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8章
心の合成
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わからない……どうして……。
解ってる……あれがクオンじゃないこと……お父さんじゃないこと……ディータでもエリンシアでもないこと………でも、本当にみんなはそんなことを言わない?
わからない……人が自分の事をどう思っているかなんて……わからない……。
(ほぉ~ら、言った通り……以前は信じてるなんて偉そうなこといってたくせに、いざその時になるとやっぱり駄目じゃない)
声が聞こえる……聞いたことある声……誰だっけ……。
(やっぱり、皆、裏切るんだ……こんな『世界』ない方がいいんじゃない?)
「……うるさい」
皆、裏切ったりしない……目の前にいるのも皆じゃない……。
(なら、どうしてそんなに傷ついているの?ああ……もしかしたら本物も同じこと言うんじゃないかって思ってるんだね……そうだよね、こんな厄介な女の子……誰も一緒にいたくないよね……わがままだし、危険だし……)
「…………うるさい」
外では私に死ねと言葉をかける皆がいて、中にはまるでわかっているかのような口ぶりをする奴がいる……。嫌だ……もう、何も聞きたくない。
(結局、アンタは口だけで誰も信じてないんじゃない?だから、怖いんでしょ?)
「……違う」
違う……クオンもディータも、エリンシアもお父さんも絶対にそんなこと言わない……。
解ってる……そんなの解ってる。
(じゃあ、なんでアンタは今、眼を背けてるの?心を閉ざそうとしてるの?)
「………」
(何が……信じられないの?)
そんなの決まっている……皆は信じてる……皆が私に死ねと思ってないことも……。
でも……。
(言えないなら私が言ってあげるね?)
「……やめて」
(アンタが信じられないのは……)
「やめて!」
(アンタ自身よ)
「………っ」
うるさい、うるさいうるさいうるさい………解ってるよ……。
私は本当に正しいの?
世界中の人が私を殺そうとしたり、普通の人が使えないような魔法を使えたり、堕ちた女神の血を引いていたり……心の中に『魔』を飼っていたり……そして今は、結界の外の人間に危険が及ぶのに結界を壊そうとしている……そんな私が生きていていいの?
「貴方は弱い……周りに励ましてくれる仲間がいなければ簡単に折れてしまう……だからこそ、貴方を信用できません……残念ですが死んでもらいます」
蹲り、一人でブツブツと喋っている私を見て『世界』がそう言った。
うるさいっ……解ってるよ……私が弱いことなんて……。
そうだよ……こんな弱い私は死んじゃったほうが……
(ふざけないで!!!)
「……え?」
さっきまで私の事に呆れていたような態度を取っていた、私の『魔』が私を怒鳴る。
(何が、大事な人と一緒にいたいよ……何が裏切られたらその時はその時よ……裏切ってるのはアンタじゃない!)
「っ!?」
(私はそんな簡単に諦めたりしない……いい子ちゃんなんかでいられない……アンタはそんな簡単に仲間を裏切らない!!)
違う……この子……。
「でも、私のせいで誰かが死ぬかも……」
(だったら、死なせないように護って見なさいよ)
「そんなこと……」
(やってもいないうちから諦めるな!!お父さんに何を学んだのさ!クオンと一緒に何を学んできたのさ!)
「……そうだ、そうだった」
この子は『魔』じゃないんだ……ううん、『魔』なんて名前を付けたけど……そう、この子は元から私の中にいた……私自身なんだ……必死に眼を背けてきた私の『魔』の部分……。
(アンタいったよね……私が『世界』を殺そうとするのは大事な人を失いたくないからだって……誰もいない世界なんて嫌だって……偉そうなこと言ってるのに、今のアンタは何?『世界』を殺さない代わりに自分を殺す?自分に自信がないから……自分のせいで人を傷つけるのが怖いから……ふざけないで!!)
そうだよ……結局私は自分に自信がないんだ……怖いんだ……自分の選択が本当に正しいかなんて誰にも分らない……未来を知ることは『世界』にだってできないのだから……ううん、私だけじゃない、きっとディータもエリンシアも王様も……今回の判断が絶対に正しいなんて言えないだろう。
でもそれでも、私は我がままを通そうとした……クオンを死なせたくないと思った……それなのにここに来て、クオンの偽物に死ねと言われて……今の私の選択を本物のクオンに否定された気がして……お父さんにも止められてる気がして……勝手にそう思い込んで…………はあ、ホント私って自分勝手……。
(お願いだから諦めないで……私は嫌だ……一人は嫌だ!………死んだらもう、誰にも会えないんだよ)
「ごめん……私が間違ってた」
泣き崩れる『魔』を私は優しく抱きしめる……。
ううん、違う、『魔』なんかじゃない……この子は私が見ようとしなかった私自身なんだ……。
でも、この子は私と違って『自分』に素直だ……言いたいことを言って……自分を貫いて……きっと今の私にはそれが足りない……迷ってるままじゃ……駄目なんだ!
(私を吸収するの?)
「違うよ……私達は元から一緒だったんだって気づいたんだ……だって、私はいい子ちゃんじゃないもん」
(そうね、お城は壊すし、街は壊すし……誰もあなたをいい子だなんて思ってないわよ)
「うぐ……ひどいなぁ……わ、私だって壊そうと思って壊したんじゃないもん」
(余計、タチが悪いと思うわよ?)
「うぐぅ」
(まあ、気にする必要はないと思うけどね……ホント、気にし過ぎよアンタ……仕方ないから私も協力してあげる)
「ありがとう……貴方と一緒に私は我がままを通すよ……そして絶対にリーンを倒す」
(当然)
私と私が微笑みあうと偽物のクオン達に囲まれていた私の身体から溢れんばかりの魔力が迸る。
「……何?」
世界の戸惑う声が聞こえる……それはそうだ、先ほどまですべてに絶望したかのような目をしていた人間が、いきなり、自信に満ち溢れた眼をして立ち上がったのだから……そして、周りにいた人形を一瞬にして消滅させてしまったのだ……その人の大切な仲間の姿をした人形を。
ありえない……この人間は偽物とわかっていてもそれが出来ない人間だと思っていた。
それなのに……。
目の前の人間は、その自信に満ちた目で『世界』を見据えるのであった。
解ってる……あれがクオンじゃないこと……お父さんじゃないこと……ディータでもエリンシアでもないこと………でも、本当にみんなはそんなことを言わない?
わからない……人が自分の事をどう思っているかなんて……わからない……。
(ほぉ~ら、言った通り……以前は信じてるなんて偉そうなこといってたくせに、いざその時になるとやっぱり駄目じゃない)
声が聞こえる……聞いたことある声……誰だっけ……。
(やっぱり、皆、裏切るんだ……こんな『世界』ない方がいいんじゃない?)
「……うるさい」
皆、裏切ったりしない……目の前にいるのも皆じゃない……。
(なら、どうしてそんなに傷ついているの?ああ……もしかしたら本物も同じこと言うんじゃないかって思ってるんだね……そうだよね、こんな厄介な女の子……誰も一緒にいたくないよね……わがままだし、危険だし……)
「…………うるさい」
外では私に死ねと言葉をかける皆がいて、中にはまるでわかっているかのような口ぶりをする奴がいる……。嫌だ……もう、何も聞きたくない。
(結局、アンタは口だけで誰も信じてないんじゃない?だから、怖いんでしょ?)
「……違う」
違う……クオンもディータも、エリンシアもお父さんも絶対にそんなこと言わない……。
解ってる……そんなの解ってる。
(じゃあ、なんでアンタは今、眼を背けてるの?心を閉ざそうとしてるの?)
「………」
(何が……信じられないの?)
そんなの決まっている……皆は信じてる……皆が私に死ねと思ってないことも……。
でも……。
(言えないなら私が言ってあげるね?)
「……やめて」
(アンタが信じられないのは……)
「やめて!」
(アンタ自身よ)
「………っ」
うるさい、うるさいうるさいうるさい………解ってるよ……。
私は本当に正しいの?
世界中の人が私を殺そうとしたり、普通の人が使えないような魔法を使えたり、堕ちた女神の血を引いていたり……心の中に『魔』を飼っていたり……そして今は、結界の外の人間に危険が及ぶのに結界を壊そうとしている……そんな私が生きていていいの?
「貴方は弱い……周りに励ましてくれる仲間がいなければ簡単に折れてしまう……だからこそ、貴方を信用できません……残念ですが死んでもらいます」
蹲り、一人でブツブツと喋っている私を見て『世界』がそう言った。
うるさいっ……解ってるよ……私が弱いことなんて……。
そうだよ……こんな弱い私は死んじゃったほうが……
(ふざけないで!!!)
「……え?」
さっきまで私の事に呆れていたような態度を取っていた、私の『魔』が私を怒鳴る。
(何が、大事な人と一緒にいたいよ……何が裏切られたらその時はその時よ……裏切ってるのはアンタじゃない!)
「っ!?」
(私はそんな簡単に諦めたりしない……いい子ちゃんなんかでいられない……アンタはそんな簡単に仲間を裏切らない!!)
違う……この子……。
「でも、私のせいで誰かが死ぬかも……」
(だったら、死なせないように護って見なさいよ)
「そんなこと……」
(やってもいないうちから諦めるな!!お父さんに何を学んだのさ!クオンと一緒に何を学んできたのさ!)
「……そうだ、そうだった」
この子は『魔』じゃないんだ……ううん、『魔』なんて名前を付けたけど……そう、この子は元から私の中にいた……私自身なんだ……必死に眼を背けてきた私の『魔』の部分……。
(アンタいったよね……私が『世界』を殺そうとするのは大事な人を失いたくないからだって……誰もいない世界なんて嫌だって……偉そうなこと言ってるのに、今のアンタは何?『世界』を殺さない代わりに自分を殺す?自分に自信がないから……自分のせいで人を傷つけるのが怖いから……ふざけないで!!)
そうだよ……結局私は自分に自信がないんだ……怖いんだ……自分の選択が本当に正しいかなんて誰にも分らない……未来を知ることは『世界』にだってできないのだから……ううん、私だけじゃない、きっとディータもエリンシアも王様も……今回の判断が絶対に正しいなんて言えないだろう。
でもそれでも、私は我がままを通そうとした……クオンを死なせたくないと思った……それなのにここに来て、クオンの偽物に死ねと言われて……今の私の選択を本物のクオンに否定された気がして……お父さんにも止められてる気がして……勝手にそう思い込んで…………はあ、ホント私って自分勝手……。
(お願いだから諦めないで……私は嫌だ……一人は嫌だ!………死んだらもう、誰にも会えないんだよ)
「ごめん……私が間違ってた」
泣き崩れる『魔』を私は優しく抱きしめる……。
ううん、違う、『魔』なんかじゃない……この子は私が見ようとしなかった私自身なんだ……。
でも、この子は私と違って『自分』に素直だ……言いたいことを言って……自分を貫いて……きっと今の私にはそれが足りない……迷ってるままじゃ……駄目なんだ!
(私を吸収するの?)
「違うよ……私達は元から一緒だったんだって気づいたんだ……だって、私はいい子ちゃんじゃないもん」
(そうね、お城は壊すし、街は壊すし……誰もあなたをいい子だなんて思ってないわよ)
「うぐ……ひどいなぁ……わ、私だって壊そうと思って壊したんじゃないもん」
(余計、タチが悪いと思うわよ?)
「うぐぅ」
(まあ、気にする必要はないと思うけどね……ホント、気にし過ぎよアンタ……仕方ないから私も協力してあげる)
「ありがとう……貴方と一緒に私は我がままを通すよ……そして絶対にリーンを倒す」
(当然)
私と私が微笑みあうと偽物のクオン達に囲まれていた私の身体から溢れんばかりの魔力が迸る。
「……何?」
世界の戸惑う声が聞こえる……それはそうだ、先ほどまですべてに絶望したかのような目をしていた人間が、いきなり、自信に満ち溢れた眼をして立ち上がったのだから……そして、周りにいた人形を一瞬にして消滅させてしまったのだ……その人の大切な仲間の姿をした人形を。
ありえない……この人間は偽物とわかっていてもそれが出来ない人間だと思っていた。
それなのに……。
目の前の人間は、その自信に満ちた目で『世界』を見据えるのであった。
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