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5章
危機
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「爆発炎弾!!」
逃げ惑う兵士たちに魔法を撃ち放つ、小さな影がひとつ。
「なんなんだよ、あのぬいぐるい!」
「知らねぇよ、魔女のペットとかじゃねぇのか!!」
「……ムカ」
その影は自分の陰口を聞き、その方向へ再び爆発炎弾を放つ。
火の魔法を近くで炸裂され、陰口を言った兵士たちはこんがりと焼け気絶するのであった。
「天罰よ……それにしても、この体の魔力も結構溜まってきたわね、普通の魔法ならかなりの数撃てるようになったわ」
ぬいぐるみ……ではなく、ディータの使ている魔法生物、ソウルイーターの体は魔物の魔石を食べることによって魔力の量を増やすことが出来た。その為、少しずつではあるがディータは昔の、女神だった頃の力を取り戻しつつあるのだ。
「さて、出来るだけ殺さないようにはしてるつもりだけど……大丈夫よね」
ディータが周りを見渡すと、そこにはこんがり焼けて倒れている無数の兵士の姿がある。
手加減はしているはずとは言うが、余り優しくはない光景であった。
「ここら辺はこんなもんかしらね、ちょっと中庭の方へ行ってみようかしら?」
「きゃああああああああああああ!!」
中庭の方へ移動しようとするディータの耳に大きな悲鳴が聞こえてくる。
「な、何!?」
「あら、ディータさん、奇遇ですわね!」
「奇遇じゃないわよ何なのアレ!?」
前から走ってきたのはエリンシアであった、そして、その後ろには大量の人間……ではなく、ゾンビが追いかけているではないか。
「どうやら、お城に死霊使いがいたみたいですわね!」
「だからって、あの量はおかしいでしょ!どんだけ死体あったのよここのお城!!」
「まったくですわ!!」
ゾンビの群れから必死に走って逃げる二人である。
ゾンビはモンスターのランクで言うとランクEと弱い部類に入る魔物である。
「エリンシア、さっさと片付けちゃいなさいよ!あなたなら問題ないでしょう!?」
その為、数が多いと言えど、エリンシアにとってそれほど脅威ではないはずだ……ディータは思い疑問を口にする。
「うう、だって気持ち悪いんですもの!!」
ゾンビと言うのは腐った死体の状態で呼び出される、その為、見た目もひどく、臭いもキツイ。
その為、余り戦いたくないというエリンシアの気持ちは分からないでもなかった。
「だからって、このままじゃ私達もアレのお仲間よ!!」
仲間と言うのは別に噛まれるとゾンビになるとかそう言う事ではない、何れ力尽き、殺されて、動く死体の仲間入りということだ。
「うう、それはお勘弁してほしいですわ……」
「だったら、まとめて吹っ飛ばしちゃいなさい!」
「わかりましたわよ!」
エリンシアはその場に立ち止まると振り返り、大勢で襲ってくるゾンビを見る。
ゾンビたちは目玉が落ちかけているのや、体が崩れかかっているのやら色々な形のものがいるが、そのどれも直視していたいものではなかった。
「うう……夢に出そうですわ……聖滅全力魔弾!!」
光属性の込められた全力魔弾がゾンビたちを包み込み、消滅させる。
そして、後ろに聳える城壁諸共、跡形もなく消し去った。
「纏めてやっちゃいなさいって言ったけど……やり過ぎじゃない?」
「欠片も残したくありませんでしたの!」
当然ですわ、とエリンシアは頬を膨らませながら言った。
かわい子ぶってもその恐ろしい光景に、近くで見ていた兵士たちは全力でこの場を離れていた。
「ちっ!」
そんな中、舌打ちをしながらこの場を離れる人影がひとつ。
「追うわよ!」
「ええ!」
ゾンビたちが来た方向へ逃げたことから、恐らくゾンビたちを操っていた死霊使いであろうと予想をし、エリンシアとディータはその後を追った。
「ワタクシにゾンビを襲わせたお礼はきっちり致しますわ!」
「面白そうだから手伝うわよ!」
その言葉が聞こえてか聞こえていないのか分からないが、逃げ出す男は背中に寒気が走ったのか身体を震わせるのであった。
「逃げ足が速いですわね!」
二人は男を追うと男は城の中へと入っていった。
「城の西側ね……」
「元々、ワタクシが担当する場所ですわね、丁度いいのでこのまま暴れながらいきましょうか?」
「そうね……あら?」
ディータは何かに気付いたのか声を上げるとフラッと飛んでいく。
エリンシアはそんなディータの後を追いかけた。
「どうしましたの?」
「なんか怪しい階段発見よ」
「あら、お宝でもあるのでしょうか?」
「かもしれないわね、ちょっと盗んで……じゃなかった、寄り道していかない?」
「賛成ですわ」
元々、隠されていたのだろう、床の一部が跳ね上がり、地下へと進む階段が露になっている。
恐らく先ほどの死霊使いがこの先に逃げたのだろうが、二人の意識はすでにこの中に何があるのかに興味を移されていた。
二人が階段を下りていくと、そこには大きな空間が広がっている。
その空間の真ん中に一つの影がぽつりと立っていた。
「ヒ…ヒヒヒヒ」
「先程の死霊使いの方ですわね」
「そういえば、忘れていたわね」
ゾンビをけしかけられた怒りをすでに忘れている二人は面倒くさそうに真ん中に立つ死霊使いを見ていた。
「アンタ!ここに財宝があるなら置いていきなさい!そうすれば見逃してあげるわよ!」
「あら…まるで私たち、盗賊みたいですわね」
「闇の魔女の一味よ!」
「おほほほ、カモメさんの悪名が増えますわ」
どうせ、この戦いが終わったらチャラになるわよと言うディータに、エリンシアはそれもそうですわねと肯定する。その女神とお嬢様の会話を聞いて死霊使いの男は後ろへ後ずさりをしていた。
「こ、ここに財宝なんてない!」
「あら、ならなんであなたはここに逃げたの?隠すと身のためにならないわよ?」
ディータが問いただすと、少し退いていた死霊使いは再び笑い出した。
「ヒヒヒ、あの方の実験の産物……今こそ使う時ですよねぇ!」
男がそう言うと、後ろの方に一つの黒い影が現れる。
「全ての扉を開いた!お前らはもうおわr―――びゃ!」
最後まで言う事も出来ず、死霊使いは後ろに現れた影の腕でその首をへし折られた。
そして、その影の足に踏まれ、まるでトマトのように頭を潰されるのであった。
「な……」
「あれは……」
その黒い影の正体に気付いた二人は驚愕する。
五年前の戦いで見た黒い身体の赤い瞳の化け物、人間が死んだあと、魔族の使い魔として生まれ変わった姿である。
「魔鬼……」
ディータが呟く。そして、その後の光景にさらに驚くこととなる。
「そう言えば、全部の扉を開けたとか言っておりましたわね」
後ろの、恐らく魔鬼を閉じ込めている部屋があるであろう通路から、次々に魔鬼が現れたのだ。
「これは……まずいですわね」
一転、お宝さがしムードから絶体絶命へと転換するディータとエリンシアであった。
逃げ惑う兵士たちに魔法を撃ち放つ、小さな影がひとつ。
「なんなんだよ、あのぬいぐるい!」
「知らねぇよ、魔女のペットとかじゃねぇのか!!」
「……ムカ」
その影は自分の陰口を聞き、その方向へ再び爆発炎弾を放つ。
火の魔法を近くで炸裂され、陰口を言った兵士たちはこんがりと焼け気絶するのであった。
「天罰よ……それにしても、この体の魔力も結構溜まってきたわね、普通の魔法ならかなりの数撃てるようになったわ」
ぬいぐるみ……ではなく、ディータの使ている魔法生物、ソウルイーターの体は魔物の魔石を食べることによって魔力の量を増やすことが出来た。その為、少しずつではあるがディータは昔の、女神だった頃の力を取り戻しつつあるのだ。
「さて、出来るだけ殺さないようにはしてるつもりだけど……大丈夫よね」
ディータが周りを見渡すと、そこにはこんがり焼けて倒れている無数の兵士の姿がある。
手加減はしているはずとは言うが、余り優しくはない光景であった。
「ここら辺はこんなもんかしらね、ちょっと中庭の方へ行ってみようかしら?」
「きゃああああああああああああ!!」
中庭の方へ移動しようとするディータの耳に大きな悲鳴が聞こえてくる。
「な、何!?」
「あら、ディータさん、奇遇ですわね!」
「奇遇じゃないわよ何なのアレ!?」
前から走ってきたのはエリンシアであった、そして、その後ろには大量の人間……ではなく、ゾンビが追いかけているではないか。
「どうやら、お城に死霊使いがいたみたいですわね!」
「だからって、あの量はおかしいでしょ!どんだけ死体あったのよここのお城!!」
「まったくですわ!!」
ゾンビの群れから必死に走って逃げる二人である。
ゾンビはモンスターのランクで言うとランクEと弱い部類に入る魔物である。
「エリンシア、さっさと片付けちゃいなさいよ!あなたなら問題ないでしょう!?」
その為、数が多いと言えど、エリンシアにとってそれほど脅威ではないはずだ……ディータは思い疑問を口にする。
「うう、だって気持ち悪いんですもの!!」
ゾンビと言うのは腐った死体の状態で呼び出される、その為、見た目もひどく、臭いもキツイ。
その為、余り戦いたくないというエリンシアの気持ちは分からないでもなかった。
「だからって、このままじゃ私達もアレのお仲間よ!!」
仲間と言うのは別に噛まれるとゾンビになるとかそう言う事ではない、何れ力尽き、殺されて、動く死体の仲間入りということだ。
「うう、それはお勘弁してほしいですわ……」
「だったら、まとめて吹っ飛ばしちゃいなさい!」
「わかりましたわよ!」
エリンシアはその場に立ち止まると振り返り、大勢で襲ってくるゾンビを見る。
ゾンビたちは目玉が落ちかけているのや、体が崩れかかっているのやら色々な形のものがいるが、そのどれも直視していたいものではなかった。
「うう……夢に出そうですわ……聖滅全力魔弾!!」
光属性の込められた全力魔弾がゾンビたちを包み込み、消滅させる。
そして、後ろに聳える城壁諸共、跡形もなく消し去った。
「纏めてやっちゃいなさいって言ったけど……やり過ぎじゃない?」
「欠片も残したくありませんでしたの!」
当然ですわ、とエリンシアは頬を膨らませながら言った。
かわい子ぶってもその恐ろしい光景に、近くで見ていた兵士たちは全力でこの場を離れていた。
「ちっ!」
そんな中、舌打ちをしながらこの場を離れる人影がひとつ。
「追うわよ!」
「ええ!」
ゾンビたちが来た方向へ逃げたことから、恐らくゾンビたちを操っていた死霊使いであろうと予想をし、エリンシアとディータはその後を追った。
「ワタクシにゾンビを襲わせたお礼はきっちり致しますわ!」
「面白そうだから手伝うわよ!」
その言葉が聞こえてか聞こえていないのか分からないが、逃げ出す男は背中に寒気が走ったのか身体を震わせるのであった。
「逃げ足が速いですわね!」
二人は男を追うと男は城の中へと入っていった。
「城の西側ね……」
「元々、ワタクシが担当する場所ですわね、丁度いいのでこのまま暴れながらいきましょうか?」
「そうね……あら?」
ディータは何かに気付いたのか声を上げるとフラッと飛んでいく。
エリンシアはそんなディータの後を追いかけた。
「どうしましたの?」
「なんか怪しい階段発見よ」
「あら、お宝でもあるのでしょうか?」
「かもしれないわね、ちょっと盗んで……じゃなかった、寄り道していかない?」
「賛成ですわ」
元々、隠されていたのだろう、床の一部が跳ね上がり、地下へと進む階段が露になっている。
恐らく先ほどの死霊使いがこの先に逃げたのだろうが、二人の意識はすでにこの中に何があるのかに興味を移されていた。
二人が階段を下りていくと、そこには大きな空間が広がっている。
その空間の真ん中に一つの影がぽつりと立っていた。
「ヒ…ヒヒヒヒ」
「先程の死霊使いの方ですわね」
「そういえば、忘れていたわね」
ゾンビをけしかけられた怒りをすでに忘れている二人は面倒くさそうに真ん中に立つ死霊使いを見ていた。
「アンタ!ここに財宝があるなら置いていきなさい!そうすれば見逃してあげるわよ!」
「あら…まるで私たち、盗賊みたいですわね」
「闇の魔女の一味よ!」
「おほほほ、カモメさんの悪名が増えますわ」
どうせ、この戦いが終わったらチャラになるわよと言うディータに、エリンシアはそれもそうですわねと肯定する。その女神とお嬢様の会話を聞いて死霊使いの男は後ろへ後ずさりをしていた。
「こ、ここに財宝なんてない!」
「あら、ならなんであなたはここに逃げたの?隠すと身のためにならないわよ?」
ディータが問いただすと、少し退いていた死霊使いは再び笑い出した。
「ヒヒヒ、あの方の実験の産物……今こそ使う時ですよねぇ!」
男がそう言うと、後ろの方に一つの黒い影が現れる。
「全ての扉を開いた!お前らはもうおわr―――びゃ!」
最後まで言う事も出来ず、死霊使いは後ろに現れた影の腕でその首をへし折られた。
そして、その影の足に踏まれ、まるでトマトのように頭を潰されるのであった。
「な……」
「あれは……」
その黒い影の正体に気付いた二人は驚愕する。
五年前の戦いで見た黒い身体の赤い瞳の化け物、人間が死んだあと、魔族の使い魔として生まれ変わった姿である。
「魔鬼……」
ディータが呟く。そして、その後の光景にさらに驚くこととなる。
「そう言えば、全部の扉を開けたとか言っておりましたわね」
後ろの、恐らく魔鬼を閉じ込めている部屋があるであろう通路から、次々に魔鬼が現れたのだ。
「これは……まずいですわね」
一転、お宝さがしムードから絶体絶命へと転換するディータとエリンシアであった。
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