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魅惑の精霊5
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次の日の明け方前に、ベンは街へ戻って来た。
朝食後に再度、銀の不死鳥と筋肉礼賛パーティーは集まった。
ここはフェンの街中にあるカフェだ。
店の奥の木製の長テーブルに六人で陣取ると、レイはオレンジジュースを、他の者はコーヒーを注文した。
会話が外に漏れ聞こえないように、アイザックが防音結界を展開した。
「アジトと信者たちの居場所だが、やはりフェンと隣町の間にあった。廃村をアジトに利用しているようだ」
エイドリアンが大きくてゴツい指で、テーブルの上に広げられた地図をトントンと指先で叩いた。
「アジトは、フェンからは徒歩で丸二日、隣町からは一日半ぐらいの場所にあります。信者たちは、盗賊たちの身の回りの世話のほか、住みやすいように廃村の建て直しもしているようです」
ベンが説明を引き継いだ。
「盗賊の村でも作るつもりなの?」
アイザックがチラリとベンを見て確認した。
「そこまでは分かりませんが、信者は確認できただけでも二十名ほどです。廃村では、男女に分かれて……こことここ、大きな小屋に詰め込まれて生活しているようです」
ベンが手書きで簡単に廃村の地図を描いた。村の端にある二つの建物の上に、くるくると円を描いて印をつけた。
(……もしかして……)
「……フェンの行方不明者は二十名ぐらいで、他の街や村でも行方不明者が出てるんですよね? 人数が合わない気がするんですが……」
レイが人数の違いを指摘した。
「昨夜の時点でのアジト周辺でしか信者を確認してないので何とも言えませんが、おそらく、他のかなり離れた場所にいるか、売られているか……最悪、殺されている可能性もあります」
「なっ……」
ベンの言葉に、レイは顔を強張らせた。
「魅了魔術は距離が離れれば離れるほど、効力が薄れてくるからな。これだけの人数がいれば、隅々までコントロールするのは至難の技だろう。手に余るような奴は……というのも無きにしも非ずだと思う」
エイドリアンがレイを落ち着けるように、その肩に大きな手を置いた。
(……確かに、こっちは元の世界とは違うけど……そんなの、酷い)
レイはまだ顔色を悪くしている。
そんなレイの様子を見て、アイザックはグッと手を握りしめた。
「…………レイ、あの女剣士の妹は、まだこのアジトにいるみたいだよ」
レイの目の前に、アニスから借りたペンダントを出して、アイザックが口を開いた。
ペンダントトップの双子石からは、アイザックの探索魔術の気配がしている。
「盗賊たちは、雨の日や夜は行動しないんでしょ? さっさとこんな依頼、終わらせちゃおうか。ある程度、情報も揃ったんだし」
アイザックのサファイアブルーの瞳がきらりと輝くと、急にザアッという音と共に土砂降りの雨が降り始めた。
カフェの外からは、「雨だ!」「急げ! 濡れちまうぞ!」「早く商品をしまえ!」などの街の人々の騒がしい声が聞こえてくる。
エイドリアンは溜め息をついて、やれやれと肩をすくめた。
「ベン、アジトの近くにマーキングはしてあるか?」
「はっ! 信者の小屋の裏、五百メートルほどの位置に、昨夜のうちにしておきました」
「よしっ。……レイ、アジト近くの森にベンの転移魔術で向かう。そうしたら真っ先に、信者がいる小屋に結界をかけてくれるか?」
「任せてください!」
レイは力強く頷いた。これ以上、被害者を増やしたくないのだ。
「俺とアイザックとレヴィは前線だ。まずは盗賊を片付ける」
「はい!」
「了解」
エイドリアンは、アイザックとレヴィに向き直って確認した。
レヴィはきりりと返事をし、アイザックは軽く手を振って応えた。
「ベンとモーリスには魅惑の精霊のいない所でサポートを頼む。俺が合図を送ったら、魅惑の精霊が出てきたと思って、一旦退却してくれ」
「「はっ!」」
ベンとモーリスは、防御壁部隊員らしく、きりりと返事をした。
「な~ん」
琥珀が、レイの森織りのローブのフードから、ひょっこりと顔をのぞかせた。
「……そうだったな、悪い、悪い。琥珀も仲間だったな。琥珀には、レイの護衛を頼む」
エイドリアンは、ひょっこり出てきた琥珀を目を丸くして見つめると、苦笑しながら指示を出した。
「な~ん」
琥珀は了承したように、一声鳴いた。
***
レイたちは、ベンの転移魔術で森の中に静かに転移して来た。
森の中にも大粒の雨が降り注いでいる——アイザックが止めるまでは、止みそうにない。
ここに転移して来る前に、レイたちはアイザックに、装備品に防水魔術をかけてもらった。これで少しは動きやすくなっているはずだ。
琥珀がするりとレイのフードから出てきて、元のライオンサイズの大きさに戻った。
ベンとモーリスはその姿を見て、一瞬ビクリとしたが、すぐに気を取り直して、通常通りに戻った。防御壁部隊の精鋭なだけはある。
「こちらです」
ベンが声を少し顰めて、先頭を歩き出した。
廃村があと百メートルほどの位置に来て、ベンはピタリと止まった。
「ここから先は、敵の探知の範囲内になります。見張り櫓はあそこです。ここからは、幻影魔術で姿を隠しながら廃村に近づきます」
ベンが振り返ると、全員が頷いた。
ベンが幻影魔術を展開すると、信者の小屋の裏の茂みまで静かに移動した。
彼は何やらじっと信者の小屋を見つめた後、後ろを振り向いて報告した。
「信者の小屋には、それぞれ四、五人ほど中にいるようです。それ以外は、あちらのアジトの方にいるようです」
「レイ、とりあえず、今ここにいる信者だけでも先に結界を張れるか?」
エイドリアンの質問に、レイはこくりと頷いた。
レイが信者の小屋に向けて手をかざすと、一瞬のうちに小屋は結界で隔離された。
防御壁部隊員たちは息を呑んだ。
「これで、ここは安全です」
「……やっぱり三大魔女だな、見事だ。信者を見つけ次第、可能な限りまた結界を張ってくれ」
「分かりました」
エイドリアンに褒められてこそばゆく思いながら、レイは頷いた。
「人の少ない建物から行きましょう」
ベンが先導し、全員が静かにその後について行った。
***
廃村の端の方の小屋で、酒盛りをして居眠りしていた盗賊三人は、モーリスとレヴィが捕縛して縛り上げた。
食料倉庫の中で働いていた女性二人は、信者のようだったため、アイザックが眠りの魔術をかけた後に、レイが結界で倉庫ごと覆って安全確保した。
見張り櫓にいた盗賊二人も、エイドリアンが櫓の壁を垂直に駆け上り、一瞬のうちに仕留めてきた。
「あとは、あそこだけか……」
エイドリアンが、廃村の中で一番大きな建物を睨みつけた。
盗賊が使用している建物のようで、真新しい煉瓦で所々補修されていて、庭も他の家に比べると手入れされている方だ。
「中には十二人分、反応があります。一階が八人、二階が四人です」
ベンが探索魔術を展開したようで、静かに報告をした。
「裏口から逃げられないように、地魔術で開けられないようにしておきましょうか?」
「ああ、頼む」
モーリスの提案に、エイドリアンが二つ返事で答えた。
「おそらく、ここに魅惑の精霊がいる可能性が高い。ベンとモーリスは、それぞれ離れた所で待機だ。モーリスは俺たちの突入と同時に裏口を開けられないようにしてくれ」
「「はっ!」」
ベンとモーリスはきりりと答えた。
「俺たちは正面から行くぞ。レイは突入時の攻撃対策に、結界を頼む。俺とレヴィは一階で、アイザックが二階だ」
「「はっ!」」
「了解」
レイとレヴィもつられて、防御壁部隊員のような返事をした。アイザックだけはいつも通りに軽く返事をした。
ベンは雨の降りしきる空へと飛び立ち、モーリスは地中へと潜って位置に着いた。
「いいか、行くぞ」
正面入り口の前で、エイドリアンはメンバーを振り向いて力強く宣言した。
レイたちも力強く頷いた。
朝食後に再度、銀の不死鳥と筋肉礼賛パーティーは集まった。
ここはフェンの街中にあるカフェだ。
店の奥の木製の長テーブルに六人で陣取ると、レイはオレンジジュースを、他の者はコーヒーを注文した。
会話が外に漏れ聞こえないように、アイザックが防音結界を展開した。
「アジトと信者たちの居場所だが、やはりフェンと隣町の間にあった。廃村をアジトに利用しているようだ」
エイドリアンが大きくてゴツい指で、テーブルの上に広げられた地図をトントンと指先で叩いた。
「アジトは、フェンからは徒歩で丸二日、隣町からは一日半ぐらいの場所にあります。信者たちは、盗賊たちの身の回りの世話のほか、住みやすいように廃村の建て直しもしているようです」
ベンが説明を引き継いだ。
「盗賊の村でも作るつもりなの?」
アイザックがチラリとベンを見て確認した。
「そこまでは分かりませんが、信者は確認できただけでも二十名ほどです。廃村では、男女に分かれて……こことここ、大きな小屋に詰め込まれて生活しているようです」
ベンが手書きで簡単に廃村の地図を描いた。村の端にある二つの建物の上に、くるくると円を描いて印をつけた。
(……もしかして……)
「……フェンの行方不明者は二十名ぐらいで、他の街や村でも行方不明者が出てるんですよね? 人数が合わない気がするんですが……」
レイが人数の違いを指摘した。
「昨夜の時点でのアジト周辺でしか信者を確認してないので何とも言えませんが、おそらく、他のかなり離れた場所にいるか、売られているか……最悪、殺されている可能性もあります」
「なっ……」
ベンの言葉に、レイは顔を強張らせた。
「魅了魔術は距離が離れれば離れるほど、効力が薄れてくるからな。これだけの人数がいれば、隅々までコントロールするのは至難の技だろう。手に余るような奴は……というのも無きにしも非ずだと思う」
エイドリアンがレイを落ち着けるように、その肩に大きな手を置いた。
(……確かに、こっちは元の世界とは違うけど……そんなの、酷い)
レイはまだ顔色を悪くしている。
そんなレイの様子を見て、アイザックはグッと手を握りしめた。
「…………レイ、あの女剣士の妹は、まだこのアジトにいるみたいだよ」
レイの目の前に、アニスから借りたペンダントを出して、アイザックが口を開いた。
ペンダントトップの双子石からは、アイザックの探索魔術の気配がしている。
「盗賊たちは、雨の日や夜は行動しないんでしょ? さっさとこんな依頼、終わらせちゃおうか。ある程度、情報も揃ったんだし」
アイザックのサファイアブルーの瞳がきらりと輝くと、急にザアッという音と共に土砂降りの雨が降り始めた。
カフェの外からは、「雨だ!」「急げ! 濡れちまうぞ!」「早く商品をしまえ!」などの街の人々の騒がしい声が聞こえてくる。
エイドリアンは溜め息をついて、やれやれと肩をすくめた。
「ベン、アジトの近くにマーキングはしてあるか?」
「はっ! 信者の小屋の裏、五百メートルほどの位置に、昨夜のうちにしておきました」
「よしっ。……レイ、アジト近くの森にベンの転移魔術で向かう。そうしたら真っ先に、信者がいる小屋に結界をかけてくれるか?」
「任せてください!」
レイは力強く頷いた。これ以上、被害者を増やしたくないのだ。
「俺とアイザックとレヴィは前線だ。まずは盗賊を片付ける」
「はい!」
「了解」
エイドリアンは、アイザックとレヴィに向き直って確認した。
レヴィはきりりと返事をし、アイザックは軽く手を振って応えた。
「ベンとモーリスには魅惑の精霊のいない所でサポートを頼む。俺が合図を送ったら、魅惑の精霊が出てきたと思って、一旦退却してくれ」
「「はっ!」」
ベンとモーリスは、防御壁部隊員らしく、きりりと返事をした。
「な~ん」
琥珀が、レイの森織りのローブのフードから、ひょっこりと顔をのぞかせた。
「……そうだったな、悪い、悪い。琥珀も仲間だったな。琥珀には、レイの護衛を頼む」
エイドリアンは、ひょっこり出てきた琥珀を目を丸くして見つめると、苦笑しながら指示を出した。
「な~ん」
琥珀は了承したように、一声鳴いた。
***
レイたちは、ベンの転移魔術で森の中に静かに転移して来た。
森の中にも大粒の雨が降り注いでいる——アイザックが止めるまでは、止みそうにない。
ここに転移して来る前に、レイたちはアイザックに、装備品に防水魔術をかけてもらった。これで少しは動きやすくなっているはずだ。
琥珀がするりとレイのフードから出てきて、元のライオンサイズの大きさに戻った。
ベンとモーリスはその姿を見て、一瞬ビクリとしたが、すぐに気を取り直して、通常通りに戻った。防御壁部隊の精鋭なだけはある。
「こちらです」
ベンが声を少し顰めて、先頭を歩き出した。
廃村があと百メートルほどの位置に来て、ベンはピタリと止まった。
「ここから先は、敵の探知の範囲内になります。見張り櫓はあそこです。ここからは、幻影魔術で姿を隠しながら廃村に近づきます」
ベンが振り返ると、全員が頷いた。
ベンが幻影魔術を展開すると、信者の小屋の裏の茂みまで静かに移動した。
彼は何やらじっと信者の小屋を見つめた後、後ろを振り向いて報告した。
「信者の小屋には、それぞれ四、五人ほど中にいるようです。それ以外は、あちらのアジトの方にいるようです」
「レイ、とりあえず、今ここにいる信者だけでも先に結界を張れるか?」
エイドリアンの質問に、レイはこくりと頷いた。
レイが信者の小屋に向けて手をかざすと、一瞬のうちに小屋は結界で隔離された。
防御壁部隊員たちは息を呑んだ。
「これで、ここは安全です」
「……やっぱり三大魔女だな、見事だ。信者を見つけ次第、可能な限りまた結界を張ってくれ」
「分かりました」
エイドリアンに褒められてこそばゆく思いながら、レイは頷いた。
「人の少ない建物から行きましょう」
ベンが先導し、全員が静かにその後について行った。
***
廃村の端の方の小屋で、酒盛りをして居眠りしていた盗賊三人は、モーリスとレヴィが捕縛して縛り上げた。
食料倉庫の中で働いていた女性二人は、信者のようだったため、アイザックが眠りの魔術をかけた後に、レイが結界で倉庫ごと覆って安全確保した。
見張り櫓にいた盗賊二人も、エイドリアンが櫓の壁を垂直に駆け上り、一瞬のうちに仕留めてきた。
「あとは、あそこだけか……」
エイドリアンが、廃村の中で一番大きな建物を睨みつけた。
盗賊が使用している建物のようで、真新しい煉瓦で所々補修されていて、庭も他の家に比べると手入れされている方だ。
「中には十二人分、反応があります。一階が八人、二階が四人です」
ベンが探索魔術を展開したようで、静かに報告をした。
「裏口から逃げられないように、地魔術で開けられないようにしておきましょうか?」
「ああ、頼む」
モーリスの提案に、エイドリアンが二つ返事で答えた。
「おそらく、ここに魅惑の精霊がいる可能性が高い。ベンとモーリスは、それぞれ離れた所で待機だ。モーリスは俺たちの突入と同時に裏口を開けられないようにしてくれ」
「「はっ!」」
ベンとモーリスはきりりと答えた。
「俺たちは正面から行くぞ。レイは突入時の攻撃対策に、結界を頼む。俺とレヴィは一階で、アイザックが二階だ」
「「はっ!」」
「了解」
レイとレヴィもつられて、防御壁部隊員のような返事をした。アイザックだけはいつも通りに軽く返事をした。
ベンは雨の降りしきる空へと飛び立ち、モーリスは地中へと潜って位置に着いた。
「いいか、行くぞ」
正面入り口の前で、エイドリアンはメンバーを振り向いて力強く宣言した。
レイたちも力強く頷いた。
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