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6章
闇に飲まれし者
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カモメから溢れ出す赤と黒の混じったような色をした魔力。
カモメはただ棒立ちをしているだけである……だけであるのだが、そのカモメの姿を見た魔族も、ドラゴンも恐怖の表情を浮かべていた。
「闇の刃」
カモメがポツリと言葉を漏らす。
その言葉には力もなく淡々と発せられるが、その眼にはハッキリと殺意が籠っていた。
「な、なんだこりゃ!ぎゃあああああああああああああああ!!!」
今までのオプスラミナであれば一つの闇の刃が縦横無尽に舞いながら敵を切り刻む、そう言う魔法であったが、今のカモメの放ったオプスラミナはその数が3つに増えている。
そして、その3つの刃がそれぞれ別の方向からベラモルトに襲い掛かった。
「げ、げふっ……ば、馬鹿な!!」
身体を切り刻まれ、すでにボロボロのベラモルト。
一瞬で魔族をその状態にしてしまったカモメにドラゴンたちは恐怖を覚えていた。
「カモメ……魔法が?……いやでも……」
カモメの様子のおかしさにクオンは焦りを覚えた。
(相棒……ありゃマズいぜ?完全に怒りに飲まれちまってる……確か姐さんの中にある『魔』って……)
そう、怒りや憎悪など負の感情に反応するはずだ。
だが、今までだって、カモメは怒ったり悲しんだりしていた……なぜ、今回だけこんな反応を?
「いや、そうか……光と闇の合成魔法を使った時、魔力の暴走を起こしたのがすでに兆しだったのか……」
そう、カモメが光と闇の魔法を使った時、『魔』の力も解放されていた。
あの魔法を操るには『女神の力』と『魔の力』両方を解放しなければ操ることが出来なかったのだ。
それだけ、あの魔法の威力は高く、普通の人間には制御できないほどの魔法であった。
それを、感覚で感じ取ったカモメは、無意識に自分の中にある可能性をすべて解き放ったのだ。
その結果、『魔の力』も解き放ってしまい、カモメの中で暴れる『魔の力』を抑え込むために、カモメの魔力は暴走状態へとなっていたのだ。
だが、ベラモルトの卑劣な行いを目の当たりしたカモメは、怒り、そして、『魔の力』がカモメの魔力を上回ってしまったのだ。
つまり、カモメはリーンと同じく――――――――――――『闇』に堕ちた。
今まで、無表情であったカモメの口元が吊り上がる。
「無様だね」
実に楽しそうに目の前でもがくベラモルトを見ていた。
「ひ、ひぃっ!」
魔族であるベラモルトがカモメの赤黒い、狂気に染まった眼を見て恐怖に震える。
「ばいばい」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!」
カモメが、冷たくそう言い放つと、再び現れた闇の刃によりベラモルトは悲鳴と共に滅びるのであった。
「ま、魔族があんなに簡単に……」
「あ、あれ……なんなの?」
ドラゴンたちがカモメを見る目には恐怖しかなかった。
魔族が滅び、自分たちが助かったなどと考える者は一人もいない。
なぜなら、今目の前にいる人間はその魔族より遥かに恐ろしいのだ。
「いけないっ!!」
クオンはカモメの異常事態を察知し、カモメの元へと走り出す。
先ほどまでカモメの元へ行く事を邪魔していたマゼンダも今はカモメに恐怖をし動くとことも出来ないでいた。
「カモメ!!!」
カモメに呼びかけるクオン。
その声には焦りと不安の声が混じっていた。
「あ、クオン、どうしたの?」
「カモメ」
良かった、自分の事を認識している、カモメがカモメでなくなってしまったんじゃないかと不安に思っていたクオンは安堵の息を漏らす……が、その表情は次の瞬間凍り付いた。
「ねえ、クオン、世界を壊しに行こ♪」
「………え?」
「あ、でもその前に、人間も殺したいし、ここにいるドラゴンも殺さないと♪」
「な、何を言ってるんだ?」
「だって人間は私を裏切ったし、ドラゴンも私達を信じなかったし……だから、邪魔になるじゃない?」
「カモメ!!」
「あー、でもその前に、お父さんとお母さんを殺した魔族たちをぜーんぶ殺さないとだね―――――――――――――ねえ、魔族さん?」
クオンと話をしていたカモメが、離れたところで動けなくなっていたマゼンダに語り掛ける。
その眼を見たマゼンダは「ひぃ」と悲鳴を上げた。
その次の瞬間、クオンの目の前にいたカモメはまるで消えたかのようなスピードでその場から移動し、そのまた次の瞬間にはマゼンダの目の前に現れていた。
「ばいばい――――闇魔滅砲」
カモメの放った闇の魔法がマゼンダを一瞬にして無に還す、そして、その威力はそれだけで終わらず、マゼンダのいた辺り一帯は草も、木も、岩も何もかもが無くなっていた。
(相棒……姐さんの魔法はあんなに凶悪だったか?)
「いや、確かにカモメの魔法はすごい威力だけど、あんな風に何も考えず撃つような娘じゃなかった……」
(相棒……このままじゃマズいぜ?)
「解ってる!」
再び、カモメの元に走るクオン。
「カモメ、やめるんだ!!」
「……クオン?」
「君はこんなこと、望んでないだろ!人間も、ドラゴンも、世界も!君は殺したいなんて望んでいない!」
「何言ってるの?全部殺したいよ?」
「違う!君はそんなこと望んでない!君は皆が笑顔でいられることを願っていたはずだ!」
「そんなの無理だよ?だって、世界が私の幸せを邪魔するんだよ?」
「違う!それは君の中にある『魔』がそう思わせているだけだ!」
「………」
何を言っているのか分からないという顔をするカモメ。
本当に目の前にいるのはカモメなのだろうか?
先ほどまで、自分よりドラゴンたちを護って欲しいと願っていたカモメ、それがなぜ、ドラゴンを殺すと?いや、ドラゴンだけじゃない、人間も世界も殺すと言っている、そうなれば、ツァインの国もクーネルの国も、カモメを受け入れてくれた人たちをも殺すことになる。
そんなこと、カモメが望むわけがない。
「絶対に、君にそんなことをさせない」
「アハハハハ、クオンも私を裏切るんだ?それじゃ、しょうがないね……殺さなきゃ♪」
「やっぱり、今の君はカモメじゃない……『偽物』!カモメを穢すな!!」
「私は私だよー♪」
「本当の君を引っ張り出してやる……カモメ、『魔』なんかに負けるな!!」
「無理無理~♪」
カモメはバトーネを引き抜き、クオンへと襲い掛かった。
「ぐっ」
クオンはそれをクレイジュで受け止めるが、その攻撃の重さに小さな声を漏らした。
「クオン……ばいばい」
そして、距離の詰まったその場所で、闇の魔法をクオンに目掛けて放つのであった。
カモメはただ棒立ちをしているだけである……だけであるのだが、そのカモメの姿を見た魔族も、ドラゴンも恐怖の表情を浮かべていた。
「闇の刃」
カモメがポツリと言葉を漏らす。
その言葉には力もなく淡々と発せられるが、その眼にはハッキリと殺意が籠っていた。
「な、なんだこりゃ!ぎゃあああああああああああああああ!!!」
今までのオプスラミナであれば一つの闇の刃が縦横無尽に舞いながら敵を切り刻む、そう言う魔法であったが、今のカモメの放ったオプスラミナはその数が3つに増えている。
そして、その3つの刃がそれぞれ別の方向からベラモルトに襲い掛かった。
「げ、げふっ……ば、馬鹿な!!」
身体を切り刻まれ、すでにボロボロのベラモルト。
一瞬で魔族をその状態にしてしまったカモメにドラゴンたちは恐怖を覚えていた。
「カモメ……魔法が?……いやでも……」
カモメの様子のおかしさにクオンは焦りを覚えた。
(相棒……ありゃマズいぜ?完全に怒りに飲まれちまってる……確か姐さんの中にある『魔』って……)
そう、怒りや憎悪など負の感情に反応するはずだ。
だが、今までだって、カモメは怒ったり悲しんだりしていた……なぜ、今回だけこんな反応を?
「いや、そうか……光と闇の合成魔法を使った時、魔力の暴走を起こしたのがすでに兆しだったのか……」
そう、カモメが光と闇の魔法を使った時、『魔』の力も解放されていた。
あの魔法を操るには『女神の力』と『魔の力』両方を解放しなければ操ることが出来なかったのだ。
それだけ、あの魔法の威力は高く、普通の人間には制御できないほどの魔法であった。
それを、感覚で感じ取ったカモメは、無意識に自分の中にある可能性をすべて解き放ったのだ。
その結果、『魔の力』も解き放ってしまい、カモメの中で暴れる『魔の力』を抑え込むために、カモメの魔力は暴走状態へとなっていたのだ。
だが、ベラモルトの卑劣な行いを目の当たりしたカモメは、怒り、そして、『魔の力』がカモメの魔力を上回ってしまったのだ。
つまり、カモメはリーンと同じく――――――――――――『闇』に堕ちた。
今まで、無表情であったカモメの口元が吊り上がる。
「無様だね」
実に楽しそうに目の前でもがくベラモルトを見ていた。
「ひ、ひぃっ!」
魔族であるベラモルトがカモメの赤黒い、狂気に染まった眼を見て恐怖に震える。
「ばいばい」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!」
カモメが、冷たくそう言い放つと、再び現れた闇の刃によりベラモルトは悲鳴と共に滅びるのであった。
「ま、魔族があんなに簡単に……」
「あ、あれ……なんなの?」
ドラゴンたちがカモメを見る目には恐怖しかなかった。
魔族が滅び、自分たちが助かったなどと考える者は一人もいない。
なぜなら、今目の前にいる人間はその魔族より遥かに恐ろしいのだ。
「いけないっ!!」
クオンはカモメの異常事態を察知し、カモメの元へと走り出す。
先ほどまでカモメの元へ行く事を邪魔していたマゼンダも今はカモメに恐怖をし動くとことも出来ないでいた。
「カモメ!!!」
カモメに呼びかけるクオン。
その声には焦りと不安の声が混じっていた。
「あ、クオン、どうしたの?」
「カモメ」
良かった、自分の事を認識している、カモメがカモメでなくなってしまったんじゃないかと不安に思っていたクオンは安堵の息を漏らす……が、その表情は次の瞬間凍り付いた。
「ねえ、クオン、世界を壊しに行こ♪」
「………え?」
「あ、でもその前に、人間も殺したいし、ここにいるドラゴンも殺さないと♪」
「な、何を言ってるんだ?」
「だって人間は私を裏切ったし、ドラゴンも私達を信じなかったし……だから、邪魔になるじゃない?」
「カモメ!!」
「あー、でもその前に、お父さんとお母さんを殺した魔族たちをぜーんぶ殺さないとだね―――――――――――――ねえ、魔族さん?」
クオンと話をしていたカモメが、離れたところで動けなくなっていたマゼンダに語り掛ける。
その眼を見たマゼンダは「ひぃ」と悲鳴を上げた。
その次の瞬間、クオンの目の前にいたカモメはまるで消えたかのようなスピードでその場から移動し、そのまた次の瞬間にはマゼンダの目の前に現れていた。
「ばいばい――――闇魔滅砲」
カモメの放った闇の魔法がマゼンダを一瞬にして無に還す、そして、その威力はそれだけで終わらず、マゼンダのいた辺り一帯は草も、木も、岩も何もかもが無くなっていた。
(相棒……姐さんの魔法はあんなに凶悪だったか?)
「いや、確かにカモメの魔法はすごい威力だけど、あんな風に何も考えず撃つような娘じゃなかった……」
(相棒……このままじゃマズいぜ?)
「解ってる!」
再び、カモメの元に走るクオン。
「カモメ、やめるんだ!!」
「……クオン?」
「君はこんなこと、望んでないだろ!人間も、ドラゴンも、世界も!君は殺したいなんて望んでいない!」
「何言ってるの?全部殺したいよ?」
「違う!君はそんなこと望んでない!君は皆が笑顔でいられることを願っていたはずだ!」
「そんなの無理だよ?だって、世界が私の幸せを邪魔するんだよ?」
「違う!それは君の中にある『魔』がそう思わせているだけだ!」
「………」
何を言っているのか分からないという顔をするカモメ。
本当に目の前にいるのはカモメなのだろうか?
先ほどまで、自分よりドラゴンたちを護って欲しいと願っていたカモメ、それがなぜ、ドラゴンを殺すと?いや、ドラゴンだけじゃない、人間も世界も殺すと言っている、そうなれば、ツァインの国もクーネルの国も、カモメを受け入れてくれた人たちをも殺すことになる。
そんなこと、カモメが望むわけがない。
「絶対に、君にそんなことをさせない」
「アハハハハ、クオンも私を裏切るんだ?それじゃ、しょうがないね……殺さなきゃ♪」
「やっぱり、今の君はカモメじゃない……『偽物』!カモメを穢すな!!」
「私は私だよー♪」
「本当の君を引っ張り出してやる……カモメ、『魔』なんかに負けるな!!」
「無理無理~♪」
カモメはバトーネを引き抜き、クオンへと襲い掛かった。
「ぐっ」
クオンはそれをクレイジュで受け止めるが、その攻撃の重さに小さな声を漏らした。
「クオン……ばいばい」
そして、距離の詰まったその場所で、闇の魔法をクオンに目掛けて放つのであった。
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