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8章
リーンの正体
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王様に各国に報せを出してもらってから五日。
今のところリーンが何か動きを見せていることはない。
私達は、まず、このツァインにリーンが潜伏していないかを調べる為、街の中を見て回っていた。
「どう、ラガナ。」
「いないのじゃ」
「この五日間でほとんどの場所は見て回りましたわ……それでもいないとなりますと」
「ツァインにはいないってことかしらね」
むう、私たちの動向を知るには近くにいるのが一番だと思っていたのだけど、どうやらそうでもないらしい。
だとしたら、リーンはどうやって私たちの情報を得ていたんだろう?
「とりあえず、一回、お城に戻ろう……やっぱり王様にも相談した方がいいかも」
「そうね、このまま後五日が立ってしまったらせっかくのチャンスが無駄になってしまう」
「わかったのじゃ」
とりあえず、一度お城に戻り、王様に相談してみることにした。
ディータやエリンシアの言う通り、お城の中でこの話題を言うのはリスクが高い。
なら、聞き耳が立てられない場所で王様に話そうかな?
王様を捕まえて風の魔法で上空に連れて行っちゃうとか?
そう考えながら、私達はお城に戻ってきた。
兵士の人の話だと、今、王様は謁見の間にいるようだ。
誰かと会っているのだろうか?
それなら少し待とうか?と兵士の人に言ったのだが、どうやらその必要はないらしい。
王様に、私が来た場合はいつでも通せと言われているそうだ。
いつ、緊急の用事が出来るか分からないしね、ありがたいことである。
私達は、王様のいる謁見の間へと入った。
そこには一人の女性が王様と話をしている。
あの顔には見覚えがある、光の魔法を操り、光の女神の化身とまで呼ばれている人だ。
まあ、光の女神であるレナは今は捕まっているとはいえ、健在なのだから化身ではないのだろうけど、それほど光の魔法に長けているということである。
「メリアンナ法王……」
「ん、魔女殿かどうかされたか?」
「あ、うん、ちょっと王様に話しがあって……」
「ん、なんだ?」
うーん、どうしよう、光の女神の化身とまで言われているメリアンナ法王ならもしかしたら、もっといい探し方とかも思い付くかもしれないよね?
私たちが知らない光の魔法とかも知っているかもしれないし……それなら、メリアンナ法王にも頼んだ方がいいのかな?
「うん、実は……」
「それがじゃな、結界があるのは海の上じゃろう?どうやって破壊しようかと悩んでおったのじゃ」
私が、リーンを探し出す方法を相談しようとした時、ラガナが私の前に立ち言葉を遮った。
「え、ラガナ?」
「そうじゃろう?我々がここに来たのはどこで結界を破壊するかということを聞きに来たのじゃ、人質を返してもらおうにも海の上じゃ『魔』も返しようがないかもしれんからのう」
そう言うラガナは一瞬私の方を振り返ると、とても真剣な顔で小さく首を振った。
その行動で、私もディータもエリンシアも、なぜラガナが私の言葉を遮ったのか理解したのだ。
「おお、うむ、今まさにそのことをメリアンナ法王と話していてな、メリアンナ法王が良い情報を持ってきてくれたのだ」
「良い情報?」
「ええ、実は我々ベラリッサ法国で独自に謎の大陸の事を調べていたのですが、その時、結界のすぐ近くに小さな島があるのを発見しているのです。あの場所であればカモメさん達も結界を破壊しやすいのではないかと思い、フィルディナンド王に報せに来たのです」
「態々、申し訳ない。メリアンナ法王自らご足労頂いて」
「いえ、『魔』は我々人間すべての敵です、協力するのは当然ですよ」
「助かる」
すごくいい人だ、もしラガナが私を止めていなければきっと私はこの人を信じていただろう。
以前クーネル国で魔族と戦っている時も助けてもらった恩がある……だけど……。
「あの人がリーンなの?」
「うむ、間違いないじゃろう」
一通り、王様たちと話を終えた私達は、一度城を出て風の魔法で街の上空へと移動していた。
どこで誰が話を聞いているか分からない、それなら近くに誰かいればすぐわかる空の上の方が良いだろうということで、私たちがこの話の大事な事を話すときは空の上となっていた。
もちろん、毎回、飛んでいると怪しまれる可能性があるので、街の中や城の中では核心的な言葉は使わないようにしている。リーンの名前を出さず、簡単な言葉だけで話すようにしているのだ。
「あの者から邪悪な気配を感じた……それに、あの姿は偽りじゃ……今回の事がなければ女神の化身と言われている者じゃからな、本当に化身なのか、と思ったかもしれんがのう」
確かに、私たちがディータの姉であるレナのことを知らなかったらもしかして、本当に光の女神が化けているのでは?と思ってしまったかもしれない。
だが、ラガナの言う話では邪悪さも感じたというのだ……そうであるのならば。
「そうね、リーンはもともと女神よ……光の魔法をあれだけ操れてもおかしくはないわ」
『魔』に乗っ取られたとはいえ、リーンは元々慈愛の女神である。
そのリーンの身体を使っているのだから『魔』が光の魔法を操れてもおかしくはない。
「ひとつの国の王として君臨していたのなら、ワタクシ達の動向を知れてもおかしくはありませんわね」
「うん、調べようと思えば簡単に調べられると思う」
それこそ、部下を動かせばいくらでも情報を仕入れられるだろう。
「でも、運がよかったわ、あのタイミングで戻っていなければ気付くことが出来なかったかもしれないわ」
「うん、でもこれで、後は、当日の作戦を考えるだけだよ」
「ええ」
そう、後は当日の作戦を練って、クオン達を取り返すだけだ。
リーンなら、結界を壊すから人質を連れて来いと言えばきっと連れてくる。
たとえ人質を取り返されても結界さえ壊れればリーンにとっては問題ないのだから……。
後は、確実にクオン達を取り返し、リーンを倒すだけである……その為にもリーンに逃げられないよう作戦を練らなきゃね…‥。
今のところリーンが何か動きを見せていることはない。
私達は、まず、このツァインにリーンが潜伏していないかを調べる為、街の中を見て回っていた。
「どう、ラガナ。」
「いないのじゃ」
「この五日間でほとんどの場所は見て回りましたわ……それでもいないとなりますと」
「ツァインにはいないってことかしらね」
むう、私たちの動向を知るには近くにいるのが一番だと思っていたのだけど、どうやらそうでもないらしい。
だとしたら、リーンはどうやって私たちの情報を得ていたんだろう?
「とりあえず、一回、お城に戻ろう……やっぱり王様にも相談した方がいいかも」
「そうね、このまま後五日が立ってしまったらせっかくのチャンスが無駄になってしまう」
「わかったのじゃ」
とりあえず、一度お城に戻り、王様に相談してみることにした。
ディータやエリンシアの言う通り、お城の中でこの話題を言うのはリスクが高い。
なら、聞き耳が立てられない場所で王様に話そうかな?
王様を捕まえて風の魔法で上空に連れて行っちゃうとか?
そう考えながら、私達はお城に戻ってきた。
兵士の人の話だと、今、王様は謁見の間にいるようだ。
誰かと会っているのだろうか?
それなら少し待とうか?と兵士の人に言ったのだが、どうやらその必要はないらしい。
王様に、私が来た場合はいつでも通せと言われているそうだ。
いつ、緊急の用事が出来るか分からないしね、ありがたいことである。
私達は、王様のいる謁見の間へと入った。
そこには一人の女性が王様と話をしている。
あの顔には見覚えがある、光の魔法を操り、光の女神の化身とまで呼ばれている人だ。
まあ、光の女神であるレナは今は捕まっているとはいえ、健在なのだから化身ではないのだろうけど、それほど光の魔法に長けているということである。
「メリアンナ法王……」
「ん、魔女殿かどうかされたか?」
「あ、うん、ちょっと王様に話しがあって……」
「ん、なんだ?」
うーん、どうしよう、光の女神の化身とまで言われているメリアンナ法王ならもしかしたら、もっといい探し方とかも思い付くかもしれないよね?
私たちが知らない光の魔法とかも知っているかもしれないし……それなら、メリアンナ法王にも頼んだ方がいいのかな?
「うん、実は……」
「それがじゃな、結界があるのは海の上じゃろう?どうやって破壊しようかと悩んでおったのじゃ」
私が、リーンを探し出す方法を相談しようとした時、ラガナが私の前に立ち言葉を遮った。
「え、ラガナ?」
「そうじゃろう?我々がここに来たのはどこで結界を破壊するかということを聞きに来たのじゃ、人質を返してもらおうにも海の上じゃ『魔』も返しようがないかもしれんからのう」
そう言うラガナは一瞬私の方を振り返ると、とても真剣な顔で小さく首を振った。
その行動で、私もディータもエリンシアも、なぜラガナが私の言葉を遮ったのか理解したのだ。
「おお、うむ、今まさにそのことをメリアンナ法王と話していてな、メリアンナ法王が良い情報を持ってきてくれたのだ」
「良い情報?」
「ええ、実は我々ベラリッサ法国で独自に謎の大陸の事を調べていたのですが、その時、結界のすぐ近くに小さな島があるのを発見しているのです。あの場所であればカモメさん達も結界を破壊しやすいのではないかと思い、フィルディナンド王に報せに来たのです」
「態々、申し訳ない。メリアンナ法王自らご足労頂いて」
「いえ、『魔』は我々人間すべての敵です、協力するのは当然ですよ」
「助かる」
すごくいい人だ、もしラガナが私を止めていなければきっと私はこの人を信じていただろう。
以前クーネル国で魔族と戦っている時も助けてもらった恩がある……だけど……。
「あの人がリーンなの?」
「うむ、間違いないじゃろう」
一通り、王様たちと話を終えた私達は、一度城を出て風の魔法で街の上空へと移動していた。
どこで誰が話を聞いているか分からない、それなら近くに誰かいればすぐわかる空の上の方が良いだろうということで、私たちがこの話の大事な事を話すときは空の上となっていた。
もちろん、毎回、飛んでいると怪しまれる可能性があるので、街の中や城の中では核心的な言葉は使わないようにしている。リーンの名前を出さず、簡単な言葉だけで話すようにしているのだ。
「あの者から邪悪な気配を感じた……それに、あの姿は偽りじゃ……今回の事がなければ女神の化身と言われている者じゃからな、本当に化身なのか、と思ったかもしれんがのう」
確かに、私たちがディータの姉であるレナのことを知らなかったらもしかして、本当に光の女神が化けているのでは?と思ってしまったかもしれない。
だが、ラガナの言う話では邪悪さも感じたというのだ……そうであるのならば。
「そうね、リーンはもともと女神よ……光の魔法をあれだけ操れてもおかしくはないわ」
『魔』に乗っ取られたとはいえ、リーンは元々慈愛の女神である。
そのリーンの身体を使っているのだから『魔』が光の魔法を操れてもおかしくはない。
「ひとつの国の王として君臨していたのなら、ワタクシ達の動向を知れてもおかしくはありませんわね」
「うん、調べようと思えば簡単に調べられると思う」
それこそ、部下を動かせばいくらでも情報を仕入れられるだろう。
「でも、運がよかったわ、あのタイミングで戻っていなければ気付くことが出来なかったかもしれないわ」
「うん、でもこれで、後は、当日の作戦を考えるだけだよ」
「ええ」
そう、後は当日の作戦を練って、クオン達を取り返すだけだ。
リーンなら、結界を壊すから人質を連れて来いと言えばきっと連れてくる。
たとえ人質を取り返されても結界さえ壊れればリーンにとっては問題ないのだから……。
後は、確実にクオン達を取り返し、リーンを倒すだけである……その為にもリーンに逃げられないよう作戦を練らなきゃね…‥。
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