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帰還〜到着〜

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 太陽が天頂に着いた頃

「この門を見るのも久しぶりだね」

 私たちは、1週間ぶりにルシフェルに帰って来て、今は門の前で検問待ちだ。と、言っても、ショーンさんがいるし、ギルドカードがあるので、特に咎められる理由は無かったので、そのまま通ることができた。

「カレンさん、金の爪の皆さん。今回の護衛ありがとうございました。これをギルドの人に見せてください。クエスト完了の証明書です」
「ありがとうございます」
「おう!」

 それから、ショーンさんと別れ、金の爪の人たちと一緒にギルドに向かった。その途中で、王都でのパレードの話になった。

「まさか、この街の英雄様が、カレンだとはな」
「そうですね。流石師匠ですね!」
「ほんとよ。パレードがあるから、誰が主役か見て見てたら、知ってる顔なんだものね。あれには驚かされたわ。なんで内緒にしてたのよ?」
「いえ、聞かれなかったので」
「......そうね。その通りだわ」

 そうそう、今回の活躍で、王様から屋敷以外にも貰ったものがある。それは、ギルドへのSランク昇格の申請状だ。今回はそれも持って来ている。これで晴れてSランクに昇格だ! そうこうしてる間に、ギルドに戻って来た。

「いらっしゃ......、っ! カレンさん! お会いしたかったですよ~!!」

 そう言って、私に飛び込んで来たのは、ギルドの受付嬢のシャルだった。若干キャラぶれてね?

「ちょっと、シャル。何やってるの!?」
「へへへ~、カレンさんの匂いだ~」

 私は、ちょっとやばいと思い、そのまま背負い投げ押して、受付の方にぶん投げた。シャルはそのまま、スタッと、受付に立った。どうやって衝撃を無くしたかは謎である。

「ごほん、今日はどうされました?」

 元の受付嬢に戻った。

「護衛依頼の報酬を受け取りに来たんだよ」
「これ、クエスト完了の証明書です」
「受け取りました。ちょっと待っててくださいね」

 そう言って、シャルさんは後ろに消えていき、戻って来た。

「一応4等分に分けましたが、良かったですか?」
「大丈夫です。ありがとう」

 そして、報酬をもらい、ギルドを後にした。

「それじゃ、ここでお別れだな。今回はありがとな。また縁があったら、よろしく」
「そうですね、またお願いします」

 そして、金の爪の人たちのとも、別れた。

「寂しくなるなぁ。よし、ネールちゃんに会いに行こうかな」

 今まで泊まっていた、「猫のまんぷく亭」に向かった。途中、私のことを見つけた人たちが、私の周りに集まって来て、お礼といい、お店の商品を色々と持たされた。そのすべで亜空間に詰め、解放されたら夕方になっていた。

「ここも久しぶりなんだよなぁ。よし、行きますか。お久しぶりで~す」
「いらっしゃいま......せ。お姉ちゃん! お帰り! 泊まる!?」
「ただいま、今日は泊まるよ」
「えへへ~。やった!」

 そうして、ネールちゃんから久しぶりにじゃれあい、キャシィさんと話し、カリブさんの料理を食べて、実家のような安心感を得ることができた。
 そして、朝になり、まず向かったのは、不動産屋だ。

「こんにちは」
「おう、カレンさん、お久しぶりです」
「住めるようになりました?」
「えぇ、きっと気にいると思いますよ」

 王都に行く前に買っておいた、屋敷に向かっている。内装はお任せしていたので、どんな風になっているか、とても楽しみだ。

「さぁ、着きましたよ。外は、専門外なので、そのままですが、中は良い仕上げになってると思いますよ。入りますか」
「はい!」

 それから、おじさんに中を案内してもらい、自分が要求したもの以上に屋敷の中の装飾をしてくれた。

「これは、凄いですね。気に入りました......」
「そうですか、良かったです」
「それでは、これが、屋敷のお金の、白金貨6枚と金貨32枚です。それと、内装の値段はどうしますか?」
「えっとですね、金貨50枚ですね」
「わかりました。これが金貨50枚です」

 亜空間から、お金の入った麻袋を出して、お金を一括払いで渡した。おじさんは、一括で払うとは思って無かったのか、とても驚いていた。

「あ、ありがとうございます。確かに受け取りました」
「私はこのまま、庭の手入れをするつもりなので、何かあったらまたお伺いしますね」
「わかりました。一応、もう1つの土地の場所が書かれてる地図を渡しておきますね」
「ありがとうございました。それでは、また」

 それから、おじさんと別れ、リグさんの居る鍛冶屋に足を運んだ。あと2週間かかるが、近況報告を知りたくて、向かうことにした。

「こんにちは~」
「ん? 誰だ?」
「お久しぶりですね」
「おぉ~! カレンか! 久しぶりだな!」

 そう言って、奥の部屋からとても笑顔なリグさんが出てきて、少し驚いていた。前会った時は、無表情が似合う顔をしていたからね。

「この間頼んだ武器って、あとどのくらいで出来上がりますか?」
「実はな、もう出来たんだよ」
「ほんとですか!?」
「ほれ。なんでこんなに早く出来たか分からないが、とてもいい出来だ! 俺の人生の中でも最高傑作だ!」

 リグさんから渡された武器を持ってみる。まずは、二刀から。二刀は、刀身が焔の様に紅く、透き通るほど綺麗な刀身をしている。まるで、マグマの様だ。持ち手はとても手にしっくりくる。もう1つは、刀身が氷の様に碧くとても美しい。まるで、氷河の間から見える青色の様だ。最後に刀だが、これは、青と白が渦を巻いた様な刀身をしていた。まるで、雷の様だ。鞘は、木でできていて、紺色のとてもかっこいい鞘になっていた。

「……凄いです......」

 私が感慨深そうに、独り言にも取れる声の大きさで、呟いた。その声は、周りの鍛治の音で掻き消された。

「とてもしっくりきます!」
「おう、そうか、よかったよ」
「値段はどうしますか?」
「そうだな、いらん!」
「えっ!? 困りますよそれは」
「いや、俺の作品は俺が決めるんだ! だが、その代わりに、そいつらを使って、ダンジョンをクリアしてくれよ。それで、評判も上がるしな」

 それを聞いていた、弟子のみんなの鍛治の音が消えた。

「どうしたんですか!? 今まで、気に入った人にしか作ってこなかったリグさんが、評判を気にするなんて、」
「今回の武器を作って、楽しくなってきてな。だから、いっぱい作りたいんだよ」

 と、言うことで、リグさんにお礼を言い、その場を後にした。その後、リグさんは、お弟子さんの人たちに、笑顔で話しかけられ、とても楽しそうだった。
 それから、「猫のまんぷく亭」に行き、これからは、自分の家で暮らすことを言い、自宅に帰った。その時に、ネールちゃんがとても悲しそうな顔をしたのがとても印象的だった。大好きな人から離れたくない様だ。なので、朝食は毎日宿で、食べることにした。
 それから、一晩たち、ギルドに寄ってから、ダンジョンに向かった。1週間ぶりのダンジョンでとても楽しみだ。新しい武器の使い心地も確かめたいからね。
 カレンはまだ知らない、その先にあるクリアできるか分からない困難が待ち受けていることに。
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