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2章
ツァインに住む者たち
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カモメ達が街の人の依頼をしている頃、この冒険者ギルドの2階にある一室では二人の男女が話をしていた。
一人は猫の獣人の姿をしており、普段は受付嬢をしているアイナという女性だ。
もう一人は大柄の男性で厳つい顔をしており、傍から見れば荒くれものの冒険者と言える風体をしていた。
そう、カモメ達が冒険者ギルドに初めて入った時、気さくに声を掛けてきた男、名はガートンという。
「それで、魔女ちゃんたちの登録証はどんな感じだったんだ?」
「すごいの一言かと・・・」
本来、登録証は登録した本人の承諾が無ければ他人にその冒険者の情報を教えることはない。
登録した冒険者の情報を知ることが出来るのはギルドの関係者くらいである。
「ほう、どうすごいんだ?」
「先ずは、当然のことながらランクです。SSランクの冒険者は彼女が初めてです」
「確かにな、Sランクなら何人かいたが・・・いや、英雄と呼ばれたパーティにいたものたちが改めて登録をすればSSランクになったかもしれんが・・・」
「彼らはすでに亡くなっているか冒険者をやめていますからね」
英雄と呼ばれるパーティというのはカモメの父、ヴィクトールと母のアスカが所属していたパーティである。
そのパーティであるラインハルトはグランルーン王国で騎士団長をやっている為、冒険者をやめている。
ラインハルト以外にもあと二人、そのパーティに所属していたメンバーがいるがいずれも冒険者をやめているのか登録し直したという情報が入ってきていなかった。
「それに、魔女様の適正魔法に見たことのない属性があります」
「ほう・・・どんなだ?」
「闇と合成《ユニーク》です」
「闇か・・・確かに初めて聞くな。ユニーク魔法を使える人間は稀にいるがユニーク表記が無いところを見るとちゃんとした基本属性ってわけか・・・」
「はい」
新しくなった判別の魔導具のお陰で冒険者たちの能力を正確に知ることが出来るようになったのだが、そのお陰で改めて驚かされることが多い。
基本魔法の属性は火、水、風、氷、雷、光、土の7つの属性だと言われていた。
しかし、それとはまったく違う魔法を使う人間が稀にいる。
それらはユニーク魔法として知られていたが、その魔法が一体どういうものなのかというのを正確に知ったのはこの魔導具が登場してからである。
その為、ユニーク魔法を持つ者が出る度にギルドはそのユニーク魔法が存在することを記録したりしていた。
だが、基本魔法である7つ以外の属性が存在することは初めてであった。
「魔女様だけが扱える魔法なのでしょうか?」
「魔女ちゃんの魔力が黒かったのもこの魔法属性に関係あるのかもな」
「黒い魔力の者だけが使える魔法ということでしょうか?」
「ああ、もしくはこの魔法が使えるようになると魔力が黒くなるのか」
「なるほど、さすがギルドマスターです」
ギルドマスターと呼ばれたいかつい顔の男、ガートンが頭を掻く。
そう、ガートンはこのツァインの冒険者ギルドのギルドマスターであった。
「あくまで俺の予想だがな」
そう言って、再び、頭を掻くガートン。
「しかし、いきなりランクSの冒険者が二人に初のランクSS冒険者が加入することになるとはな」
「うちで一番ランクが高い、グランタさんもランクAですしね」
「まあ、騎士団長のソフィーナなんかも調べれはランクAはあるかもしれないけどよ」
「確かギルドマスターもランクAでしたよね?」
「ああ、前に遊びで使ったらそうなったな」
「でも、私、不思議に思うんですけど」
アイナが顎に人差し指を当てながら首を傾ける。
「なんだ?」
「ガートンさんもグランタさんもソフィーナ様もウェアウルフの襲撃の時、討伐に参加されてましたよね?」
「ああ、当然な」
「ランクAの方が3人もいらしたのに、ランクDのウェアウルフたちの襲撃であそこまでピンチなるものなのでしょうか?」
「はあ・・・お前な」
「はい?」
ガートンはため息を吐きながら呆れた顔をした。
「勿論、俺やグランタはウェアウルフ一匹であれば問題もなく倒せる実力はある。ランクAと判定されたんだ、同じランクAのウェアウルフの上位種であるルー・ガルーとタイマンならいい勝負が出来るだろうよ」
「ですよね、では今回はなぜウェアウルフたちに遅れを?」
「別に遅れをとったわけじゃねぇぞ、1対1の戦いと多対多の戦いじゃ話が違ってくるんだよ、毎回タイマンで戦えるならウェアウルフに負けることなんてねぇかもしれねぇ、だがあの戦いは大勢対大勢だ。」
ガートンは説明を続ける。彼の言い分はこうであった。
それこそ、最初の襲撃の時は他の冒険者や兵士たちも健闘していたため、それ程の難はなく撃退することが出来た。
だが、その翌日にはまたも100の敵が襲い掛かってきたのだ、前日の疲労もある為、その戦いで負傷したものの数は前日の比ではなかった。
そしてその次の日もとなるとまともに動けるのはそれこそランクAと言われる人物くらいだったのだ。
もちろん、兵士や他の冒険者も必死に戦っていた、だが、初日のキレはない。次第に自分らが一度に複数のウェアウルフと対峙することになるだ。
そうなれば、ランクAの彼らでも苦戦をする、そして苦戦が続けば敗北となるのだ。
「そうなのですか・・・ですが、それだと・・・」
「ああ、たった二人で100近いウェアウルフを一瞬で倒した魔女ちゃんたちはまさしく化け物だな」
「あんなにかわいいのに・・・」
ぽそりとアイナが呟いた。
恐怖の色が入った声色ではない、純粋に驚きの声であった。
・・・・・・・・・発した言葉はアイナの趣味であろう。
「ランクAとランクS、その差は一つだがその壁は果てしなく大きいのかもしれんな・・・そして、その上のSSも・・・」
「期待の新人ですね♪」
「新人って言えるのか・・・?」
「えっへっへ~、私の担当です!」
アイナはどうだ!と言わんばかりに胸を張った。
その姿はカモメが見たら額に青筋を立てるのではないだろうかと思うくらい立派なものであった。
「ウチのギルドの職員はまともな奴がいないのかねぇ」
「ギルドマスターがコレですからねぇ」
「おい、コレとか言うんじゃねぇよ、傷つくだろうが」
闇の魔女を加入させたとすれば、普通のギルドであれば不安と恐怖で気が気じゃないだろう。
しかし、ここツァインの冒険者ギルドは職員の誰一人としてそんな危機感を持っていない。
それは、王様が認めた者だからと王様を信じているのか。
それとも、魔女の性格を自分の目で確かめて信用したのか。
いつ確認したのか疑問に思うだろう、それは、魔女が登録に来たあの日、ギルドの職員は冒険者に混ざり全員あの場にいた。
カウンターの奥で盗み見ている者、併設さえている酒場でお酒を飲みながら見ている者。
ガートンのように冒険者に紛れ、堂々と見ている者などさまざまであったがあの日魔女が登録に来ると皆知っていたためあの場に集まっていたのだ。
それに、もし闇の魔女であるあの魔女が本気で暴れればこの国は簡単に滅びてしまうだろう。
そんな相手を警戒しても無駄である、それならば信用してみるのもいいかもしれない。
王様が言ったこと、自分たちの眼で見た魔女の本質、それが嘘でないことを。
いいのかそれでと他のギルドの人間は思うだろう、だが、このギルドの人間は気にしない。
全員が全員変わり者だからなのか・・・それとも、全員が覚悟を持った人間なのか・・・。
それは、今は解らないことであった。
《ソフィーナside》
場所は変わり、ここはツァイン王国の外れにある小さな家である。
そこには鎧をまとった女性が一人テーブルに丸い球体の物を置き、自らは椅子に座っている。
傍から見れば、騎士の姿をした女性が占い師の真似事でもしているのかとも思える状況であるが、そうではない。
彼女の名前はソフィーナ。
このツァイン王国の騎士団長である。
そしてこの家は彼女の家であった。
普段は騎士の宿舎で寝泊まりをしている彼女なので帰る家は必要ないのだが、それでもここに来る理由がある。
子供の頃、母とも姉とも呼べる女性と一緒に暮らし、育った家であった。
そして、今はその女性はここにはいない、だが、今この家では話し声が聞こえてきた。
いるのはソフィーナ一人である、だがソフィーナは目の前の物と会話していた。
その物とは占い師が使う水晶くらいの大きさの透明な球体である。
この球体は魔導具であり、遠くのものと会話の出来るという物だ。
その球体から、女の声が聞こえてくる。
「そう、魔女が・・・」
「はい、闇の魔女と呼ばれる者が我が国を救いました、そして、今は冒険者としてこのツァインで暮らしています」
「『闇』の魔女ね・・・」
「知っているのですか?」
「ううん、噂だけよ。ただ、一度会ってみたいと思っていたわねぇ」
「では・・・」
ソフィーナの眼が喜びの色に染まる。
「ええ、もうここでの用は済んだし、一度ツァインに戻るわ」
「はい、お待ちしております!」
「貴方からみて闇の魔女はどんな子?」
「噂通りではないかと・・・」
「そう、かわいい?」
「え?・・・あ、はい、かわいらしい方です」
「そう!楽しみね♪」
「また、悪い癖ですよ・・・」
「貴方に言われたくない~」
「うぐ」
ソフィーナはどうやら球体の向こう側の女性に頭が上がらないようだった。
「それじゃ、今度はそっちで会いましょう♪」
「はい、お待ちしております」
球体から出ていた淡い光が収まると声は聞こえなくなる。
「久しぶりだな」
近い未来訪れるであろう、その者の来訪を今から待ち遠しく感じているのか顔を綻ばしているソフィーナであった。
一人は猫の獣人の姿をしており、普段は受付嬢をしているアイナという女性だ。
もう一人は大柄の男性で厳つい顔をしており、傍から見れば荒くれものの冒険者と言える風体をしていた。
そう、カモメ達が冒険者ギルドに初めて入った時、気さくに声を掛けてきた男、名はガートンという。
「それで、魔女ちゃんたちの登録証はどんな感じだったんだ?」
「すごいの一言かと・・・」
本来、登録証は登録した本人の承諾が無ければ他人にその冒険者の情報を教えることはない。
登録した冒険者の情報を知ることが出来るのはギルドの関係者くらいである。
「ほう、どうすごいんだ?」
「先ずは、当然のことながらランクです。SSランクの冒険者は彼女が初めてです」
「確かにな、Sランクなら何人かいたが・・・いや、英雄と呼ばれたパーティにいたものたちが改めて登録をすればSSランクになったかもしれんが・・・」
「彼らはすでに亡くなっているか冒険者をやめていますからね」
英雄と呼ばれるパーティというのはカモメの父、ヴィクトールと母のアスカが所属していたパーティである。
そのパーティであるラインハルトはグランルーン王国で騎士団長をやっている為、冒険者をやめている。
ラインハルト以外にもあと二人、そのパーティに所属していたメンバーがいるがいずれも冒険者をやめているのか登録し直したという情報が入ってきていなかった。
「それに、魔女様の適正魔法に見たことのない属性があります」
「ほう・・・どんなだ?」
「闇と合成《ユニーク》です」
「闇か・・・確かに初めて聞くな。ユニーク魔法を使える人間は稀にいるがユニーク表記が無いところを見るとちゃんとした基本属性ってわけか・・・」
「はい」
新しくなった判別の魔導具のお陰で冒険者たちの能力を正確に知ることが出来るようになったのだが、そのお陰で改めて驚かされることが多い。
基本魔法の属性は火、水、風、氷、雷、光、土の7つの属性だと言われていた。
しかし、それとはまったく違う魔法を使う人間が稀にいる。
それらはユニーク魔法として知られていたが、その魔法が一体どういうものなのかというのを正確に知ったのはこの魔導具が登場してからである。
その為、ユニーク魔法を持つ者が出る度にギルドはそのユニーク魔法が存在することを記録したりしていた。
だが、基本魔法である7つ以外の属性が存在することは初めてであった。
「魔女様だけが扱える魔法なのでしょうか?」
「魔女ちゃんの魔力が黒かったのもこの魔法属性に関係あるのかもな」
「黒い魔力の者だけが使える魔法ということでしょうか?」
「ああ、もしくはこの魔法が使えるようになると魔力が黒くなるのか」
「なるほど、さすがギルドマスターです」
ギルドマスターと呼ばれたいかつい顔の男、ガートンが頭を掻く。
そう、ガートンはこのツァインの冒険者ギルドのギルドマスターであった。
「あくまで俺の予想だがな」
そう言って、再び、頭を掻くガートン。
「しかし、いきなりランクSの冒険者が二人に初のランクSS冒険者が加入することになるとはな」
「うちで一番ランクが高い、グランタさんもランクAですしね」
「まあ、騎士団長のソフィーナなんかも調べれはランクAはあるかもしれないけどよ」
「確かギルドマスターもランクAでしたよね?」
「ああ、前に遊びで使ったらそうなったな」
「でも、私、不思議に思うんですけど」
アイナが顎に人差し指を当てながら首を傾ける。
「なんだ?」
「ガートンさんもグランタさんもソフィーナ様もウェアウルフの襲撃の時、討伐に参加されてましたよね?」
「ああ、当然な」
「ランクAの方が3人もいらしたのに、ランクDのウェアウルフたちの襲撃であそこまでピンチなるものなのでしょうか?」
「はあ・・・お前な」
「はい?」
ガートンはため息を吐きながら呆れた顔をした。
「勿論、俺やグランタはウェアウルフ一匹であれば問題もなく倒せる実力はある。ランクAと判定されたんだ、同じランクAのウェアウルフの上位種であるルー・ガルーとタイマンならいい勝負が出来るだろうよ」
「ですよね、では今回はなぜウェアウルフたちに遅れを?」
「別に遅れをとったわけじゃねぇぞ、1対1の戦いと多対多の戦いじゃ話が違ってくるんだよ、毎回タイマンで戦えるならウェアウルフに負けることなんてねぇかもしれねぇ、だがあの戦いは大勢対大勢だ。」
ガートンは説明を続ける。彼の言い分はこうであった。
それこそ、最初の襲撃の時は他の冒険者や兵士たちも健闘していたため、それ程の難はなく撃退することが出来た。
だが、その翌日にはまたも100の敵が襲い掛かってきたのだ、前日の疲労もある為、その戦いで負傷したものの数は前日の比ではなかった。
そしてその次の日もとなるとまともに動けるのはそれこそランクAと言われる人物くらいだったのだ。
もちろん、兵士や他の冒険者も必死に戦っていた、だが、初日のキレはない。次第に自分らが一度に複数のウェアウルフと対峙することになるだ。
そうなれば、ランクAの彼らでも苦戦をする、そして苦戦が続けば敗北となるのだ。
「そうなのですか・・・ですが、それだと・・・」
「ああ、たった二人で100近いウェアウルフを一瞬で倒した魔女ちゃんたちはまさしく化け物だな」
「あんなにかわいいのに・・・」
ぽそりとアイナが呟いた。
恐怖の色が入った声色ではない、純粋に驚きの声であった。
・・・・・・・・・発した言葉はアイナの趣味であろう。
「ランクAとランクS、その差は一つだがその壁は果てしなく大きいのかもしれんな・・・そして、その上のSSも・・・」
「期待の新人ですね♪」
「新人って言えるのか・・・?」
「えっへっへ~、私の担当です!」
アイナはどうだ!と言わんばかりに胸を張った。
その姿はカモメが見たら額に青筋を立てるのではないだろうかと思うくらい立派なものであった。
「ウチのギルドの職員はまともな奴がいないのかねぇ」
「ギルドマスターがコレですからねぇ」
「おい、コレとか言うんじゃねぇよ、傷つくだろうが」
闇の魔女を加入させたとすれば、普通のギルドであれば不安と恐怖で気が気じゃないだろう。
しかし、ここツァインの冒険者ギルドは職員の誰一人としてそんな危機感を持っていない。
それは、王様が認めた者だからと王様を信じているのか。
それとも、魔女の性格を自分の目で確かめて信用したのか。
いつ確認したのか疑問に思うだろう、それは、魔女が登録に来たあの日、ギルドの職員は冒険者に混ざり全員あの場にいた。
カウンターの奥で盗み見ている者、併設さえている酒場でお酒を飲みながら見ている者。
ガートンのように冒険者に紛れ、堂々と見ている者などさまざまであったがあの日魔女が登録に来ると皆知っていたためあの場に集まっていたのだ。
それに、もし闇の魔女であるあの魔女が本気で暴れればこの国は簡単に滅びてしまうだろう。
そんな相手を警戒しても無駄である、それならば信用してみるのもいいかもしれない。
王様が言ったこと、自分たちの眼で見た魔女の本質、それが嘘でないことを。
いいのかそれでと他のギルドの人間は思うだろう、だが、このギルドの人間は気にしない。
全員が全員変わり者だからなのか・・・それとも、全員が覚悟を持った人間なのか・・・。
それは、今は解らないことであった。
《ソフィーナside》
場所は変わり、ここはツァイン王国の外れにある小さな家である。
そこには鎧をまとった女性が一人テーブルに丸い球体の物を置き、自らは椅子に座っている。
傍から見れば、騎士の姿をした女性が占い師の真似事でもしているのかとも思える状況であるが、そうではない。
彼女の名前はソフィーナ。
このツァイン王国の騎士団長である。
そしてこの家は彼女の家であった。
普段は騎士の宿舎で寝泊まりをしている彼女なので帰る家は必要ないのだが、それでもここに来る理由がある。
子供の頃、母とも姉とも呼べる女性と一緒に暮らし、育った家であった。
そして、今はその女性はここにはいない、だが、今この家では話し声が聞こえてきた。
いるのはソフィーナ一人である、だがソフィーナは目の前の物と会話していた。
その物とは占い師が使う水晶くらいの大きさの透明な球体である。
この球体は魔導具であり、遠くのものと会話の出来るという物だ。
その球体から、女の声が聞こえてくる。
「そう、魔女が・・・」
「はい、闇の魔女と呼ばれる者が我が国を救いました、そして、今は冒険者としてこのツァインで暮らしています」
「『闇』の魔女ね・・・」
「知っているのですか?」
「ううん、噂だけよ。ただ、一度会ってみたいと思っていたわねぇ」
「では・・・」
ソフィーナの眼が喜びの色に染まる。
「ええ、もうここでの用は済んだし、一度ツァインに戻るわ」
「はい、お待ちしております!」
「貴方からみて闇の魔女はどんな子?」
「噂通りではないかと・・・」
「そう、かわいい?」
「え?・・・あ、はい、かわいらしい方です」
「そう!楽しみね♪」
「また、悪い癖ですよ・・・」
「貴方に言われたくない~」
「うぐ」
ソフィーナはどうやら球体の向こう側の女性に頭が上がらないようだった。
「それじゃ、今度はそっちで会いましょう♪」
「はい、お待ちしております」
球体から出ていた淡い光が収まると声は聞こえなくなる。
「久しぶりだな」
近い未来訪れるであろう、その者の来訪を今から待ち遠しく感じているのか顔を綻ばしているソフィーナであった。
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