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2部 1章
クオンの逆鱗
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「おいおい、『無能』がまだこのギルドにいるのかよ!」
野太い声が私たちの後ろから聞こえる。
私はその声に振り返ってみると、5人程の集団が私たちの後ろでニヤニヤと笑いながらこっちを見ていた。
どうやら、私達に向かって行っているようである。
「ちっ、ガリオンかよ」
そいつらの姿を見てクルードは悪態を吐いた。
クルードの知り合い?それにしては仲がいいというわけではなさそうだけど。
「ああ?無能の子守をしているような奴が俺様の名前を呼び捨てにすんじゃねぇよ……様を付けろや!」
すごい横柄な態度である………クルードはとんでもないシスコンだと言っても、Cランク冒険者である、そしてこの街にはCランク冒険者が二人しかいないと聞いている、つまりクルードはこの街ではトップの冒険者の筈だ、そのクルードにあんな態度を取るということは、あの男がもう一人のCランクってことなのだろうか………全然強そうには見えないけど。
「ったくよぉ、いつまでも『無能』がギルドに出入りしやがって、気分がわりいったらねぇぜ、なあ、おめえら!」
「「「そーだそーだ」」」
後ろにいる、恐らく彼のパーティなのだろう者たちがガリオンの言葉に同意する……っていうか、さっきから言っている無能って誰の事?
「てめぇも、いつまでも兄に護られて冒険者気取りでいるんじゃねぇよ、うざってぇ!」
その視線はどうやらシルネアに向いているようだった。
なるほど、そういえばシルネアは天啓スキルとやらがないんだっけ、そのせいかな?
「おら、黙ってないでなんとか言えや!」
「ガリオン様、シルネア様はちゃんと冒険者としての義務を全うしております、ギルドが認めた冒険者です、そのような言い方はお控えください」
ガリオンの態度に見かねたミオンが口を挟む。
「うるせぇ、たかが受付嬢ごときが俺に指図してんじゃねぇ!俺はいつだってこの街を出ていってもいいんだぞ?それなのに、テメェらが頼むから残ってやってんじゃねぇか!」
ラリアスの街は辺境にある為、高ランクの冒険者はあまりとどまることがないらしい。
その為、Bランク以上の冒険者はいなくて、Cランク以上の冒険者も二人しかいない。
この数ではいざという時に対応が出来ないかもしれないのだ、ギルドも出来る限りラリアスの街にとどまってもらいたいのだろう。
「ぎゃーぎゃーぎゃー、五月蠅いわね、ゴリラがそんなに偉いのかしら?」
まあ、ディータが黙って聞いている訳ないよね……私もだけど。
「よっぽど自分の天啓スキルが自慢なんじゃない?えっと、『ゴリラ』の天啓スキル?」
ガリオンと呼ばれた冒険者の見た目が筋肉隆々で、見た感じゴリラの様にも見える見た目の為、そう言ってやった。
「か、カモメさん、ディータさん!」
「ああ?なんだテメェら、見ねぇ顔だな……このガリオン様にそんな口を聞いて、このラリアスの街で生きていけると思ってるのか?」
「あら、ごめんあそばせ、ワタクシ共はゴリラの言葉が解りませんの、もっとわかりやすく言ってくださいません?」
エリンシアも乗ってくる。
なんというか、ウチのパーティの女性って喧嘩早いね、私の言えたことじゃないけど。
そして唯一、ため息を吐きながら呆れているのクオンである。
「てめぇら……良いだろう、その体に俺様の凄さを教えてやる……」
そう言うと、ゴリアスは腰につけていたハンドアクスを手に取る。
「ギルド内での揉め事は禁じています!」
ミオンが叫ぶが、ゴリアスは聞く耳を持たない。
「そんな無能の為に俺様に逆らった事……後悔させてやるぜ」
「そっちこそ、私の友達を無能呼ばわりしたこと後悔させてあげるよ」
そう言って、私は、バトーネを構え……あう。
私はいつも腰につけていたバトーネを取ろうとして思い出す……またやっちゃったよ。
そう、以前の戦いでバトーネが壊れてしまった事をまたも忘れていた……不便だなぁ。
「はあ、まったく君は……」
私の行動で気付いたのか、クオンが溜息を吐く。
いやぁ、どうしよう、魔法使ったらギルドも壊しちゃうし、ガリオンも怪我じゃすまないかもしれないしね……とはいえ、ディータも魔法だし、エリンシアにお願いする?いや、いっそ私も素手で戦ってみるかな?多分負けないと思うし……。
エリンシアやクオン程ではないとはいえ、私だってそれなりに動けるのだ、たとえバトーネが無くても目の前のガリオンに敗けるとは思えない。
私がそんな風に考えていると、目の前のガリオンがこちらを見て厭らしい目つきになる。
「ちっと、ガキすぎる気がするが、男を教えてやろうじゃねぇか……」
私の背筋がゾクリとする……気持ち悪い!
「可愛がってやらぁ……泣いて俺様の凄さが解るまで一晩中なぁ……」
舌なめずりをしながらこちらを見てくるガリオン。
こんなのがこの街の冒険者なのか……最悪。
私がうんざりしていると、途端にこのギルド内の気温が下がったような……それでいて、ものすごい重力を感じるような……一気にこのギルドの空気が変わったような……そんな感じを受けた。
その変わりように、私ですら恐怖を覚える……これって、殺気?でも誰が?
そう思って私は周りを見回すと……その殺気がまるで黒いオーラにでもなっているかのように目で見えると錯覚を起こしてしまう程ふりまいている、一人の少年の姿が目に留まった……クオンである。
「殺す」
あ、ヤバい!?
クオンがキレた!?
一体何が、クオンをキレさせたのか分からないけど、これはまずい。
キレたクオンは容赦がない、たまーに、本当にたまーにではあるがクオンがキレることがある。
何が原因なのかよくわからないが、大抵はこのガリオンみたいな男に切れるのだ。
そんなときのクオンは本当に容赦がない、相手が泣いて謝ってもその男の薄皮を剣で斬り続ける、少しずつ少しずつ、男が恐怖のあまり、気を失うまでずっとだ……。
「あーあ、根暗坊主の地雷を踏んじゃったわね」
「ですわね」
ディータ達は何がクオンをキレさせたのか分かっているらしい。
「ああ?餓鬼が邪魔すんじゃねぇ」
どうやら、クオンの異常なほどの殺気にガリオンは気付いてないらしい、周りにいるこの騒ぎに関わらないようにしていた冒険者達ですら気付いているというのに……このガリオンって男ほんとうにCランクの冒険者なのだろうか……。
私が呆れていると、クオンが動き出したのだった。
野太い声が私たちの後ろから聞こえる。
私はその声に振り返ってみると、5人程の集団が私たちの後ろでニヤニヤと笑いながらこっちを見ていた。
どうやら、私達に向かって行っているようである。
「ちっ、ガリオンかよ」
そいつらの姿を見てクルードは悪態を吐いた。
クルードの知り合い?それにしては仲がいいというわけではなさそうだけど。
「ああ?無能の子守をしているような奴が俺様の名前を呼び捨てにすんじゃねぇよ……様を付けろや!」
すごい横柄な態度である………クルードはとんでもないシスコンだと言っても、Cランク冒険者である、そしてこの街にはCランク冒険者が二人しかいないと聞いている、つまりクルードはこの街ではトップの冒険者の筈だ、そのクルードにあんな態度を取るということは、あの男がもう一人のCランクってことなのだろうか………全然強そうには見えないけど。
「ったくよぉ、いつまでも『無能』がギルドに出入りしやがって、気分がわりいったらねぇぜ、なあ、おめえら!」
「「「そーだそーだ」」」
後ろにいる、恐らく彼のパーティなのだろう者たちがガリオンの言葉に同意する……っていうか、さっきから言っている無能って誰の事?
「てめぇも、いつまでも兄に護られて冒険者気取りでいるんじゃねぇよ、うざってぇ!」
その視線はどうやらシルネアに向いているようだった。
なるほど、そういえばシルネアは天啓スキルとやらがないんだっけ、そのせいかな?
「おら、黙ってないでなんとか言えや!」
「ガリオン様、シルネア様はちゃんと冒険者としての義務を全うしております、ギルドが認めた冒険者です、そのような言い方はお控えください」
ガリオンの態度に見かねたミオンが口を挟む。
「うるせぇ、たかが受付嬢ごときが俺に指図してんじゃねぇ!俺はいつだってこの街を出ていってもいいんだぞ?それなのに、テメェらが頼むから残ってやってんじゃねぇか!」
ラリアスの街は辺境にある為、高ランクの冒険者はあまりとどまることがないらしい。
その為、Bランク以上の冒険者はいなくて、Cランク以上の冒険者も二人しかいない。
この数ではいざという時に対応が出来ないかもしれないのだ、ギルドも出来る限りラリアスの街にとどまってもらいたいのだろう。
「ぎゃーぎゃーぎゃー、五月蠅いわね、ゴリラがそんなに偉いのかしら?」
まあ、ディータが黙って聞いている訳ないよね……私もだけど。
「よっぽど自分の天啓スキルが自慢なんじゃない?えっと、『ゴリラ』の天啓スキル?」
ガリオンと呼ばれた冒険者の見た目が筋肉隆々で、見た感じゴリラの様にも見える見た目の為、そう言ってやった。
「か、カモメさん、ディータさん!」
「ああ?なんだテメェら、見ねぇ顔だな……このガリオン様にそんな口を聞いて、このラリアスの街で生きていけると思ってるのか?」
「あら、ごめんあそばせ、ワタクシ共はゴリラの言葉が解りませんの、もっとわかりやすく言ってくださいません?」
エリンシアも乗ってくる。
なんというか、ウチのパーティの女性って喧嘩早いね、私の言えたことじゃないけど。
そして唯一、ため息を吐きながら呆れているのクオンである。
「てめぇら……良いだろう、その体に俺様の凄さを教えてやる……」
そう言うと、ゴリアスは腰につけていたハンドアクスを手に取る。
「ギルド内での揉め事は禁じています!」
ミオンが叫ぶが、ゴリアスは聞く耳を持たない。
「そんな無能の為に俺様に逆らった事……後悔させてやるぜ」
「そっちこそ、私の友達を無能呼ばわりしたこと後悔させてあげるよ」
そう言って、私は、バトーネを構え……あう。
私はいつも腰につけていたバトーネを取ろうとして思い出す……またやっちゃったよ。
そう、以前の戦いでバトーネが壊れてしまった事をまたも忘れていた……不便だなぁ。
「はあ、まったく君は……」
私の行動で気付いたのか、クオンが溜息を吐く。
いやぁ、どうしよう、魔法使ったらギルドも壊しちゃうし、ガリオンも怪我じゃすまないかもしれないしね……とはいえ、ディータも魔法だし、エリンシアにお願いする?いや、いっそ私も素手で戦ってみるかな?多分負けないと思うし……。
エリンシアやクオン程ではないとはいえ、私だってそれなりに動けるのだ、たとえバトーネが無くても目の前のガリオンに敗けるとは思えない。
私がそんな風に考えていると、目の前のガリオンがこちらを見て厭らしい目つきになる。
「ちっと、ガキすぎる気がするが、男を教えてやろうじゃねぇか……」
私の背筋がゾクリとする……気持ち悪い!
「可愛がってやらぁ……泣いて俺様の凄さが解るまで一晩中なぁ……」
舌なめずりをしながらこちらを見てくるガリオン。
こんなのがこの街の冒険者なのか……最悪。
私がうんざりしていると、途端にこのギルド内の気温が下がったような……それでいて、ものすごい重力を感じるような……一気にこのギルドの空気が変わったような……そんな感じを受けた。
その変わりように、私ですら恐怖を覚える……これって、殺気?でも誰が?
そう思って私は周りを見回すと……その殺気がまるで黒いオーラにでもなっているかのように目で見えると錯覚を起こしてしまう程ふりまいている、一人の少年の姿が目に留まった……クオンである。
「殺す」
あ、ヤバい!?
クオンがキレた!?
一体何が、クオンをキレさせたのか分からないけど、これはまずい。
キレたクオンは容赦がない、たまーに、本当にたまーにではあるがクオンがキレることがある。
何が原因なのかよくわからないが、大抵はこのガリオンみたいな男に切れるのだ。
そんなときのクオンは本当に容赦がない、相手が泣いて謝ってもその男の薄皮を剣で斬り続ける、少しずつ少しずつ、男が恐怖のあまり、気を失うまでずっとだ……。
「あーあ、根暗坊主の地雷を踏んじゃったわね」
「ですわね」
ディータ達は何がクオンをキレさせたのか分かっているらしい。
「ああ?餓鬼が邪魔すんじゃねぇ」
どうやら、クオンの異常なほどの殺気にガリオンは気付いてないらしい、周りにいるこの騒ぎに関わらないようにしていた冒険者達ですら気付いているというのに……このガリオンって男ほんとうにCランクの冒険者なのだろうか……。
私が呆れていると、クオンが動き出したのだった。
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