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8章
『魔』の姿
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「影魔召喚!」
リーンがまたも私の知らない魔法を使ってくる、結界の外の魔法だろう……狼のような形をした影が、こちらに向かって駆けてくる、その攻撃はまるで生きている狼のように地面を翔け、一直線には跳んでこず、左右に跳躍しながら向かってきた。
「迎撃しずらいっ!……それなら、電爆撃!!」
私は雷の魔法を全方位に向けてぶっ放す。
これなら、いくら左右に跳躍しようが関係ない、狼の形をした魔法は私のライトニングブラストに包まれその姿を消滅させた。
「結界の外の魔法って言っても大したことないね!」
「ちっ………」
リーンが舌打ちをする。
確かに結界の外の魔法は見慣れない魔法の為、どんな攻撃が来るか予想が出来ない。
だけど、同じ魔法であることには変わりないのでなにかしら対処の方法があるものである。
「今度はこっちの得意技行くよ!」
そう言うと私は水と風の魔法を合成する……そして。
「ついでに……『増幅』っと」
「なっ!?」
リーンが驚きを表す……いや、リーンだけじゃない外で結界を張っているディータとレナも慌てだしていた。
もしかしたら合成魔法も今の私なら増幅できるんじゃないかと思ってやってみたのだけど意外とすんなり増幅できた。これなら、いつも以上の威力になるはずだ。
「増幅版……魔水風圧弾!!」
「ガァッ!?」
まるで閃光のように輝いたと思えば次の瞬間には圧縮された水の弾がリーンの片腕を吹き飛ばし、そしてディータ達の創った結界にも小さな風穴を開け貫いていた。
「うわ……すごい……」
放った本人である私さえも驚くほどの威力である。
これは……使いどころ考えないと危ないかも……。
結界の外まで軽々貫通するのでは外で眠っている兵士たちにもあたりかねない……そうなったら大変だ。
撃つにしても方向とかはちゃんと考えないとだね。
「ヒ………ヒヒヒヒっ」
「……?」
リーンが不気味な笑いを上げる。
ダメージを喰らっておかしくなった?
それともまた何かを企んでいるのか?
「ええ……ええ……仕方ありません………ヒヒヒ」
「何が仕方ないの?………観念でもした?」
「ええ、観念しましたよ………このままじゃ勝てませんねぇ」
このままじゃ?……やっぱりまだ何か企んでいるのかな?
警戒はしておこう……。
「女神の身体……気に入っていたんですけどねぇ」
「……何?今度は私にでも入ってこようとしてるの?悪いけど、アンタなんかに負けないよ?」
「あははは!わかっておりますよ、カモメさんは自分の闇を受け入れちゃう人ですからねぇ……この慈愛の女神のように心が弱くない……それでは心を蝕むことは出来ません」
なら一体どうしようっていうのだろう……結界から出ることは出来ないだろうし、私の中に入る気もない……それなら?
「カモメさん……何か勘違いしてませんかぁ?」
「どういうこと?」
「なんで私がこんな小さな女神の中にいると思ってます?」
「身体がないからじゃないの?」
「違いますよぉ……私は元々精神体……身体なんてなくても何とでもなります♪」
「っ!そういうことね………」
気づいたのはもちろん私ではない、外で結界を張っているディータが何かに気付いたようだ。
「どういうこと、ディータ?」
「私と一緒よ、私が死んで魂だけになった時、異空間に逃げたのも、その後カモメの中にいたのも『世界』に見つからない為……」
あ、そうか、魂だけの状態だと世界に浄化されてしまう……それを回避するためにディータは異空間にそして私の中に、さらには今はソウルイーターの身体を使っているのだ……つまり。
「そう、リーンの身体がなければ世界に見つかっちゃうから入っていただけ、でもそうするとその体以上の力は使えないのよねぇ……でも、もういいわ、あなた達を殺した後、適当な人間の中に入り直せばいいんですよ……ね!!」
力強い言葉尻を言うと、それと同時にリーンの身体から力が抜け地面へ崩れ落ちる。
そして、それと同時に紫の霧のようなものに目と口がついているようなものがリーンの身体から抜け出てきた。
あの紫の霧みたいなのがリーンの本体と言ったところなのだろうか?
「うふふふふ、やっぱり、この方が開放感がありますね……今ならカモメさんを簡単に殺せそうな気がしますよ♪」
「勘違いか自惚れじゃない?私は特に負ける気しないけど?」
「試してみます?」
「……当然」
『魔』がニヤリと笑うといきなり大爆発が起こる。
「な、何!?」
結界内を包む爆風に私は驚くが、咄嗟に光の壁を展開して自分の身を護った。
「後ろ……ガラ空きですよ?」
「なっ、きゃあああああ!?」
いつの間に後ろに回り込んだのか『魔』が私の後ろから爆発を再び起こす。
今度は間近で放たれたためか、光の壁を壊し、私に襲い掛かってきた。
私はその爆風で吹き飛ばされると地面を転がる。
「くっ」
そうか、ふわふわと幽霊みたいに浮いているから足音なんてないのか……いや、それだけじゃない精神体っていうのは気配もないのだ……爆風で視界を奪われると、相手の居場所が分からなくなる……厄介だね……でも、それなら!
「増幅版!電爆撃!!」
私は結界内全てに雷の魔法を増幅させ迸らせる。
これなら、避けようがないのだから気配が解らなくても問題ない!
……そう、思ったのだが。
「あら、そんなチンケな魔法が私に聞くと思っているのですか?」
「……嘘」
轟く雷の魔法の中を『魔』はまるで全く効果がないとでも言わんばかりに悠々とこちらに移動してきた、そして……。
「あははははは!!」
笑いながら、またも爆発の魔法を私に浴びせ、私は結界に叩きつけられた。
今のは効いた……でも、どうしよう……魔法が効かない?……それともあの精神体っていうのは魔法への抵抗力がとんでもなく高いのか……?
どちらにしても厄介だ……霧状の精神体だからバトーネでもダメージは与えられないだろうし……となれば魔法の属性しだい?光と闇の合成魔法ならいけるかもしれないけど……避けられれば最悪、逃げられる可能性もある……光と闇の合成魔法なら増幅しなくても結界に穴をあけるだろう……さっきまでと違いあの状態の『魔』は下手をすると小さな穴やヒビからも結界から抜け出せてしまうかもしれない……それはまずい。
……困ったぞ……どうにかして光と闇の合成魔法を喰らわせて消滅させないといけなくなってしまった………それなのに、普通の魔法は効かない……いや、全部効かないのか試してみないとわからないか……それなら!
「闇の刃!」
闇の刃を飛ばし、『魔』を切り刻む……だが。
「ですから、効きませんって」
「きゃっ!」
身体を闇の刃に切り刻まれてもすぐに元に戻ってしまった。
そして、そのまま私に近づき再び爆発の攻撃をしてくる。
私はなんとかそれを横に飛びのき躱した……くっそう……闇の魔法も駄目か。
私が『魔』に苦戦をし始めたころ、結界の外で一つの人影がその場から離れようとするかのように少しずつ、少しずつ移動していた。
だけど、その人影に気付いていたのかディータ、制止する。
「何処に行くつもり……?最後まで見ていなさい……カモメが勝つまでね」
「……ええっと、でも私なんて皆さんの役に立ちませんし……あ、ほらっ薬は全部置いていきますから!」
この場から離れようとしていたのは青い髪の少女である。
本人曰く冒険者としてこの戦いに参加している彼女である、先ほどは彼女の持っていた魔法の薬に助けられていもいる。出来ることなら少しでも戦力の欲しい今、彼女にも残っていて欲しいが、無理やり残すのは酷かもしれないと私は思う……が。
「下手な芝居はやめなさい……あなた、才能ないわよ?」
「うぐっ……気付いてますかそうですか……でも」
「ええ、言葉に出すつもりはないわ……でも、ここから離れるのは許さない。貴方はカモメの敵になるかもしれないからね……もし逃げるというのなら……」
「今すぐ結界をときます……ですか?」
「そうよ」
ディータがなんでそんなことを言っているのか私には解らない……どういうこと、あの青髪の子は唯の冒険者じゃないの?……いや、今の私はそれを気にしている場合じゃない、あの子の事はディータに任せよう。
「風弾!!!」
風の魔法を試すもやはり、『魔』にはダメージを与えられなかった……あと、試していないのは光と氷、どちらかがせめてダメージを与えることができればいいが……それがだめなら……最悪はこの結果内すべてを光と闇の魔法でぶっ飛ばすしかないかな……私ごと……。
出来れば自爆なんてしたくないな……いや、絶対したくない……だってまだ冒険したいもん!
私はそんな馬鹿なことを考えながら次に試す魔法を準備していた。
リーンがまたも私の知らない魔法を使ってくる、結界の外の魔法だろう……狼のような形をした影が、こちらに向かって駆けてくる、その攻撃はまるで生きている狼のように地面を翔け、一直線には跳んでこず、左右に跳躍しながら向かってきた。
「迎撃しずらいっ!……それなら、電爆撃!!」
私は雷の魔法を全方位に向けてぶっ放す。
これなら、いくら左右に跳躍しようが関係ない、狼の形をした魔法は私のライトニングブラストに包まれその姿を消滅させた。
「結界の外の魔法って言っても大したことないね!」
「ちっ………」
リーンが舌打ちをする。
確かに結界の外の魔法は見慣れない魔法の為、どんな攻撃が来るか予想が出来ない。
だけど、同じ魔法であることには変わりないのでなにかしら対処の方法があるものである。
「今度はこっちの得意技行くよ!」
そう言うと私は水と風の魔法を合成する……そして。
「ついでに……『増幅』っと」
「なっ!?」
リーンが驚きを表す……いや、リーンだけじゃない外で結界を張っているディータとレナも慌てだしていた。
もしかしたら合成魔法も今の私なら増幅できるんじゃないかと思ってやってみたのだけど意外とすんなり増幅できた。これなら、いつも以上の威力になるはずだ。
「増幅版……魔水風圧弾!!」
「ガァッ!?」
まるで閃光のように輝いたと思えば次の瞬間には圧縮された水の弾がリーンの片腕を吹き飛ばし、そしてディータ達の創った結界にも小さな風穴を開け貫いていた。
「うわ……すごい……」
放った本人である私さえも驚くほどの威力である。
これは……使いどころ考えないと危ないかも……。
結界の外まで軽々貫通するのでは外で眠っている兵士たちにもあたりかねない……そうなったら大変だ。
撃つにしても方向とかはちゃんと考えないとだね。
「ヒ………ヒヒヒヒっ」
「……?」
リーンが不気味な笑いを上げる。
ダメージを喰らっておかしくなった?
それともまた何かを企んでいるのか?
「ええ……ええ……仕方ありません………ヒヒヒ」
「何が仕方ないの?………観念でもした?」
「ええ、観念しましたよ………このままじゃ勝てませんねぇ」
このままじゃ?……やっぱりまだ何か企んでいるのかな?
警戒はしておこう……。
「女神の身体……気に入っていたんですけどねぇ」
「……何?今度は私にでも入ってこようとしてるの?悪いけど、アンタなんかに負けないよ?」
「あははは!わかっておりますよ、カモメさんは自分の闇を受け入れちゃう人ですからねぇ……この慈愛の女神のように心が弱くない……それでは心を蝕むことは出来ません」
なら一体どうしようっていうのだろう……結界から出ることは出来ないだろうし、私の中に入る気もない……それなら?
「カモメさん……何か勘違いしてませんかぁ?」
「どういうこと?」
「なんで私がこんな小さな女神の中にいると思ってます?」
「身体がないからじゃないの?」
「違いますよぉ……私は元々精神体……身体なんてなくても何とでもなります♪」
「っ!そういうことね………」
気づいたのはもちろん私ではない、外で結界を張っているディータが何かに気付いたようだ。
「どういうこと、ディータ?」
「私と一緒よ、私が死んで魂だけになった時、異空間に逃げたのも、その後カモメの中にいたのも『世界』に見つからない為……」
あ、そうか、魂だけの状態だと世界に浄化されてしまう……それを回避するためにディータは異空間にそして私の中に、さらには今はソウルイーターの身体を使っているのだ……つまり。
「そう、リーンの身体がなければ世界に見つかっちゃうから入っていただけ、でもそうするとその体以上の力は使えないのよねぇ……でも、もういいわ、あなた達を殺した後、適当な人間の中に入り直せばいいんですよ……ね!!」
力強い言葉尻を言うと、それと同時にリーンの身体から力が抜け地面へ崩れ落ちる。
そして、それと同時に紫の霧のようなものに目と口がついているようなものがリーンの身体から抜け出てきた。
あの紫の霧みたいなのがリーンの本体と言ったところなのだろうか?
「うふふふふ、やっぱり、この方が開放感がありますね……今ならカモメさんを簡単に殺せそうな気がしますよ♪」
「勘違いか自惚れじゃない?私は特に負ける気しないけど?」
「試してみます?」
「……当然」
『魔』がニヤリと笑うといきなり大爆発が起こる。
「な、何!?」
結界内を包む爆風に私は驚くが、咄嗟に光の壁を展開して自分の身を護った。
「後ろ……ガラ空きですよ?」
「なっ、きゃあああああ!?」
いつの間に後ろに回り込んだのか『魔』が私の後ろから爆発を再び起こす。
今度は間近で放たれたためか、光の壁を壊し、私に襲い掛かってきた。
私はその爆風で吹き飛ばされると地面を転がる。
「くっ」
そうか、ふわふわと幽霊みたいに浮いているから足音なんてないのか……いや、それだけじゃない精神体っていうのは気配もないのだ……爆風で視界を奪われると、相手の居場所が分からなくなる……厄介だね……でも、それなら!
「増幅版!電爆撃!!」
私は結界内全てに雷の魔法を増幅させ迸らせる。
これなら、避けようがないのだから気配が解らなくても問題ない!
……そう、思ったのだが。
「あら、そんなチンケな魔法が私に聞くと思っているのですか?」
「……嘘」
轟く雷の魔法の中を『魔』はまるで全く効果がないとでも言わんばかりに悠々とこちらに移動してきた、そして……。
「あははははは!!」
笑いながら、またも爆発の魔法を私に浴びせ、私は結界に叩きつけられた。
今のは効いた……でも、どうしよう……魔法が効かない?……それともあの精神体っていうのは魔法への抵抗力がとんでもなく高いのか……?
どちらにしても厄介だ……霧状の精神体だからバトーネでもダメージは与えられないだろうし……となれば魔法の属性しだい?光と闇の合成魔法ならいけるかもしれないけど……避けられれば最悪、逃げられる可能性もある……光と闇の合成魔法なら増幅しなくても結界に穴をあけるだろう……さっきまでと違いあの状態の『魔』は下手をすると小さな穴やヒビからも結界から抜け出せてしまうかもしれない……それはまずい。
……困ったぞ……どうにかして光と闇の合成魔法を喰らわせて消滅させないといけなくなってしまった………それなのに、普通の魔法は効かない……いや、全部効かないのか試してみないとわからないか……それなら!
「闇の刃!」
闇の刃を飛ばし、『魔』を切り刻む……だが。
「ですから、効きませんって」
「きゃっ!」
身体を闇の刃に切り刻まれてもすぐに元に戻ってしまった。
そして、そのまま私に近づき再び爆発の攻撃をしてくる。
私はなんとかそれを横に飛びのき躱した……くっそう……闇の魔法も駄目か。
私が『魔』に苦戦をし始めたころ、結界の外で一つの人影がその場から離れようとするかのように少しずつ、少しずつ移動していた。
だけど、その人影に気付いていたのかディータ、制止する。
「何処に行くつもり……?最後まで見ていなさい……カモメが勝つまでね」
「……ええっと、でも私なんて皆さんの役に立ちませんし……あ、ほらっ薬は全部置いていきますから!」
この場から離れようとしていたのは青い髪の少女である。
本人曰く冒険者としてこの戦いに参加している彼女である、先ほどは彼女の持っていた魔法の薬に助けられていもいる。出来ることなら少しでも戦力の欲しい今、彼女にも残っていて欲しいが、無理やり残すのは酷かもしれないと私は思う……が。
「下手な芝居はやめなさい……あなた、才能ないわよ?」
「うぐっ……気付いてますかそうですか……でも」
「ええ、言葉に出すつもりはないわ……でも、ここから離れるのは許さない。貴方はカモメの敵になるかもしれないからね……もし逃げるというのなら……」
「今すぐ結界をときます……ですか?」
「そうよ」
ディータがなんでそんなことを言っているのか私には解らない……どういうこと、あの青髪の子は唯の冒険者じゃないの?……いや、今の私はそれを気にしている場合じゃない、あの子の事はディータに任せよう。
「風弾!!!」
風の魔法を試すもやはり、『魔』にはダメージを与えられなかった……あと、試していないのは光と氷、どちらかがせめてダメージを与えることができればいいが……それがだめなら……最悪はこの結果内すべてを光と闇の魔法でぶっ飛ばすしかないかな……私ごと……。
出来れば自爆なんてしたくないな……いや、絶対したくない……だってまだ冒険したいもん!
私はそんな馬鹿なことを考えながら次に試す魔法を準備していた。
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