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ゴブリンの村
魔法の練習2
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『魔力ってな、なんちゅうか、暗黒物質みたいなもんか?』
『違いますな。反粒子的なもんですな。』
うん、よく分からんしクォークとかそういうのは調べまくったけど結局南極理解は出来ていない。今教えを請うてもしゃあないから、外にでも出ようか。
ぞろぞろと連れ立って本堂の前に集まる。俺、ゆき、りく、れいか、すて、あおい、とつか。おっと、白猫がいる。本堂の屋根の上に烏がいる。これでまともに人間ぽいのが二人の少女だけってのが異世界スタイルやね。
「かねかつらさま!では、私から見てください!」
薪を立てた上に柴を少し載せた的の前にで、魔法の棒を構える。おお、10秒ほどで火が着いた。
「かなり早くなったね。」
「はい!」
れいかはニコニコしている。これは、この棒はもうれいか専用になっているな。どうなんやろ、あげても良いもんか。
「これは更に精進したら棒なしでも出来るかもしれんね。」
『いや、難しいですな。』
「まあでも、現状でもうちょっと練習しようか。」
狐先に言えよ。
『これは、基礎的な魔力量の問題か?』
『そうですな、そもそも主様がここに居るから、これほど早く出来ているはずですな。』
『なるほど。』
「はい!」
「それと、後でもう一つ試したい魔法が有るから。とりあえず次はすてさん、見せたいものが有ると。」
「はい、そうです。こちらです。」
門の方に歩いていく。ぞろぞろついていく。とつかさんは頻りに感心している。りくは狐と猫と戯れている。あおいさんはそれを笑顔で見守っている。ああ、昨晩のばあちゃん変化のお陰で、怖さがだいぶ薄れているわ、ありがたい。
門の横手は若干庭っぽく木が植わり大きめの石が置いてある。何か意味があるかもしれんが、不勉強で全くわからない。
「すみません、実は昨日、この大石に魔法をかけてみたのですが……」
大石はそのままそこに有るようにみえる、が、あれ?
「この丸く凹んでるのは、すてさんが魔法をかけたから?」
「はい、多分そうです、壊してしまって申し訳ありません……。」
昨日からあまりしゃべってなかったのはこれを気にしていたからかな。
「いやすごいね。こうなるんやね。謝らなくても良いんじゃなかな。これはよく知っている人じゃないとわからないと思うよ。気になるなら、ひっくり返しておこうか。」
そういって、力を込めて大石を持ち上げ、向きを変えて下ろす。200kg位かなあ。
「うわっ、そんな、いえ、ありがとうございます。」
「すごい!」
「すごいー力持ちー」
「わしでもちょっと同じことをするのは難しいのう。」
ああ、自分も人外なんやと納得のパフォーマンスやな。
「まあ気になるようなら、いっそ地面とか薪とか、水とかなくなっても良いもので練習すると良いかもしれませんね。そうですね。」
地面に向けて指で『土』と書く。イメージは穴やね。うまく行って、直径1m、深さ1mくらいの穴が開く。『固』と書いて、表面を固くしてみる。穴に降りて確認したが、悪くない。穴から出て『水』。これで即席の池の出来上がり。
「ここで水そのものとか、浮かべた木とか、沈めた石にかけてみたりしましょうか。」
「はい、ありがとうございます。」
「で、れいかさん。」
「あなたの真名にもう一つ有った字を覚えていますか。」
「はい!もちろんです!」
「じゃあ、その意味は知っていますか?」
「はい……」
よくわかっていないか。
「えっとね。ちょっとこっちへ来てください。」
何となく集団から離れて、小声で説明する。周りが聞いていても問題ないような気はするが、一応、な。
「冷という字は、冷えるとか冷たい、という意味を持つ。特にこのにすいはそもそも氷を意味している。つまり、『冷火』の名は温度の変化に向いているように思えるんだよね。直接火をつけるよりも、空気とか水とか、そういったものの温度を変化させるほうが実は向いているかもしれない。……解る?」
「……。……はい。」
「えーとね。そやね。今は秋口で、暑くも寒くない。良い?」
「はい!」
「でももう少し、稲を刈って、栗や柿がなって、それからどんどん寒くなるね?」
「はい!」
「氷はわかる?」
「はい!冬に、水たまりとか、外の桶とかに張っています!」
「そうそう。あれは水が冷たくなると、変化して、出来るものなんだよ。わかる?」
「はい!」
「とりあえず、水に向けて『冷』と書いてみようか。多分、冷たくなると思う。うまくいくと凍るかもしれんね。」
「わかりました!やってみます!」
この娘、15歳とか言ってたけど、もっと幼くしか感じられへんな。なんでやろ?小柄やからか?知識レベルの問題か?障碍的なものは全く感じひんねんけどなあ。
皆の方に戻り、れいかが池に向けて棒を構える。今度は時間がかかる。やがて文字を書く。あれ?間違ってへんか?
……。案の定何も起こらない。驚いたような泣きそうなような変な顔をしているので、もう一度呼びつける。
「えーと、字やけどな。」
「はい……」
「れい、は『冷』。こうやで?」
「!はい!」
もう一度即チャレンジする。ゆっくり字を書いている。
パシッと音がした。が、一見変化がない。やはりれいかは変な顔をしている。
俺は近づいて、顔を寄せる。お、やっぱり結構冷えてるやん。でも一点過ぎてすぐ拡散してるんかな。
「できてるよ、問題ない。ただ水が多すぎて、すぐに散ってるから、桶か丼か湯呑みでやってみようか。」
「はい!」
れいかが庫裏に駆け出す。
「じゃあ、すてもやってみて。」
そういって、柴を池に浮かべる。
「はい。」
左手に首から下げたお守り袋を持ち、右手を水面に近付ける。字を書く。前とはやり方がちゃうな。そらこの方がやりやすいわな。
やっぱり、ポワンとかいって、柴と少しの水が消える。霞んだみたいになって消えたから、これはやっぱりアレやな、移転ではないな。でも、強い力って、ちょっと強くね?
『そうですな、弱い力かもしれませんな。』
うわっいい加減やな頼むわ。まあどっちにしても分子か素粒子レベルでの『力』の解除やろな。重力や電磁力は関係無さそうやしな。
「出来ました。今度は離れてやってみます。」
ちょっとずつ離れながら、試していく。
れいかも桶と木椀を持ってきたので、水を入れてやる。立てた薪の上に置いて、まずは木椀から魔法をかけてみる。
やっぱり、パシッと音がする。一見変化は分からないが……、指で軽く弾く。瞬間的に表面に氷が張る。成功やね。
「!」
皆息を呑んでいる。過冷却で一瞬で相転移するやつやね。ビジュアル的なインパクトは凄いね。
「これは俺がやったんじゃなくて、れいかさんが水を冷やしたから出来たんだよ。その水を捨てて、もう一度やると良いよ。」
「こおり、ほしい……」
りくが呟いたので、椀ごと前に持っていく。わあとかいって、指でつつき、厚さ2~3mmのせんべいみたいな不定形の物を取り出す。中にはもう少し氷が残っており、れいかとすてで分ける。
「つべたい!」
「冷たい!」
「つめたいです。」
更に何度かためして、出来た氷をあおいさんやとつかさんにも回す。いやあ、なかなか楽しいね。知らぬ間に烏も降りてきて、落ちた氷を拾っている。まあでもそろそろ名主宅にいかんとあかんかな。
『違いますな。反粒子的なもんですな。』
うん、よく分からんしクォークとかそういうのは調べまくったけど結局南極理解は出来ていない。今教えを請うてもしゃあないから、外にでも出ようか。
ぞろぞろと連れ立って本堂の前に集まる。俺、ゆき、りく、れいか、すて、あおい、とつか。おっと、白猫がいる。本堂の屋根の上に烏がいる。これでまともに人間ぽいのが二人の少女だけってのが異世界スタイルやね。
「かねかつらさま!では、私から見てください!」
薪を立てた上に柴を少し載せた的の前にで、魔法の棒を構える。おお、10秒ほどで火が着いた。
「かなり早くなったね。」
「はい!」
れいかはニコニコしている。これは、この棒はもうれいか専用になっているな。どうなんやろ、あげても良いもんか。
「これは更に精進したら棒なしでも出来るかもしれんね。」
『いや、難しいですな。』
「まあでも、現状でもうちょっと練習しようか。」
狐先に言えよ。
『これは、基礎的な魔力量の問題か?』
『そうですな、そもそも主様がここに居るから、これほど早く出来ているはずですな。』
『なるほど。』
「はい!」
「それと、後でもう一つ試したい魔法が有るから。とりあえず次はすてさん、見せたいものが有ると。」
「はい、そうです。こちらです。」
門の方に歩いていく。ぞろぞろついていく。とつかさんは頻りに感心している。りくは狐と猫と戯れている。あおいさんはそれを笑顔で見守っている。ああ、昨晩のばあちゃん変化のお陰で、怖さがだいぶ薄れているわ、ありがたい。
門の横手は若干庭っぽく木が植わり大きめの石が置いてある。何か意味があるかもしれんが、不勉強で全くわからない。
「すみません、実は昨日、この大石に魔法をかけてみたのですが……」
大石はそのままそこに有るようにみえる、が、あれ?
「この丸く凹んでるのは、すてさんが魔法をかけたから?」
「はい、多分そうです、壊してしまって申し訳ありません……。」
昨日からあまりしゃべってなかったのはこれを気にしていたからかな。
「いやすごいね。こうなるんやね。謝らなくても良いんじゃなかな。これはよく知っている人じゃないとわからないと思うよ。気になるなら、ひっくり返しておこうか。」
そういって、力を込めて大石を持ち上げ、向きを変えて下ろす。200kg位かなあ。
「うわっ、そんな、いえ、ありがとうございます。」
「すごい!」
「すごいー力持ちー」
「わしでもちょっと同じことをするのは難しいのう。」
ああ、自分も人外なんやと納得のパフォーマンスやな。
「まあ気になるようなら、いっそ地面とか薪とか、水とかなくなっても良いもので練習すると良いかもしれませんね。そうですね。」
地面に向けて指で『土』と書く。イメージは穴やね。うまく行って、直径1m、深さ1mくらいの穴が開く。『固』と書いて、表面を固くしてみる。穴に降りて確認したが、悪くない。穴から出て『水』。これで即席の池の出来上がり。
「ここで水そのものとか、浮かべた木とか、沈めた石にかけてみたりしましょうか。」
「はい、ありがとうございます。」
「で、れいかさん。」
「あなたの真名にもう一つ有った字を覚えていますか。」
「はい!もちろんです!」
「じゃあ、その意味は知っていますか?」
「はい……」
よくわかっていないか。
「えっとね。ちょっとこっちへ来てください。」
何となく集団から離れて、小声で説明する。周りが聞いていても問題ないような気はするが、一応、な。
「冷という字は、冷えるとか冷たい、という意味を持つ。特にこのにすいはそもそも氷を意味している。つまり、『冷火』の名は温度の変化に向いているように思えるんだよね。直接火をつけるよりも、空気とか水とか、そういったものの温度を変化させるほうが実は向いているかもしれない。……解る?」
「……。……はい。」
「えーとね。そやね。今は秋口で、暑くも寒くない。良い?」
「はい!」
「でももう少し、稲を刈って、栗や柿がなって、それからどんどん寒くなるね?」
「はい!」
「氷はわかる?」
「はい!冬に、水たまりとか、外の桶とかに張っています!」
「そうそう。あれは水が冷たくなると、変化して、出来るものなんだよ。わかる?」
「はい!」
「とりあえず、水に向けて『冷』と書いてみようか。多分、冷たくなると思う。うまくいくと凍るかもしれんね。」
「わかりました!やってみます!」
この娘、15歳とか言ってたけど、もっと幼くしか感じられへんな。なんでやろ?小柄やからか?知識レベルの問題か?障碍的なものは全く感じひんねんけどなあ。
皆の方に戻り、れいかが池に向けて棒を構える。今度は時間がかかる。やがて文字を書く。あれ?間違ってへんか?
……。案の定何も起こらない。驚いたような泣きそうなような変な顔をしているので、もう一度呼びつける。
「えーと、字やけどな。」
「はい……」
「れい、は『冷』。こうやで?」
「!はい!」
もう一度即チャレンジする。ゆっくり字を書いている。
パシッと音がした。が、一見変化がない。やはりれいかは変な顔をしている。
俺は近づいて、顔を寄せる。お、やっぱり結構冷えてるやん。でも一点過ぎてすぐ拡散してるんかな。
「できてるよ、問題ない。ただ水が多すぎて、すぐに散ってるから、桶か丼か湯呑みでやってみようか。」
「はい!」
れいかが庫裏に駆け出す。
「じゃあ、すてもやってみて。」
そういって、柴を池に浮かべる。
「はい。」
左手に首から下げたお守り袋を持ち、右手を水面に近付ける。字を書く。前とはやり方がちゃうな。そらこの方がやりやすいわな。
やっぱり、ポワンとかいって、柴と少しの水が消える。霞んだみたいになって消えたから、これはやっぱりアレやな、移転ではないな。でも、強い力って、ちょっと強くね?
『そうですな、弱い力かもしれませんな。』
うわっいい加減やな頼むわ。まあどっちにしても分子か素粒子レベルでの『力』の解除やろな。重力や電磁力は関係無さそうやしな。
「出来ました。今度は離れてやってみます。」
ちょっとずつ離れながら、試していく。
れいかも桶と木椀を持ってきたので、水を入れてやる。立てた薪の上に置いて、まずは木椀から魔法をかけてみる。
やっぱり、パシッと音がする。一見変化は分からないが……、指で軽く弾く。瞬間的に表面に氷が張る。成功やね。
「!」
皆息を呑んでいる。過冷却で一瞬で相転移するやつやね。ビジュアル的なインパクトは凄いね。
「これは俺がやったんじゃなくて、れいかさんが水を冷やしたから出来たんだよ。その水を捨てて、もう一度やると良いよ。」
「こおり、ほしい……」
りくが呟いたので、椀ごと前に持っていく。わあとかいって、指でつつき、厚さ2~3mmのせんべいみたいな不定形の物を取り出す。中にはもう少し氷が残っており、れいかとすてで分ける。
「つべたい!」
「冷たい!」
「つめたいです。」
更に何度かためして、出来た氷をあおいさんやとつかさんにも回す。いやあ、なかなか楽しいね。知らぬ間に烏も降りてきて、落ちた氷を拾っている。まあでもそろそろ名主宅にいかんとあかんかな。
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