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5章
悪魔クオン誕生
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首都グランルーンの西側にある大通り、ここはあらゆるお店の並ぶ、商店街であった。
クオンはこの場所で常人の目には止まらないほどのスピードで兵士を一人一人昏倒させていた。
「な、なんだんだよ!アイツ本当に人間かよ!」
「気付いたら仲間がたおれt・・・ぐっ」
「お、おい、大丈夫k・・・ぎゃ!」
クオンは数人の兵士を倒すと、その姿を見せ、悠然と歩く。
ワザと自分の姿を見せ、自分が指名手配の魔女の一味であることを知らせる為だ。
(おいおい、相棒、もっとかっこよく名乗りを上げたほうがいいんじゃないか?)
確かに、騒動を起こし、攻めてきたのが魔女の一味だと知らせるためにはクレイジュの言う通りもっと名乗りを上げながら戦った方がいいのだろう。
「いや・・・僕はそう言うの苦手で・・・」
普段大人しめであるクオンだ、自分を喧伝しながら目立つというのは苦手な分野である。
(だけどよぉ、作戦の為にもしなけりゃ駄目じゃねぇの?)
「そ、そうなんだけどね」
(仕方ねぇな、俺様に任せな!)
「え?」
そう言うと、クレイジュは念話のボリュームを最大にし喋り始めた。
(俺様は魔女の使い魔、クオン様だ!てめぇら、グランルーンの人間に復讐しにやってきたぜ!兵士の奴らは俺様の早業であの世に行きな!戦えねぇ奴らは泣き喚きながら冒険者ギルドにでも逃げ込むだなぁ!!カ~ッカッカッカッカ!)
街の西側全体に響くほどの大きな声でクレイジュは叫ぶ。
「ひっ・・・闇の魔女が私たちを殺しに来たわぁあああ!」
「た、助けてくれ!!」
「逃げろ!逃げろおおお!!」
今まで、何が起きているのか理解できていなかった一般市民の人達が、クレイジュの声を聴いて逃げ惑う。まるで悪魔でも見たかと言うくらいものの見事に阿鼻叫喚となった。
そして、これはおまけだと言わんばかりにクレイジュはクオンの立っている近くの家を木っ端みじんにする。
「ちょっ、クレイジュ!?」
(安心しろ相棒、中に人がいないのは俺様の能力で確認した)
「いや、ラインハルトさんに極力被害を少なくって頼まれて・・・」
(いけね、忘れてたぜ)
すまんすまん、と謝るクレイジュ。大丈夫なのだろうか・・・というか、今の破壊行為でただでさえ阿鼻叫喚だった人たちが、絶望の顔をしている。中にはその光景があまりに恐怖だったのだろうズボンを濡らしてしまっている人もいた。
「ひぃいいいい!悪魔だ!魔女の使い魔は本物の悪魔だぁあああ!!」
「助けて!死にたくない!死にたくない!!!」
口々にクオンを見て悪魔と連呼する人たち。
ここに、悪魔クオンが誕生するのであった。もちろん、本人は苦笑いである・・・。
(お、なかなか良い肩書がついたじゃねぇか)
「どこがさ・・・はあ」
とはいえ、現状そう言われるのは都合がいい、このまま、僕を見ただけで逃げてくれるなら楽というものだ。
「逃げろ!逃げろおおお!!」
市民はクオンの姿を見ると、脱兎のごとく逃げ出していく。
その姿に、ちょっと寂しい気持ちになるクオンだが、自分が悪魔と言われるだけでこの街の人たちが巣食える可能性が増えるのならいい事だろうと、前向きに考えることにした。
そして、逃げるのは一般市民だけではない、先ほどまでは何に襲われているかわからなかった恐怖と市民を守らねばならない使命感の天秤が使命感の方に傾き、クオンを捕らえようとしていた兵士たちが市民と同じく逃げ惑っている。
「クレイジュ・・・やりすぎ・・・」
(良い騒ぎになってるじゃねぇか)
確かに、その点だけ捕らえればいいのだ、だが、前向きに考えたクオンであるが、後々の事を考えると頭が痛い。
あれは演技でしたと言って信じてもらえるのだろうか?・・・多分無理かな。
「はあ、まあ仕方ない・・・それより、グラシアール商会に急ごう」
(あいよ、騒ぎはこれだけ起こせば十分だろうしな、後は勝手に尾ひれ背ひれが付きながら大きくなってくれるだろう)
その言葉を聞き、頭を抱えるクオンであった。
その場を後にした、クオンはグラシアール商会の本店へとやってくる。
そこには、見知った顔があった。
「確か、マーニャさんでしたよね?」
「はい、以前はお世話になりました」
そう、子供の頃、エリンシアと出会った時に門のところで恋人が魔物に攫われたと言っていた女性だ。
結果的に恋人のクレイさんは無事で、さらったのもレディだったのだが、その捜索の途中僕は紅の牙の一人が貴族を襲っているところに出会ってしまい、ちゃんと挨拶も出来ずに終わっていた。
「いえ、恋人さんを救ったのはカモメとエリンシアですから」
「カモメ様とお嬢様にも感謝してます・・・それで、こちらに来られたのはこの騒ぎと関係があるのですよね?」
お店から動こうとしていないことからもしかしたらまだ騒ぎに気付いていないのかと思ったが、そんなことも無いようだ、マーニャの後ろには他の店員だろう人たちが同じ衣装を来て整列している。
「そうですが・・・逃げないのですか?」
「奥様が、こちらで待つように命じられましたので」
「待つって僕をですか?」
「はい・・・正確にはあなた方の誰かがこちらに来るだろうと」
どうやら、エリンシアのお母さんはこの騒ぎの意図に気付いているのかもしれない、だからこそ、協力を得るために僕らの誰かがここに来ることを想定していたのだろう。
「奥様が奥でお待ちです・・・どうぞ」
後ろに立っていた男性が、僕を促す。
僕はそれに従い中へと入っていった。
クオンはこの場所で常人の目には止まらないほどのスピードで兵士を一人一人昏倒させていた。
「な、なんだんだよ!アイツ本当に人間かよ!」
「気付いたら仲間がたおれt・・・ぐっ」
「お、おい、大丈夫k・・・ぎゃ!」
クオンは数人の兵士を倒すと、その姿を見せ、悠然と歩く。
ワザと自分の姿を見せ、自分が指名手配の魔女の一味であることを知らせる為だ。
(おいおい、相棒、もっとかっこよく名乗りを上げたほうがいいんじゃないか?)
確かに、騒動を起こし、攻めてきたのが魔女の一味だと知らせるためにはクレイジュの言う通りもっと名乗りを上げながら戦った方がいいのだろう。
「いや・・・僕はそう言うの苦手で・・・」
普段大人しめであるクオンだ、自分を喧伝しながら目立つというのは苦手な分野である。
(だけどよぉ、作戦の為にもしなけりゃ駄目じゃねぇの?)
「そ、そうなんだけどね」
(仕方ねぇな、俺様に任せな!)
「え?」
そう言うと、クレイジュは念話のボリュームを最大にし喋り始めた。
(俺様は魔女の使い魔、クオン様だ!てめぇら、グランルーンの人間に復讐しにやってきたぜ!兵士の奴らは俺様の早業であの世に行きな!戦えねぇ奴らは泣き喚きながら冒険者ギルドにでも逃げ込むだなぁ!!カ~ッカッカッカッカ!)
街の西側全体に響くほどの大きな声でクレイジュは叫ぶ。
「ひっ・・・闇の魔女が私たちを殺しに来たわぁあああ!」
「た、助けてくれ!!」
「逃げろ!逃げろおおお!!」
今まで、何が起きているのか理解できていなかった一般市民の人達が、クレイジュの声を聴いて逃げ惑う。まるで悪魔でも見たかと言うくらいものの見事に阿鼻叫喚となった。
そして、これはおまけだと言わんばかりにクレイジュはクオンの立っている近くの家を木っ端みじんにする。
「ちょっ、クレイジュ!?」
(安心しろ相棒、中に人がいないのは俺様の能力で確認した)
「いや、ラインハルトさんに極力被害を少なくって頼まれて・・・」
(いけね、忘れてたぜ)
すまんすまん、と謝るクレイジュ。大丈夫なのだろうか・・・というか、今の破壊行為でただでさえ阿鼻叫喚だった人たちが、絶望の顔をしている。中にはその光景があまりに恐怖だったのだろうズボンを濡らしてしまっている人もいた。
「ひぃいいいい!悪魔だ!魔女の使い魔は本物の悪魔だぁあああ!!」
「助けて!死にたくない!死にたくない!!!」
口々にクオンを見て悪魔と連呼する人たち。
ここに、悪魔クオンが誕生するのであった。もちろん、本人は苦笑いである・・・。
(お、なかなか良い肩書がついたじゃねぇか)
「どこがさ・・・はあ」
とはいえ、現状そう言われるのは都合がいい、このまま、僕を見ただけで逃げてくれるなら楽というものだ。
「逃げろ!逃げろおおお!!」
市民はクオンの姿を見ると、脱兎のごとく逃げ出していく。
その姿に、ちょっと寂しい気持ちになるクオンだが、自分が悪魔と言われるだけでこの街の人たちが巣食える可能性が増えるのならいい事だろうと、前向きに考えることにした。
そして、逃げるのは一般市民だけではない、先ほどまでは何に襲われているかわからなかった恐怖と市民を守らねばならない使命感の天秤が使命感の方に傾き、クオンを捕らえようとしていた兵士たちが市民と同じく逃げ惑っている。
「クレイジュ・・・やりすぎ・・・」
(良い騒ぎになってるじゃねぇか)
確かに、その点だけ捕らえればいいのだ、だが、前向きに考えたクオンであるが、後々の事を考えると頭が痛い。
あれは演技でしたと言って信じてもらえるのだろうか?・・・多分無理かな。
「はあ、まあ仕方ない・・・それより、グラシアール商会に急ごう」
(あいよ、騒ぎはこれだけ起こせば十分だろうしな、後は勝手に尾ひれ背ひれが付きながら大きくなってくれるだろう)
その言葉を聞き、頭を抱えるクオンであった。
その場を後にした、クオンはグラシアール商会の本店へとやってくる。
そこには、見知った顔があった。
「確か、マーニャさんでしたよね?」
「はい、以前はお世話になりました」
そう、子供の頃、エリンシアと出会った時に門のところで恋人が魔物に攫われたと言っていた女性だ。
結果的に恋人のクレイさんは無事で、さらったのもレディだったのだが、その捜索の途中僕は紅の牙の一人が貴族を襲っているところに出会ってしまい、ちゃんと挨拶も出来ずに終わっていた。
「いえ、恋人さんを救ったのはカモメとエリンシアですから」
「カモメ様とお嬢様にも感謝してます・・・それで、こちらに来られたのはこの騒ぎと関係があるのですよね?」
お店から動こうとしていないことからもしかしたらまだ騒ぎに気付いていないのかと思ったが、そんなことも無いようだ、マーニャの後ろには他の店員だろう人たちが同じ衣装を来て整列している。
「そうですが・・・逃げないのですか?」
「奥様が、こちらで待つように命じられましたので」
「待つって僕をですか?」
「はい・・・正確にはあなた方の誰かがこちらに来るだろうと」
どうやら、エリンシアのお母さんはこの騒ぎの意図に気付いているのかもしれない、だからこそ、協力を得るために僕らの誰かがここに来ることを想定していたのだろう。
「奥様が奥でお待ちです・・・どうぞ」
後ろに立っていた男性が、僕を促す。
僕はそれに従い中へと入っていった。
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