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冒険者準備
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レイは遂に冒険者ギルドに登録することになった。レイがある程度魔術を使えるようになり、冒険者の手解きをしてくれるライオネルの方も準備が整ったのだ。
今日は冒険者になる準備をするため、ライオネルがユグドラまで来ていた。
ユグドラの樹内、小さな応接室にはライオネルのほか、ウィルフレッド、レイ、レヴィ、琥珀が集まっていた。
「お仕事は大丈夫なんですか? 代わりの方は見つかったんですか?」
「私の前に教皇役を務めてた者がしばらく代理をする予定です。業務の方は問題ないですし、フェリクス様の口添えもあって、快く引き受けて貰えました」
ライオネルは爽やかに、にっこりと笑った。
(義父さんの口添えって……それって、ほぼ命令なのでは……)
拒否権の無さそうなお願いに、レイは目をぱちぱちと瞬かせたが、何も突っ込まないことにした。
「わざわざ私たちのためにありがとうございます」
レイに合わせて、レヴィもぺこりと頭を下げる。
「いや、俺もいい息抜きになってありがたいです。ここ百年近くはずっと教皇役に徹していたので……代理の者も、最近はずっと気が抜けていたから、良い刺激になってちょうどいいんじゃないでしょうか」
ライオネルは一瞬だけ黒い笑顔になった。
だが、レイは何も追求しないことにした。
(……うん、私は冒険を頑張ろう!)
レイは切り替えが早かった。
「早速、レイたちの冒険者業についての話だが……場所は、ユグドラに一番近い街セルバがいいだろう。ドラゴニアっていう大国の端の方の街だ。以前、フェリクスとおつかいに行っただろ」
「行きましたね。あの街を拠点にするんですね」
「そうだ。しばらくはそこで冒険者としてプレイヤーの生活を経験してもらって、この世界に慣れて貰おうかと思ってる。ある程度慣れてきたら……冒険者ランクでBランクぐらいになったらかな、管理者としての仕事を本格的にやってもらおうか」
「はい」
ウィルフレッドの提案に、レイはこくりと頷いた。
「準備についてですが、装備品は基本的にセルバの街で買いましょう。装備品は、特に良いものを使ってると目をつけられます。冒険者ランクが高いなら問題無いですが、ランクが低いうちは絶好のカモになります。家が金持ちだと思われるんです」
ライオネルは真面目な顔で、装備品について説明を始めた。早くも冒険者の手解きが始まっているようだ。
「確かにそうですね。できれば目立たない方がいいですし」
レイにはウィルフレッドに買ってもらったショートソードがあるが、あれはドワーフ製だ。今回の冒険では堂々と使えないことを少し残念に思った。
「なるほどな。野外キャンプ用のテントや鍋みたいなのはどうする? 使い古しで良ければあるが」
「そういうのであれば、余程の効果が付与されていない限り大丈夫でしょう。他のパーティーと組んで行くような大規模な任務の時だけ気をつければいいですし。少し見ましょうか」
ウィルフレッドが応接室のテーブルの上に、野外キャンプ用の品々を空間収納から出して載せた。
テーブルに載り切らないものは、床に直接置いている。
琥珀が見慣れない品々に、髭をピンと立てて、ひくひくと匂いを嗅ぎ始めた。興味津々だ。
ライオネルは一つ一つ品物を確認すると、二つのグループに分けていった。
「さすが、ユグドラの品ですね……日用品にも高度な魔術が付与してあるものが多い。こっちのグループは完全にアウトですね。付与されてる魔術が高度すぎて目立ちすぎます。こっちのグループの物は持っていきましょう」
「足りない分はセルバで買い足しですね」
「そうですね。お嬢様は持っていく物を空間収納にしまってください。ああ、あと他にも持って行きたいものがあれば、人前で取り出さなければ大丈夫ですので、一緒にしまっておいてください」
ライオネルはそう言うと、空間収納から手帳を取り出して、買い足しが必要な物をメモし始めた。
レイも頷くと、黙々とウィルフレッドから譲ってもらった品を空間収納にしまい始めた。
「レヴィも何か持って行きたい物があったら言ってね。一緒に空間収納に入れておくから」
「今の所は特に無いです」
レヴィは、品物が空間収納にしまわれていく様子を眺めていた。
(持って行きたい物……いざという時のために買ってもらったショートソード、メルヴィンから貰ったナイフ、義父さんからもらった羽、それから……)
レイは何かあったかな、と思い浮かべた。
「これは人前で使っても大丈夫ですか?」
レイは空間収納からリリスの形見の品を取り出した。深い緑色のローブと茶色の革製のグローブだ。
「……また、どちらもいい品ですね。グローブの方は問題無いでしょう。いろいろ魔術付与されてますが、劣化防止などで、普通に売っているものの範囲内です。こっちのローブは……普通のローブに擬態する魔術がかかってますね。何ですか、これは?」
「リリスさんの形見の品で、森織りという素材らしいです」
「森織り!? ……確かにそれなら普通のローブに擬態させた方がいいですね。かなり貴重な物ですし……一応、擬態魔術がかかっているので人前で着ても大丈夫かと思います。森織りは森の加護が強いですからね、冒険者には打ってつけです」
「良かった~じゃあ、外套にはこれを着ますね」
レイはにこっと笑って、ローブを羽織った。
琥珀もいそいそとローブのフードの中へ入って行った。
レイはこの森織りのローブがお気に入りだ。羽織るとほのかに森の木々の香りがして、森林浴をしているような心地良さだ。
琥珀もこのローブがお気に入りで、よくフードの中でお昼寝をしている。
「ユグドラでできる準備はこれくらいか?」
回復用の初級ポーションと解毒薬をレイに手渡しながら、ウィルフレッドは言った。
「そうですね、あとはセルバで揃えましょう。あちらで冒険者用の宿を一ヶ月分借りる予定です」
「ああ、宿が決まったら知らせてくれ。何かあった時に向かえるようにしとく。あと、レイはセルバの街に転移魔術のマーキングな。いつでもユグドラと行き来できた方がいいだろ。人目につかないところにしとけよ」
「分かりました!」
転移魔術は本来は座標軸を指定して目的地に飛ぶものだ。マーキングをしておくと、その場所にすぐに簡易的に飛ぶことができる。転移魔術を使える者は、よく行く主要な場所にはマーキングしておくことが多い。
ウィルフレッドがユグドラの樹前の広場まで見送りに来てくれた。
ライオネルが忘れ物はないかと確認すると、レイとレヴィは大丈夫です、と頷いた。
レイが森織りのローブを羽織った以外は、全員シャツにズボン、ブーツといった普段着だ。怪しまれないように、魔術付与の無い着慣れたものを着ている。
ライオネルだけは腰から立派な剣を下げていて、がっしりとした大柄な体格と精悍な顔つきもあり、冒険者の剣士の風格が漂っている。
琥珀はレイのローブのフードにおさまってゴロゴロとお昼寝中だ。
「それじゃあ、行ってきます!」
「ああ、気を付けて行けよ! ライオネル殿の言うことをちゃんと聞くんだぞ!」
「はーい!」
「それでは、行きますよ」
簡単に別れの挨拶を済ますと、ライオネルの転移魔術で、レイたちはセルバへと向かった。
***
セルバ郊外の森の中に、レイたちはふわりと着地した。
周囲に人の気配は無く、草木が風に靡く音と鳥の声だけがしている。
「セルバの街に入ったら、まずはギルドに行って冒険者登録をします。今の時間帯なら空いているでしょう。そこでおすすめの宿を聞いてから、宿をとります。時間があれば、装備品や買い足し品の買い物ですね」
「了解です!」
レイは元気よく返事をした。これから冒険者になるのだ、わくわくと目を輝かせている。
「ああ、それと私のことは『ライ』と呼んでください。この名前で冒険者登録してます。あと、ここからは冒険者らしく言葉を崩します……」
「それなら、私のことはお嬢様じゃなくて、レイって呼んでください。よろしくお願いします、ライ!」
「私もレヴィとお呼びください」
「ああ、よろしくな、レイ、レヴィ!」
ライオネル——ことライは、赤い瞳を柔らかく緩めて、レイの頭に大きな手をポンッと載せた。
今日は冒険者になる準備をするため、ライオネルがユグドラまで来ていた。
ユグドラの樹内、小さな応接室にはライオネルのほか、ウィルフレッド、レイ、レヴィ、琥珀が集まっていた。
「お仕事は大丈夫なんですか? 代わりの方は見つかったんですか?」
「私の前に教皇役を務めてた者がしばらく代理をする予定です。業務の方は問題ないですし、フェリクス様の口添えもあって、快く引き受けて貰えました」
ライオネルは爽やかに、にっこりと笑った。
(義父さんの口添えって……それって、ほぼ命令なのでは……)
拒否権の無さそうなお願いに、レイは目をぱちぱちと瞬かせたが、何も突っ込まないことにした。
「わざわざ私たちのためにありがとうございます」
レイに合わせて、レヴィもぺこりと頭を下げる。
「いや、俺もいい息抜きになってありがたいです。ここ百年近くはずっと教皇役に徹していたので……代理の者も、最近はずっと気が抜けていたから、良い刺激になってちょうどいいんじゃないでしょうか」
ライオネルは一瞬だけ黒い笑顔になった。
だが、レイは何も追求しないことにした。
(……うん、私は冒険を頑張ろう!)
レイは切り替えが早かった。
「早速、レイたちの冒険者業についての話だが……場所は、ユグドラに一番近い街セルバがいいだろう。ドラゴニアっていう大国の端の方の街だ。以前、フェリクスとおつかいに行っただろ」
「行きましたね。あの街を拠点にするんですね」
「そうだ。しばらくはそこで冒険者としてプレイヤーの生活を経験してもらって、この世界に慣れて貰おうかと思ってる。ある程度慣れてきたら……冒険者ランクでBランクぐらいになったらかな、管理者としての仕事を本格的にやってもらおうか」
「はい」
ウィルフレッドの提案に、レイはこくりと頷いた。
「準備についてですが、装備品は基本的にセルバの街で買いましょう。装備品は、特に良いものを使ってると目をつけられます。冒険者ランクが高いなら問題無いですが、ランクが低いうちは絶好のカモになります。家が金持ちだと思われるんです」
ライオネルは真面目な顔で、装備品について説明を始めた。早くも冒険者の手解きが始まっているようだ。
「確かにそうですね。できれば目立たない方がいいですし」
レイにはウィルフレッドに買ってもらったショートソードがあるが、あれはドワーフ製だ。今回の冒険では堂々と使えないことを少し残念に思った。
「なるほどな。野外キャンプ用のテントや鍋みたいなのはどうする? 使い古しで良ければあるが」
「そういうのであれば、余程の効果が付与されていない限り大丈夫でしょう。他のパーティーと組んで行くような大規模な任務の時だけ気をつければいいですし。少し見ましょうか」
ウィルフレッドが応接室のテーブルの上に、野外キャンプ用の品々を空間収納から出して載せた。
テーブルに載り切らないものは、床に直接置いている。
琥珀が見慣れない品々に、髭をピンと立てて、ひくひくと匂いを嗅ぎ始めた。興味津々だ。
ライオネルは一つ一つ品物を確認すると、二つのグループに分けていった。
「さすが、ユグドラの品ですね……日用品にも高度な魔術が付与してあるものが多い。こっちのグループは完全にアウトですね。付与されてる魔術が高度すぎて目立ちすぎます。こっちのグループの物は持っていきましょう」
「足りない分はセルバで買い足しですね」
「そうですね。お嬢様は持っていく物を空間収納にしまってください。ああ、あと他にも持って行きたいものがあれば、人前で取り出さなければ大丈夫ですので、一緒にしまっておいてください」
ライオネルはそう言うと、空間収納から手帳を取り出して、買い足しが必要な物をメモし始めた。
レイも頷くと、黙々とウィルフレッドから譲ってもらった品を空間収納にしまい始めた。
「レヴィも何か持って行きたい物があったら言ってね。一緒に空間収納に入れておくから」
「今の所は特に無いです」
レヴィは、品物が空間収納にしまわれていく様子を眺めていた。
(持って行きたい物……いざという時のために買ってもらったショートソード、メルヴィンから貰ったナイフ、義父さんからもらった羽、それから……)
レイは何かあったかな、と思い浮かべた。
「これは人前で使っても大丈夫ですか?」
レイは空間収納からリリスの形見の品を取り出した。深い緑色のローブと茶色の革製のグローブだ。
「……また、どちらもいい品ですね。グローブの方は問題無いでしょう。いろいろ魔術付与されてますが、劣化防止などで、普通に売っているものの範囲内です。こっちのローブは……普通のローブに擬態する魔術がかかってますね。何ですか、これは?」
「リリスさんの形見の品で、森織りという素材らしいです」
「森織り!? ……確かにそれなら普通のローブに擬態させた方がいいですね。かなり貴重な物ですし……一応、擬態魔術がかかっているので人前で着ても大丈夫かと思います。森織りは森の加護が強いですからね、冒険者には打ってつけです」
「良かった~じゃあ、外套にはこれを着ますね」
レイはにこっと笑って、ローブを羽織った。
琥珀もいそいそとローブのフードの中へ入って行った。
レイはこの森織りのローブがお気に入りだ。羽織るとほのかに森の木々の香りがして、森林浴をしているような心地良さだ。
琥珀もこのローブがお気に入りで、よくフードの中でお昼寝をしている。
「ユグドラでできる準備はこれくらいか?」
回復用の初級ポーションと解毒薬をレイに手渡しながら、ウィルフレッドは言った。
「そうですね、あとはセルバで揃えましょう。あちらで冒険者用の宿を一ヶ月分借りる予定です」
「ああ、宿が決まったら知らせてくれ。何かあった時に向かえるようにしとく。あと、レイはセルバの街に転移魔術のマーキングな。いつでもユグドラと行き来できた方がいいだろ。人目につかないところにしとけよ」
「分かりました!」
転移魔術は本来は座標軸を指定して目的地に飛ぶものだ。マーキングをしておくと、その場所にすぐに簡易的に飛ぶことができる。転移魔術を使える者は、よく行く主要な場所にはマーキングしておくことが多い。
ウィルフレッドがユグドラの樹前の広場まで見送りに来てくれた。
ライオネルが忘れ物はないかと確認すると、レイとレヴィは大丈夫です、と頷いた。
レイが森織りのローブを羽織った以外は、全員シャツにズボン、ブーツといった普段着だ。怪しまれないように、魔術付与の無い着慣れたものを着ている。
ライオネルだけは腰から立派な剣を下げていて、がっしりとした大柄な体格と精悍な顔つきもあり、冒険者の剣士の風格が漂っている。
琥珀はレイのローブのフードにおさまってゴロゴロとお昼寝中だ。
「それじゃあ、行ってきます!」
「ああ、気を付けて行けよ! ライオネル殿の言うことをちゃんと聞くんだぞ!」
「はーい!」
「それでは、行きますよ」
簡単に別れの挨拶を済ますと、ライオネルの転移魔術で、レイたちはセルバへと向かった。
***
セルバ郊外の森の中に、レイたちはふわりと着地した。
周囲に人の気配は無く、草木が風に靡く音と鳥の声だけがしている。
「セルバの街に入ったら、まずはギルドに行って冒険者登録をします。今の時間帯なら空いているでしょう。そこでおすすめの宿を聞いてから、宿をとります。時間があれば、装備品や買い足し品の買い物ですね」
「了解です!」
レイは元気よく返事をした。これから冒険者になるのだ、わくわくと目を輝かせている。
「ああ、それと私のことは『ライ』と呼んでください。この名前で冒険者登録してます。あと、ここからは冒険者らしく言葉を崩します……」
「それなら、私のことはお嬢様じゃなくて、レイって呼んでください。よろしくお願いします、ライ!」
「私もレヴィとお呼びください」
「ああ、よろしくな、レイ、レヴィ!」
ライオネル——ことライは、赤い瞳を柔らかく緩めて、レイの頭に大きな手をポンッと載せた。
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