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6章
帰還
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「……カモメ?」
「えへへ、ごめんね、迷惑かけて……」
「戻りましたのね!」
「うん、もう大丈夫。『魔』は抑え込めたよ」
微笑みながらそう言うカモメに、エリンシアは安堵の表情で微笑み返し、ディータは当然という顔でよくやったと褒めた……そしてクオンは「おかえり」とカモメの頭を撫でるのであった。
「もう『魔』は出てくることはありませんの?」
「それは……わかんない。あっさりと消えちゃったし、まだ私の中にいるとは思うけど……また出てこようとするかは……」
「そうなんですのね……まあ、また出てきたらワタクシたちが何とか致しますわ♪」
「ううん、今度はもう出てこさせないよ」
自信たっぷりの顔で言うカモメにディータは尋ねる。
「ディータ……だよね?元の姿に戻れたんだ?」
「ええ、そう言えば、貴方は過去を見た時に私を見ているんだったわね……アークミスラのお陰で戻ることが出来たわ……それより、気を操れるようになったのね?」
「うん、後、リーンから受け継いだ女神の魔力もね♪」
「なんですって?」
「見てて……」
そう言うと、カモメは自分の周りに魔力を溢れ出させた。
今まではディータの闇の魔法を使えるようになってから黒い魔力がカモメの周りには現れていたのだが、今は黒と白が混ざり合った……いや、光と闇の魔力とでもいうべき魔力がカモメの周りを漂っていた。
その魔力を纏ったカモメの姿は幻想的で綺麗だと思わせる程であった。
「凄い……」
「なんか綺麗ですわね」
「これなら多分、光と闇の合成魔法も使いこなせると思う……それに、気も使えるようになったから戦力アップだよ♪」
コハクのレベルでさえ、気を覚えた時には一気に力を増していた。
カモメのレベルで気を覚えたらいったいどれほどの強さになるのだろうか?
しかも、魔力も飛躍的に上がっている。合成魔法を使えない『魔』に操られたカモメでさえ、十二神将をいとも簡単に倒していたのだ……今のカモメの力は想像がつかないほどであろう。
「でも、ごめんね……その……皆に色々迷惑を掛けて……」
「はい?何言ってるのよ……迷惑なんかじゃないわ、そもそもあれはカモメじゃなくて『魔』だったんだし」
「そうですわ、お友達が困っているのですから助けるのは当然ですわよ♪それに、反対の立場でしたらカモメさんは謝れても困るんじゃありません?」
「う……確かに……」
「そうだね、僕だって君と出会った時は色々迷惑を掛けちゃったんだし、おあいこだよ」
「ありがとう……皆」
涙を眼に溜めながらも笑顔でお礼を言うカモメを温かく迎え入れる3人であった。
「ふむ、まあ、無事でよかったのじゃ……それより、そろそろこの里を出て行った方がよさそうなのじゃ」
一人、輪には入らず傍観していたラガナであったが、周りの反応を見ながらカモメ達に忠告をする。
「え、なぜ?」
ラガナが周りを警戒している様子を見せていたので、カモメは周囲を確認するために周りを見渡した。
「え……ドラゴンたち?」
見ると、警戒と不安、そして敵意と恐怖を持った目で周りのドラゴンたちがこちらを見ている。
「まあ、あの姿を見たら事情を知らないドラゴンたちは当然こういう反応をするわよね」
「そっか……そうだよね……それだけ酷いことを私はしてたんだし」
「でも、カモメは魔族以外に攻撃をしていない」
「それは貴方がカモメを抑えていたからでしょう?」
「……」
そう、クオンがカモメを抑えていたからこそ竜達に被害は無かった。
だが、クオンと戦っている間もカモメの口を使い、ドラゴンを滅ぼす、世界を殺すと言い続けていたのだ。ドラゴンたちが警戒するのは無理もない話である。
「急いでここから出たほうがよさそうね」
「ですわね、警戒しているうちに行かないと争いになりかねませんわ」
「じゃあ、せめてアークミスラさんにお礼を言って……」
「必要ないのじゃ、じっさまはもういないのじゃ」
「え……そんな……?」
「それはカモメのせいじゃないのじゃ、じっさまは魔族に殺された誇り高い姿だったのじゃ」
「ええ、だからとりあえずは逃げましょう」
ディータの言葉に従い、すぐにこの場を離れ、通ってきた門を使い元のドラグ山脈へと移動するカモメたち……今回の戦いで一番の被害を受けたのは紛れもなくドラゴン達だろう。
多くの同胞と、長であるアークミスラを失い、魔族に新たな隠れ里の場所も見つかってしまった。
失ったものが多すぎるのだ……。
「さて、見送りはここまでじゃな」
「え?」
「余はしばらくここに残るのじゃ……さすがにレガロールだけでは心配だしのう」
門を通り、ドラグ山脈へ戻ってきた所で、ラガナは足を止めそう言った。
確かに、あれだけのものを失ったドラゴンたちは今再び魔族に襲われでもしたら一溜りも無い……確実に全滅してしまうだろう。ラガナが残るというのも分からないでもないのだが……。
「でも、ラガナは異常種でドラゴンたちの中では……」
「うむ、爪弾きものじゃ、じゃが、やはり余もドラゴンなのじゃ……同族が絶望に沈んでいるのを見て見ぬふりは出来ぬのじゃ……それに、このままではカモメに怒りの矛先が向く可能性もあるのじゃ」
どういうこと?と思うカモメを余所に、ディータがラガナに賛同した。
「そうね、私たちが来たタイミングで魔族が襲撃、しかも『魔』に捕らわれたカモメは竜を滅ぼすとまで言ってしまっている……魔族を招き入れたのも私達だと思われる可能性があるわね」
「うむ、幸いレガロールはそうでないことを分かっているようだったしな、あ奴に協力して竜達を説得するつもりじゃ」
もし、人間が魔族と共闘したなどと勘違いされてしまったら他の人間にまで矛先が向くかもしれない。
それを防ぐためにラガナは自ら残ると言ってくれたのだ。
一度、自分から出ていった場所で、きっと負い目などもあるのかもしれない、良い顔もされないだろう、でもそれでも、同胞のために、仲間の為に、友のために、ここに残ると言ったのだ。
「わかったよ、ありがとうラガナ」
「ふむ、礼などいらぬのじゃ、それより、今度はその新たな力で余と勝負をして欲しいのじゃ」
「あはは、相変わらず好きだね……うん、わかった、約束だよ」
「うむ、約束じゃ……それでは達者になのじゃ、レディたちのことは頼んだのじゃ」
「うん」
そうして、ラガナを一人残し、カモメ達はツァインへと帰路に着くのであった。
「えへへ、ごめんね、迷惑かけて……」
「戻りましたのね!」
「うん、もう大丈夫。『魔』は抑え込めたよ」
微笑みながらそう言うカモメに、エリンシアは安堵の表情で微笑み返し、ディータは当然という顔でよくやったと褒めた……そしてクオンは「おかえり」とカモメの頭を撫でるのであった。
「もう『魔』は出てくることはありませんの?」
「それは……わかんない。あっさりと消えちゃったし、まだ私の中にいるとは思うけど……また出てこようとするかは……」
「そうなんですのね……まあ、また出てきたらワタクシたちが何とか致しますわ♪」
「ううん、今度はもう出てこさせないよ」
自信たっぷりの顔で言うカモメにディータは尋ねる。
「ディータ……だよね?元の姿に戻れたんだ?」
「ええ、そう言えば、貴方は過去を見た時に私を見ているんだったわね……アークミスラのお陰で戻ることが出来たわ……それより、気を操れるようになったのね?」
「うん、後、リーンから受け継いだ女神の魔力もね♪」
「なんですって?」
「見てて……」
そう言うと、カモメは自分の周りに魔力を溢れ出させた。
今まではディータの闇の魔法を使えるようになってから黒い魔力がカモメの周りには現れていたのだが、今は黒と白が混ざり合った……いや、光と闇の魔力とでもいうべき魔力がカモメの周りを漂っていた。
その魔力を纏ったカモメの姿は幻想的で綺麗だと思わせる程であった。
「凄い……」
「なんか綺麗ですわね」
「これなら多分、光と闇の合成魔法も使いこなせると思う……それに、気も使えるようになったから戦力アップだよ♪」
コハクのレベルでさえ、気を覚えた時には一気に力を増していた。
カモメのレベルで気を覚えたらいったいどれほどの強さになるのだろうか?
しかも、魔力も飛躍的に上がっている。合成魔法を使えない『魔』に操られたカモメでさえ、十二神将をいとも簡単に倒していたのだ……今のカモメの力は想像がつかないほどであろう。
「でも、ごめんね……その……皆に色々迷惑を掛けて……」
「はい?何言ってるのよ……迷惑なんかじゃないわ、そもそもあれはカモメじゃなくて『魔』だったんだし」
「そうですわ、お友達が困っているのですから助けるのは当然ですわよ♪それに、反対の立場でしたらカモメさんは謝れても困るんじゃありません?」
「う……確かに……」
「そうだね、僕だって君と出会った時は色々迷惑を掛けちゃったんだし、おあいこだよ」
「ありがとう……皆」
涙を眼に溜めながらも笑顔でお礼を言うカモメを温かく迎え入れる3人であった。
「ふむ、まあ、無事でよかったのじゃ……それより、そろそろこの里を出て行った方がよさそうなのじゃ」
一人、輪には入らず傍観していたラガナであったが、周りの反応を見ながらカモメ達に忠告をする。
「え、なぜ?」
ラガナが周りを警戒している様子を見せていたので、カモメは周囲を確認するために周りを見渡した。
「え……ドラゴンたち?」
見ると、警戒と不安、そして敵意と恐怖を持った目で周りのドラゴンたちがこちらを見ている。
「まあ、あの姿を見たら事情を知らないドラゴンたちは当然こういう反応をするわよね」
「そっか……そうだよね……それだけ酷いことを私はしてたんだし」
「でも、カモメは魔族以外に攻撃をしていない」
「それは貴方がカモメを抑えていたからでしょう?」
「……」
そう、クオンがカモメを抑えていたからこそ竜達に被害は無かった。
だが、クオンと戦っている間もカモメの口を使い、ドラゴンを滅ぼす、世界を殺すと言い続けていたのだ。ドラゴンたちが警戒するのは無理もない話である。
「急いでここから出たほうがよさそうね」
「ですわね、警戒しているうちに行かないと争いになりかねませんわ」
「じゃあ、せめてアークミスラさんにお礼を言って……」
「必要ないのじゃ、じっさまはもういないのじゃ」
「え……そんな……?」
「それはカモメのせいじゃないのじゃ、じっさまは魔族に殺された誇り高い姿だったのじゃ」
「ええ、だからとりあえずは逃げましょう」
ディータの言葉に従い、すぐにこの場を離れ、通ってきた門を使い元のドラグ山脈へと移動するカモメたち……今回の戦いで一番の被害を受けたのは紛れもなくドラゴン達だろう。
多くの同胞と、長であるアークミスラを失い、魔族に新たな隠れ里の場所も見つかってしまった。
失ったものが多すぎるのだ……。
「さて、見送りはここまでじゃな」
「え?」
「余はしばらくここに残るのじゃ……さすがにレガロールだけでは心配だしのう」
門を通り、ドラグ山脈へ戻ってきた所で、ラガナは足を止めそう言った。
確かに、あれだけのものを失ったドラゴンたちは今再び魔族に襲われでもしたら一溜りも無い……確実に全滅してしまうだろう。ラガナが残るというのも分からないでもないのだが……。
「でも、ラガナは異常種でドラゴンたちの中では……」
「うむ、爪弾きものじゃ、じゃが、やはり余もドラゴンなのじゃ……同族が絶望に沈んでいるのを見て見ぬふりは出来ぬのじゃ……それに、このままではカモメに怒りの矛先が向く可能性もあるのじゃ」
どういうこと?と思うカモメを余所に、ディータがラガナに賛同した。
「そうね、私たちが来たタイミングで魔族が襲撃、しかも『魔』に捕らわれたカモメは竜を滅ぼすとまで言ってしまっている……魔族を招き入れたのも私達だと思われる可能性があるわね」
「うむ、幸いレガロールはそうでないことを分かっているようだったしな、あ奴に協力して竜達を説得するつもりじゃ」
もし、人間が魔族と共闘したなどと勘違いされてしまったら他の人間にまで矛先が向くかもしれない。
それを防ぐためにラガナは自ら残ると言ってくれたのだ。
一度、自分から出ていった場所で、きっと負い目などもあるのかもしれない、良い顔もされないだろう、でもそれでも、同胞のために、仲間の為に、友のために、ここに残ると言ったのだ。
「わかったよ、ありがとうラガナ」
「ふむ、礼などいらぬのじゃ、それより、今度はその新たな力で余と勝負をして欲しいのじゃ」
「あはは、相変わらず好きだね……うん、わかった、約束だよ」
「うむ、約束じゃ……それでは達者になのじゃ、レディたちのことは頼んだのじゃ」
「うん」
そうして、ラガナを一人残し、カモメ達はツァインへと帰路に着くのであった。
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