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友人
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2年生も終わる頃、カリーナは本当に突然結婚してしまった。
現実は小説よりも奇なりとはよく言うが、正しくこんな短期間で婚姻を結ぶ事が可能なのかとイリアは唖然とした。
しかも伯爵家からの縁談を侯爵家がすぐに了承するのは信じ難い。
「もう一緒に住んでいるの?あのアルベルトと?」
「えぇ。ついこの間初めて会話をした相手と住んでいることに自分でも驚いてるの。王都の屋敷での暮らしだし、実はまだワーデン領にも行った事がないの。びっくりよね」
カリーナ・ワーデンとなった彼女は深く笑窪を刻んでいて、見るからに幸せそうに見えた。
イリアは友人が幸せならいいかと思うことにした。
あの女性には興味の欠けらもないような素振りだったアルベルトがカリーナを大切にしているのかと心配になったが、彼女の様子を見るに今のところ問題はないのだろう。
問題なのはジャクリーンの方だった。
カリーナに話しかけることもなく、学園には来ているが放心状態で一日中突っ伏していた。
「ジャクリーンにはなんて言ったの?」
「婚姻を申し込まれた時に正直に話したわ。でもその時は縁談が進むかどうか分からなかったし、婚約があるものだと思っていたから、こんなに早く話が進むと思ってなくて…事後報告なんて必要ないでしょう?だからジャクリーンは二度と私とは話してはくれないかもしれないわ」
「まぁ…そうね。ジャクリーンの問題だもの。カリーナはそれ以上何か言うことはないわ。傷を広げるだけだもの」
公爵家の彼ならもっと早く縁談を申し込んでいれば、カリーナを手に入れることは出来ただろう。
それをしたとして、今のカリーナのような笑顔が手に入ったかどうかは分からないが、それなりに幸せな夫婦になったことだろう。
本当にいい人すぎて可哀想な人。
暫く放心状態の彼と会話をすることもなく、イリアもカリーナもいつもの日常を送っていた。
「カリーナ、僕は君と友人として前のように話したいんだが、それは許される?」
イリアとカリーナが昼食をとるサロンに突如として現れたジャクリーンに、2人は顔を見合わせることになった。
あえて苦労に飛び込むなんて本当に彼はお馬鹿さんなのね。
こうしてイリアは微妙な2人の関係の間に入る役割を与えられてしまい、苦労をすることになった。
そう言った気苦労を好まないイリアは段々とジャクリーンに対して遠慮はなくなっていき、いつしかカリーナがいなくても友人と言えるまでに会話は増えていった。
大半は女々しくカリーナを思う彼にうんざりして、辛辣な言葉をかけていたイリアだったが、一年それが続き、学園を卒業する頃には、ヘタレさとその一途さに可愛さを感じる様になっていた。
イリアもジャクリーンも爵位の高さから、家からの圧力は増して行っていた。
周りの者は次々と婚約していき、交友関係の狭いイリアは親の決める相手との政略結婚では作家活動を辞めなければいけないだろうと考えていた。
始めた時は自由な時間はこの学生生活の間だけだと思っていたが、今では失いたくないライフワークとなっている。
イリア・ロベールという名前は有名と呼べるまでになったが、実際の彼女は夜会にも参加しない侯爵家の変わり者の娘。
中々集まらない縁談に彼女の両親は焦り始めていた。
そしてジャクリーンも公爵家で唯一婚約者がいないということもあり、日々縁談を抱えカリーナへの想いと葛藤していた。
「提案なのだけど、貴方、私と結婚したらいいわ。カリーナとも友人の私と結婚すれば、友人の旦那として卒業後も顔を見る機会が出来るわよ」
イリアは悪魔の囁きのようにジャクリーンへ提案した。
自分は執筆活動を許してくれる人と結婚したいから丁度いいと。
素直で、可愛くて、お馬鹿なジャクリーンを落とすことは簡単だった。
カリーナを餌にしたことを心で謝りながらイリアは自分の願いを叶え、ジャクリーンと婚約することになった。
現実は小説よりも奇なりとはよく言うが、正しくこんな短期間で婚姻を結ぶ事が可能なのかとイリアは唖然とした。
しかも伯爵家からの縁談を侯爵家がすぐに了承するのは信じ難い。
「もう一緒に住んでいるの?あのアルベルトと?」
「えぇ。ついこの間初めて会話をした相手と住んでいることに自分でも驚いてるの。王都の屋敷での暮らしだし、実はまだワーデン領にも行った事がないの。びっくりよね」
カリーナ・ワーデンとなった彼女は深く笑窪を刻んでいて、見るからに幸せそうに見えた。
イリアは友人が幸せならいいかと思うことにした。
あの女性には興味の欠けらもないような素振りだったアルベルトがカリーナを大切にしているのかと心配になったが、彼女の様子を見るに今のところ問題はないのだろう。
問題なのはジャクリーンの方だった。
カリーナに話しかけることもなく、学園には来ているが放心状態で一日中突っ伏していた。
「ジャクリーンにはなんて言ったの?」
「婚姻を申し込まれた時に正直に話したわ。でもその時は縁談が進むかどうか分からなかったし、婚約があるものだと思っていたから、こんなに早く話が進むと思ってなくて…事後報告なんて必要ないでしょう?だからジャクリーンは二度と私とは話してはくれないかもしれないわ」
「まぁ…そうね。ジャクリーンの問題だもの。カリーナはそれ以上何か言うことはないわ。傷を広げるだけだもの」
公爵家の彼ならもっと早く縁談を申し込んでいれば、カリーナを手に入れることは出来ただろう。
それをしたとして、今のカリーナのような笑顔が手に入ったかどうかは分からないが、それなりに幸せな夫婦になったことだろう。
本当にいい人すぎて可哀想な人。
暫く放心状態の彼と会話をすることもなく、イリアもカリーナもいつもの日常を送っていた。
「カリーナ、僕は君と友人として前のように話したいんだが、それは許される?」
イリアとカリーナが昼食をとるサロンに突如として現れたジャクリーンに、2人は顔を見合わせることになった。
あえて苦労に飛び込むなんて本当に彼はお馬鹿さんなのね。
こうしてイリアは微妙な2人の関係の間に入る役割を与えられてしまい、苦労をすることになった。
そう言った気苦労を好まないイリアは段々とジャクリーンに対して遠慮はなくなっていき、いつしかカリーナがいなくても友人と言えるまでに会話は増えていった。
大半は女々しくカリーナを思う彼にうんざりして、辛辣な言葉をかけていたイリアだったが、一年それが続き、学園を卒業する頃には、ヘタレさとその一途さに可愛さを感じる様になっていた。
イリアもジャクリーンも爵位の高さから、家からの圧力は増して行っていた。
周りの者は次々と婚約していき、交友関係の狭いイリアは親の決める相手との政略結婚では作家活動を辞めなければいけないだろうと考えていた。
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そしてジャクリーンも公爵家で唯一婚約者がいないということもあり、日々縁談を抱えカリーナへの想いと葛藤していた。
「提案なのだけど、貴方、私と結婚したらいいわ。カリーナとも友人の私と結婚すれば、友人の旦那として卒業後も顔を見る機会が出来るわよ」
イリアは悪魔の囁きのようにジャクリーンへ提案した。
自分は執筆活動を許してくれる人と結婚したいから丁度いいと。
素直で、可愛くて、お馬鹿なジャクリーンを落とすことは簡単だった。
カリーナを餌にしたことを心で謝りながらイリアは自分の願いを叶え、ジャクリーンと婚約することになった。
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