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ゴブリンの村
80:パリピ?
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既に夕暮れである。
着替えのテントでひっそりこっそり水魔法で丁寧に汗を流す。伝染らないだろうが、インキンタムシ菌とかもしかけらでも残っていたら嫌なので、清潔なタオルで擦りながら滅菌を念じる。ポワポワと光が浮かび上がり、稲妻のように鼠径部を駆け抜ける。激痛が走る。
「痛テー!テテテテ……」
テントを出ると、土俵周辺の人集りはかなり落ち着いていた。ただ、桟敷周辺にはそれなりに人がいる。見ると、アベックばかりだ。熟年カップルから小学生くらいまでいる。ちっ、羨ましくなんか無いぞ、猫も狐も鹿も蛇も烏もいるんだからね、元ゴブリンの女の子も男の子もいるしね!元河童のおばあさんもいるしね!元鵺の幼女も、豚っぽいイケメンも、超絶美人の脳漿爆裂ガールも!
さっぱりやん!
獣人に案内されながら、全員でもう一つの神社に移動する。
『なあ、もうひとりというか、一匹というか、犬が増えてるような気がすんねんけど』
『そうですな』
『そうどすな』
『わんわん』
転ぶように小さい黒柴が足元で吠えかかる。
『さすがに本体は今すぐ来られませんので、式を使っておりますよ』
「かねかつら殿、上司がご迷惑をおかけしております」
丁寧に伏見さんが謝罪してくれる。
「いえいえ。ていうか、どういう関係の上司に当たられるんでしょうか」
「そうですね。旧社会の遺物処理班というか、神妖問題における調停というか、うざい子供というか」
「わんわん(それはひどい言い草だね)」
「なるほど。ところであのむちゃくちゃな神達との相撲は、普通の人達には普通に見えてたのかな」
「おそらくあまり覚えていないのではないかと思われますな」
「多分はっきりと認識されていなったのでは、と思われます」
「別次元の神話的結界が出来てたからね、普通の人間は当てられちゃって、記憶が曖昧になってると思うわよ」
「本人たちもそうなの?」
「依代に記憶は残らないどすな」
「それもいややな」
「すまうたことは覚えていますよ、多分、でも自分が合体したとか金太郎さんになったとか、そういうことは夢のようにすぐさま忘れられるでしょうね」
「ふーん」
まあ、ええか。
ご祝儀は祭りの実行員からの寸志だった。5円だった。御縁があると。うん、そんな気はしてた。
「米俵はどうなったん?ていうか、俺ももらえるんやろか?」
「はい!合計5俵だそうです!後日運んでくれるそうです」
俵数にあまり納得行かへんけど、それでも300kg、それなりの量ではあるか。
せせこましい路地を抜けると、細い用水路沿いに桜並木があり、それなりに屋台が出ている。急に空腹を感じて、皆で買い漁る。もしかしたら長丁場になるかもしれないから、粉モンメインで食いまくる。俺や大人はビール、子供はラムネを与える。ガラス瓶の見たことのあるようなサイダーもあった、オレンジジュースもあった、無果汁のそれっぽいやつで、でもネーミングが違う。味は、遠い過去を思い出させるような、懐かしいものだった。
鳥居からの参道は緩やかな石段で、すでに琴の音色が聞こえている。勿論曲目はわからない。
こちらも手水舎のところにそれなりの広場、玉砂利が敷かれており、幾つかの白テントが張られている。
甘酒のサービスが有ったので、皆で分けてもらい、手などを清めてから拝殿へ向かう。
建て替えたばかりなのか、かなりきれいな建物で、靴を脱いで上がるようやな、20畳くらいの広さがあって、正面に本殿、左に琴の生演奏、右ではお神酒のサービス。お神酒なので子供も飲んでもいいらしい。ほんまか?ええのんか?昭和的やな。そういえば、今の元号は何やろ?
賽銭を投げて、お祈りする、ダーンと音がして、やっぱりスーさんが現れる。もう慣れてきた。
『表現がお座なりですな』
『いやあ、負けちゃったよ悔しいなあ。飲み対決でもする?テキーラショットとか』
ちょっとちがう!ってか、飲んだら退治されてまうんちゃうん?
『じゃあ、ペレさん、弁天さん、竜神さん、よろしくね。高天原にもファンは多いよ』
気がつくとお琴の前には誰もいない。いや、拝殿には人がいない。
あおいさんがお琴を前に座っている。はや!
『これは、正しくは箏ですね。とりあえず、定番で』
拝殿には座布団が幾つも敷かれている。それでも狭いので動物は動物無機物は無機物になってもらって、腰を下ろす。
ああ、「さくら」ですね、これなら分かります。わかりますが、思ったより激しい。改めて聞くと、低音パートとメロディーラインが交錯するようなアレンジで、聴き込んでしまう。
一礼すると、煙が上がる、煙ってなんやねんと思っていると、なんか箏が違う。大きい。弦が多い。ええ、なにこれ。
『これは二十五絃箏といいまして。最近、出来たものです。作らはった先生ほど上手には引けませんかもしれませんが、素晴らしいものですので、ぜひお聞き下さい。りくさんと合奏します』
いつのまにか琵琶を抱えたりくがちょこなんと椅子に座って並んでいる。
……知らない曲、当然やと思うけど、何これ、箏ってこんな激しいのん?これ、津軽三味線よりも迫力感じるんやけど、ダイナミックに動いてはるけど、え、コマあんなに動かすのん?ていうかでかすぎひんこの二十五絃箏って、すごい、琵琶もあんなに情熱的に弾けるんか……
音圧にトリップしていると、唐突に演奏が終わる。拍手拍手、いや、ほんまええもん聞かせてもろた。
……いつの間にか舞台が広くなってるような。
……いつの間にか演者が増えてるような。
……いつの間にかりくさんウクレレ持ってるような。
ハワイアンですね、そうですね。ペレさんいますからね。伏見課長いつの間に着替えたんですか。それは太鼓かなんかですか。
ポロロンとやわらかくウクレレが爪弾かれると、優しい歌声が流れてくる、それに合わせて妙齢の女性たちが肌もあらわにすすすーっと袖から現れ、フォーメーション、フラ、ですねわかります。
フラってのは、ハワイイ語でダンス=踊り=舞で、だからフラダンスってのは踊り踊りみたいやからやめてと昔言われたことがあったな、可愛い子でフラをしているというから、『見に行こか』と言うと変態扱いされた。
なんでやねん!
手先指先目線、全て意味があるという、それは日本舞踊でもタイ舞踊でも同じだ、京劇もそうだったような、東洋的な秘めたるメッセージ。
でもこれペレがいない、真ん中の女の子めっちゃかわええ、多分ヒイアカ?ペレシスターズですか。
一曲終わると突然舞台が暗くなる、太鼓のリズムが激しくなる、ポリネシアンですか。
ここで真打登場ですね、ペレさん、ココナッツカップスですね。伏見課長まで腰蓑ですね。って、実はそんなにタトゥー入っていたんですか。え?これは舞台衣装?入れ墨が?……はい。わかりました。それはそうですね、顔にまで彫ってあるし。
なかなかに情熱的で扇情的なダンス、あれ、めっちゃ宴会になってる、酒盛りになってる。
ポリネシアンがいつの間にか和太鼓に、なんかギターもある、ていうかエレキか、なんでアンプが、ストリングスに金管まで、向こうの方に薄布を纏った女の人が、ピンクやブルーのスポットライト、ポールダンスですか、いやこれもうストリップでは、ヤンヤの喝采、子供は見ちゃいけません、れいかとすての目を押さえる。
手力男命がぐおーっと唸りながら石を引っ張ると、ミラーボールとスポットライトに照らされて、華やかな音楽とともに階段を降りてくる天照大神、スーさんが手を添えて、くるくる回ってポーズ。
えーっ……ちょっとこれ、神さん達ハメを外し過ぎでは……
じゃああのポールダンサーは天宇受賣命ですか、いや、それにしても宝塚バリやん、花背負ってるやん何してんの神様達、騒いでるのは神様ばっかで、れいかとかすてとか獣達は平伏して気を失ってるみたいやけど、どうなってんの。はしゃぎ過ぎちゃうのん。
『まあ、たまにはええじゃろ、普通の神事は人間のためのもんやけど、神さんの神さんによる神さんのためのお祭り、Feast of the God by the God for the Godやね』
大山祇神様、めっちゃネイティブな発音いただきました。
なんかりくさんが七福神と馴染んでるし、ペレと天照はジョッキを持って肩を叩き合ってるし、どうなっとんねん。
『どうしますかな、主殿』
『せやなあ。これも時間が止まったりしてんの?』
『はいな』
『そんならしゃあないかなあ』
ストレス溜まってんのかな、知らんけど。
『そんな顔せずに飲もうよ!』
スーさんが能天気に誘ってくる。
『ネクタルとかやないでしょうね』
『養老の滝から汲んで来たんだよ』
わかりました。ただ酒ですね。トコトコんいただきましょう、今こそサラリーマン魂を発揮させましょう。
頂いたジョッキ酒を一気飲みする。
俺は懐からネクタイを取り出し、おでこに巻いた。
『ウェ~イ』
綺麗どころに飛び込む。
____________
先代野坂操壽先生と娘で当代の二十五絃箏の連弾、素晴らしいです。機会があれば、是非ご覧に。
*ようつべには残念ながら上がっていません。
着替えのテントでひっそりこっそり水魔法で丁寧に汗を流す。伝染らないだろうが、インキンタムシ菌とかもしかけらでも残っていたら嫌なので、清潔なタオルで擦りながら滅菌を念じる。ポワポワと光が浮かび上がり、稲妻のように鼠径部を駆け抜ける。激痛が走る。
「痛テー!テテテテ……」
テントを出ると、土俵周辺の人集りはかなり落ち着いていた。ただ、桟敷周辺にはそれなりに人がいる。見ると、アベックばかりだ。熟年カップルから小学生くらいまでいる。ちっ、羨ましくなんか無いぞ、猫も狐も鹿も蛇も烏もいるんだからね、元ゴブリンの女の子も男の子もいるしね!元河童のおばあさんもいるしね!元鵺の幼女も、豚っぽいイケメンも、超絶美人の脳漿爆裂ガールも!
さっぱりやん!
獣人に案内されながら、全員でもう一つの神社に移動する。
『なあ、もうひとりというか、一匹というか、犬が増えてるような気がすんねんけど』
『そうですな』
『そうどすな』
『わんわん』
転ぶように小さい黒柴が足元で吠えかかる。
『さすがに本体は今すぐ来られませんので、式を使っておりますよ』
「かねかつら殿、上司がご迷惑をおかけしております」
丁寧に伏見さんが謝罪してくれる。
「いえいえ。ていうか、どういう関係の上司に当たられるんでしょうか」
「そうですね。旧社会の遺物処理班というか、神妖問題における調停というか、うざい子供というか」
「わんわん(それはひどい言い草だね)」
「なるほど。ところであのむちゃくちゃな神達との相撲は、普通の人達には普通に見えてたのかな」
「おそらくあまり覚えていないのではないかと思われますな」
「多分はっきりと認識されていなったのでは、と思われます」
「別次元の神話的結界が出来てたからね、普通の人間は当てられちゃって、記憶が曖昧になってると思うわよ」
「本人たちもそうなの?」
「依代に記憶は残らないどすな」
「それもいややな」
「すまうたことは覚えていますよ、多分、でも自分が合体したとか金太郎さんになったとか、そういうことは夢のようにすぐさま忘れられるでしょうね」
「ふーん」
まあ、ええか。
ご祝儀は祭りの実行員からの寸志だった。5円だった。御縁があると。うん、そんな気はしてた。
「米俵はどうなったん?ていうか、俺ももらえるんやろか?」
「はい!合計5俵だそうです!後日運んでくれるそうです」
俵数にあまり納得行かへんけど、それでも300kg、それなりの量ではあるか。
せせこましい路地を抜けると、細い用水路沿いに桜並木があり、それなりに屋台が出ている。急に空腹を感じて、皆で買い漁る。もしかしたら長丁場になるかもしれないから、粉モンメインで食いまくる。俺や大人はビール、子供はラムネを与える。ガラス瓶の見たことのあるようなサイダーもあった、オレンジジュースもあった、無果汁のそれっぽいやつで、でもネーミングが違う。味は、遠い過去を思い出させるような、懐かしいものだった。
鳥居からの参道は緩やかな石段で、すでに琴の音色が聞こえている。勿論曲目はわからない。
こちらも手水舎のところにそれなりの広場、玉砂利が敷かれており、幾つかの白テントが張られている。
甘酒のサービスが有ったので、皆で分けてもらい、手などを清めてから拝殿へ向かう。
建て替えたばかりなのか、かなりきれいな建物で、靴を脱いで上がるようやな、20畳くらいの広さがあって、正面に本殿、左に琴の生演奏、右ではお神酒のサービス。お神酒なので子供も飲んでもいいらしい。ほんまか?ええのんか?昭和的やな。そういえば、今の元号は何やろ?
賽銭を投げて、お祈りする、ダーンと音がして、やっぱりスーさんが現れる。もう慣れてきた。
『表現がお座なりですな』
『いやあ、負けちゃったよ悔しいなあ。飲み対決でもする?テキーラショットとか』
ちょっとちがう!ってか、飲んだら退治されてまうんちゃうん?
『じゃあ、ペレさん、弁天さん、竜神さん、よろしくね。高天原にもファンは多いよ』
気がつくとお琴の前には誰もいない。いや、拝殿には人がいない。
あおいさんがお琴を前に座っている。はや!
『これは、正しくは箏ですね。とりあえず、定番で』
拝殿には座布団が幾つも敷かれている。それでも狭いので動物は動物無機物は無機物になってもらって、腰を下ろす。
ああ、「さくら」ですね、これなら分かります。わかりますが、思ったより激しい。改めて聞くと、低音パートとメロディーラインが交錯するようなアレンジで、聴き込んでしまう。
一礼すると、煙が上がる、煙ってなんやねんと思っていると、なんか箏が違う。大きい。弦が多い。ええ、なにこれ。
『これは二十五絃箏といいまして。最近、出来たものです。作らはった先生ほど上手には引けませんかもしれませんが、素晴らしいものですので、ぜひお聞き下さい。りくさんと合奏します』
いつのまにか琵琶を抱えたりくがちょこなんと椅子に座って並んでいる。
……知らない曲、当然やと思うけど、何これ、箏ってこんな激しいのん?これ、津軽三味線よりも迫力感じるんやけど、ダイナミックに動いてはるけど、え、コマあんなに動かすのん?ていうかでかすぎひんこの二十五絃箏って、すごい、琵琶もあんなに情熱的に弾けるんか……
音圧にトリップしていると、唐突に演奏が終わる。拍手拍手、いや、ほんまええもん聞かせてもろた。
……いつの間にか舞台が広くなってるような。
……いつの間にか演者が増えてるような。
……いつの間にかりくさんウクレレ持ってるような。
ハワイアンですね、そうですね。ペレさんいますからね。伏見課長いつの間に着替えたんですか。それは太鼓かなんかですか。
ポロロンとやわらかくウクレレが爪弾かれると、優しい歌声が流れてくる、それに合わせて妙齢の女性たちが肌もあらわにすすすーっと袖から現れ、フォーメーション、フラ、ですねわかります。
フラってのは、ハワイイ語でダンス=踊り=舞で、だからフラダンスってのは踊り踊りみたいやからやめてと昔言われたことがあったな、可愛い子でフラをしているというから、『見に行こか』と言うと変態扱いされた。
なんでやねん!
手先指先目線、全て意味があるという、それは日本舞踊でもタイ舞踊でも同じだ、京劇もそうだったような、東洋的な秘めたるメッセージ。
でもこれペレがいない、真ん中の女の子めっちゃかわええ、多分ヒイアカ?ペレシスターズですか。
一曲終わると突然舞台が暗くなる、太鼓のリズムが激しくなる、ポリネシアンですか。
ここで真打登場ですね、ペレさん、ココナッツカップスですね。伏見課長まで腰蓑ですね。って、実はそんなにタトゥー入っていたんですか。え?これは舞台衣装?入れ墨が?……はい。わかりました。それはそうですね、顔にまで彫ってあるし。
なかなかに情熱的で扇情的なダンス、あれ、めっちゃ宴会になってる、酒盛りになってる。
ポリネシアンがいつの間にか和太鼓に、なんかギターもある、ていうかエレキか、なんでアンプが、ストリングスに金管まで、向こうの方に薄布を纏った女の人が、ピンクやブルーのスポットライト、ポールダンスですか、いやこれもうストリップでは、ヤンヤの喝采、子供は見ちゃいけません、れいかとすての目を押さえる。
手力男命がぐおーっと唸りながら石を引っ張ると、ミラーボールとスポットライトに照らされて、華やかな音楽とともに階段を降りてくる天照大神、スーさんが手を添えて、くるくる回ってポーズ。
えーっ……ちょっとこれ、神さん達ハメを外し過ぎでは……
じゃああのポールダンサーは天宇受賣命ですか、いや、それにしても宝塚バリやん、花背負ってるやん何してんの神様達、騒いでるのは神様ばっかで、れいかとかすてとか獣達は平伏して気を失ってるみたいやけど、どうなってんの。はしゃぎ過ぎちゃうのん。
『まあ、たまにはええじゃろ、普通の神事は人間のためのもんやけど、神さんの神さんによる神さんのためのお祭り、Feast of the God by the God for the Godやね』
大山祇神様、めっちゃネイティブな発音いただきました。
なんかりくさんが七福神と馴染んでるし、ペレと天照はジョッキを持って肩を叩き合ってるし、どうなっとんねん。
『どうしますかな、主殿』
『せやなあ。これも時間が止まったりしてんの?』
『はいな』
『そんならしゃあないかなあ』
ストレス溜まってんのかな、知らんけど。
『そんな顔せずに飲もうよ!』
スーさんが能天気に誘ってくる。
『ネクタルとかやないでしょうね』
『養老の滝から汲んで来たんだよ』
わかりました。ただ酒ですね。トコトコんいただきましょう、今こそサラリーマン魂を発揮させましょう。
頂いたジョッキ酒を一気飲みする。
俺は懐からネクタイを取り出し、おでこに巻いた。
『ウェ~イ』
綺麗どころに飛び込む。
____________
先代野坂操壽先生と娘で当代の二十五絃箏の連弾、素晴らしいです。機会があれば、是非ご覧に。
*ようつべには残念ながら上がっていません。
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