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just married

例えるならば可愛いものは全て妖精

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「分かったわ。さぁティティ!ヘル!クロエおばさまと美味しいご飯を食べに行く?」



ステラの娘のもうすぐ三歳になるティティアンナと辿々しく歩く息子のヘルナンティスは、魔力が強いことから魔力の強いものしか側に置けない。魔法省からの乳母の派遣も断るほどの魔力は、イシュトハンの血なのだろう。


「クオェおばしゃま、ヘルはまだヤラワカーイものしか食べれないよ?ティティが、ヘルの分までたべる?」



ティティがヘルのほっぺをプニッと押しながらステラの手を離してクロエの近くに来る。
彼女達の子守りを出来るのは、イシュトハンの三人娘のみだ。
父親のディヴィッドさえ一人では危険だと判断されている。
クロエはチラリとステラを見て、二人は任せてと合図した。


「二人とも、クロエおばさまに連れて行ってもらったら?美味しいものがたくさんあるわよ」

「ほんと!?たくさーんあるの!?行きたい!」

「ええ。ヘルの大好物の人参もきっとあるわよ。ティティは何を食べたい?」


クロエはステラからティティの目線を奪うようにティティに話しかける。




「ティティは…アイシュと、ケーキと…プリンも食べたい!」

「甘いものが食べたいのね!偶然クロエおばさまも甘いものが食べたいと思っていたの。さぁ一緒に甘いものを制覇しに行きましょう!」

クロエはティティとヘルを抱き上げようとしゃがみ込もうとしたが、しゃがみ込む前にフリードが二人を両腕に抱え込んだ。


「ティティ、ヘル、僕の抱っこでもいい?」

「んー?おにいしゃまはだぁれ?ママが良いって言わないと抱っこはメなの」

「僕はフリード。ティティとヘルのおじさんだよ」

「おじ…しゃん…??」


途端に怪訝な表情になり、誰から見ても身体を固めたティティ。


「ティティ、ジュリアンおじさまと同じ、フリードおじさまと呼べばいいわよ」

「同じ!?」


ティティの頭を撫でながらクロエが優しくティティに語りかけたが、フリードは納得がいかなかったようだ。
全く器の小さい男だ。


「同じでしょう?」

「同じ…」

「フィリード…おじ…しゃま?」

「きゃー!ティティ、とってもお利口ね。フリードおじさまはクロエおばさまの旦那様だから、たくさん甘えても大丈夫よ!フリードおじさまはティティのママともとっても仲良しなのよ。ティティはクロエおばさまの抱っこの方がいい?」

「クロエおばしゃまがいいっ!」


ティティがクロエに向けて手を広げると、フリードはクルンっと後ろを向いてしまう。


「もぅ!フリード!」


一回り位違うジュリアンと同じと言われて気を悪くしたにしてはあまりにも幼稚な振る舞いではないか。
可愛い姪っ子を抱っこ出来る機会は少ないというのに、なんて酷い。


「ティティ、クロエおねえさんは今日は可愛いドレスを着ているから抱っこができないんだ。パーティの時にいつも抱っこしてくれるのは、パパじゃないか?」


クロエの声が聞こえないかのように、フリードはティティだけに話しかける。


「うんとね、オキャクサマ?がいる時のママはね、抱っこしてくれないの。パパも、ママが隣にいないとぉ抱っこしてくれないの」

「ティティは抱っこが好きなんだろう?」

「ティティは抱っこもおんぶもスキなの」

「じゃあ抱っこもおんぶも出来るフリードおにいさまでいいだろう?」

「んー???抱っこもおんぶもしてくれるなら、フィリードおじしゃまでもフィリードおにいしゃまでも、どっちでもティティはいいよ」

「なら、決まりだね。ヘルが寝ないうちに甘いものを食べに行こう」


片腕でウトウトとしだしたヘルを見ながら、フリードが抱っこすることに決まったらしい。
今日きているのはローブデコルテで、深く襟元が開いたドレスだから、フリードの言うことは最もだ。
このまま抱っこしていたら、とんでもないことになっていたかもしれない。


「クロエおねえさん、行くよ」



フリードの腕の中にいたティティは、器用に背中側に周り、首元に巻きついて引っ付いている。
片手の空いた右手を、フリードはクロエに差し出した。



「フィリードおじしゃま、クオエおばしゃまはクオエおねえしゃんじゃなくて、クオエおばしゃまっていうの。だから間違えちゃメッよ!」

「もうティティったら最高に可愛いわ」


ティティはフリードの肩によじのぼって肩に座ると、頭をポンポンと叩いていた。

クロエは差し出された手をとり、フリードとホールから遠ざかっていった。


その姿を、ジュリアンは何も言わずただ見ていた。
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