上 下
96 / 151

バスアとは?

しおりを挟む
 5人で登校して、それぞれのクラスに移動する為に別れる時、魔力袋からプレゼントを取り出した。

「これ、良かったら」

 ミルさんにはブレスレット、メイさんとイヤさんには、お揃いのイヤリングを渡した。

「なにこれ?」
「え、あの、ブレスレット、です」
「いや、そうじゃなくて、なんでいきなりプレゼント?」
「その、仲直りしたお祝い? です」
「自分でも分かってないの?」
「えー、まぁ、はい」
「貴方ねぇ。はぁ、まぁ良いわ。ありがとうね」
「「ありがとう。イサミくん」」

 別れてからクラスに行き、教師が来るまでの間、リュメルと話していた。

「そう言えば、イサミって編入試験で的を壊したらしいじゃん?」
「え? あぁ、あれね」
「本当なの?」
「うん。壊したね。凄い驚かれたよ」
「そんなイサミに頼みがあるんだ」
「頼み? 良いけど、なに?」
「私に、魔法の使い方を教えてほしいの!」

 そう言って、リュメルは頭を下げた。

「良いけど、一応理由聞いても良い?」

 Sクラスに居るって事は、魔力もその他諸々もある程度は出来ている筈だ。それなのに、僕に魔法の使い方を教えて欲しいって、何か危ない事に使うんじゃないのかな? と、疑ってしまう。

「来月に、三つの学園での大会があるでしょ? 私、初等部の部で出たいんだけど、その選手が選ばれる選考会が来週あるんだよ。私どうしてもそれに選ばれたいの。だから、私に魔法の使い方を教えて下さい!!」
「うん。良いよ。でも、条件があります」
「な、何でしょうか?」
「僕に、その大会の事を教えて下さい」

 そう言うと、リュメルは目をパチパチして、ぷっと笑った。

「うん。良いよ」

 そう言って、二つ返事で了承してくれた。

「それじゃ、説明するよ。まず、この学園とは別に、大きい学園が二つあるんです。それは、それぞれ違う国にあるんだけど、毎年交流の場として、その大会が開かれるんだよ。その名も『バトル・スリーアカデミー』略して『バスア』だよ」
「……バスア」
「そ、バスア。で、バスアは初等部、中等部、高等部の三つに分かれてるんだよ。で、私たちが出るのが初等部の部だね」
「うん」
「バスアは、それぞれの学園から2人が選ばれて戦います。で、勝数が一番多い人が優勝です。三つの競技があります。一つが、剣も魔法もその他諸々なんでもありの戦い。総合戦です。で、二つ目が魔法戦です。これは、その名前の通り、魔法のみでの戦いですね。3人が選ばれます。で、三つ目が近接戦です。これも名前の通り剣や槍での戦いですね。ただ、弓とか遠距離で戦える武器は使用不可です。これも3人です。計8人が初等部の選手で出られるんです。狭き門ですね」
「それで、リュメルは何に出たいの?」
「私は魔法戦です。なので、魔法の使い方を教えてほしいんです」
「あれだよ。僕だって魔法の使い方あまり分かってないからね?」
「うん。それでも、少しでも魔法を上手く使いたいだよ」

 そこまで言って、教師が入って来て選考会の事を話して、そのまま授業が始まった。

 そうそう、クロたちは適当に学校で過ごしてるよ。
 ただただ、歩き回ったり本読んだり、他の魔物と遊んだり、色々だよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...