地の底から這い上がる

海月 結城

文字の大きさ
上 下
13 / 37

四人の勇者のダンジョン攻略“後”

しおりを挟む
これで一旦勇者視点終了
ーーーーー
 俺たちは三階層に来ている。

「お前ら大丈夫か?」
「はい!」
「ゴブリン達は武器を持ってるから気をつけろよ。この階層のゴブリンはみんな棍棒持ちだ。それを考えて戦えよ」
「分かりました!」

 俺たちが話し終えた時、ゴブリンの気配がした。

「あ、アーリーさん」
「どうした?」
「もしかして、ゴブリンが近づいて来てますか?」
「お、よく分かったな」
「はい。なんとなく」
「その感覚を忘れるなよ。その内それはお前の命を救うことになるだろうからな」
「はい!」

 少し歩くと、ゴブリンが地面からニョキっと出てきた。

「お、珍しいな。あれがダンジョンから魔物が生まれる瞬間だ」
「……なんと言うか、気持ち悪いです」

 南が嫌悪感を抱いていたが、雪菜とミラー術長までもが、うわーって顔をしていた。

「まぁ、初めてはそうなるな。さ、お前ら安全に戦えよ」
「「「「はい!」」」」
「グギャギャ!!」
「本当に、人型だ」
「大海、行けるか?」
「あぁ、大丈夫だ」
「よし。俺たちが突っ込む、南と雪菜は後ろから支援を頼む!!」
「了解!」「分かったよ」

 そして、強丞と大海は剣と槍を軽く構えゴブリンに向けて走り出した。

「溺れなさい!「ウォーターボール」強くなれ!「身体強化」」

 雪菜が攻撃魔法と支援魔法を発動した。ウォーターボールは、ゴブリン四体を直撃し、ゴブリンは足を止めていた。足元には、水溜りができていた。そして、身体強化で強丞と大海は、さっきよりも速くゴブリンに近づいていた。そして、ほんのり紫色の光が二人の身体を包み込んでいた。

「っふ!!」「はっ!!」

 二人が攻撃を仕掛けるとゴブリン達はバラバラに避けた。だが、それぞれがバラバラに避けたため、避けた先に避けたゴブリンがいたりと、ちゃんと避けられることは出来なかった。

「「グギギ!!」」

 二人の攻撃は、ゴブリン二体を倒した。
 二人はそこで気を許していた。ゴブリンの一体が二人の死角から攻撃を仕掛けていた。

「なっ ︎」
「危ない!」

 強丞が殴られそうになった時、ズボッとゴブリンの方から音がし、ゴブリンは倒れた。

「戦いの最中にそんなことしちゃダメでしょ!」
「すまん。助かった南」
「次やったらお仕置きよ」

 南は雪菜と反対側から弓矢を放ち強丞を倒した。

「ラストだな」
「グギッ!!」

 最後の一体は大海が槍で刺し殺した。そして、ゴブリン達は魔石を残して消えていった。

「ふー、何とかなったな」
「だな」
「お前ら、よくやったな!」
「ありがとうございます!!」
「南、そこにある魔石を拾って持って来てくれ」
「分かりました!」

 南は反対側から戻ってくるついでに魔石を拾ってきた。

「これ、中が凄いですね」
「南、ちょっと見せろ」
「はい」

 南は四人にそれぞれに魔石を渡した。

「……綺麗」

 雪菜は魔石を手に取り思わずそんな言葉が口から出ていた。
 魔石は半透明の石だった。石の中には何かがうねうねと渦巻いていた。

「マーリーさん。魔石の中にあるこれって何ですか?」
「あぁ、それは魔力だよ」
「これが、魔力?」
「そ、ゴブリンが今まで使わずに体内で溜めていた魔力だ」
「醜い外見とは程遠い位綺麗でしょ?」
「はい、ミラー術長の言う通りですね」
「もっと、長年生きている魔物だったらもっと綺麗よ。ま、相手に魔力を使わせずに倒した場合だけどね」
「そっか、戦いの最中に魔力を使わせたら、その分魔石に残る魔力がどんどん無くなるんだ」
「そう言う事」
「よし、今日はこの辺にして帰るぞ」

 四人の勇者は三階層から四階層に行く手前にある横の部屋から転移して地上に戻った。
ーーーーー
週一だと展開が遅いよな。ちょっと悩んでる
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王妃となったアンゼリカ

わらびもち
恋愛
婚約者を責め立て鬱状態へと追い込んだ王太子。 そんな彼の新たな婚約者へと選ばれたグリフォン公爵家の息女アンゼリカ。 彼女は国王と王太子を相手にこう告げる。 「ひとつ条件を呑んで頂けるのでしたら、婚約をお受けしましょう」 ※以前の作品『フランチェスカ王女の婿取り』『貴方といると、お茶が不味い』が先の恋愛小説大賞で奨励賞に選ばれました。 これもご投票頂いた皆様のおかげです! 本当にありがとうございました!

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

ゲロトラップダンジョン-女騎士は適量とペースを守って酒なんかに負けたりはしない!-

春海水亭
ファンタジー
女騎士ノミホ・ディモ・ジュースノーム(20)は王命を受け、ダンジョンの攻略に挑む。 だが、ノミホの屈強なる精神力を見込まれて赴いた先は、 すえた吐瀉物と濃いアルコールの臭いが立ち込めるゲロトラップダンジョンであった。 ノミホは先人が残した嘔吐マッピング機能を利用して、ゲロトラップダンジョンの攻略を開始する。

泥酔魔王の過失転生~酔った勢いで転生魔法を使ったなんて絶対にバレたくない!~

近度 有無
ファンタジー
魔界を統べる魔王とその配下たちは新たな幹部の誕生に宴を開いていた。 それはただの祝いの場で、よくあるような光景。 しかし誰も知らない──魔王にとって唯一の弱点が酒であるということを。 酔いつぶれた魔王は柱を敵と見間違え、攻撃。効くはずもなく、嘔吐を敵の精神攻撃と勘違い。 そのまま逃げるように転生魔法を行使してしまう。 そして、次に目覚めた時には、 「あれ? なんか幼児の身体になってない?」 あの最強と謳われた魔王が酔って間違って転生? それも人間に? そんなことがバレたら恥ずかしくて死ぬどころじゃない……! 魔王は身元がバレないようにごく普通の人間として生きていくことを誓う。 しかし、勇者ですら敵わない魔王が普通の、それも人間の生活を真似できるわけもなく…… これは自分が元魔王だと、誰にもバレずに生きていきたい魔王が無自覚に無双してしまうような物語。

こんなとき何て言う?

遠野エン
エッセイ・ノンフィクション
ユーモアは人間関係の潤滑油。会話を盛り上げるための「面白い答え方」を紹介。友人との会話や職場でのやり取りを一層楽しくするヒントをお届けします。

完結【清】ご都合主義で生きてます。-空間を切り取り、思ったものを創り出す。これで異世界は楽勝です-

ジェルミ
ファンタジー
社畜の村野玲奈(むらの れな)は23歳で過労死をした。 第二の人生を女神代行に誘われ異世界に転移する。 スキルは剣豪、大魔導士を提案されるが、転移してみないと役に立つのか分からない。 迷っていると想像したことを実現できる『創生魔法』を提案される。 空間を切り取り収納できる『空間魔法』。 思ったものを創り出すことができ『創生魔法』。 少女は冒険者として覇道を歩むのか、それとも魔道具師としてひっそり生きるのか? 『創生魔法』で便利な物を創り富を得ていく少女の物語。 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※カクヨム様にも掲載中です。

最狂裏ボス転生~チート能力【迷宮の主の権限】を駆使して世界を騙せ~

てんてんどんどん
ファンタジー
VRMMOラスティリア。 プレイヤーは勇者となり、500年前魔王と戦い散っていった英雄たちを召喚して、使役。 彼らとともに魔王を倒し世界を救う、本格幻想ファンタジー!! ……が売り文句のVRMMOの世界に転生してしまった俺。 しかも転生先が500年前の滅亡する世界。英雄たちが魔王と戦っていた時代の、裏ボスの青年期。 最強の迷宮とスキルを所持した裏ボスに転生したものの、魔王は勇者の攻撃しか効かない。 ゲーム上では結局魔王も裏ボスも、互いに争い勝敗がつかぬまま封印されてしまうのだ。 『こうなったら裏ボスと裏ボスの迷宮の力を駆使して魔王を倒し世界の崩壊を止めるしかない!』 通常の方法では魔王は倒せない。 ならば裏をかいてやるのみ!!正義も悪も等しく騙し世界すら欺いて魔王を倒し世界の崩壊を覆してみせる! ずる賢く立ち回り、英雄達を闇に染め配下に加え、魔族の力を取り込みながら魔王を倒すために迷宮の拡大をはかれ! こうして世界を巻き込んだ、ダークヒーローのペテン劇場がいま幕を開ける。 ※他サイトでは別のタイトルで投稿してます(文字数にひっかかったのでタイトル変更)

異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ
ファンタジー
主人公の沖 紫惠琉(おき しえる)は会社からの帰り道、不思議な店を訪れる。 その店でいくつかの品を持たされ、自宅への帰り道、異世界への穴に落ちる。 落ちた先で紫惠琉はいろいろな仲間と穏やかながらも時々刺激的な旅へと旅立つのだった。

処理中です...