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新魔術

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 カナハルムが、クエストを受けてはじまりの森へ向かっているとき、ルークは自分の鍛冶屋にいた。

「まさか、あの結界を抜けてくる人がいたなんてな」

 ルークが張った結界には、自分が打った武器を持つにふさわしい人だけが、通ることができるように魔術を使った。この時のルークは、カナハルムが英雄と呼ばれるとは微塵も思っていなかった。

「さて、今日は何しようかな。ギルドに行くのは、やめておくか」

 実はルーク。ギルドにも登録している。ギルドとは、モンスター(魔物、魔獣)を討伐。薬草の採取。町での、騎士団ができない仕事をギルドが、ギルドに登録している冒険者に依頼として紹介し、それを、冒険者が受けて報酬をもらうという感じだ。
 ギルドにはランクがあり、F~SSランクまである。F~Eが初心者。D~Cが中級者。B~Aが上級者。Sが超級者。SSが英雄。こんな感じにランクは分かれている。
 カナハルムはまだEランクだ。ルークは、SSランクの、いや、その上の実力を持っているが、アーティファクトでギルドでの実力を下げており、Aランクで通っている。
 そして、ギルドに行くのに嫌がるルーク。ルークは、ギルドに行くときに姿を変えるアーティファクトを利用して三十歳ぐらいの姿にしている。だが、名前はそのままルークで登録してしまった。なので、カナハルムに見つかるかもしれないと思い、ギルドに行きたくないないのだ。

「そうだな、新しい魔術でも開発するか」

 ルークは、後ろの棚から紙を取り出して、そこに魔方陣を書き始めた。
 この世界では、魔術は魔方陣に書いて発動するもの、魔方陣を使わない詠唱の二つがある。間違いはない。ほんとは、詠唱を必用としないんだけどな。それは、今のところ、ルークしか知らない。それは置いといて、今回開発する魔術は昔から作ってみたかった、多重展開×100だ。今までは、50ほどしかできなかったが、それも今日まで。これからは、多重展開×100が主流となるだろう。ルークだけ。
 多重展開は、できる人はいるだろう。5ぐらい。多重展開×5ができれば、この世界では一流だ。これを聞いてわかってもらえればうれしい。ルークが、どれほどこの世界から逸脱している存在かを。

 そしてルークは、いつも通り、紙に魔方陣を書いていく。

「えっと、これが多重展開×50だよな。ん? ここいらなくね」

 そんな感じで、多重展開×50を改良して、×99までは改良できた。

「んー、あと一個なんだけどな。もしかして、多重展開は99が限界なのか。なるほどな、魔術にも限界があるのか。これは、いい結果が出たな」

 こうして、新たな魔術の限界を知ることができた頃、カナハルムはギルドに戻って、達成の報告をしていた。

「そうだ、そろそろカナハルムが、ギルドの依頼から戻って来てる時間だな。迎えに行くか」

 ルークは、カナハルムの行動を予測しており、今まさにカナハルムが、ギルドを出たところだった。

「おう、カナハルム」
「え! ルークさん! どうしたんですか?」
「ギルドの依頼が、丁度終わったかなと思ってな、迎えに来たんだよ」
「そうなんですか。自分もこれから、宿を探した後にルークさんに、この剣の使い心地を言いに行こうとしてたんですよ」
「宿を探してたのか。なら、これから少しの間俺のところに、寝泊まりしていいぞ」
「いいんですんか!?」
「一人だと、暇だしな」

 こうして、一人の居候ができた。
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