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8章
幻影との戦い⓵
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「やって……くれますねぇ!」
エリンシアの魔弾を受け続けていたリーンの幻影が魔力を解放する。
ラガナの言うとおりであればアレは幻影の筈だ……それなのにあれほどの魔力を放てるなんて……。
幻影はとっとと倒して本体をなんて考えていたけどちょっと甘かったかな……。
少し反省をしながらも私はクオンと共にリーンの幻影に攻撃を始める。
クオンが加速し敵に突っ込んでいったので私は魔法でそれを援護だ。
「はああああっ!」
「あらあら、復活なさったんですね」
「お陰様でね!」
クオンの剣戟を躱しながら、リーンの幻影はくすくすと笑う。
「なぜ、僕やレナさんを殺さなかった?何か企んでいるのか?」
「……くすくす」
クオンが不安になるのも解る、約束をしたからとはいえ、あそこまで素直に二人を解放するとは普通は思わないだろう……あのリーンが幻影で、私達にその幻影を倒させるのが目的だとわかっていなければ……助けたばかりですぐに戦いに参加させてしまったクオンはまだそのことを知らない。
それであれば、クオンの疑問は当然のものだと思う。
「私は約束は守るんですよ?」
「ふざけるなっ!」
「あらあら、怖いですねぇ……ああ、そうですか、そうですねぇ……怖いんですねクオンさん?」
「……何?」
クオンが何かを怖がってる?
一体何を怖がっているというだろう?
「魔王さんのように自分が操られていないか……とか?」
「っ!」
………あ。
そうか、そうだ……考えてなかった。そうだよ、魔王の時みたいにクオンやレナさんがリーンに操られている可能性があったじゃん……どうしよう、もしそんなことになってたら……。
ううん、もしそうなっていたとしたら、絶対にリーンを倒さないと……クオン達の洗脳を解くとなるとそうするしかない。
「ご安心してください、貴方にも光の女神にもそう言ったことは一切していませんよ?」
「それを信用しろと?」
「考えてもみてくださいよ、もしそんなことをしていたら私ずっと闇の魔女と闇の女神に追いかけられるんですよ?それもきっと血眼です……そんなの怖いじゃないですか」
「………」
くすくす笑いながらそう語るリーン……確かに、クオンにそんなことをすれば私はリーンを地の果てまででも追いかけるだろう……きっとディータだって。
でも、本当にそんな理由でリーンがそれをしないと言い切れる?……ううん、でも自分を死んだことにするのであれば死の偽装がバレる可能性が残る洗脳をしておく必要はないのかな……。
少なくとも今戦っているクオンに洗脳されているような状態は見受けられない。
魔王の時みたいに目が虚ろになったりしてないしね。
「信用できないって顔ですねぇ」
「ああ、信用できないな!」
「残念!」
クオンの攻撃を躱し、少し距離を取るリーンの幻影、そして再びくすくすと笑いだす。
「とはいえ、ここであなた方と戦う気はありません、せっかく結界が破れたのですから私は身を潜ませてもらいます♪」
そう言うと、身をひるがえし、結界のあった方へと飛んで行こうとする。
「そうは、させませんわ!!」
エリンシアの全力魔弾がリーンの幻影へと襲い掛かる。
だがそれを、リーンの幻影は風の魔法で防ぎ、余裕の表情で再び飛んで逃げようとする……が。
「空を飛べるのはお主だけではないのじゃ」
「そーゆーこと♪」
エリンシアに足止めをされたリーンの幻影の前に私とラガナが姿を現した。
そして私はバトーネでラガナは踵をリーンの幻影の頭部へと振り落とし、リーンはそれを避けることも防ぐことも出来ずくらい、地面へと叩き付けられる。
「ぐ……」
「そーそー、逃がしはしないよ!」
「やってくれますねぇ……いいでしょう……なら、貴方がたを殺してから逃げるとしましょうか……」
そう言うと、リーンの掌から風の刃が私とラガナに襲い掛かる。
それを私はバトーネで、ラガナは素手て叩き落とした。
「なっ……」
やはり、以前戦ったリーンより弱い……魔王の城で戦ったリーンは私とディータ、クオンにエリンシア、それにレディを加えたメンバーで戦っても余裕を持っていた。
今も余裕があるように見せてはいるが……その攻撃は脅威ではない。
「闇魔滅砲!」
「くうう!」
私の闇の魔法を風の魔法で防ごうとして、失敗し、リーンは吹き飛ぶ。
なんというか……うん、リーンは演技が下手だね。
周りで見ている兵士の人達は私たちが押しているのを見て、歓声を上げ始めていた。
まあ、傍から見れば私たちの優勢と言うだけにしか見えないだろう。
実際はこのリーンは偽物で、本物は今もまだ高みの見物をしている。
「ふ……ふふふふ」
幻影が笑い出す。
「何がおかしいの?」
「いえ、一度は闇の魔女として追い立てた奴らが随分と手のひらを返しているなと思っただけですよ」
「………」
「ムカつきません、カモメさん?ああやって自分の都合のいい時だけあなたを英雄扱いするですよ?」
「………」
「あら、だんまりですか、でも私は嫌いなんですよ……ああいうの……ですので、死んじゃってもらいましょうかねぇ、うるさいですし!」
そういうと、突如、私達に背を向け、リーンは特大の炎の魔法を王様や兵士の皆がいる方へと投げ込んだ。
………マズいっ!!
私は風の魔法で空を翔けると、前を進む特大のほのおの球へと追いつく。
「こなくそおおお!!」
その特大の炎の中に風の魔法を纏い突っ込むと、炎の球の中心で風の魔法を解き放ち、炎を離散させる。
「はあっ……はあっ……ぐううう」
「カモメさん!」
「だ、大丈夫だよっ」
とはいえ、無傷でとはいかなかった、とっさの判断とはいえ、ちょっと無理をしすぎたかな……一度その身で炎の魔法を受けたため、かなりのダメージを貰ってしまった。
動けなくなるほどではないが、治癒魔法は駆けておかないとだね。
「やってくれるね……」
「魔女さんはお優しいですねぇ……」
睨みあう二人。
このまま、兵士の人達を攻撃されると厳しい……だけど、まだ王様たちに逃げてもらうわけにはいかない……ここで逃げろと言ってしまうとメリアンナ法王……ううん、リーンの本体も逃げられる可能性があるのだ……何とかして護りながら戦わないと。
エリンシアの魔弾を受け続けていたリーンの幻影が魔力を解放する。
ラガナの言うとおりであればアレは幻影の筈だ……それなのにあれほどの魔力を放てるなんて……。
幻影はとっとと倒して本体をなんて考えていたけどちょっと甘かったかな……。
少し反省をしながらも私はクオンと共にリーンの幻影に攻撃を始める。
クオンが加速し敵に突っ込んでいったので私は魔法でそれを援護だ。
「はああああっ!」
「あらあら、復活なさったんですね」
「お陰様でね!」
クオンの剣戟を躱しながら、リーンの幻影はくすくすと笑う。
「なぜ、僕やレナさんを殺さなかった?何か企んでいるのか?」
「……くすくす」
クオンが不安になるのも解る、約束をしたからとはいえ、あそこまで素直に二人を解放するとは普通は思わないだろう……あのリーンが幻影で、私達にその幻影を倒させるのが目的だとわかっていなければ……助けたばかりですぐに戦いに参加させてしまったクオンはまだそのことを知らない。
それであれば、クオンの疑問は当然のものだと思う。
「私は約束は守るんですよ?」
「ふざけるなっ!」
「あらあら、怖いですねぇ……ああ、そうですか、そうですねぇ……怖いんですねクオンさん?」
「……何?」
クオンが何かを怖がってる?
一体何を怖がっているというだろう?
「魔王さんのように自分が操られていないか……とか?」
「っ!」
………あ。
そうか、そうだ……考えてなかった。そうだよ、魔王の時みたいにクオンやレナさんがリーンに操られている可能性があったじゃん……どうしよう、もしそんなことになってたら……。
ううん、もしそうなっていたとしたら、絶対にリーンを倒さないと……クオン達の洗脳を解くとなるとそうするしかない。
「ご安心してください、貴方にも光の女神にもそう言ったことは一切していませんよ?」
「それを信用しろと?」
「考えてもみてくださいよ、もしそんなことをしていたら私ずっと闇の魔女と闇の女神に追いかけられるんですよ?それもきっと血眼です……そんなの怖いじゃないですか」
「………」
くすくす笑いながらそう語るリーン……確かに、クオンにそんなことをすれば私はリーンを地の果てまででも追いかけるだろう……きっとディータだって。
でも、本当にそんな理由でリーンがそれをしないと言い切れる?……ううん、でも自分を死んだことにするのであれば死の偽装がバレる可能性が残る洗脳をしておく必要はないのかな……。
少なくとも今戦っているクオンに洗脳されているような状態は見受けられない。
魔王の時みたいに目が虚ろになったりしてないしね。
「信用できないって顔ですねぇ」
「ああ、信用できないな!」
「残念!」
クオンの攻撃を躱し、少し距離を取るリーンの幻影、そして再びくすくすと笑いだす。
「とはいえ、ここであなた方と戦う気はありません、せっかく結界が破れたのですから私は身を潜ませてもらいます♪」
そう言うと、身をひるがえし、結界のあった方へと飛んで行こうとする。
「そうは、させませんわ!!」
エリンシアの全力魔弾がリーンの幻影へと襲い掛かる。
だがそれを、リーンの幻影は風の魔法で防ぎ、余裕の表情で再び飛んで逃げようとする……が。
「空を飛べるのはお主だけではないのじゃ」
「そーゆーこと♪」
エリンシアに足止めをされたリーンの幻影の前に私とラガナが姿を現した。
そして私はバトーネでラガナは踵をリーンの幻影の頭部へと振り落とし、リーンはそれを避けることも防ぐことも出来ずくらい、地面へと叩き付けられる。
「ぐ……」
「そーそー、逃がしはしないよ!」
「やってくれますねぇ……いいでしょう……なら、貴方がたを殺してから逃げるとしましょうか……」
そう言うと、リーンの掌から風の刃が私とラガナに襲い掛かる。
それを私はバトーネで、ラガナは素手て叩き落とした。
「なっ……」
やはり、以前戦ったリーンより弱い……魔王の城で戦ったリーンは私とディータ、クオンにエリンシア、それにレディを加えたメンバーで戦っても余裕を持っていた。
今も余裕があるように見せてはいるが……その攻撃は脅威ではない。
「闇魔滅砲!」
「くうう!」
私の闇の魔法を風の魔法で防ごうとして、失敗し、リーンは吹き飛ぶ。
なんというか……うん、リーンは演技が下手だね。
周りで見ている兵士の人達は私たちが押しているのを見て、歓声を上げ始めていた。
まあ、傍から見れば私たちの優勢と言うだけにしか見えないだろう。
実際はこのリーンは偽物で、本物は今もまだ高みの見物をしている。
「ふ……ふふふふ」
幻影が笑い出す。
「何がおかしいの?」
「いえ、一度は闇の魔女として追い立てた奴らが随分と手のひらを返しているなと思っただけですよ」
「………」
「ムカつきません、カモメさん?ああやって自分の都合のいい時だけあなたを英雄扱いするですよ?」
「………」
「あら、だんまりですか、でも私は嫌いなんですよ……ああいうの……ですので、死んじゃってもらいましょうかねぇ、うるさいですし!」
そういうと、突如、私達に背を向け、リーンは特大の炎の魔法を王様や兵士の皆がいる方へと投げ込んだ。
………マズいっ!!
私は風の魔法で空を翔けると、前を進む特大のほのおの球へと追いつく。
「こなくそおおお!!」
その特大の炎の中に風の魔法を纏い突っ込むと、炎の球の中心で風の魔法を解き放ち、炎を離散させる。
「はあっ……はあっ……ぐううう」
「カモメさん!」
「だ、大丈夫だよっ」
とはいえ、無傷でとはいかなかった、とっさの判断とはいえ、ちょっと無理をしすぎたかな……一度その身で炎の魔法を受けたため、かなりのダメージを貰ってしまった。
動けなくなるほどではないが、治癒魔法は駆けておかないとだね。
「やってくれるね……」
「魔女さんはお優しいですねぇ……」
睨みあう二人。
このまま、兵士の人達を攻撃されると厳しい……だけど、まだ王様たちに逃げてもらうわけにはいかない……ここで逃げろと言ってしまうとメリアンナ法王……ううん、リーンの本体も逃げられる可能性があるのだ……何とかして護りながら戦わないと。
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