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かねかつらとしおです

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金桂灯潮 かねかつらとしお は40歳を幾つか過ぎた、冴えない男である。
お世辞にもイケメンではない。
でも当の本人はそこまでとは思っていない。
切れ長の目。(細いだけである)
すっと通った鼻筋。(低くて鼻の穴が正面からよく見える)
口は普通。(鼻の下が長くて猿っぽい)
年の割に健康的な肌。(地黒で粗が見えにくいだけ)
白髪はやや多いがハゲではない。額が広くなってきているが、ハゲではない。
背は日本人の平均程度。
親と同居していて、普通に働いている。
色々なジャンルの装置を作る機械屋でサラリーマンをしている。
しかし彼は設計も電気もほとんどできないので現場の組立がメインだ。
趣味はあまりない。特筆すべき物が何もない。
一時何かに集中するが、飽きっぽくてすぐやめてしまう。
友人も気がつくと疎遠になっている。

一言で言うと、地味だ。
自分で何とかしたいという思いは20代でなくなってしまった。

ただ、最近妙な焦りを無意識に感じている。
このまま、老老介護だけは嫌だなあ、と。
外見とかどうでもいいから、性格の良い女の人と知り合いになり、仲良くなり、色々して、結婚したいなあ、と。

そんな彼に転機が訪れたのは、暑い盛り、とある大型台風が近畿一円に襲いかかったときのことである。

うっひー!!うっひゃー!!
心のなかで叫びながら灯潮は原付バイクを慎重に走らせていた。
朝の通勤に台風が直撃したからである。
まいったな、出張がなかったらやり過ごして遅刻したのに……
家を出る瞬間はたまたま雨がほとんど無く強い風が時折吹き付けるだけで、なんとかイケルと思っていた。だが、出発してすぐに猛烈な雨が痛いくらいに灯潮にぶち当たってきた。
くそ、前が見えへん……
フルフェイスのヘルメットに降り注ぐ雨のせいで視界は最悪、バチバチと打ち付ける雨粒で音もよくわからない。
おまけに水はけの悪い旧道は道が悪くろくにスピードも出せない。
どないしょ、今日遅刻したらまじやばい。

そしてあっけなく転んでしまった。目の前に迫るは対向車のダンプ。
ああっなんかおかしい思うててん、最近。ジュースの当りは引くし庶務の女の子とラッキースケベみたいなことがあったしオカンはなんか優しいし、1円パチンコで1万円勝つし、、、、
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