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地球での三人+α~バレンタイン~
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土曜日、僕たちはケーキ屋さんに来ていた。
「みんな、何頼むの?」
そう聞いてきた利奈は、フルーツタルト、龍は苦いチョコが好きなのでガトーショコラ、ノールは栗の乗ったモンブラン、僕はシンプルなショートケーキを頼んだ。
それぞれが、好きな飲み物を頼んで談笑が始まった。
この時期の話題となると、やはりバレンタインだ。
「利奈と、ノールは誰かにチョコ上げるのか?」
「私は、フォーレと龍、それと友達と友チョコの交換、クラスのみんなに義理チョコ、部活の人たちにも上げようかなって思ってるよ」
「ノールも同じかな。でもノールは、丁度明日ボイトレがあるからその先生にも上げようかなって思ってるよ」
毎年のことながら、この時期の二人は少し忙しそうだ。チョコを買うのもそうだけど、毎年作ってると凝ったものを作りたくなるようで、去年よりいいものをと美味しくてかわいいチョコを作る。
そして、僕と龍はノールと利奈のチョコの味見係として重宝されている。
「それじゃ、この後少し買い物してから解散かな」
「そうだね」
運ばれてきたケーキを食べて僕たちは買い物に向かった。
僕はチョコ作りに何が必要なのか全く分からないので、荷物持ちとして付いてきているが、楽しそうに買い物してる二人を見るのは案外楽しい。まぁ、龍はさっさと帰りたそうにしているが、その姿さえかっこよかったりする。
買い物が終わったのは、それから二時間後だった。
「やっと、終わった」
「うるさいよ、龍。それに、買い物が長引いちゃうのは許してよ。何を作るか考えながら買い物してるんだから、時間かかっちゃうのよ」
「そうだよ! 龍さんだって、どうせだったら美味しいもの食べたいでしょ」
「まぁ、そうだな」
「だったら、そんなにダルそうにしないでよね」
「分かったよ」
買い物が終わると、少しお昼を過ぎていた。
お昼は家で食べることにして、電車に乗って家に帰った。
家について、お昼ご飯を食べてノール、利奈はそれぞれチョコ作りを始めた。
今回、ノールが作っているのはクラスの人に渡すものでクランチチョコ、友達との交換用でパウンドケーキの二種類を作っていた。
小学生の頃からお菓子を作っていたので、その腕は結構上がっている。昔は、湯煎してる最中にお湯が溶かしているチョコに入って、チョコが溶けないと大泣きしていた。それが今では、湯煎している時にお湯が入ることも無くなった。
それから、少しの時間が経って、クランチチョコが出来上がた。
一つ貰って食べてみると、うん、普通に美味しい。オレンジが入っているのか、良いアクセントになってとても美味しい。
その後、パウンドケーキも出来上がった。こっちには、ラズベリーが入っていてこっちも美味しかった。
「うん、これでオッケーだね」
「まだ何か作るのか?」
「うん、けど、ここからは味見係は要らないよ」
「そうか。頑張れよ」
ノールがこういう時は俺や龍の分を作るときに使うことは知っているので大人しく自分の部屋に戻って、ホワイトデーをどうしようか考えるためにパソコンに電源を付けた。
次の日、朝起きて顔を洗いに洗面台に向かおうと部屋のドア開けると、ノールが僕の部屋の前で突っ立ていた。
「おはよう。ノール」
「……お、おはよう。お兄ちゃん、これ……」
ノールは恥ずかしそうに俯いたまま可愛いラッピングされたバレンタインデーを渡してきた。
「食べるのは、朝ごはん食べた後で良いから、その、感想教えてね」
「……開けていいか?」
「……う、うん」
可愛いラッピングをされたその袋を開けると二層の小さなチーズケーキブラウニーが入っていた。
一つ手に取って口に運んだ。甘いブラウニーと酸味のあるチーズケーキが本当に美味しかった。
「うん、美味しい。ありがとうな、ノール」
僕はそう言ってノールの頭を撫でた。
今まで俯いていたノールは、嬉しそうに顔上げて可愛らしい笑顔で笑った。
その日の午後、僕たちの家に利奈と龍が一緒にやって来た。
「邪魔するぞ」
「いらっしゃい。飲み物準備するからリビングで待ってて」
紅茶を準備して、持っていくとそこにはガトーショコラがそれぞれのお皿によそわれていた。
「これ、私からのバレンタインだよ」
利奈が作ったガトーショコラは少しほろ苦くとても美味しいケーキだった。
それから、ノールと利奈が友チョコで作り、余った分を僕たち四人で食べながらゲームをして過ごした。
そろそろ解散しようかと話していた時、袖を利奈に捕まれて僕の部屋に呼び出された。
「利奈?」
「あ、あのさ、私たちって友達だよね?」
「え? そうだけど……」
利奈は緊張した面持ちでしゃべり続けた。
「あ、あのさ、友達の……先の関係にならない? ……好きです!! 私と、付き合ってください!!」
利奈は、手作りチョコを渡して頭を下げた。
「……利奈。ごめんね、先に言われちゃったな。僕も好きでした。これから、よろしくね」
そして、僕たちはバレンタインデーに付き合うことになった。
それをノールと龍が扉の隙間から覗き見ていたのに気が付いたときは流石にちょっとだけ呆れた。
「みんな、何頼むの?」
そう聞いてきた利奈は、フルーツタルト、龍は苦いチョコが好きなのでガトーショコラ、ノールは栗の乗ったモンブラン、僕はシンプルなショートケーキを頼んだ。
それぞれが、好きな飲み物を頼んで談笑が始まった。
この時期の話題となると、やはりバレンタインだ。
「利奈と、ノールは誰かにチョコ上げるのか?」
「私は、フォーレと龍、それと友達と友チョコの交換、クラスのみんなに義理チョコ、部活の人たちにも上げようかなって思ってるよ」
「ノールも同じかな。でもノールは、丁度明日ボイトレがあるからその先生にも上げようかなって思ってるよ」
毎年のことながら、この時期の二人は少し忙しそうだ。チョコを買うのもそうだけど、毎年作ってると凝ったものを作りたくなるようで、去年よりいいものをと美味しくてかわいいチョコを作る。
そして、僕と龍はノールと利奈のチョコの味見係として重宝されている。
「それじゃ、この後少し買い物してから解散かな」
「そうだね」
運ばれてきたケーキを食べて僕たちは買い物に向かった。
僕はチョコ作りに何が必要なのか全く分からないので、荷物持ちとして付いてきているが、楽しそうに買い物してる二人を見るのは案外楽しい。まぁ、龍はさっさと帰りたそうにしているが、その姿さえかっこよかったりする。
買い物が終わったのは、それから二時間後だった。
「やっと、終わった」
「うるさいよ、龍。それに、買い物が長引いちゃうのは許してよ。何を作るか考えながら買い物してるんだから、時間かかっちゃうのよ」
「そうだよ! 龍さんだって、どうせだったら美味しいもの食べたいでしょ」
「まぁ、そうだな」
「だったら、そんなにダルそうにしないでよね」
「分かったよ」
買い物が終わると、少しお昼を過ぎていた。
お昼は家で食べることにして、電車に乗って家に帰った。
家について、お昼ご飯を食べてノール、利奈はそれぞれチョコ作りを始めた。
今回、ノールが作っているのはクラスの人に渡すものでクランチチョコ、友達との交換用でパウンドケーキの二種類を作っていた。
小学生の頃からお菓子を作っていたので、その腕は結構上がっている。昔は、湯煎してる最中にお湯が溶かしているチョコに入って、チョコが溶けないと大泣きしていた。それが今では、湯煎している時にお湯が入ることも無くなった。
それから、少しの時間が経って、クランチチョコが出来上がた。
一つ貰って食べてみると、うん、普通に美味しい。オレンジが入っているのか、良いアクセントになってとても美味しい。
その後、パウンドケーキも出来上がった。こっちには、ラズベリーが入っていてこっちも美味しかった。
「うん、これでオッケーだね」
「まだ何か作るのか?」
「うん、けど、ここからは味見係は要らないよ」
「そうか。頑張れよ」
ノールがこういう時は俺や龍の分を作るときに使うことは知っているので大人しく自分の部屋に戻って、ホワイトデーをどうしようか考えるためにパソコンに電源を付けた。
次の日、朝起きて顔を洗いに洗面台に向かおうと部屋のドア開けると、ノールが僕の部屋の前で突っ立ていた。
「おはよう。ノール」
「……お、おはよう。お兄ちゃん、これ……」
ノールは恥ずかしそうに俯いたまま可愛いラッピングされたバレンタインデーを渡してきた。
「食べるのは、朝ごはん食べた後で良いから、その、感想教えてね」
「……開けていいか?」
「……う、うん」
可愛いラッピングをされたその袋を開けると二層の小さなチーズケーキブラウニーが入っていた。
一つ手に取って口に運んだ。甘いブラウニーと酸味のあるチーズケーキが本当に美味しかった。
「うん、美味しい。ありがとうな、ノール」
僕はそう言ってノールの頭を撫でた。
今まで俯いていたノールは、嬉しそうに顔上げて可愛らしい笑顔で笑った。
その日の午後、僕たちの家に利奈と龍が一緒にやって来た。
「邪魔するぞ」
「いらっしゃい。飲み物準備するからリビングで待ってて」
紅茶を準備して、持っていくとそこにはガトーショコラがそれぞれのお皿によそわれていた。
「これ、私からのバレンタインだよ」
利奈が作ったガトーショコラは少しほろ苦くとても美味しいケーキだった。
それから、ノールと利奈が友チョコで作り、余った分を僕たち四人で食べながらゲームをして過ごした。
そろそろ解散しようかと話していた時、袖を利奈に捕まれて僕の部屋に呼び出された。
「利奈?」
「あ、あのさ、私たちって友達だよね?」
「え? そうだけど……」
利奈は緊張した面持ちでしゃべり続けた。
「あ、あのさ、友達の……先の関係にならない? ……好きです!! 私と、付き合ってください!!」
利奈は、手作りチョコを渡して頭を下げた。
「……利奈。ごめんね、先に言われちゃったな。僕も好きでした。これから、よろしくね」
そして、僕たちはバレンタインデーに付き合うことになった。
それをノールと龍が扉の隙間から覗き見ていたのに気が付いたときは流石にちょっとだけ呆れた。
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