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旅立ちと移動

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 カナハルムが旅に出るといってから、三日が経った。

「明日旅立ちか」
「はい。今までありがとうございました」
「おう、俺も楽しかったぞ」

 カナハルムが旅に出るといってから三日、ルークと一緒に旅の準備を始めていた。
 旅の準備は案外簡単だった。ルークが、アイテムボックスを作り、旅に必要なアイテムの、テント、薪、寝巻、いす、水、こんな感じものを用意した。火は魔術で出せるので、今のカナハルムには問題はないが、MPがあまりないので、こんなことで魔術は使えない。そこで役に立つのは、ルークのアーティファクトだ。魔力は、身に着けているだけで補充でき、使うときにも薪の近くで使うだけで、火をつけられる優れものだ。

「旅の準備は大丈夫か?」
「はい。ルークさんのおかげで、だいぶ楽に終わりました」
「そうか。それはよかった。今日は最後の晩餐だな」
「ちょっとルークさん。最後だなんていわないでくださいよ。これからも一緒に食べましょうよ」
「ま、いいじゃねえか。作ってくるから、待っとけよ」

 そして、ルークは最後の晩餐にふさわしい料理をカナハルムに振舞った。

「いやー、ルークさんのご飯は美味しいですね」
「そういってもらえて、ありがとな。さ、明日も早いんだから、もう寝ろよ」
「わかってますよ。それでは、おやすみなさい」
「おう、お休み」

 カナハルムが寝るのを見届けた後、カナハルムに渡したアイテムボックスにとある細工を施した。

「これで安心だな」

 この細工が発動しないのをルークは、祈っている。

「さて、俺も寝るか」

 夜が明け、今は門の外。

「それではルークさん。行ってきます」
「おう、元気でな。風邪引くなよ」
「は、はい!」

 カナハルムは、冒険者が多く集まる、ルルークに向かっている。新しい仲間が、見つかればいいが。
 こうして、カナハルムはこの街を後にした。
 ルークは、カナハルムが見えなくなるまで見送り、自分の鍛冶屋に戻っていった。

「この部屋だな」

 ルークが今いる部屋は、鍛冶屋の工房だ。この部屋には、とある魔術が施されている。
 それは・・・この部屋丸ごとの、転移だ。

「次の町は、どうしようかな。王都にでも行くか」

 こうして、ルークの次の行き先は王都シャリンベルに決まった。

「転移」

 ルークの鍛冶屋は世界中にあるが、点々としているから、実際どこにいるのかは本人にしかわからない。

「さて、久しぶりの王都だ、先ずは王都の探検と行きますか」

 ルークが、王都に転移した同時刻、カナハルムはある一行の馬車を盗賊から助けていた。
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