなくて、ムカついた。
「なんだよ、その言い方。全然信じてないじゃん」
俺もまた、語尾を強めて苛立ちを主張する。
「言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
珍しく強気な口調に、麻衣は一瞬だけ目を見開いたが、すぐに反撃を開始した。
「私の誘いを断って元カノと会ってたとか、疑っちゃうの当たり前でしょ? この前まで顔を合わせるのも嫌だって言ってたのに、急に二人きりで食事なんて、焼け木杭になんとやらって――」
「――先に! 俺の誘いを断って元カレと会ったのは麻衣だろっ!」
「何言って――」
「――麻衣が濡れた相手って、あの男だろ」
「え――?」
「陸……さん」
こうなるとわかっていたから、昨日は麻衣を避けたのに。
「くそ――っ!」
ドサッと床に座る。
クシャッと前髪を握り、わしゃわしゃと搔き乱す。
もう、引っ込みがつかない。
「今も、好きなの?」
「……え……っ!?」
「陸……さんのこと、今も好きなの?」
「そんなんじゃ――」
「――少なくとも、仮とはいえ恋人である俺に隠れて会いたいくらいには好きなんだよね?」
「陸は……友達だから――」
「――麻衣は友達とセックスするの?」
言葉にすると同時に、その様子が脳裏に浮かぶ。
あの男に抱かれて嬌声を上げる麻衣を。
悔しかった。
この半年、俺なりに麻衣を大切にしてきたし、じゃれ合うことはあっても決して一線は越えなかった。何度も、このまま挿れてしまえと思ったけれど、そうしてしまったら麻衣の信頼を裏切ることになる、麻衣に愛してもらえなくなると耐えた。
が、全ては無駄だったのかもしれない。
麻衣が、再びあの男に抱かれていない確信なんてない。
俺の想像は、一昨日の夜の現実かもしれない。
そう思うと、自制の仕方なんて忘れた。
『我慢してると、続かねーんじゃね』
『我慢ばっかして同じ失敗しないようにね』
祥平と真綾の言葉を思い出す。
我慢なんて、クソくらえだ――っ!!
「俺とも……しようよ」
「えっ!?」
彼女の腕を掴んで抱き寄せ、俺に乗っかるように落ちてきた彼女の身体を反転させて押し倒す。
「セックス、しよう」
「――っ!」
一瞬、麻衣が戸惑い、隙を見せた。俺はすかさず唇に触れた。触れて、舌をねじ込み、歯列をなぞり、彼女の舌を絡み取る。
両手で両胸を撫で上げ、先端を捏ね回す。
自分は俺に隠れて男と会っていたくせに、俺ばかりを責める麻衣に苛立ちはピークに達していた。
「仁美さんは、駿介と遠藤さんの様子を見て、ただの友達には見えなかったって言ってたけど! 駿介がそう言うなら、信じるよ」
微塵も信じていないと主張するような、投げやりな言い方が最高に可愛くなくて、ムカついた。
「なんだよ、その言い方。全然信じてないじゃん」
俺もまた、語尾を強めて苛立ちを主張する。
「言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
珍しく強気な口調に、麻衣は一瞬だけ目を見開いたが、すぐに反撃を開始した。
「私の誘いを断って元カノと会ってたとか、疑っちゃうの当たり前でしょ? この前まで顔を合わせるのも嫌だって言ってたのに、急に二人きりで食事なんて、焼け木杭になんとやらって――」
「――先に! 俺の誘いを断って元カレと会ったのは麻衣だろっ!」
「何言って――」
「――麻衣が濡れた相手って、あの男だろ」
「え――?」
「陸……さん」
こうなるとわかっていたから、昨日は麻衣を避けたのに。
「くそ――っ!」
ドサッと床に座る。
クシャッと前髪を握り、わしゃわしゃと搔き乱す。
もう、引っ込みがつかない。
「今も、好きなの?」
「……え……っ!?」
「陸……さんのこと、今も好きなの?」
「そんなんじゃ――」
「――少なくとも、仮とはいえ恋人である俺に隠れて会いたいくらいには好きなんだよね?」
「陸は……友達だから――」
「――麻衣は友達とセックスするの?」
言葉にすると同時に、その様子が脳裏に浮かぶ。
あの男に抱かれて嬌声を上げる麻衣を。
悔しかった。
この半年、俺なりに麻衣を大切にしてきたし、じゃれ合うことはあっても決して一線は越えなかった。何度も、このまま挿れてしまえと思ったけれど、そうしてしまったら麻衣の信頼を裏切ることになる、麻衣に愛してもらえなくなると耐えた。
が、全ては無駄だったのかもしれない。
麻衣が、再びあの男に抱かれていない確信なんてない。
俺の想像は、一昨日の夜の現実かもしれない。
そう思うと、自制の仕方なんて忘れた。
『我慢してると、続かねーんじゃね』
『我慢ばっかして同じ失敗しないようにね』
祥平と真綾の言葉を思い出す。
我慢なんて、クソくらえだ――っ!!
「俺とも……しようよ」
「えっ!?」
彼女の腕を掴んで抱き寄せ、俺に乗っかるように落ちてきた彼女の身体を反転させて押し倒す。
「セックス、しよう」
「――っ!」
一瞬、麻衣が戸惑い、隙を見せた。俺はすかさず唇に触れた。触れて、舌をねじ込み、歯列をなぞり、彼女の舌を絡み取る。
両手で両胸を撫で上げ、先端を捏ね回す。
0
お気に入りに追加
258
あなたにおすすめの小説
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
壁の花令嬢の最高の結婚
晴 菜葉
恋愛
壁の花とは、舞踏会で誰にも声を掛けてもらえず壁に立っている適齢期の女性を示す。
社交デビューして五年、一向に声を掛けられないヴィンセント伯爵の実妹であるアメリアは、兄ハリー・レノワーズの悪友であるブランシェット子爵エデュアルト・パウエルの心ない言葉に傷ついていた。
ある日、アメリアに縁談話がくる。相手は三十歳上の財産家で、妻に暴力を働いてこれまでに三回離縁を繰り返していると噂の男だった。
アメリアは自棄になって家出を決行する。
行く当てもなく彷徨いていると、たまたま賭博場に行く途中のエデュアルトに出会した。
そんなとき、彼が暴漢に襲われてしまう。
助けたアメリアは、背中に消えない傷を負ってしまった。
乙女に一生の傷を背負わせてしまったエデュアルトは、心底反省しているようだ。
「俺が出来ることなら何だってする」
そこでアメリアは考える。
暴力を振るう亭主より、女にだらしない放蕩者の方がずっとマシ。
「では、私と契約結婚してください」
R18には※をしています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
アリアドネが見た長い夢
桃井すもも
恋愛
ある夏の夕暮れ、侯爵令嬢アリアドネは長い夢から目が覚めた。
二日ほど高熱で臥せっている間に夢を見ていたらしい。
まるで、現実の中にいるような体感を伴った夢に、それが夢であるのか現実であるのか迷う程であった。
アリアドネは夢の世界を思い出す。
そこは王太子殿下の通う学園で、アリアドネの婚約者ハデスもいた。
それから、噂のふわ髪令嬢。ふわふわのミルクティーブラウンの髪を揺らして大きな翠色の瞳を潤ませながら男子生徒の心を虜にする子爵令嬢ファニーも...。
❇王道の学園あるある不思議令嬢パターンを書いてみました。不思議な感性をお持ちの方って案外実在するものですよね。あるある〜と思われる方々にお楽しみ頂けますと嬉しいです。
❇相変わらずの100%妄想の産物です。史実とは異なっております。
❇外道要素を含みます。苦手な方はお逃げ下さい。
❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた妄想スイマーによる寝物語です。
疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。
❇座右の銘は「知らないことは書けない」「嘘をつくなら最後まで」。
❇例の如く、鬼の誤字脱字を修復すべく激しい微修正が入ります。
「間を置いて二度美味しい」とご笑覧下さい。
孤高の王は異世界からの落ち人に愛を乞う
夏目みや
恋愛
二年前、気づけば見知らぬ森の中にいた。
稀に出現する『異世界からの落ち人』だと聞かされ、それ以来恩人のサーラと森でひっそりと暮らしていたリンネ。
ある日、神殿の神託があったと告げる使者がやってきて、強引に王の目前に連れ出される。
威圧感を放つ金髪碧眼の美形なる王は、冷めた侮蔑の眼差しを向けてきた。
気性の激しさをぶつけられ、暴言を吐き抗ってしまう。
そしたら――逃げられなくなった。
難しい設定なしの、よくある話の異世界トリップ。
なかなかくっつかない、不器用な二人のお話。プライドの塊のような男がのちに溺愛するまで。
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
「承知しました。」~業務命令により今夜もトロトロに焦らされています〜
スケキヨ
恋愛
咲坂琴子、27歳。真面目で大人しくて地味な琴子には彼氏がいない、ずっと。そのせいで会社の後輩にもバカにされる始末だ。――ただし、琴子には婚約者がいる。子供の頃から決められた婚約者が。
「はやく……ベッド行こ」
誘うのはもちろん婚約者……ではなく、名前もろくに知らない男。彼との関係は身体だけのはずだった。なのに、その男が新しい上司として琴子の会社に現れて……!?
セフレ上司と御曹司の婚約者の間で振りまわされるアラサーOLのお話。
※他サイトにも掲載しています。
【本編完結】【R18】体から始まる恋、始めました
四葉るり猫
恋愛
離婚した母親に育児放棄され、胸が大きいせいで痴漢や変質者に遭いやすく、男性不信で人付き合いが苦手だった花耶。
会社でも高卒のせいで会社も居心地が悪く、極力目立たないように過ごしていた。
ある時花耶は、社内のプロジェクトのメンバーに選ばれる。だが、そのリーダーの奥野はイケメンではあるが目つきが鋭く威圧感満載で、花耶は苦手意識から引き気味だった。
ある日電車の運休で帰宅難民になった。途方に暮れる花耶に声をかけたのは、苦手意識が抜けない奥野で…
仕事が出来るのに自己評価が低く恋愛偏差値ゼロの花耶と、そんな彼女に惚れて可愛がりたくて仕方がない奥野。
無理やりから始まったせいで拗らせまくった二人の、グダグダしまくりの恋愛話。
主人公は後ろ向きです、ご注意ください。
アルファポリス初投稿です。どうぞよろしくお願いします。
他サイトにも投稿しています。
かなり目が悪いので、誤字脱字が多数あると思われます。予めご了承ください。
展開はありがちな上、遅めです。タグ追加可能性あります。
7/8、第一章を終えました。
7/15、第二章開始しました。
10/2 第二章完結しました。残り番外編?を書いて終わる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる