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alone
後始末は自分で
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「やっほー!元気そうね」
軽く手を挙げて挨拶をすると、睨むようにして後ろを振り返ったのは、クリンプトンではなくサステナの方だった。
そんなことも慣れたものだ。
「準備はいい?目を開けたら海を越えてるわよ?」
クリンプトンは予めサステナの出国手続きを正式に終えていた。
国王命令での出国との申請は、簡単に終わったことだろう。
「本当に行かなきゃだめなの?」
「あら、許しを乞うたのは誰だった?」
100日の祈りという罰を受けているサステナの元に連日、国王として面会を申し入れつづけていた。
国王が正式な手続きを踏んで望んだ面会を、そう簡単には断ることはできない。
彼女は100日の祈りという逃げられない罰の最中だから当然逃げることもできないことは承知の上の嫌がらせだ。
「…女って恐ろしいわ」
「ん?何か言った?何が恐ろしいって?」
サステナも、その恐ろしい女の一人なのでは?そう言い返してやりたかったが、睨みつけておく。
「早く行きましょう」
クリンプトンが呆れて二人に声をかけると、クロエは「はいはい。それじゃあ行きましょう」と3人はミーリン島を離れた。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
「リビルト、突っ立ってないでお茶を入れてくれない?」
サステナとクリンプトンを連れてきたクロエは、いつものように突然現れ、まさか他の者を一緒に連れてくるとは思っていなかったフリードとリビルトは息を呑んだ。
国王としてイシュトハンの別邸にいた頃のサステナは、しっかりとヘアメイクをされ、ドレスを纏っていたが、今は髪を簡単に一つでまとめただけで、シンプルな白いワンピースだ。
目の前にいるのがサステナだと理解するまでに時間がかかった。
「失礼いたしました。帰国準備をしておりましたので、セイロンティのみとなりますが、ご容赦ください」
「旅先にまで数種類のお茶を持ち込んでいたことの方がビックリだわ。さぁ、座って」
クロエは部屋の中央に置かれたテーブル向かって歩き出す。
フリードもやっとのことでクリンプトンの横にいるのがサステナだと気付き、一度自身の手をギュッと握った。
「クリンプトンも座ったら?」
「いえ、私のことはお気遣いなく」
サステナを椅子に座らせ、その横にクロエが座る。
その正面に身構えたままのフリードが仕方なしとばかりに座った。
クリンプトンは話に関係ないらしいと察すれば、フリードはこれからの話の行方に緊張を覚えた。
ーーまさか離縁を求めるつもりではないよな?
サステナのことは、自分にも落ち度があった。
一人でいるところに転移してこられることを全く想定していなかったのは、完全に気を抜いていた証拠だ。
その夜はリビルトを使いに出していたところで、まだ邸内に夜でも気楽に仕事を依頼出来るような侍従はいなかった。
しかし、頼もうと考えればいくらでも付き添ってくれたはずだ。
空いた時間に、趣味である魔法の練習をする時間もなく寝てしまうというクロエに、朝になったら花でも贈って少しばかり心を休めてもらおうと考えて、思いつきで庭園に行ってしまった。
まさかあんな夜中にサステナが一人で現れるとは思ってもいなかったのだ。
サステナが現れた時、マズイと思った。
だが、転移魔法を使えない自分は、風を使って遠く先の入り口にかかったベルを鳴らすことしか出来なかった。
邸内からは庭が確認できるはずで、サステナと自分が二人でいる異常事態に気付いて、誰か来て欲しいと願いつつ、迷路のように入り組んだ庭園から入り口へ向かってと足をすすめるしかなかった。
表面上はミーリン島の客人であり、決して失礼な態度をとることは許されない。
サステナの話を受け流しつつ、クロエの為に自ら手折った花を差し出し、ごく自然に他者のいる場所を目指した。
その途中、サステナが石畳の隙間にバランスを崩しそれを支えた。
その瞬間に現れたクロエの顔は恐ろしかったが、クロエが来たことに安堵を覚えた。
それでも自分は今、サステナを腕に抱いていて、そこに現れたのが最もここにいてはいけない人物なのだと一拍置いてから気付いた時は、頭が真っ白になった。
「フリード、今日はサステナを連れて来たわけだけど…」
そう言われてフリードは過去から戻った。
「クロエ、話の前にあの日の事を謝罪させてくれ」
話し始めたクロエの声を遮ったフリードは、再び恐怖を覚えていた。
爆発したように魔力を放出するクロエを見た時よりも別れを切り出される方が怖い。
まだ自分達はこれからなのだと、どう説明したら分かってもらえるだろうか。
「え?」
「あの日、私はクロエに花を贈りたくて庭に出た。だが、一人で出たことは愚かな行為だった。クロエを傷付けてしまったこと、本当に申し訳なかった」
フリードはクロエに会ったら本当は真っ先に謝りたいと思っていたが、突然ボロボロで現れた後、中々話題に出すことが出来ないでいた。
「そうね。あの時は本当にこの人はつい最近まで王子だったのかと目を疑ったわ」
「あぁ。本当に申し訳ない」
クロエはほんの少しだけ驚いたような顔を見せた後、見定めようとでも言うように目を細めた。
「まぁでも、何がいけなかったのか理解出来ていることが分かって良かったわ。その件で、サステナはミーリン島で100日の祈りという罰を受けている最中なの。1日神殿で祈りを捧げ、掃除をして過ごしている。そうよね?サステナ?」
「はい。そうです」
サステナはこれからの話が分かっているのか、とても嫌そうな顔を隠しもしていなかった。
「まぁ、私は神に祈っても自分の罪を見つめ直すことは出来ないと思って気に入らなかったのよね。案の定、サステナはずっと自分は悪くないと考えていた。そうじゃなかった?サステナ?」
「はい。でも今はとても反省しています。公爵にも公爵夫人にも大変失礼な事をしましたし、私の行動はとても非常識なものでした。心から謝罪いたします」
最初は嫌そうな顔はしていたが、キュッと口を結んだ後は、後悔しているかのように目を伏せていた。
もう、フリードを視線の中心に置くこともなかった。
「謝罪をされても、起きてしまったことは消えては無くならない。君のせいで失った妻と過ごす時間が戻ってくることはない。これ以上、私が妻といる時間を邪魔することがないようにお願いしたい」
フリードが心底冷たい目でサステナを見ている。
そんな顔も出来るんだなぁとクロエは驚いていた。
「はい。公爵が夫人のことをとても愛しているというのは、とてもよく理解できました。でもひとつ問題があります。夫人は全く、そのことが分かっていないようです」
突然サステナが横を向いてとんでもない事を言い出すので、クロエは目を丸くするしかなかった。
え?私が責められている?
軽く手を挙げて挨拶をすると、睨むようにして後ろを振り返ったのは、クリンプトンではなくサステナの方だった。
そんなことも慣れたものだ。
「準備はいい?目を開けたら海を越えてるわよ?」
クリンプトンは予めサステナの出国手続きを正式に終えていた。
国王命令での出国との申請は、簡単に終わったことだろう。
「本当に行かなきゃだめなの?」
「あら、許しを乞うたのは誰だった?」
100日の祈りという罰を受けているサステナの元に連日、国王として面会を申し入れつづけていた。
国王が正式な手続きを踏んで望んだ面会を、そう簡単には断ることはできない。
彼女は100日の祈りという逃げられない罰の最中だから当然逃げることもできないことは承知の上の嫌がらせだ。
「…女って恐ろしいわ」
「ん?何か言った?何が恐ろしいって?」
サステナも、その恐ろしい女の一人なのでは?そう言い返してやりたかったが、睨みつけておく。
「早く行きましょう」
クリンプトンが呆れて二人に声をかけると、クロエは「はいはい。それじゃあ行きましょう」と3人はミーリン島を離れた。
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「リビルト、突っ立ってないでお茶を入れてくれない?」
サステナとクリンプトンを連れてきたクロエは、いつものように突然現れ、まさか他の者を一緒に連れてくるとは思っていなかったフリードとリビルトは息を呑んだ。
国王としてイシュトハンの別邸にいた頃のサステナは、しっかりとヘアメイクをされ、ドレスを纏っていたが、今は髪を簡単に一つでまとめただけで、シンプルな白いワンピースだ。
目の前にいるのがサステナだと理解するまでに時間がかかった。
「失礼いたしました。帰国準備をしておりましたので、セイロンティのみとなりますが、ご容赦ください」
「旅先にまで数種類のお茶を持ち込んでいたことの方がビックリだわ。さぁ、座って」
クロエは部屋の中央に置かれたテーブル向かって歩き出す。
フリードもやっとのことでクリンプトンの横にいるのがサステナだと気付き、一度自身の手をギュッと握った。
「クリンプトンも座ったら?」
「いえ、私のことはお気遣いなく」
サステナを椅子に座らせ、その横にクロエが座る。
その正面に身構えたままのフリードが仕方なしとばかりに座った。
クリンプトンは話に関係ないらしいと察すれば、フリードはこれからの話の行方に緊張を覚えた。
ーーまさか離縁を求めるつもりではないよな?
サステナのことは、自分にも落ち度があった。
一人でいるところに転移してこられることを全く想定していなかったのは、完全に気を抜いていた証拠だ。
その夜はリビルトを使いに出していたところで、まだ邸内に夜でも気楽に仕事を依頼出来るような侍従はいなかった。
しかし、頼もうと考えればいくらでも付き添ってくれたはずだ。
空いた時間に、趣味である魔法の練習をする時間もなく寝てしまうというクロエに、朝になったら花でも贈って少しばかり心を休めてもらおうと考えて、思いつきで庭園に行ってしまった。
まさかあんな夜中にサステナが一人で現れるとは思ってもいなかったのだ。
サステナが現れた時、マズイと思った。
だが、転移魔法を使えない自分は、風を使って遠く先の入り口にかかったベルを鳴らすことしか出来なかった。
邸内からは庭が確認できるはずで、サステナと自分が二人でいる異常事態に気付いて、誰か来て欲しいと願いつつ、迷路のように入り組んだ庭園から入り口へ向かってと足をすすめるしかなかった。
表面上はミーリン島の客人であり、決して失礼な態度をとることは許されない。
サステナの話を受け流しつつ、クロエの為に自ら手折った花を差し出し、ごく自然に他者のいる場所を目指した。
その途中、サステナが石畳の隙間にバランスを崩しそれを支えた。
その瞬間に現れたクロエの顔は恐ろしかったが、クロエが来たことに安堵を覚えた。
それでも自分は今、サステナを腕に抱いていて、そこに現れたのが最もここにいてはいけない人物なのだと一拍置いてから気付いた時は、頭が真っ白になった。
「フリード、今日はサステナを連れて来たわけだけど…」
そう言われてフリードは過去から戻った。
「クロエ、話の前にあの日の事を謝罪させてくれ」
話し始めたクロエの声を遮ったフリードは、再び恐怖を覚えていた。
爆発したように魔力を放出するクロエを見た時よりも別れを切り出される方が怖い。
まだ自分達はこれからなのだと、どう説明したら分かってもらえるだろうか。
「え?」
「あの日、私はクロエに花を贈りたくて庭に出た。だが、一人で出たことは愚かな行為だった。クロエを傷付けてしまったこと、本当に申し訳なかった」
フリードはクロエに会ったら本当は真っ先に謝りたいと思っていたが、突然ボロボロで現れた後、中々話題に出すことが出来ないでいた。
「そうね。あの時は本当にこの人はつい最近まで王子だったのかと目を疑ったわ」
「あぁ。本当に申し訳ない」
クロエはほんの少しだけ驚いたような顔を見せた後、見定めようとでも言うように目を細めた。
「まぁでも、何がいけなかったのか理解出来ていることが分かって良かったわ。その件で、サステナはミーリン島で100日の祈りという罰を受けている最中なの。1日神殿で祈りを捧げ、掃除をして過ごしている。そうよね?サステナ?」
「はい。そうです」
サステナはこれからの話が分かっているのか、とても嫌そうな顔を隠しもしていなかった。
「まぁ、私は神に祈っても自分の罪を見つめ直すことは出来ないと思って気に入らなかったのよね。案の定、サステナはずっと自分は悪くないと考えていた。そうじゃなかった?サステナ?」
「はい。でも今はとても反省しています。公爵にも公爵夫人にも大変失礼な事をしましたし、私の行動はとても非常識なものでした。心から謝罪いたします」
最初は嫌そうな顔はしていたが、キュッと口を結んだ後は、後悔しているかのように目を伏せていた。
もう、フリードを視線の中心に置くこともなかった。
「謝罪をされても、起きてしまったことは消えては無くならない。君のせいで失った妻と過ごす時間が戻ってくることはない。これ以上、私が妻といる時間を邪魔することがないようにお願いしたい」
フリードが心底冷たい目でサステナを見ている。
そんな顔も出来るんだなぁとクロエは驚いていた。
「はい。公爵が夫人のことをとても愛しているというのは、とてもよく理解できました。でもひとつ問題があります。夫人は全く、そのことが分かっていないようです」
突然サステナが横を向いてとんでもない事を言い出すので、クロエは目を丸くするしかなかった。
え?私が責められている?
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