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謁見

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 あれから夜まで時間があったので、宿に荷物を置き王都の観光をしている。今は、商業区で買い物をしていた。

「ん~、調味料ってやっぱり少ないなぁ。作るかな?」

 そこで、重大な事実に気づいた。調味料の作り方知らないよ。どうしようかな?
 そんなことを考えて、四苦八苦していると、後ろから声がかけられた。

「なぁ、嬢ちゃん。俺らと遊ばない?」
「買い物なんて辞めてよ、気持ちよくしてやるからよ~」

 そう声をかけて来たのは、THEチャラ男と言う、この世界には合わない服装をした男と、ゲスな笑みを浮かべた大柄の男だった。

「え~、嫌ですよ~」
「そんこと言わずによ。遊ぼうぜ」

 軽く断ってみたが、効果はいまひとつのようだ。

「そうだぜ、痛い目見たくなければ遊ぼうぜ」

 そう言ってチャラ男が、腕をつかもうとして来たので、腕を避ける。

「おいおい、なんで避けるんだよ。気持ちよくしてやるって言ってるだろ」

 大柄の男が、ゲスな笑みを浮かべながら肩をつかもうとして来た。

「だからさぁ、嫌って言ってるでしょ?」

 殺気を飛ばしながら睨みつける。だが、こいつらはバカだった。殺気に気づかないのだ。

「しょうがねぇな、力づくで連れてくぞ」

 チャラ男がそう言うと、大柄の男が殴りかかって来た。私はそれを受け流す。殴る勢いを消せなかった男はそのまま躓き盛大に転んだ。

「こんにゃろ! 殺す!」

 チャラ男が懐からナイフを取り出し、突っ込んで来た。わたしはそれを軽くあしらい、足を蹴って転ばし、ナイフを奪い取る。

「あんまりおいたはダメですよ」

 そう言って、結構集まっていた人たちを掻き分けて、その場を去った。

「なんなんだろあれ? 気持ち悪かった」

 一悶着あったが、その後は恙無く買い物が進み、調味料に食べ物、服や下着を3着買い、暗くなって来たのでクーシさんの宿屋に戻った。

「そう言えば、クーシさんの宿って、名前なんだっけ? 後で聞いておかないと」

 それから宿に入ったがクーシさんは居なく、どこに行ったかを聞いたら、王様に呼ばれたと言っていたらしい。マジで、ナニモンだよ! って思ったね。
 それで、宿の名前を聞いたら『冒険の宿』だと教わった。

 その頃王宮では

「久しぶりだなクーシよ」
「そうですね。国王陛下」
「その呼び方はやめんか、肩がこるは」
「それで何の用ですか? ダムク・ザンリー・シャオルク国王陛下?」
「ダムクで良いと言っているだろ。ま、それでだな、お前が営んでいる宿屋あるだろう? そこにカレンと言う少女が止まっているだろう?」
「そうですね。それで?」
「その少女をここに呼びたいんだが、呼んでくれるか?」
「カレンさんってダンジョン都市を守ったって言う? あの人が?」
「分かっていたなら話が早い。頼む!」
「分かりましたよ」

 そんな会話が行われているとは知らずに、呑気に夜ご飯を食べるカレン。
 それから寝る準備が整いいざ布団の中へと、入ろうとした時、コンコンと、扉が叩かれる音がした。

「夜遅くにすみません。クーシです」
「空いてますよ」

 クーシさんが部屋の中に入り、お互いが向き合うように座った。

「明日、王宮に行ってください」
「あれですか?」
「あれで合ってると思いますよ」
「わかりました」

 元から呼ばれてたけど、いつ行ったらいいかわからなかったから、クーシさんの言伝は有難い。
 それから少し、世間話で盛り上がり、深夜になるまで話し込んでしまった。

「楽しいお話でした。ありがとうございますカレンさん」
「こちらこそです。クーシさん」

 そして、次の日。宿を出る前にクーシさんから貰った紹介状を持って、王宮に来ていた。

「遠くから見ても大きかったけど、近くで見るともっと大きいな」
「そこのもの、止まれ! 何用できた!?」
「これを」

 そう言って紹介状を見せた。

「貴女が、英雄のカレンさんでしたか。案内の者が来るまで少し待っていてください」

 門番の人と魔物の大軍をどうやって倒したのかを色々聞かれてそれを答えながら待っていると、案内の人が来た。

「いや~、お待たせしてすみません。私は、ここで国王様の執事をさせてもらっている、セバスチャンと申します。セバスと、呼んでください」
「カレンです」

 私は、前世でラノベを読み漁っていたので、その名前を聞き、滅茶苦茶興奮している。なんたって、あのセバスチャンだからね! わかるよね? みんな?
 それから中に入り、休憩室まだ案内された。

「ここで、こちらの準備ができるまで待っていてください。そこの飲み物とお菓子は好きに食べてくださいね。何かありましたらそこのメイドにお申し付けください」

 そう言って、セバスさんは部屋を出て行き、私はお菓子を食べて待っていた。

「メイドさん、この国についてよかったら教えてくれませんか?」
「いいですよ」

 そこから、準備が終わったので来てくださいと言われるまで、色々と教わった。簡単にまとめるとこうだ。

 この国は、シャオルク王国と言う。私がいたルシフェルもこの国の都市の1つだ。それで、王様の名前はダムク・ザンリー・シャオルクと言う。王様は、とてもいい人で、市民にも貴族にも好かれている、善良な王様だ。先代の王様は、あまり良くなく、このまま終わるのかとみんなが思っていたのを、ダムク国王は救ったらしい。そこからは、ダムク国王がいかに素晴らしいかをずっと聞かされていた。

「こちらについて来てください」
「礼儀はあまりわからないんですが、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですが、入って、中央に着いたら片膝をついて頭を下げてください。あげて良いと言われるまでお願いします」
「わかりました」

 謁見の間に着いた。扉が開かれ、中の景色が見えてきた。国王のいるところが少し段になって上がっており、その脇に2人、壁の端の方にズラーっと貴族らしき人たちがいた。そして、中に入り中央まで来て、さっき言われた通りにした。

「よくぞ来てくれた。頭を上げよ」
「はい」

 そして、頭を上げて王様の顔を見た。髪は金髪でオールバック。目は黄緑色でとても綺麗だった。身長は座ってわからないが180と言ったところだろう。

「この度は、ルシフェルを魔物の大軍から守ってくれて感謝する。何か褒美は要らんか?」
「褒美ですか?」
「儂に出来ることなら、なんでも言ってくれ」

 そう言われ、迷っていた。まずお金は要らない。簡単に稼げる。そうすると、装備なるが、作ってもらっている最中だから要らない。

「迷っているようだな。屋敷はどうだ?」
「っ! 王様、それでお願いします」
「よし、わかった。いくつか空きがあるから、後で案内させよう。それとだな、明日この国で、お祭りがあるんだが、そこでお主を紹介させてくれか? この国を救った英雄だとな」
「いい......ですよ......」

 あまり目立ちたく無かったが、今回ばかりしょうがないだろう。

「では、ここで失礼します」

 そう言って、謁見の間を出た。それから、またさっきの部屋に案内された。緊張したからそれの休憩かなと思っていたら。扉がノックされ、入って来た人に、目を開くほど驚いた。そこに立っていたのは、さっきとは打って変わった、国王様だったからだ。
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