ななみにおまかせ☆

うさぎ蕎麦

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10話

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「フハハハハ! 勇者リュッカよ! 我が重臣、四天王を容易く葬るとは!」

 漸く辿り着いた最上階では魔王ハデスさんが待ち構えていました!
 なんと、彼が言った通りしっかりと約束を守り玉座に鎮座しています!
 私だったら奇襲の一つでも考えちゃいますけどね☆
 
「はぁ、はぁ……後はお前だけだ! 魔王ハデス!」
「レ、レンカさんを返すでござる!」

 勇者サマもござるさんも随分と息が上がってますねぇ~?
 あはは……? してんのーさんと戦ってる時私が本気ださなかったせいですけどね?
 満身創痍の勇者サマ御一行が魔王サンを打ち倒す方が盛り上がる気がしませんか?
 
「ゆ……勇者サマ」

 勿論私も満身創痍のフリをします♪ ゆっくりと勇者サマの恋人と思われる人影を指差すのですよ。
 
「レンカ! 今助ける!」

 勇者サマが最後の力を振り絞りレンカさんの元へ走り出しました。
 
「ハッハッハ! 恋人を助けたくばうぬを倒す事だ!」
「う、うわああああ」

 大変です、勇者サマが魔王サンが放った衝撃波によって飛ばされてしまいました!
 でも、レンカさんが居る場所は魔王サンの後ろですから、そうなりますよねぇ~?

「リュッカ殿!」
 
 派手に吹っ飛ばされ地面に転がされ立ち上がれない勇者サマに、ござるさんが駆け付け治療魔法を施しましたが……あれでは効果は薄そうですね。
 しかたありません、ここはななみちゃんがちょーぜつ効果のある魔法をかけてあげるのです!
 私は、ござるさんとほぼ同時に勇者サマに対して『ヒーリング』を掛けました。
 (主に私の魔法のお陰で)勇者サマは一瞬で傷が癒え、今まで悶えていたのが嘘みたいにサッと立ち上がり身構えました。

「有難う、ニパさん、助かったよ!」

 にっこりと笑いながら感謝の意を示す勇者サマ。
 それに対して、勇者サマがここまで回復するとは想定出来ていないござるさんは目を点にして呆然と立ち尽くしています。

「にゃはは……愛の力ぢゃないですか?」
「そ、そうでござるな」

 私はそれっぽい事を力無く言いましたが、ござるさんはどこか悲しげに呟きました。
 これって……ひょっとするとござるさんはレンカさんの事を想っているのでしょうか?
 ……つまり、ござるさんとレンカさんをくっつけてしまえば勇者サマは私のモノに出来るんじゃないですか!?
 はぅ……私の心の中の天使と悪魔が戦ってます。
 天使は聖槍グングニルを片手に、悪魔は魔剣ティルフィングを片手に……。
 あわわわわ、そんな、剣が槍に勝てる訳無いじゃないですか! 悪魔サンに持たせる武器位槍に勝てるモノにしてくださいよ!
 はにゃぁ、仕方ありません、私の中の天使サンが勝ってしまいました、天使サンが「自分がやりたい事をやるのが一番です」と言うので私は天使サンに従います。

「覚悟しろっ!」

 私が心の中で天使悪魔対戦を展開していると、勇者サマが必殺技の構えを見せました。
 必殺技ですから、勇者サマの見せ場ですよねぇ? ここで質問です☆
 勇者サマの必殺技で魔王サンに大ダメージを与えるにはどうした方が良いでしょうか?

 1.勇者サマの攻撃力を増加させる
 2.魔王サンの防御力を低下させる
 3.思い切って両方実行
 
 さぁ、皆さまどれが良いと思いますか? ななみちゃんに教えて下さい☆
 え? 魔王城まで教えるのは無理ですか、そうですよね?
 仕方ありません、冷静に分析しましょう!
 私の魔法で勇者サマの攻撃力を増加した場合、最悪お城ごと吹っ飛ばしてしまう攻撃力になってしまいます♪
 一方で魔王サンの防御力はどれだけ下げても0までしか下がりませんのでお城は壊れません!
 魔王サンが着ているモノがどうなるかは私の塩梅次第です(きゃ☆)
 ですが、皆さまからの需要が多分無さそうなので、魔王サンが身に付けている防具の硬度を限界まで引き下げる事で防御力を0にする事にします☆
 ではでは『プロテクトゼロ』を発動しましょう!
 
「ガッハッハ! 人間風情の攻撃がこのハデスに効く訳が無かろう!」
「やってみなければわからない!」

 自分の防御力に対して自信満々な魔王さん! 片やそれでも諦めない勇者サマ、キャーカッコイイですぅ☆
 そして魔王サンに襲い来る『プロテクトゼロ』!
 無事防御力が0になった魔王サンの肉体に勇者サマの必殺技が炸裂!

「ぬ、ぬおぉぉぉぉ!? 貴様等! 何をッ!?」

 ズバーーーーー! と剣が肉体を引き裂く美しい音が周囲に響き渡りました!
 魔王サンが身に付けている鎧から聞こえるって思う、カキーーーーン! と甲高い音じゃなくってです!
 にゃははは☆ さすが魔王サンですね! 一瞬の内に自分の身に何か魔法を掛けられた事に気が付いたみたいです。
 すぐさま、私とニパさんを鋭い眼光で睨み付けて来ました。
 勿論私は怯える仔鹿の如くゴリラさんの背中に隠れました☆
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