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2部 3章
収束
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「ったく、キリがないわね!いつまで沸き続けてくるのよ!」
ディータは悪態を吐きながらも、地面から沸いて出てくる骸骨達を次々に葬っていた。
地面から骸骨の頭が出た瞬間に魔法を放ち、その骸骨を消滅させる。
はたから見るとモグラたたきでもしているかのような状況である。
だが、段々と、ディータにも余裕がなくなってきていた。
(今はまだいいけれど、このままだと先に私の魔力が尽きるわね……どうしたものかしら……)
近くに魔石の類は無く、敵の骸骨の魔力も吸収できない。
このままではジリ貧である。
そう、思った直後……急に骸骨達の沸きがピタリと止まった。
「……終わったの?」
また強力な骸骨が出てくる前触れなのではという疑念もあったが、しばらく様子を見ていても新たに骸骨が現れることは無かった。
いや、それだけではない。辺りから聞こえていた仲間たちの戦闘音も聞こえなくなっていたのだ。
ディータの所で敵が現れなくなったそのころ、広場の中心で戦っていたレンたちの所でも、敵がピタリと沸かなくなっていた。
「あらぁん?もう終わりなのかしらぁん」
「不明だ……強力な個体が出てくる可能性もある」
「そうかもしれないわねぇん」
二人は気を抜くことは無く、あたりを警戒する。
だが、その時……。
「あら、レディさんじゃありませんの……どうしてここにいるんですの?」
聞きなれた声がレンたちの耳に届いたのだった。
「エリンシア!」
「あらぁん、エリンシアちゃん元に戻ったのねぇん♪」
「ええ、そのようですわ……レンさんとレディさんが護ってくれたんですのね、ありがとうございますわ」
「いや、俺は君を護れなかった……君が無事でいられたのはそこのバケ……女性のお陰だ」
「誰が化け物よぉおおおおおおん!!」
「うお!?」
急にレディの顔面が目の前に現れたことにより、レンは素っ頓狂な声を上げ後ろに転がる。
「ふふふ、変わりませんわねレディさん……お久しぶりですわ♪」
「久しぶりねぇん♪エリンシアちゃんはさらに綺麗になったわねぇん♪」
「お上手ですわね」
「ホントの事よぉん、恋する女の子は綺麗になるものよぉん♪」
「なっ……してませんわよ!」
「うふふふ」
「何笑ってますの!……それより、元に戻ったのは私だけではないみたいですわよ」
慌てて話題をそらすエリンシアの言葉に、レンとレディはあたりを見回す。
すると確かに、他の石像となっていたエルフたちも元の姿に戻っていた。
エルフたちは状況がつかめず、右往左往していたが、一人だけ、この状況を理解しエリンシア達の元へと近寄ってくるエルフがいた。
エリンシアと共に、広場で石にされたエルフの男性である。
「君たちが助けてくれたのか……感謝する……本当にっ」
目に涙を浮かべながら、エリンシア達に感謝の言葉を述べる男性。
「いや、君たちを救ったのはカモメだ……礼なら彼女が戻ってきてからにしてくれ」
「そうか……だが、君たちも戦ってくれたのだろう?その姿を見ればわかる」
超再生でいつの間にか元の姿に戻っていたレンではあるが、それでも服がボロボロになっており、体も埃で汚れていた。
「そういえば、カモメさんはどこで戦ってますの?」
石になっていた為、状況が解らないエリンシアがレンに聞く。
「カモメはこの集落の西にある洞くつで魔女と戦いに向かった」
「洞くつ……ですの……カモメさんには不利な場所ですわね」
バトーネもある為、全く戦えない場所と言う訳ではないが、威力の高い魔法の得意なカモメには不利な場所である。とはいえ、自分が元に戻っているということを考えれば恐らく勝利を収めているだろう。
だが、敵の災厄の魔女もかなりの力の持ち主だ。無事でいてくれるだろうか……。
「カモメさんが心配ですわね……ワタクシは洞くつに行ってみますわ」
「それなら大丈夫よ」
エリンシアが、カモメのいる洞くつへ向かおうとしたその時、上空から声が聞こえた。
ディータである。
「ディータさん?」
「すでに根暗坊主が向かったわ……エルフたちが元に戻ったのを確認した瞬間にね」
「あら、さすがですわね……カモメさんの事となると行動が早いですわ」
「まったくね、エリンシアの無事くらい確認しなさいってのよ」
「ふふふ、きっとレンさんの事を信用していたんですわよ」
「まあ、無事でよかったわ……後はローラとメリッサの方だけど」
「それなら大丈夫よぉん、コハクちゃんとリーナちゃんが向かったはずだからぁん」
「あら、コハク達も来ているのね……って、レディ!?貴方ここで何してるの!?」
「……今頃ですの?」
あれほど、存在感のあるレディに今頃気づくディータ。
普段は鋭いのに、こう……ちょっとどこか抜けているのがこの女神のチャームポイントであろうか。
本人に言えば怒るだろうが。
「それよりも、先ずはエルフの皆さんに状況を説明いたしますわよ」
「そ、そうね」
醜態を見せたことに顔を赤らめるディータがエリンシアに同意し、全員で手分けをしながらエルフたちの元に向かうのだった。
ディータは悪態を吐きながらも、地面から沸いて出てくる骸骨達を次々に葬っていた。
地面から骸骨の頭が出た瞬間に魔法を放ち、その骸骨を消滅させる。
はたから見るとモグラたたきでもしているかのような状況である。
だが、段々と、ディータにも余裕がなくなってきていた。
(今はまだいいけれど、このままだと先に私の魔力が尽きるわね……どうしたものかしら……)
近くに魔石の類は無く、敵の骸骨の魔力も吸収できない。
このままではジリ貧である。
そう、思った直後……急に骸骨達の沸きがピタリと止まった。
「……終わったの?」
また強力な骸骨が出てくる前触れなのではという疑念もあったが、しばらく様子を見ていても新たに骸骨が現れることは無かった。
いや、それだけではない。辺りから聞こえていた仲間たちの戦闘音も聞こえなくなっていたのだ。
ディータの所で敵が現れなくなったそのころ、広場の中心で戦っていたレンたちの所でも、敵がピタリと沸かなくなっていた。
「あらぁん?もう終わりなのかしらぁん」
「不明だ……強力な個体が出てくる可能性もある」
「そうかもしれないわねぇん」
二人は気を抜くことは無く、あたりを警戒する。
だが、その時……。
「あら、レディさんじゃありませんの……どうしてここにいるんですの?」
聞きなれた声がレンたちの耳に届いたのだった。
「エリンシア!」
「あらぁん、エリンシアちゃん元に戻ったのねぇん♪」
「ええ、そのようですわ……レンさんとレディさんが護ってくれたんですのね、ありがとうございますわ」
「いや、俺は君を護れなかった……君が無事でいられたのはそこのバケ……女性のお陰だ」
「誰が化け物よぉおおおおおおん!!」
「うお!?」
急にレディの顔面が目の前に現れたことにより、レンは素っ頓狂な声を上げ後ろに転がる。
「ふふふ、変わりませんわねレディさん……お久しぶりですわ♪」
「久しぶりねぇん♪エリンシアちゃんはさらに綺麗になったわねぇん♪」
「お上手ですわね」
「ホントの事よぉん、恋する女の子は綺麗になるものよぉん♪」
「なっ……してませんわよ!」
「うふふふ」
「何笑ってますの!……それより、元に戻ったのは私だけではないみたいですわよ」
慌てて話題をそらすエリンシアの言葉に、レンとレディはあたりを見回す。
すると確かに、他の石像となっていたエルフたちも元の姿に戻っていた。
エルフたちは状況がつかめず、右往左往していたが、一人だけ、この状況を理解しエリンシア達の元へと近寄ってくるエルフがいた。
エリンシアと共に、広場で石にされたエルフの男性である。
「君たちが助けてくれたのか……感謝する……本当にっ」
目に涙を浮かべながら、エリンシア達に感謝の言葉を述べる男性。
「いや、君たちを救ったのはカモメだ……礼なら彼女が戻ってきてからにしてくれ」
「そうか……だが、君たちも戦ってくれたのだろう?その姿を見ればわかる」
超再生でいつの間にか元の姿に戻っていたレンではあるが、それでも服がボロボロになっており、体も埃で汚れていた。
「そういえば、カモメさんはどこで戦ってますの?」
石になっていた為、状況が解らないエリンシアがレンに聞く。
「カモメはこの集落の西にある洞くつで魔女と戦いに向かった」
「洞くつ……ですの……カモメさんには不利な場所ですわね」
バトーネもある為、全く戦えない場所と言う訳ではないが、威力の高い魔法の得意なカモメには不利な場所である。とはいえ、自分が元に戻っているということを考えれば恐らく勝利を収めているだろう。
だが、敵の災厄の魔女もかなりの力の持ち主だ。無事でいてくれるだろうか……。
「カモメさんが心配ですわね……ワタクシは洞くつに行ってみますわ」
「それなら大丈夫よ」
エリンシアが、カモメのいる洞くつへ向かおうとしたその時、上空から声が聞こえた。
ディータである。
「ディータさん?」
「すでに根暗坊主が向かったわ……エルフたちが元に戻ったのを確認した瞬間にね」
「あら、さすがですわね……カモメさんの事となると行動が早いですわ」
「まったくね、エリンシアの無事くらい確認しなさいってのよ」
「ふふふ、きっとレンさんの事を信用していたんですわよ」
「まあ、無事でよかったわ……後はローラとメリッサの方だけど」
「それなら大丈夫よぉん、コハクちゃんとリーナちゃんが向かったはずだからぁん」
「あら、コハク達も来ているのね……って、レディ!?貴方ここで何してるの!?」
「……今頃ですの?」
あれほど、存在感のあるレディに今頃気づくディータ。
普段は鋭いのに、こう……ちょっとどこか抜けているのがこの女神のチャームポイントであろうか。
本人に言えば怒るだろうが。
「それよりも、先ずはエルフの皆さんに状況を説明いたしますわよ」
「そ、そうね」
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