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6章
マゼンダ
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竜の住処の外れにある広場。
そこに、竜達は避難をしていた。ある者は怯え、ある者は自分の血からの無さを悔やみ、ある者は絶望をしている。そんな広場に、恐怖の象徴ともいえる者が現れる。
「お~っほっほっほ!や~っと見つけたわよ!トカゲちゃんたち!」
女性のような姿と喋り方をした魔族が、槍のような武器を手に持ちながら現れる。
「あ……あ……魔族が……」
その姿に竜達は恐怖する。
当然だ、ここにいる者の大半は戦闘力の低いドラゴンなのだから。
「クオン?」
「どうやら、本当に敵がきちゃったみたいだね」
「そんな、それじゃ、エリンシア達は?」
「ううん、エリンシア達がこんなに早くやられるとは思えないから、ただ単に敵の数が多かったんじゃないかな」
「そ、そっか……ク、クオン?」
「うん任せて、アイツにはここにいる誰にも手を出させないよ」
「うん!」
クオンはそう言うと、その場から駆け出す。
広場にある大きめの岩(先程クオンがめり込んだ岩)を踏み台にすると固まっているドラゴンたちをジャンプ一番飛び越え、ドラゴンたちと魔族の間に着地する。
「また、人間?……アナタもあの高飛車なお嬢ちゃんのお仲間かしら?」
「ええ、そうですよ」
「貴方も厄介そうね……」
「かもしれませんね?」
先ほどまでの余裕がなくなり、額に汗を浮かべさせながらクオンを見る魔族に、クオンは余裕の笑顔で答える。これまで、何人もの魔族と戦ってきたクオン達は油断はしないが必要以上に気負う事も無くなっていた。
(相棒、油断するなよ)
「当然……ここにいる誰一人、傷つけさせないよ……カモメと約束したからね」
(そいつは頼もしいぜ)
クオンはクレイジュを抜くと、先ほどまでの笑顔から一気にさっきの籠った目つきへと変わる。
そして、次の瞬間には魔族との間合いを詰めていた。
「ぐっ!」
クオンの一閃を魔族は手にしていた槍で防ぐ、そして次々に繰り出されるクオンの攻撃を防ぎ続けた。
(ちっ、なかなかできるなこの魔族!)
「見くびらないで欲しいねぇ!!」
「ちっ!」
魔族は槍を回転させながらクオンの猛攻を抜け、クオンの胸目掛けて一撃を突く。
クオンはそれを流れるような動きで躱し、再び攻撃に移るが、槍の柄を使いその攻撃を躱す魔族。
傍から見ていると演舞でも見ているかのようなその美しい二人の動きは見ているドラゴンたちを魅了していた。
「な、なんだ、あれ……」
「人間と魔族が戦っている……そんなことあり得るのかよ?」
「人間にもあんなに強い奴がいるのか……いや、それ以前になんで人間が俺たちを助ける!?」
「解らん……だが、あいつ等だろ?アークミスラ様が言っていた人間って……」
「以前、人間が裏切ったのは『魔』とか言うのに操られての事だとか寝言を言っていた奴の事か?」
「そいつら以外にこの竜の住処に人間がいるわけねぇし…‥」
竜達は困惑もしている。
自分たちを裏切り、現在では自分たちを魔物扱いしている人間だ。
そんな人間が自分たちを助けるとは思っていなかった、いや、それだけではない、自分たちですらかなわない魔族相手にたった一人で互角に戦えているのだ。竜達は自分の眼を疑った事だろう。
「ちっ、これならどうだい!!」
魔族の槍から無数の黒い槍のようなものが出現し、それが同時にクオンを攻める。
「クレイジュ!」
(おうよ!!)
クオンの掛け声に応えるようにクレイジュが光り、その光がクオンまで伝わる。
光の力で強化されたクオンの動きは先ほどよりもさらに速くなっていた。
そして、その剣速で迫りくる黒い槍を悉く撃ち落とす。
「なっ!?」
「遅い!!」
一瞬怯み、体勢を整えようとする魔族の隙をクオンは見逃さない。
がら空きになった槍を持った腕をクオンは一刀両断したのだ。
「すげぇ……あの人間すげぇぞ!!」
「私達……助かるの?」
「けどよぉ……人間だぜ?信用できねぇよ……」
自分たちが助かるかもしれない喜びと、また、人間に裏切られぬか喜びになるかもしれない恐怖に複雑な感情を浮かべるドラゴンたち。
そんな中、腕を斬り飛ばされ、地面に膝を付いていた女の魔族にクオンは追撃をかける。
「これで終わりだ!!」
「……くそっ、仕方ないねぇ、あの姿は好きじゃないけど……」
クオンの攻撃が届く直前に、魔族の眼が赤く輝く。
そして、とどめの一撃なると思われたクオンの攻撃が魔族の肩口に決まるも、その一撃の進行は止まる。
魔族の体に刃が通らなかったのだ。
「なんだとっ!?」
(か、かてぇ……)
見ると、魔族の体が変貌していた。
人間の女性のような体をしていた魔族は、その女性らしい体つきが見る影もなく筋肉に覆われ、美しかった顔は眼が見開き、口が裂けていた。
「この姿、嫌いなのよね……でも、仕方ないわ!!」
「筋肉で僕の攻撃を跳ね返したのか……」
(デタラメだぜ!)
こんな魔族もいるのかと、驚きを隠せないクオンであったが、敵の攻撃を躱しながら距離を取る。
「このアタシ……十二神将が一人、マゼンダにこの姿を晒させたんだ……生きては返さないよ」
マゼンダは斬られた腕を再生し、クオンを睨みつける。
クオンは再び、剣を構え、マゼンダと対峙するのであった。
そこに、竜達は避難をしていた。ある者は怯え、ある者は自分の血からの無さを悔やみ、ある者は絶望をしている。そんな広場に、恐怖の象徴ともいえる者が現れる。
「お~っほっほっほ!や~っと見つけたわよ!トカゲちゃんたち!」
女性のような姿と喋り方をした魔族が、槍のような武器を手に持ちながら現れる。
「あ……あ……魔族が……」
その姿に竜達は恐怖する。
当然だ、ここにいる者の大半は戦闘力の低いドラゴンなのだから。
「クオン?」
「どうやら、本当に敵がきちゃったみたいだね」
「そんな、それじゃ、エリンシア達は?」
「ううん、エリンシア達がこんなに早くやられるとは思えないから、ただ単に敵の数が多かったんじゃないかな」
「そ、そっか……ク、クオン?」
「うん任せて、アイツにはここにいる誰にも手を出させないよ」
「うん!」
クオンはそう言うと、その場から駆け出す。
広場にある大きめの岩(先程クオンがめり込んだ岩)を踏み台にすると固まっているドラゴンたちをジャンプ一番飛び越え、ドラゴンたちと魔族の間に着地する。
「また、人間?……アナタもあの高飛車なお嬢ちゃんのお仲間かしら?」
「ええ、そうですよ」
「貴方も厄介そうね……」
「かもしれませんね?」
先ほどまでの余裕がなくなり、額に汗を浮かべさせながらクオンを見る魔族に、クオンは余裕の笑顔で答える。これまで、何人もの魔族と戦ってきたクオン達は油断はしないが必要以上に気負う事も無くなっていた。
(相棒、油断するなよ)
「当然……ここにいる誰一人、傷つけさせないよ……カモメと約束したからね」
(そいつは頼もしいぜ)
クオンはクレイジュを抜くと、先ほどまでの笑顔から一気にさっきの籠った目つきへと変わる。
そして、次の瞬間には魔族との間合いを詰めていた。
「ぐっ!」
クオンの一閃を魔族は手にしていた槍で防ぐ、そして次々に繰り出されるクオンの攻撃を防ぎ続けた。
(ちっ、なかなかできるなこの魔族!)
「見くびらないで欲しいねぇ!!」
「ちっ!」
魔族は槍を回転させながらクオンの猛攻を抜け、クオンの胸目掛けて一撃を突く。
クオンはそれを流れるような動きで躱し、再び攻撃に移るが、槍の柄を使いその攻撃を躱す魔族。
傍から見ていると演舞でも見ているかのようなその美しい二人の動きは見ているドラゴンたちを魅了していた。
「な、なんだ、あれ……」
「人間と魔族が戦っている……そんなことあり得るのかよ?」
「人間にもあんなに強い奴がいるのか……いや、それ以前になんで人間が俺たちを助ける!?」
「解らん……だが、あいつ等だろ?アークミスラ様が言っていた人間って……」
「以前、人間が裏切ったのは『魔』とか言うのに操られての事だとか寝言を言っていた奴の事か?」
「そいつら以外にこの竜の住処に人間がいるわけねぇし…‥」
竜達は困惑もしている。
自分たちを裏切り、現在では自分たちを魔物扱いしている人間だ。
そんな人間が自分たちを助けるとは思っていなかった、いや、それだけではない、自分たちですらかなわない魔族相手にたった一人で互角に戦えているのだ。竜達は自分の眼を疑った事だろう。
「ちっ、これならどうだい!!」
魔族の槍から無数の黒い槍のようなものが出現し、それが同時にクオンを攻める。
「クレイジュ!」
(おうよ!!)
クオンの掛け声に応えるようにクレイジュが光り、その光がクオンまで伝わる。
光の力で強化されたクオンの動きは先ほどよりもさらに速くなっていた。
そして、その剣速で迫りくる黒い槍を悉く撃ち落とす。
「なっ!?」
「遅い!!」
一瞬怯み、体勢を整えようとする魔族の隙をクオンは見逃さない。
がら空きになった槍を持った腕をクオンは一刀両断したのだ。
「すげぇ……あの人間すげぇぞ!!」
「私達……助かるの?」
「けどよぉ……人間だぜ?信用できねぇよ……」
自分たちが助かるかもしれない喜びと、また、人間に裏切られぬか喜びになるかもしれない恐怖に複雑な感情を浮かべるドラゴンたち。
そんな中、腕を斬り飛ばされ、地面に膝を付いていた女の魔族にクオンは追撃をかける。
「これで終わりだ!!」
「……くそっ、仕方ないねぇ、あの姿は好きじゃないけど……」
クオンの攻撃が届く直前に、魔族の眼が赤く輝く。
そして、とどめの一撃なると思われたクオンの攻撃が魔族の肩口に決まるも、その一撃の進行は止まる。
魔族の体に刃が通らなかったのだ。
「なんだとっ!?」
(か、かてぇ……)
見ると、魔族の体が変貌していた。
人間の女性のような体をしていた魔族は、その女性らしい体つきが見る影もなく筋肉に覆われ、美しかった顔は眼が見開き、口が裂けていた。
「この姿、嫌いなのよね……でも、仕方ないわ!!」
「筋肉で僕の攻撃を跳ね返したのか……」
(デタラメだぜ!)
こんな魔族もいるのかと、驚きを隠せないクオンであったが、敵の攻撃を躱しながら距離を取る。
「このアタシ……十二神将が一人、マゼンダにこの姿を晒させたんだ……生きては返さないよ」
マゼンダは斬られた腕を再生し、クオンを睨みつける。
クオンは再び、剣を構え、マゼンダと対峙するのであった。
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