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5章
白魔鬼
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「来るよ!!」
敵がその白い身体をゆらりと揺すると、カモメはクオンへと声を掛ける。
そして、それと同時に敵の口からまたも怪光線のような攻撃が飛んできた。
「わわっ」
「くっ!」
二人がその攻撃を躱すと、再び後ろにはその攻撃が穴がひとつ増える。
「あの攻撃厄介すぎるよ!」
「うん、まるで溜めもないし……」
(ヘタに近寄ればどでかい風穴が開いちまう)
だが、逆に言えば距離があれば何とか躱すことが出来るということでもある。
その為二人は距離をとりつつ攻撃をすることにした。
「貫通力のある技には貫通力のある魔法だよ!魔水風圧弾!!」
「遠距離攻撃は苦手なんだけど……仕方ない!」
カモメは魔法で、クオンはその場でクレイジュを振り、斬撃のようなものをとばす。
通常の敵であればこの攻撃だけでもかなりのダメージを受けることになる、その為、二人の攻撃を喰らわないように避けるのだが……この敵に関しては二人の攻撃を敵は避けようともしなかった。
それもその筈である、二人の攻撃で出来た傷は見る見るうちに再生してしまうのだ。
「うーん、普通の攻撃じゃ意味がないかな…?」
「頭を狙おう!」
そう、クレイジュの言うとおりであれば、頭を破壊すれば恐らくこの敵を倒すことが出来る、というのだ。それならばと、今度は二人そろって敵の頭を狙う……が、二人の攻撃を敵は軽々と躱して見せる。
「なっ、はやっ!?」
「がっ!!」
そのまま、クオンの元に間合いを詰めた敵は、左の足でクオンの腹を蹴り飛ばした。
「クオン!……炎弾射!!」
クオンへの追撃はさせまいと、炎の魔法で敵を撃つカモメ。
だが、咄嗟に撃ったその魔法を敵は左腕を一振り払うだけで防ぎ、今度はカモメを蹴り飛ばす。
そして、カモメに大して追撃をするべく、その顔がカモメの方へ向くと口を開ける。
怪光線が倒れて即座に動けないカモメの元へと放たれた…。
「しまっ!」
「カモメ!!」
避けることの出来ないカモメにその怪光線が一気に近づく――――――――――――――そして、カモメの脇をすり抜けると、そのまま後ろの壁を貫いていった。
「あっぶないですわね!」
声のする方を見ると、そこには金髪の見知った顔が焦った表情をしながら魔導銃を構えていた。
「エリンシア!それにディータも!!」
そう、カモメ達の仲間であるエリンシアとディータである。
敵の攻撃が外れたのはこのエリンシアが魔導銃で敵の横顔を撃ち、その衝撃で狙いがズレたためであった。
「大丈夫ですの二人とも!」
「エリンシアこそ、大丈夫だったの?……お城の西側が崩れたから心配したよ」
「お~っほっほっほ、生き埋めになったくらいでこのエリンシア、死んだりしませんわ!」
エリンシアとディータは先の大魔鬼との地下での戦いで見事大魔鬼を倒すのだが、その時の止めの威力で建物自体も崩れ、生き埋めとなっていた。
だが、二人ともなんとか地下から這い出すと、城の中央から溢れ出る嫌な気配に気づき、この場に駆け付けたのだ。
「それにしても、でっかい魔鬼の次は白い魔鬼ですの?」
「そのうち、魔鬼で戦隊を組めるんじゃないかしら?」
軽口をたたく、エリンシアとディータであるその表情は硬い。
「頭が弱点だってクレイジュは言うんだけど、そう簡単に破壊させてくれないんだよね」
「あら、弱点が解っているなんてさすがですわね」
「大魔鬼と弱点は一緒というわけね……でも、さっきみたいな威力の攻撃があるんじゃ、近づくのは危険とういわけね」
「うん、だから私もクオンも距離を取って攻撃したんだけど……思ったより相手のスピードが速いんだ」
なるほど、と頷くエリンシアとディータ。
そして、エリンシアは光り輝くオーラのようなものを身体に纏う。
「ふぇ、なにそれ!?……光纏躰じゃないよね?」
一目見て、その光の魔法の力に気付いたのかカモメは驚く。
「ええ、違いますわ……光の祝福……ワタクシはこれを光祝福と名付けましたわ」
光祝福……エリンシアが言うにはリヒトコールよりも遥かに強い身体能力向上の魔法らしい……そんな魔法をカモメは聞いたことも無い。おそらく世界でただ一人エリンシアだけが使える魔法だろう。天才と言われる部類に入るカモメですら、エリンシアのその魔法を使うことは出来ないだろうと感じるのだった。
「確かに、距離を取れば避けやすいと思いますわ……ですが、危険な攻撃の出てくる場所がわかっているのならば近い方が安全ですわ!」
そう言うと、一気に間合いを詰める、エリンシア、そしてその拳を白魔鬼の腹に叩き込む、そして魔導銃を構え、少し前かがみになった敵の頭に側面から魔導銃を放つ、だがそれを敵は首を振り躱すと、エリンシアの方へ顔を向けた、それを見たエリンシアは敵の怪光線を受けない為に、白魔鬼の首が回らない背中の方へと移動する。
「顔さえ、こちらを向けなければ怪光線は撃てませんわよね!」
そして、攻撃の出来なかった白魔鬼は一瞬、動きが鈍り、その後頭部をエリンシアのフルバスターが襲うのであった。
「やったの…?」
エリンシアの放った技の威力は強く、放った方向の床と壁が全て無くなっていた。
もちろん、敵の姿も見え……。
「まだだ!!」
エリンシアの後ろからクオンの叫ぶ声が聞こえる。
見るとエリンシアの銃の先にはボロボロに……いや、ほとんど原型も残っていない状態の白魔鬼が姿を現す……だが、その姿にカモメ達は驚く。
ほとんど原型が残っていないのに、その頭部、確実に直撃を受けたであろうその頭部は未だ、そこが頭だとわかる程度の形を保っていた。
そして、その頭部を完全に破壊しなければこの白魔鬼は倒せない。
「くっ、連発ですわ!!」
そう言いながら、二発目を撃とうとするエリンシアの腕を白い何かが掴む。
そして、その体は空中を浮かび、城の壁に叩きつけられた。
「きゃっ!」
「エリンシア大丈夫!?」
「ええ、大丈夫ですわ」
そう言い、視線を白魔鬼に戻すと、そこには先ほどまで原型を無くしていた白魔鬼が、すでに何もなかったかのようにその体を再生させているのであった。
敵がその白い身体をゆらりと揺すると、カモメはクオンへと声を掛ける。
そして、それと同時に敵の口からまたも怪光線のような攻撃が飛んできた。
「わわっ」
「くっ!」
二人がその攻撃を躱すと、再び後ろにはその攻撃が穴がひとつ増える。
「あの攻撃厄介すぎるよ!」
「うん、まるで溜めもないし……」
(ヘタに近寄ればどでかい風穴が開いちまう)
だが、逆に言えば距離があれば何とか躱すことが出来るということでもある。
その為二人は距離をとりつつ攻撃をすることにした。
「貫通力のある技には貫通力のある魔法だよ!魔水風圧弾!!」
「遠距離攻撃は苦手なんだけど……仕方ない!」
カモメは魔法で、クオンはその場でクレイジュを振り、斬撃のようなものをとばす。
通常の敵であればこの攻撃だけでもかなりのダメージを受けることになる、その為、二人の攻撃を喰らわないように避けるのだが……この敵に関しては二人の攻撃を敵は避けようともしなかった。
それもその筈である、二人の攻撃で出来た傷は見る見るうちに再生してしまうのだ。
「うーん、普通の攻撃じゃ意味がないかな…?」
「頭を狙おう!」
そう、クレイジュの言うとおりであれば、頭を破壊すれば恐らくこの敵を倒すことが出来る、というのだ。それならばと、今度は二人そろって敵の頭を狙う……が、二人の攻撃を敵は軽々と躱して見せる。
「なっ、はやっ!?」
「がっ!!」
そのまま、クオンの元に間合いを詰めた敵は、左の足でクオンの腹を蹴り飛ばした。
「クオン!……炎弾射!!」
クオンへの追撃はさせまいと、炎の魔法で敵を撃つカモメ。
だが、咄嗟に撃ったその魔法を敵は左腕を一振り払うだけで防ぎ、今度はカモメを蹴り飛ばす。
そして、カモメに大して追撃をするべく、その顔がカモメの方へ向くと口を開ける。
怪光線が倒れて即座に動けないカモメの元へと放たれた…。
「しまっ!」
「カモメ!!」
避けることの出来ないカモメにその怪光線が一気に近づく――――――――――――――そして、カモメの脇をすり抜けると、そのまま後ろの壁を貫いていった。
「あっぶないですわね!」
声のする方を見ると、そこには金髪の見知った顔が焦った表情をしながら魔導銃を構えていた。
「エリンシア!それにディータも!!」
そう、カモメ達の仲間であるエリンシアとディータである。
敵の攻撃が外れたのはこのエリンシアが魔導銃で敵の横顔を撃ち、その衝撃で狙いがズレたためであった。
「大丈夫ですの二人とも!」
「エリンシアこそ、大丈夫だったの?……お城の西側が崩れたから心配したよ」
「お~っほっほっほ、生き埋めになったくらいでこのエリンシア、死んだりしませんわ!」
エリンシアとディータは先の大魔鬼との地下での戦いで見事大魔鬼を倒すのだが、その時の止めの威力で建物自体も崩れ、生き埋めとなっていた。
だが、二人ともなんとか地下から這い出すと、城の中央から溢れ出る嫌な気配に気づき、この場に駆け付けたのだ。
「それにしても、でっかい魔鬼の次は白い魔鬼ですの?」
「そのうち、魔鬼で戦隊を組めるんじゃないかしら?」
軽口をたたく、エリンシアとディータであるその表情は硬い。
「頭が弱点だってクレイジュは言うんだけど、そう簡単に破壊させてくれないんだよね」
「あら、弱点が解っているなんてさすがですわね」
「大魔鬼と弱点は一緒というわけね……でも、さっきみたいな威力の攻撃があるんじゃ、近づくのは危険とういわけね」
「うん、だから私もクオンも距離を取って攻撃したんだけど……思ったより相手のスピードが速いんだ」
なるほど、と頷くエリンシアとディータ。
そして、エリンシアは光り輝くオーラのようなものを身体に纏う。
「ふぇ、なにそれ!?……光纏躰じゃないよね?」
一目見て、その光の魔法の力に気付いたのかカモメは驚く。
「ええ、違いますわ……光の祝福……ワタクシはこれを光祝福と名付けましたわ」
光祝福……エリンシアが言うにはリヒトコールよりも遥かに強い身体能力向上の魔法らしい……そんな魔法をカモメは聞いたことも無い。おそらく世界でただ一人エリンシアだけが使える魔法だろう。天才と言われる部類に入るカモメですら、エリンシアのその魔法を使うことは出来ないだろうと感じるのだった。
「確かに、距離を取れば避けやすいと思いますわ……ですが、危険な攻撃の出てくる場所がわかっているのならば近い方が安全ですわ!」
そう言うと、一気に間合いを詰める、エリンシア、そしてその拳を白魔鬼の腹に叩き込む、そして魔導銃を構え、少し前かがみになった敵の頭に側面から魔導銃を放つ、だがそれを敵は首を振り躱すと、エリンシアの方へ顔を向けた、それを見たエリンシアは敵の怪光線を受けない為に、白魔鬼の首が回らない背中の方へと移動する。
「顔さえ、こちらを向けなければ怪光線は撃てませんわよね!」
そして、攻撃の出来なかった白魔鬼は一瞬、動きが鈍り、その後頭部をエリンシアのフルバスターが襲うのであった。
「やったの…?」
エリンシアの放った技の威力は強く、放った方向の床と壁が全て無くなっていた。
もちろん、敵の姿も見え……。
「まだだ!!」
エリンシアの後ろからクオンの叫ぶ声が聞こえる。
見るとエリンシアの銃の先にはボロボロに……いや、ほとんど原型も残っていない状態の白魔鬼が姿を現す……だが、その姿にカモメ達は驚く。
ほとんど原型が残っていないのに、その頭部、確実に直撃を受けたであろうその頭部は未だ、そこが頭だとわかる程度の形を保っていた。
そして、その頭部を完全に破壊しなければこの白魔鬼は倒せない。
「くっ、連発ですわ!!」
そう言いながら、二発目を撃とうとするエリンシアの腕を白い何かが掴む。
そして、その体は空中を浮かび、城の壁に叩きつけられた。
「きゃっ!」
「エリンシア大丈夫!?」
「ええ、大丈夫ですわ」
そう言い、視線を白魔鬼に戻すと、そこには先ほどまで原型を無くしていた白魔鬼が、すでに何もなかったかのようにその体を再生させているのであった。
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