154 / 361
5章
決着そして…
しおりを挟む
カモメの両手から生まれた破壊の権化ともいえる魔法は、凄まじき轟音と共に一瞬で目の前の全てを飲み込んだ。
「なんて威力だ……」
「すごいですわ、カモメさん」
カモメの放った魔法の威力に唯々、呆然とする二人、今までもすさまじい威力の魔法を見てきた二人であるが、今回放った、魔法は別格であった。
「さすが、カモメちゃんね♪」
「アネル……貴方……」
カモメの魔法を完成させるきっかけを作ったアネルの言葉を聞いていたディータは、その者の正体に疑惑とも不安ともつかぬ目つきで睨んでいた。
そして、そんなディータにアネルは少し寂しそうに微笑むのだ。
「笑っても誤魔化されないわよ……貴方本当に……っ」
アネルを問い詰めようとするディータ。だが……。
――――――――――その二人の目の前で何かが地面に倒れるような音がした。
「カモメ!?」
カモメが何の抵抗もなく地面に無防備な状態で倒れ込んだのだ。
驚き慌てて駆け寄る四人、カモメの意識は無くなっていた。
――――――――――暗闇。
カモメは目を覚ますと辺りは真っ暗であった。
夜なのであろうか、辺りを見回しても何も見えない。
「カモメ、目が覚めたんだね!」
「カモメさん、もうっ、心配しましたわっ……」
聞きなれた声が聞こえる、カモメが信頼する仲間であるクオンとエリンシアの声だ。
「あ、二人とも、良かった二人も無事だったんだね♪」
二人の声を聴くと一気に記憶が蘇ってくる、白魔鬼との戦い、制御できるか分からない魔法の使用、そして光と闇の合成魔法を完成させたことを。
「よかった、あの魔法成功したんだね」
「ええ、ええ、すごい魔法でしたわよ、グランルーンの山々を跡形もなく吹き飛ばしてしまいましたも の」
「うぇ!?そんなに?」
エリンシアの話によると、カモメの放った魔法はグランルーンの城の半分や城壁はもちろん、街の外にあった山を飲み込み、まるで絵に描いた山をホワイトで消したかのように一瞬で消し去ったのだ。
「まったく、驚いたわよ……さすが、私が見込んだだけはあるわね」
「あ、ディータいたんだ!」
「いたわよっ、酷いわね」
「たはは、ごめん」
私って存在感薄い?等と呟きながらディータはカモメにやっと気づいてもらい凹んでいる。
「ところでここはどこ?」
「ツァインだよ」
「うぇ!?どれくらい寝てたの私!?」
「7日だね……心配したよ、でも目覚めてくれてよかった」
「そんなに!?」
カモメが白魔鬼を倒してから七日の時が過ぎていた。
倒れたカモメをクオン達は一度、グランルーンの冒険者ギルトにいるラインハルトの所まで運び、ギルドにあるベッドに寝かせてもらったのだが、次の日になっても目を覚ますことはなかった。
ディータとアネルの予測から恐らく魔力の使い過ぎによるものだろうとという事でしばらく様子を見ようという事になったのだが、グランルーンには闇の魔女が襲撃を掛けたに来たという理由でいたため、そのままグランルーンにいるのは危険だろうということになりツァインまで移動をしたのだ。
現在、グランルーンがどうなっているかはフィルディナンドに入ってくる情報によるが、メリアンナ法王の手助けもあり、無事順調に復興をしているらしい。
「ほぇー、でもまあ、無事にグランルーンを解放出来て良かったよ」
「まったく、お気楽ですわね」
自分が魔力を使い果たし、倒れてしまったというのに自分の身体より先に自分の事を指名手配したグランルーンの心配をするあたりはカモメらしいとみんなが笑った。
「ところでカモメ、体の調子はどう?」
「うーん、ちょっと気だるいかな?」
肩を回しながらカモメはそう言った。
「あの魔法は魔力の消費量が尋常じゃないみたいね……貴方の体にどんな影響があるか分からないからやっぱり使用しない方がいいかもしれないわ」
「うーん、でもまたあんな敵が現れたら使わない訳にもいかないんじゃないかな?」
「でも、また倒れることになるかもしれないわよ」
「頑張って、魔力量を増やすよ♪」
笑顔でそう言うカモメはディータとは視線を合わせていなかった。
ディータはそんなカモメを見て、珍しく自信がないのかなと思いながらも話を続ける。
「まあ、あなたなら出来るかもしれないわね、とはいえ、やっぱり乱用は禁止よ、本当にそれしか手段がなくなった時だけにしなさい」
「うん、わかった」
「よろしい、じゃあ、少し気分転換に外にでも行ってみる?」
「いいですわね、新しくできた甘味屋がありますの、ワタクシのおすすめですわ」
ワイワイと盛り上がり始めるエリンシア達、カモメの復帰を祝い、皆でどこか食事でもしようと話になるのだが、そんな皆の様子に、カモメは一つ疑問に思い口に出した。
「え、でも今夜だよね?まだ、お店やってないんじゃ?」
「え?」
「何を行ってますですの?今はお昼ですわよ?」
「え……」
カモメの表情が固まる、そう、目覚めたときに感じたように、辺りは暗闇なのだ。
今まで話をしていた皆の顔も見えないほどに。
そして、その様子を見て、クオン達の表情がこわばる……。
「そういえば、さっきから視線が合わないと思っていたけど……」
疲れているから?自身がないセリフだったから?別の人を見ていたから?等の理由を考え、それ程不思議には思っていなかったことをカモメの言葉を聞いて不思議に思い始める。
そして、それは焦りへと変わった。
「カモメ……僕の顔が見えるかい?」
「ごめん、声で方向くらいは分かるけど……………見えない」
その言葉に部屋にいた全員が絶望をする…………。
―――――――――――――――カモメはその視力を失っていた。
「なんて威力だ……」
「すごいですわ、カモメさん」
カモメの放った魔法の威力に唯々、呆然とする二人、今までもすさまじい威力の魔法を見てきた二人であるが、今回放った、魔法は別格であった。
「さすが、カモメちゃんね♪」
「アネル……貴方……」
カモメの魔法を完成させるきっかけを作ったアネルの言葉を聞いていたディータは、その者の正体に疑惑とも不安ともつかぬ目つきで睨んでいた。
そして、そんなディータにアネルは少し寂しそうに微笑むのだ。
「笑っても誤魔化されないわよ……貴方本当に……っ」
アネルを問い詰めようとするディータ。だが……。
――――――――――その二人の目の前で何かが地面に倒れるような音がした。
「カモメ!?」
カモメが何の抵抗もなく地面に無防備な状態で倒れ込んだのだ。
驚き慌てて駆け寄る四人、カモメの意識は無くなっていた。
――――――――――暗闇。
カモメは目を覚ますと辺りは真っ暗であった。
夜なのであろうか、辺りを見回しても何も見えない。
「カモメ、目が覚めたんだね!」
「カモメさん、もうっ、心配しましたわっ……」
聞きなれた声が聞こえる、カモメが信頼する仲間であるクオンとエリンシアの声だ。
「あ、二人とも、良かった二人も無事だったんだね♪」
二人の声を聴くと一気に記憶が蘇ってくる、白魔鬼との戦い、制御できるか分からない魔法の使用、そして光と闇の合成魔法を完成させたことを。
「よかった、あの魔法成功したんだね」
「ええ、ええ、すごい魔法でしたわよ、グランルーンの山々を跡形もなく吹き飛ばしてしまいましたも の」
「うぇ!?そんなに?」
エリンシアの話によると、カモメの放った魔法はグランルーンの城の半分や城壁はもちろん、街の外にあった山を飲み込み、まるで絵に描いた山をホワイトで消したかのように一瞬で消し去ったのだ。
「まったく、驚いたわよ……さすが、私が見込んだだけはあるわね」
「あ、ディータいたんだ!」
「いたわよっ、酷いわね」
「たはは、ごめん」
私って存在感薄い?等と呟きながらディータはカモメにやっと気づいてもらい凹んでいる。
「ところでここはどこ?」
「ツァインだよ」
「うぇ!?どれくらい寝てたの私!?」
「7日だね……心配したよ、でも目覚めてくれてよかった」
「そんなに!?」
カモメが白魔鬼を倒してから七日の時が過ぎていた。
倒れたカモメをクオン達は一度、グランルーンの冒険者ギルトにいるラインハルトの所まで運び、ギルドにあるベッドに寝かせてもらったのだが、次の日になっても目を覚ますことはなかった。
ディータとアネルの予測から恐らく魔力の使い過ぎによるものだろうとという事でしばらく様子を見ようという事になったのだが、グランルーンには闇の魔女が襲撃を掛けたに来たという理由でいたため、そのままグランルーンにいるのは危険だろうということになりツァインまで移動をしたのだ。
現在、グランルーンがどうなっているかはフィルディナンドに入ってくる情報によるが、メリアンナ法王の手助けもあり、無事順調に復興をしているらしい。
「ほぇー、でもまあ、無事にグランルーンを解放出来て良かったよ」
「まったく、お気楽ですわね」
自分が魔力を使い果たし、倒れてしまったというのに自分の身体より先に自分の事を指名手配したグランルーンの心配をするあたりはカモメらしいとみんなが笑った。
「ところでカモメ、体の調子はどう?」
「うーん、ちょっと気だるいかな?」
肩を回しながらカモメはそう言った。
「あの魔法は魔力の消費量が尋常じゃないみたいね……貴方の体にどんな影響があるか分からないからやっぱり使用しない方がいいかもしれないわ」
「うーん、でもまたあんな敵が現れたら使わない訳にもいかないんじゃないかな?」
「でも、また倒れることになるかもしれないわよ」
「頑張って、魔力量を増やすよ♪」
笑顔でそう言うカモメはディータとは視線を合わせていなかった。
ディータはそんなカモメを見て、珍しく自信がないのかなと思いながらも話を続ける。
「まあ、あなたなら出来るかもしれないわね、とはいえ、やっぱり乱用は禁止よ、本当にそれしか手段がなくなった時だけにしなさい」
「うん、わかった」
「よろしい、じゃあ、少し気分転換に外にでも行ってみる?」
「いいですわね、新しくできた甘味屋がありますの、ワタクシのおすすめですわ」
ワイワイと盛り上がり始めるエリンシア達、カモメの復帰を祝い、皆でどこか食事でもしようと話になるのだが、そんな皆の様子に、カモメは一つ疑問に思い口に出した。
「え、でも今夜だよね?まだ、お店やってないんじゃ?」
「え?」
「何を行ってますですの?今はお昼ですわよ?」
「え……」
カモメの表情が固まる、そう、目覚めたときに感じたように、辺りは暗闇なのだ。
今まで話をしていた皆の顔も見えないほどに。
そして、その様子を見て、クオン達の表情がこわばる……。
「そういえば、さっきから視線が合わないと思っていたけど……」
疲れているから?自身がないセリフだったから?別の人を見ていたから?等の理由を考え、それ程不思議には思っていなかったことをカモメの言葉を聞いて不思議に思い始める。
そして、それは焦りへと変わった。
「カモメ……僕の顔が見えるかい?」
「ごめん、声で方向くらいは分かるけど……………見えない」
その言葉に部屋にいた全員が絶望をする…………。
―――――――――――――――カモメはその視力を失っていた。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜
トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦
ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが
突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして
子供の身代わりに車にはねられてしまう
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる