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2部 3章
邪鬼の王の力
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「はあああああああああ!」
私はさらに魔力を高め、体を強化し、私の体に纏わりついている氷を壊す。
氷から脱出した私は、何とか身を捻り、敵の影の槍を回避しようとするが、完全には回避できず肩を掠めていった。
「しぶといわね……っ」
「当然っ……エリンシアを救うまで死ねないよ」
「はっ!……やれるものならやってみなさい!」
災厄の魔女は再び影の槍を放ってくる。
私はそれを闇の刃で撃退すると、一気に距離を詰め、バトーネを振るった。
距離を詰めた私に、魔女は魔力を噴出し吹き飛ばそうとするが先ほどまでよりその威力が弱まっている。
しめた……魔力が少なくなってきているんだ!
これくらいの威力なら……っ!
「風よ!!」
私は風の魔法を展開し、魔女の魔力風を押し返す。
「なっ!?」
「でやあああああ!!」
「がはっ!」
私の一撃が魔女の方にめり込む。
かなり強烈な一撃を与えた為、魔女の表情が歪んだ。
ここで畳みかける!
「まだまだ行くよ!」
私はバトーネを自在に振るい、魔女のお腹、肩、そして最後に顎と次々と技を決めていった。
「………あ」
魔女は顎に一撃を貰うと、意識が一瞬飛んだのか、後ろへと倒れる。
チャンスだっ……ここで杖を破壊する!
私は大きくバトーネを振りかぶると全力で杖に向けて振り下ろした。
「ふざけるなぁっ!!!」
「きゃあ!!」
だが、あと一歩で杖に届くところで、再び魔女の赤い魔力風により吹き飛ばされてしまう。
く……まだ、あれだけの魔力が残ってたんだ……。
今私を吹き飛ばした魔力風は最初の時よりもはるかに強い魔力風であった。
てっきり、魔力が少なくなって弱まったのだと思ったんだけど……そうじゃなかったのかな……いや、あれは……?
「はあ……はあ……気に入らない……気に入らないわっ!なぜ、なぜ他人のためにそこまで出来るの!他人なんて結局、自分を裏切る!なぜそんな相手の為に頑張れるのよ!!」
「エリンシアは私を裏切ったりしない……私だってエリンシアを裏切ったりしないよ!」
「するわよ!人間なんてみんなそう!口では綺麗な事を並べるけど結局自分の事しか考えていないわ!それが人間よ!醜い生き物なのよ!」
「……そうだね、人間なんて自分の事しか考えてないよ……だから私も自分の為にエリンシアを助けるんだ!私はエリンシアに死んでほしくないから!私の親友だから!」
「あはははは!親友…?そう、親友なのね……?親友なんて最低よ!」
「最低じゃない!」
「最低よ!だって私の親友は自分が助かりたいがために、私を罠にはめて私の両親を殺した!口では私の味方だと言っていたのに……裏切った!!親友なんてそんなものよ!!」
「……っ!………そう、そんなことがあったんだ……でも、エリンシアは違う……私も貴方じゃない!だから、私は諦めないよ!!」
「いくら言っても聞かない馬鹿ね!!……いいわ……邪王……私にもっと力をよこしなさい!制御して見せるわ!」
邪王……さっきも言っていた、邪鬼たちの王……?
私はあたりを見回すがここには私と災厄の魔女以外は誰もいる気配がない。
よほど気配を消すのがうまい……?ううん、違う……恐らく。
「制御して見せるって言っているでしょう!ごちゃごちゃ言わないで力をよこしなさい!」
会話をしているよね……やっぱり、昔の私とディータの時と同じ状態……きっと、災厄の魔女の中に邪鬼の王がいるんだ……魂だけの状態で……つまりあの赤い魔力は邪鬼の王の魔力ってことだ。
どこからどこまでも私と似ている……唯一違うのは、私は仲間に恵まれていたのだろう……もし、私にディータが……クオンが……レディが……エリンシアがいなかったら私もああなっていたのかもしれない。
私は……あの人を止めてあげたい……なぜだか、そう思った。
「そうよ……それでいいのよ……」
魔女はにやりと笑うと、先ほどまでとは比べ物にならない魔力を溢れださせる。
私が息を飲むほどにその魔力は凄かった。
人間の扱える魔力とは到底思えない……それ程の魔力に包まれながらも魔女は笑い、こちらを見る。
その魔女の姿は先ほどまでと少し違う……髪の色が深紅のような赤へ変色していたのだ。
あれじゃあ……邪鬼だよ……。
その燃えるような赤色に私は邪鬼の姿を重ねる。
そして………。
「あははははは!!死ね!死んじゃえ!!!影牢針!」
私の周りに針のような形をした影が10本以上現れる。
それは私に向ってはこず、私の頭上に向けて伸びていく。
私の頭上でそれらが集まると、私はまるで牢に閉じ込められたような状態へとなってしまった。
閉じ込めるための魔法?……ううん、そんな生易しいものじゃないはず……まだ何か。
私が警戒していると、周りを囲った影からさらに無数の影の針がこちらへと向かってきた。
無数の針で串刺しにする気か……。
「風よ!!」
私は風の結界を張りそれらを防ごうとする。
だが、無数の針は風の結界に当たると、そのまま貫こうと突き刺さる。
徐々にこちらに向かってくる針に私は焦る……このままだと結界を破壊されて串刺しになっちゃうよ!
「変則合成魔法!!」
私は、その風の結界にさらに魔法を上乗せする。
上乗せするのは炎の魔法だ……あまり爆発力の高いものだと、洞くつ事壊しかねないのでそこも工夫する。風の結界を回転させ、そこに炎を乗せる。
回転力で針を弾き返し、さらに炎で燃やすのだ。
その考えは上手く行き、私の思惑通り、影の針を弾き返し蹴散らした。
それにしても……。
「さっきまでとは全然違う……」
威力もそうだが、あの魔法は今まで使ったことは無かった……出し惜しみしていた?
いや、恐らく今までは使えなかったのではないだろうか……魔力の上がった今だからこそ使える魔法なのだろう……とすると、もしかしたら、そう言う魔法はそれだけじゃないかもしれない。
「あら、小手調べだったのに随分と苦戦したじゃない……お嬢ちゃん!!あははははは!!」
マズいかもしんないね……。
私は頬に冷や汗を流しながら余裕に笑う魔女を見据えるのだった。
私はさらに魔力を高め、体を強化し、私の体に纏わりついている氷を壊す。
氷から脱出した私は、何とか身を捻り、敵の影の槍を回避しようとするが、完全には回避できず肩を掠めていった。
「しぶといわね……っ」
「当然っ……エリンシアを救うまで死ねないよ」
「はっ!……やれるものならやってみなさい!」
災厄の魔女は再び影の槍を放ってくる。
私はそれを闇の刃で撃退すると、一気に距離を詰め、バトーネを振るった。
距離を詰めた私に、魔女は魔力を噴出し吹き飛ばそうとするが先ほどまでよりその威力が弱まっている。
しめた……魔力が少なくなってきているんだ!
これくらいの威力なら……っ!
「風よ!!」
私は風の魔法を展開し、魔女の魔力風を押し返す。
「なっ!?」
「でやあああああ!!」
「がはっ!」
私の一撃が魔女の方にめり込む。
かなり強烈な一撃を与えた為、魔女の表情が歪んだ。
ここで畳みかける!
「まだまだ行くよ!」
私はバトーネを自在に振るい、魔女のお腹、肩、そして最後に顎と次々と技を決めていった。
「………あ」
魔女は顎に一撃を貰うと、意識が一瞬飛んだのか、後ろへと倒れる。
チャンスだっ……ここで杖を破壊する!
私は大きくバトーネを振りかぶると全力で杖に向けて振り下ろした。
「ふざけるなぁっ!!!」
「きゃあ!!」
だが、あと一歩で杖に届くところで、再び魔女の赤い魔力風により吹き飛ばされてしまう。
く……まだ、あれだけの魔力が残ってたんだ……。
今私を吹き飛ばした魔力風は最初の時よりもはるかに強い魔力風であった。
てっきり、魔力が少なくなって弱まったのだと思ったんだけど……そうじゃなかったのかな……いや、あれは……?
「はあ……はあ……気に入らない……気に入らないわっ!なぜ、なぜ他人のためにそこまで出来るの!他人なんて結局、自分を裏切る!なぜそんな相手の為に頑張れるのよ!!」
「エリンシアは私を裏切ったりしない……私だってエリンシアを裏切ったりしないよ!」
「するわよ!人間なんてみんなそう!口では綺麗な事を並べるけど結局自分の事しか考えていないわ!それが人間よ!醜い生き物なのよ!」
「……そうだね、人間なんて自分の事しか考えてないよ……だから私も自分の為にエリンシアを助けるんだ!私はエリンシアに死んでほしくないから!私の親友だから!」
「あはははは!親友…?そう、親友なのね……?親友なんて最低よ!」
「最低じゃない!」
「最低よ!だって私の親友は自分が助かりたいがために、私を罠にはめて私の両親を殺した!口では私の味方だと言っていたのに……裏切った!!親友なんてそんなものよ!!」
「……っ!………そう、そんなことがあったんだ……でも、エリンシアは違う……私も貴方じゃない!だから、私は諦めないよ!!」
「いくら言っても聞かない馬鹿ね!!……いいわ……邪王……私にもっと力をよこしなさい!制御して見せるわ!」
邪王……さっきも言っていた、邪鬼たちの王……?
私はあたりを見回すがここには私と災厄の魔女以外は誰もいる気配がない。
よほど気配を消すのがうまい……?ううん、違う……恐らく。
「制御して見せるって言っているでしょう!ごちゃごちゃ言わないで力をよこしなさい!」
会話をしているよね……やっぱり、昔の私とディータの時と同じ状態……きっと、災厄の魔女の中に邪鬼の王がいるんだ……魂だけの状態で……つまりあの赤い魔力は邪鬼の王の魔力ってことだ。
どこからどこまでも私と似ている……唯一違うのは、私は仲間に恵まれていたのだろう……もし、私にディータが……クオンが……レディが……エリンシアがいなかったら私もああなっていたのかもしれない。
私は……あの人を止めてあげたい……なぜだか、そう思った。
「そうよ……それでいいのよ……」
魔女はにやりと笑うと、先ほどまでとは比べ物にならない魔力を溢れださせる。
私が息を飲むほどにその魔力は凄かった。
人間の扱える魔力とは到底思えない……それ程の魔力に包まれながらも魔女は笑い、こちらを見る。
その魔女の姿は先ほどまでと少し違う……髪の色が深紅のような赤へ変色していたのだ。
あれじゃあ……邪鬼だよ……。
その燃えるような赤色に私は邪鬼の姿を重ねる。
そして………。
「あははははは!!死ね!死んじゃえ!!!影牢針!」
私の周りに針のような形をした影が10本以上現れる。
それは私に向ってはこず、私の頭上に向けて伸びていく。
私の頭上でそれらが集まると、私はまるで牢に閉じ込められたような状態へとなってしまった。
閉じ込めるための魔法?……ううん、そんな生易しいものじゃないはず……まだ何か。
私が警戒していると、周りを囲った影からさらに無数の影の針がこちらへと向かってきた。
無数の針で串刺しにする気か……。
「風よ!!」
私は風の結界を張りそれらを防ごうとする。
だが、無数の針は風の結界に当たると、そのまま貫こうと突き刺さる。
徐々にこちらに向かってくる針に私は焦る……このままだと結界を破壊されて串刺しになっちゃうよ!
「変則合成魔法!!」
私は、その風の結界にさらに魔法を上乗せする。
上乗せするのは炎の魔法だ……あまり爆発力の高いものだと、洞くつ事壊しかねないのでそこも工夫する。風の結界を回転させ、そこに炎を乗せる。
回転力で針を弾き返し、さらに炎で燃やすのだ。
その考えは上手く行き、私の思惑通り、影の針を弾き返し蹴散らした。
それにしても……。
「さっきまでとは全然違う……」
威力もそうだが、あの魔法は今まで使ったことは無かった……出し惜しみしていた?
いや、恐らく今までは使えなかったのではないだろうか……魔力の上がった今だからこそ使える魔法なのだろう……とすると、もしかしたら、そう言う魔法はそれだけじゃないかもしれない。
「あら、小手調べだったのに随分と苦戦したじゃない……お嬢ちゃん!!あははははは!!」
マズいかもしんないね……。
私は頬に冷や汗を流しながら余裕に笑う魔女を見据えるのだった。
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