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side〜ルーク〜 出会い

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 カナハルムがある一行を助けていると同時刻、ルークも一人の少女を助けていた。時は少し遡る。

「転移も無事成功したし、少し王都でもみて回るか」

 転移してすぐに、何も問題は起こらなかった。なので、当初の予定通り王都をみて回るかことにしたのだ。
 ルークは、カッコいいおじさんのイメージがよく合う。ボサボサの茶髪に、無精髭、顔をカッコいいし、身長はそこそこ高い。そして、貫禄もある。
 そんな人が王都でそのまま歩くのは結構危険なのだ。

「ねぇ、あの人かっこよくない? 声かけてみなよ」
「えぇ、やだよ~。恥ずかしい~」

 そんな会話がいたるところから聞こえてくる。そこで、ルークは「隠密」のスキルを発動させた。

「あ、あれ? あの人どこにいったの?」

 うまく発動したようだ。それからは、王都の観光にシフトチェンジした。ってか、こっちが本命だったね。忘れてた。

「たったの20年じゃあんまり変わらんな。大きな災害もなかったようだし」

 王都の観光を終わらせたルークは自分の鍛冶屋に戻るために、裏道に入った。あと少しで自宅に着くってところで、少女が倒れているのが見えた。

「君! 大丈夫か!?」
「……う、うぅ……お……か」
「え? お、かって、君のお母さんに何かあったのか?」

 少女は苦しそうな顔をして何かを呟いていた。それが途切れ途切れで、何を喋っているのかあまりわからない。
 すると、「グゥー」っと、お腹が鳴った音がした。

「え? グゥーって、もしかして、お腹すいてて倒れていたのか?」

 少女はコクッと小さく頷いた。

「そうか。なら、家でご飯を振舞ってやるよ」
「あ……りが……とう」

 自宅に運び食事を机の上に置く。
 少女は、初夏時の匂いに誘われるように歩き、一気に平らげていった。

「うまい」

 その一言を置いて、少女はふらりと倒れてしまった。いや、

「すー、すー」

 可愛い寝息を立てて熟睡している。
 安心したんだろう。それから1日が経ち少女が目を覚ました。

「ん、う~ん。ここ……は?」
「お、起きたか?」
「誰!?」

 ルークが声をかけると少女は近くにあった自分の杖を手に取り、魔法陣を展開した。気が動転しているようで、こちらを攻撃しようとしているようだ。

「ディスペル」
  
 ルークが無詠唱で魔法を放つ。その魔法が少女が展開した魔法陣に直撃し、ガラスが割れるような音を立てながら消えていった。

「君を助けたのに、その仕打ちは酷いんじゃないか?」
「え? 今何を? 助けた? はっ!?」

 そこで、今誰に向かって魔術を放とうとしたかを理解した少女。

「あ、えっと、ごめん、なさい。助けて、くれて、ありがと」
「君名前は?」
「わ、私、マリー」
「そうか、マリーかいい名前だな。よろしくな」
「……よ、よろ、しく」

 こうして、魔術師マリーがルークの鍛冶屋に転がり込んできた。
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