114 / 361
4章
法王
しおりを挟む
城の瓦礫が散乱する中をゆっくりと優雅にこちらに近づいてくる女性。
その女性は金髪のウェーブのかかった長い髪を風に揺らしながら、純白のドレスが太陽の光を反射させ、まるでキラキラと輝いているように見えた。
「誰・・・なの?」
「わかりませんわ・・・敵なのか・・・味方なのか・・・」
すでに戦う魔力も体力も残っていない私たちは、先ほどグランが立ち上がった時すでに絶体絶命の状態であった。あのまま、グランとの戦闘が続いていれば確実に負けていただろう。
そのことを考えれば私たちを助けてくれ様にも思えるが・・・どうなんだろう。
「間に合いましたね、ご無事ですか?」
その女性はにこやかに微笑んで、私に手を差し伸べてくれた。
「ありがとう・・・ございます」
私は警戒を怠らず、だけど、差し伸べられた手を無視することも出来ず、握り返し立ち上がった。
「あなたは?」
「貴様!女王を知らぬと申すのか!!」
私が女性に尋ねると、後ろに控えていた鎧姿の男性が声を荒げる・・・女王?
もしかしてシェリーのお母さん?
私がそう思いシェリーの方を見てみると、シェリーは驚いたような表情で女王と呼ばれた女性を見ていた。
「・・・メリアンナ・・・法王・・・」
シェリーがこれでもかと言うくらい目を見開きながらそう言った。
はて・・・メリアンナ法王・・・?どっかで聞いたことあるような?
「メリアンナ法王ですって!?」
「エリンシア、知ってる人?」
「おバカちゃん!メリアンナ法王といえば、ベラリッサ法国の女王ですわよ!」
あー、そういえば、ベラリッサの女神の化身とか言われてる人がそんな名前だった気がするよ。
いやー、ベラリッサにはいい思い出が無いから忘れてたね・・・うんうん・・・お城一つ壊しちゃったし・・・・・・・・・あれ?
「わわわわっ!」
私はそう聞いて慌ててメリアンナ女王から距離をとる。
「ふふふ、あなたが闇の魔女ね?」
「こんな小娘が!?」
メリアンナ女王が私の事に気付き、微笑む・・・笑顔が怖い。
「では貴様が、国境にある我が国の城を破壊した極悪人か!!」
「うぐっ、確かに壊しちゃったけど」
あれは、こっちの話も聞かずに監禁されて、ベラリッサなら私のいう事を聞いてくれんじゃって期待してたのを裏切られて・・・なんか、むしゃくしゃしてやっちゃいました!ごめんなさい!
などと、私は良いわけにもならないようなことを頭の中で言っていた。
「やめなさい、ゴンズ。あれはこちらの不手際よ。今回の件でグランルーンは魔族とつながっていることが解ったわ。それなら、あの国に指名手配されたこの子は何かしらの理由で罠に嵌められたと考えるべきでしょう?」
「しかし、ただの極悪人という可能性も・・・それに現に我が国の城がひとつ」
ご、ごごごご極悪人じゃないもん!・・・・・善人とは言えないかもしれないけど。
「それならば、クーネル国の王女と共にこの国を救おう等とはしていないわ、あなたも見たでしょう?魔族と対峙しているこの子の姿を」
「む、むぅ・・・女王がそうおっしゃるのならば・・・」
「解ってくれて嬉しいわ」
再びにこやかに微笑むと、メリアンナ女王は私を再び見た。
「嫌な思いをさせてしまってごめんなさい」
「い、いえ、城を壊したのは本当ですし・・・」
私が、顔を俯きながらそう言うと、彼女は「大丈夫ですよ」と優しく言った。
「それで、あなたはなぜここに来たのかしら?」
「なっ、ぬいぐるみが喋るだと!面妖な!!」
「ぬいぐるみじゃないわよ!!!」
私の顔の前にふわりと浮いて、私とメリアンナの間に立った、ディータは女王相手にもいつも通りである。
「あら、かわいい」
「撫でるな!!!」
「あら、ごめんなさい、なぜここにと言われると、クーネル国の王女を助けに来たのよ?」
「私をですか?」
「ええ、王女が国を取り戻そうと頑張っていると聞いたわ、だから少しでも力になれないかと思って・・・でも、魔女さんのお陰でほとんど戦いは終わってたみたいですけどね」
確かに、ほとんどの魔族を倒し、帝国の兵士はリザードマンにやられ、そのリザードマンたちはすでにディータの腹の中である。傍から見れば殆ど私たちの勝利で終わっているように見えるかもしれないが、最後に残っていた12神将の1人グランは桁違いの強さであった。
おそらく、あそこでメリアンナ女王が助けてくれなければ私達は負けていただろう。
結局、クーネル国を救ったのはこのメリアンナ女王なのだ。
「いえ、メリアンナさんが助けてくれなかったら負けてました、ありがとうございます」
「少しでもお役に立ててうれしいですね」
「で、アンタはこれからどうするつもりなの?」
「ちょ、ディータ!」
ディータはなぜか、メリアンナ女王に噛みつく・・・一体どうしたの?
「とりあえずは、クーネル国の復興に協力させてもらってもいいでしょうか?」
「いいんですか?」
思ってもいなかった言葉に、シェリーが驚きの声を上げた。
「是非・・・それと、もしよかったらツァインの王様にもご挨拶させてもらってもいいかしら?」
「王様に?・・・うん、大丈夫だと思うけど・・・。」
「よかった、ではゴンズ、あなたはこの国の復興に力を貸してあげて、兵士達は全て預けます。」
「はっ、かしこまりました。して、陛下は?」
ゴンズと呼ばれた兵士は恭しく頭を下げると、兵士全てを預けると言われたことに疑問を思ったのか女王にそう聞いた。
「私は、魔女さんと一緒にツァインに行かせてもらいます、ツァインとも協力体制をとっていきたいですから」
「はっ、お気を付けて」
「ありがとう」
ニッコリと微笑んでゴンズにお礼を言うメリアンナ女王・・・え、一人で行かせちゃっていいの?
「女王を一人で行かせてしまって、いいんですの?」
「我が女王はとても強いお方だ、辺境の国がもし牙をむこうとも問題ない」
確かに、光の魔法の最高位であるラ・ピュリオンを使ったりととんでもない強さなのは確かだろうけど、さすがに護衛一人もなしは過信し過ぎなんじゃ?
「ふふふ、心配してくれてありがとうございます。ですが大丈夫ですよ。」
何が大丈夫なのか全然わかんないけど・・・まあ、本人がそう言うのならいいかな。
「それじゃ、シェリー、私たちは一回ツァインに戻って、王様にクーネル国の復興の手助けを頼んでくるよ」
「ありがとうございます、お姉さま・・・本当に・・・」
私は、シェリーの頭を撫でてあげると、シェリーは涙を眼に一杯ため込んで抱き着いてきた。
「エリンシア、コロ、ミャア三人はここでシェリーの手助けを頼んでもいい?」
「は、はい!」
「力仕事なら任せるニャ」
「解りましたわ、こちらは任せてくださいまし」
「よろしく」
ベラリッサの兵士なら大丈夫だとは思うけど、すでに一度、他国に侵略されているのだシェリーも不安があるだろう。エリンシアがいればそこら辺も気を使ってくれるだろうし、三人に任せて私たちはツァインへ戻ろう。
「それじゃ、早速戻るけどいいですか、メリアンナさん」
「はい、私は大丈夫です、あなたは休まなくていいのですか?」
「うん、出来るだけ早くこの国の復興を手伝いたいからね」
「お優しいんですね」
そう言われて、私は少し顔を赤くした。
と、とにかく、出来るだけ早く戻ってこよう、ベラリッサがただの厚意で助けに来てくれたとは限らないしね・・・とはいえ、メリアンナ女王以外の人達は普通の兵士といった感じだ、三人がいれば何かあっても大丈夫だろう。
後は、ツァインに帰ったら王様と相談だね。
その女性は金髪のウェーブのかかった長い髪を風に揺らしながら、純白のドレスが太陽の光を反射させ、まるでキラキラと輝いているように見えた。
「誰・・・なの?」
「わかりませんわ・・・敵なのか・・・味方なのか・・・」
すでに戦う魔力も体力も残っていない私たちは、先ほどグランが立ち上がった時すでに絶体絶命の状態であった。あのまま、グランとの戦闘が続いていれば確実に負けていただろう。
そのことを考えれば私たちを助けてくれ様にも思えるが・・・どうなんだろう。
「間に合いましたね、ご無事ですか?」
その女性はにこやかに微笑んで、私に手を差し伸べてくれた。
「ありがとう・・・ございます」
私は警戒を怠らず、だけど、差し伸べられた手を無視することも出来ず、握り返し立ち上がった。
「あなたは?」
「貴様!女王を知らぬと申すのか!!」
私が女性に尋ねると、後ろに控えていた鎧姿の男性が声を荒げる・・・女王?
もしかしてシェリーのお母さん?
私がそう思いシェリーの方を見てみると、シェリーは驚いたような表情で女王と呼ばれた女性を見ていた。
「・・・メリアンナ・・・法王・・・」
シェリーがこれでもかと言うくらい目を見開きながらそう言った。
はて・・・メリアンナ法王・・・?どっかで聞いたことあるような?
「メリアンナ法王ですって!?」
「エリンシア、知ってる人?」
「おバカちゃん!メリアンナ法王といえば、ベラリッサ法国の女王ですわよ!」
あー、そういえば、ベラリッサの女神の化身とか言われてる人がそんな名前だった気がするよ。
いやー、ベラリッサにはいい思い出が無いから忘れてたね・・・うんうん・・・お城一つ壊しちゃったし・・・・・・・・・あれ?
「わわわわっ!」
私はそう聞いて慌ててメリアンナ女王から距離をとる。
「ふふふ、あなたが闇の魔女ね?」
「こんな小娘が!?」
メリアンナ女王が私の事に気付き、微笑む・・・笑顔が怖い。
「では貴様が、国境にある我が国の城を破壊した極悪人か!!」
「うぐっ、確かに壊しちゃったけど」
あれは、こっちの話も聞かずに監禁されて、ベラリッサなら私のいう事を聞いてくれんじゃって期待してたのを裏切られて・・・なんか、むしゃくしゃしてやっちゃいました!ごめんなさい!
などと、私は良いわけにもならないようなことを頭の中で言っていた。
「やめなさい、ゴンズ。あれはこちらの不手際よ。今回の件でグランルーンは魔族とつながっていることが解ったわ。それなら、あの国に指名手配されたこの子は何かしらの理由で罠に嵌められたと考えるべきでしょう?」
「しかし、ただの極悪人という可能性も・・・それに現に我が国の城がひとつ」
ご、ごごごご極悪人じゃないもん!・・・・・善人とは言えないかもしれないけど。
「それならば、クーネル国の王女と共にこの国を救おう等とはしていないわ、あなたも見たでしょう?魔族と対峙しているこの子の姿を」
「む、むぅ・・・女王がそうおっしゃるのならば・・・」
「解ってくれて嬉しいわ」
再びにこやかに微笑むと、メリアンナ女王は私を再び見た。
「嫌な思いをさせてしまってごめんなさい」
「い、いえ、城を壊したのは本当ですし・・・」
私が、顔を俯きながらそう言うと、彼女は「大丈夫ですよ」と優しく言った。
「それで、あなたはなぜここに来たのかしら?」
「なっ、ぬいぐるみが喋るだと!面妖な!!」
「ぬいぐるみじゃないわよ!!!」
私の顔の前にふわりと浮いて、私とメリアンナの間に立った、ディータは女王相手にもいつも通りである。
「あら、かわいい」
「撫でるな!!!」
「あら、ごめんなさい、なぜここにと言われると、クーネル国の王女を助けに来たのよ?」
「私をですか?」
「ええ、王女が国を取り戻そうと頑張っていると聞いたわ、だから少しでも力になれないかと思って・・・でも、魔女さんのお陰でほとんど戦いは終わってたみたいですけどね」
確かに、ほとんどの魔族を倒し、帝国の兵士はリザードマンにやられ、そのリザードマンたちはすでにディータの腹の中である。傍から見れば殆ど私たちの勝利で終わっているように見えるかもしれないが、最後に残っていた12神将の1人グランは桁違いの強さであった。
おそらく、あそこでメリアンナ女王が助けてくれなければ私達は負けていただろう。
結局、クーネル国を救ったのはこのメリアンナ女王なのだ。
「いえ、メリアンナさんが助けてくれなかったら負けてました、ありがとうございます」
「少しでもお役に立ててうれしいですね」
「で、アンタはこれからどうするつもりなの?」
「ちょ、ディータ!」
ディータはなぜか、メリアンナ女王に噛みつく・・・一体どうしたの?
「とりあえずは、クーネル国の復興に協力させてもらってもいいでしょうか?」
「いいんですか?」
思ってもいなかった言葉に、シェリーが驚きの声を上げた。
「是非・・・それと、もしよかったらツァインの王様にもご挨拶させてもらってもいいかしら?」
「王様に?・・・うん、大丈夫だと思うけど・・・。」
「よかった、ではゴンズ、あなたはこの国の復興に力を貸してあげて、兵士達は全て預けます。」
「はっ、かしこまりました。して、陛下は?」
ゴンズと呼ばれた兵士は恭しく頭を下げると、兵士全てを預けると言われたことに疑問を思ったのか女王にそう聞いた。
「私は、魔女さんと一緒にツァインに行かせてもらいます、ツァインとも協力体制をとっていきたいですから」
「はっ、お気を付けて」
「ありがとう」
ニッコリと微笑んでゴンズにお礼を言うメリアンナ女王・・・え、一人で行かせちゃっていいの?
「女王を一人で行かせてしまって、いいんですの?」
「我が女王はとても強いお方だ、辺境の国がもし牙をむこうとも問題ない」
確かに、光の魔法の最高位であるラ・ピュリオンを使ったりととんでもない強さなのは確かだろうけど、さすがに護衛一人もなしは過信し過ぎなんじゃ?
「ふふふ、心配してくれてありがとうございます。ですが大丈夫ですよ。」
何が大丈夫なのか全然わかんないけど・・・まあ、本人がそう言うのならいいかな。
「それじゃ、シェリー、私たちは一回ツァインに戻って、王様にクーネル国の復興の手助けを頼んでくるよ」
「ありがとうございます、お姉さま・・・本当に・・・」
私は、シェリーの頭を撫でてあげると、シェリーは涙を眼に一杯ため込んで抱き着いてきた。
「エリンシア、コロ、ミャア三人はここでシェリーの手助けを頼んでもいい?」
「は、はい!」
「力仕事なら任せるニャ」
「解りましたわ、こちらは任せてくださいまし」
「よろしく」
ベラリッサの兵士なら大丈夫だとは思うけど、すでに一度、他国に侵略されているのだシェリーも不安があるだろう。エリンシアがいればそこら辺も気を使ってくれるだろうし、三人に任せて私たちはツァインへ戻ろう。
「それじゃ、早速戻るけどいいですか、メリアンナさん」
「はい、私は大丈夫です、あなたは休まなくていいのですか?」
「うん、出来るだけ早くこの国の復興を手伝いたいからね」
「お優しいんですね」
そう言われて、私は少し顔を赤くした。
と、とにかく、出来るだけ早く戻ってこよう、ベラリッサがただの厚意で助けに来てくれたとは限らないしね・・・とはいえ、メリアンナ女王以外の人達は普通の兵士といった感じだ、三人がいれば何かあっても大丈夫だろう。
後は、ツァインに帰ったら王様と相談だね。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる