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1章
絶体絶命
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「ゥ・・・ガァ・・・・」
「ん?クオン何か言った?」
お父さんたちがヘインズと魔鬼と戦い始めたころ、私達は赤髪の盗賊を倒し、廃墟へと戻ろうとしていた。
さて戻ろうかという時、私の耳に小さな呻き声のようなものが届いたのだった。
「いや、何も言ってないけど?」
クオンの耳には届かなかったのかクオンは不思議そうな顔をする。
うーん、確かに聞こえたような気がするけど・・・気のせいかな?
私が改めて廃墟に向かって走り出そうとした時、今度は後ろで何が動いたような音がする。
今度はクオンも気づいたらしく私と同時に後ろを振り向いた。
「え・・・なんで?」
私は後ろで立ち上がった赤髪の盗賊を見て驚きの声を上げた。
確かに倒したはずだ。
クオンの放った一撃は致命傷だったはず、生きているはずがない。
「グゥ・・・ルルルゥ」
盗賊は唸り声のようなものをあげた。
様子が変だ?
なんというか・・・なぜか、先ほどまでは雑魚としか思わなかった相手から恐怖を感じる。
私の本能がやばいと告げているのだ・・・逃げるべき?
でも、もし赤髪の盗賊が生きているなら家族の仇であるクオンは放っておけないだろう。
「ガァ!!・・・グウウウウ!!グガァア!」
私がどうするか悩んでいると盗賊の様子がさらにおかしくなる。
苦しんでいるようだ。
「何がどうなってるの?」
「わからない・・・けど普通じゃない」
確かに普通ではない。
なにせ目の前の盗賊の体がボコボコと音を上げながら段々と大きくなっていくのだ。
そして体の色が肌色から黒へと変わっていく。
段々と苦しみの声が小さくなっていき体はもともとより二回りほど大きくなっていた。
そして、眼は白目の部分が黒くなり、瞳は燃えるような赤へと変わっていた。
「ま、魔物?」
「わからない・・・一体何なんだ?」
私とクオンが戸惑っていると、盗賊だったものは咆哮を上げる。そして私たちに向かって走り出した。
まずいっ・・・私は咄嗟にそう思い風の魔法を相手に放つ。
風の魔法は命中する、だが、ダメージにならなかったのか敵は意にも介さずそのまま突っ込んできた。
「きゃあ!!」
「うわぁ!!」
私とクオンは突進してきた敵に弾かれ近くにあった少し大きめな木に叩き付けられる。
「くっ」
クオンは剣を抜くと敵に向かって走り出した。
敵に間合いに入る直前にスピードを上げ、一気に懐へと潜り込む。
そして剣を横薙ぎに振り、相手の胴を斬り裂いた。
「グゥゥ・・・」
だが、確かに胴を斬り裂いたはずなのに敵の胴体には傷一つ残っていない。
「なっ・・・」
「ガア!!」
敵が拳を振り上げクオンへと叩き付ける。
それをクオンは避けきれず地面へと叩き付けられた。
「ぐはっ!」
「クオン!!」
敵の皮膚は余程堅いのか、私の風の魔法も効かず、クオンの斬撃でも傷つかない。
敵は再び拳を上へ振り上げ、クオンに攻撃をしようとする。
私は咄嗟にクオンを助ける為、合成魔法を放った。
「魔水風圧弾!!」
私の魔法の中で一番の貫通力を持つ合成魔法だ。
風の魔法で怯まず、クオンの斬撃で傷がつかない相手であるなら通常の魔法ではどうにもできないだろう。
それなら威力のある合成魔法を放つしかないのだが、他の合成魔法ではクオンを巻き込んでしまう。
なら、範囲は一直線で威力も高いこの魔法で息の根を止めるしかないと思ったのだ。
「ガァ!?」
敵は私の魔法を胸に受け、その勢いで後ろに飛んだ・・・私のアクアウィレスは貫通力のある魔法だ。
普通であれば敵が後ろに飛ぶということはない、なにせ敵の体を貫通するのだから。
だが、敵は私の魔法を受けて貫かれるわけではなく、私の魔法の勢いで後ろに飛ばされたのだ・・・。
つまり、私の一番の貫通力を持つ魔法が貫通できなかったのだ。
敵は、胸のあたりに少しだけ傷痕を残しているだけで大したダメージにもなっていないようだった。
それでも、初めてダメージを受けたことにより敵は私の方に向き直る。
私を危険と判断したようだ。
クオンを助けることは出来たが、あの敵に合成魔法でも大したダメージを与えられない・・・やばい。
私の中で一番の貫通力を持つ魔法がほとんど効いていないのだ・・・あれ・・・これ本当にやばくない?
「ガア!!」
敵は咆哮を上げ再び突っ込んでくる。
幸い、さほどスピードは速くない。
さっきは不意を突かれたが、避けようと思えばなんとかなりそうだ。
そう思い、私は敵の攻撃を躱そうとした・・・が。
「グオオオオ!」
敵が再び咆哮を上げる。
しかし、さっきまでの咆哮と違い、咆哮を上げた口から衝撃波のようなものが私へと向かってきた。
私は、それを無防備に喰らってしまった。
その衝撃波で私は再び後ろの木に叩き付けられる。
そして、その直後敵の体当たりをまともに受けてしまった。
体当たりの威力は凄まじく、私を支えていた木は折れるのではなく砕け散る。
そしてそれを突き抜け私はさらに後ろの木へと叩き付けられた。
「かはっ・・・ぁ・・・」
その攻撃で私の体はまともに動かなくなった。
立ち上がることも出来ず、地面へと倒れこむ。
「カモメ!!」
クオンの声が聞こえる・・・意識はまだ何とか保っているが、次の攻撃を喰らったら確実に死んじゃうだろう。
ヤバイ・・・絶体絶命である。
なんでこうなったの?・・・さっきまでは唯の盗賊だったのに・・・私とクオンなら負ける要素なんてなかった筈なのに・・・。
「うおおおおお!」
クオンの声が聞こえる。
私は何とか顔を上げ、その声の方を見ると、クオンが剣を敵へ突き刺そうとしていた。
しかし、敵の皮膚は堅く、刃が通らない。
だがクオンは諦めない、皮膚が堅いのなら堅くないであろう目を狙ったのだ。
「ガア!」
だが、その攻撃は敵の右腕に阻まれた。
そう簡単にはいかないか・・・。
「がはっ!」
敵の拳がクオンのお腹にめり込む。
クオンの手から剣が落ち、クオンはその場に蹲る。
苦しそうに咳をしながらも敵を睨むクオン。すぐさま落とした剣を拾い、攻撃に転じようとしたが、そこを敵に蹴り上げられ吹き飛ばされたしまった。
クオンが激しく地面を転がる。
「クオン!」
私はなんとか力を振り絞り立ち上がった。
「暴風轟炎!」
私の唱えた合成魔法が敵の周りに炎の竜巻となり襲い掛かる。
普通であればこの魔法は敵を焼きながら切り刻む・・・が。
「グガオ!!」
敵は再び口から衝撃波を出し、私の魔法をかき消した。
「うそ・・・」
勝つ手段が見つからない。
今度は私の方を向かず、地面に倒れているクオンの方へと歩き出した。
いけないっ、このままだとクオンが!
でも、どうしたらいいの?私の魔法じゃ、ほとんどダメージを与えられない、それどころか足止めにもならない。
どうしよう・・・どうしよう・・・。
ううん、迷ってる間に敵はクオンに近づいていく、何か行動しなきゃ!
私はバトーネを抜き、敵へと殴りかかった。
だが、当然のごとくダメージにはならない、いや、それどころか敵はそのままクオンに向かって歩き続ける。
私は敵の前に回り込みクオンとの間に立ちふさがった。
・・・が、バトーネを構えた瞬間、敵が横に振った拳に吹き飛ばされ、地面を転がった。
「クオン・・・」
クオンは意識を失っているのか動こうとしない。
「氷柱弾」
敵は拳を振り上げる、クオンへ叩き付けようというのだ。
私は右手を前に出し敵に氷の魔法を撃つ。
当然のごとく何の意味もなかった。
そして・・・敵は拳を振り下ろした。
「ぐあああ!」
クオンはそれを無防備に受けてしまった。
「クオン!!!」
「ぐ・・・」
まだ生きてる!
クオンは小さく声を漏らした。
敵もクオンがまだ生きていることに気づいたのか再び、拳を振り上げた。
駄目!もう一度喰らったらいくら何でも死んでしまう!
何か・・・何か、あいつを止める手段は!!
考えても考えても何も出てこない・・・なにか・・・何かないの!
なんでもいい・・・クオンを助けられる力!!
力が欲しい!!
だが、そんな私の願いも虚しく敵の拳は振り下ろされる。
「クオン!!!!」
嫌だ!失いたくない!
お母さんの時と一緒だ・・・私は何もできず大切なものを失う!
嫌だ!もう失いたくない!!
「くっ!」
クオンは敵の攻撃を転がり避けていた。
よかった・・・、でも、敵は再びクオンに近づいていく。
クオンは近くに落ちていた自分の剣を拾い、それを杖代わりに何とか立つ。
再び近づいた敵が左から拳を薙ぐ。
それを避けることが出来ず、クオンは喰らってしまった。
敵の拳をくらいクオンの腕は鈍い嫌な音をあげた。
クオンの右腕がだらりと下がっていた。
「ぐあああああああああああああ!!」
クオンの右腕が折れたのだ。
「クオン!!」
私の悲痛の叫びが響く・・・。
「ぐうう・・・カモメ・・・君だけでも逃げろ!!」
クオンが痛みを堪えながら左手で剣を構えそう言った。
逃げる・・・でも、そうしたらクオンが・・・
私はまた失う・・・の?
嫌だ!!!!!!
なんでもいい!力を!
あいつを倒してクオンを助けられる力が・・・・欲しい!
「カ・・・モメ?」
クオンが驚きの表情で私を見ていた。
それもそのはずである、黒い魔力のようなものが私の周りを包んでいた。
そして、私は闇に飲まれた。
「ん?クオン何か言った?」
お父さんたちがヘインズと魔鬼と戦い始めたころ、私達は赤髪の盗賊を倒し、廃墟へと戻ろうとしていた。
さて戻ろうかという時、私の耳に小さな呻き声のようなものが届いたのだった。
「いや、何も言ってないけど?」
クオンの耳には届かなかったのかクオンは不思議そうな顔をする。
うーん、確かに聞こえたような気がするけど・・・気のせいかな?
私が改めて廃墟に向かって走り出そうとした時、今度は後ろで何が動いたような音がする。
今度はクオンも気づいたらしく私と同時に後ろを振り向いた。
「え・・・なんで?」
私は後ろで立ち上がった赤髪の盗賊を見て驚きの声を上げた。
確かに倒したはずだ。
クオンの放った一撃は致命傷だったはず、生きているはずがない。
「グゥ・・・ルルルゥ」
盗賊は唸り声のようなものをあげた。
様子が変だ?
なんというか・・・なぜか、先ほどまでは雑魚としか思わなかった相手から恐怖を感じる。
私の本能がやばいと告げているのだ・・・逃げるべき?
でも、もし赤髪の盗賊が生きているなら家族の仇であるクオンは放っておけないだろう。
「ガァ!!・・・グウウウウ!!グガァア!」
私がどうするか悩んでいると盗賊の様子がさらにおかしくなる。
苦しんでいるようだ。
「何がどうなってるの?」
「わからない・・・けど普通じゃない」
確かに普通ではない。
なにせ目の前の盗賊の体がボコボコと音を上げながら段々と大きくなっていくのだ。
そして体の色が肌色から黒へと変わっていく。
段々と苦しみの声が小さくなっていき体はもともとより二回りほど大きくなっていた。
そして、眼は白目の部分が黒くなり、瞳は燃えるような赤へと変わっていた。
「ま、魔物?」
「わからない・・・一体何なんだ?」
私とクオンが戸惑っていると、盗賊だったものは咆哮を上げる。そして私たちに向かって走り出した。
まずいっ・・・私は咄嗟にそう思い風の魔法を相手に放つ。
風の魔法は命中する、だが、ダメージにならなかったのか敵は意にも介さずそのまま突っ込んできた。
「きゃあ!!」
「うわぁ!!」
私とクオンは突進してきた敵に弾かれ近くにあった少し大きめな木に叩き付けられる。
「くっ」
クオンは剣を抜くと敵に向かって走り出した。
敵に間合いに入る直前にスピードを上げ、一気に懐へと潜り込む。
そして剣を横薙ぎに振り、相手の胴を斬り裂いた。
「グゥゥ・・・」
だが、確かに胴を斬り裂いたはずなのに敵の胴体には傷一つ残っていない。
「なっ・・・」
「ガア!!」
敵が拳を振り上げクオンへと叩き付ける。
それをクオンは避けきれず地面へと叩き付けられた。
「ぐはっ!」
「クオン!!」
敵の皮膚は余程堅いのか、私の風の魔法も効かず、クオンの斬撃でも傷つかない。
敵は再び拳を上へ振り上げ、クオンに攻撃をしようとする。
私は咄嗟にクオンを助ける為、合成魔法を放った。
「魔水風圧弾!!」
私の魔法の中で一番の貫通力を持つ合成魔法だ。
風の魔法で怯まず、クオンの斬撃で傷がつかない相手であるなら通常の魔法ではどうにもできないだろう。
それなら威力のある合成魔法を放つしかないのだが、他の合成魔法ではクオンを巻き込んでしまう。
なら、範囲は一直線で威力も高いこの魔法で息の根を止めるしかないと思ったのだ。
「ガァ!?」
敵は私の魔法を胸に受け、その勢いで後ろに飛んだ・・・私のアクアウィレスは貫通力のある魔法だ。
普通であれば敵が後ろに飛ぶということはない、なにせ敵の体を貫通するのだから。
だが、敵は私の魔法を受けて貫かれるわけではなく、私の魔法の勢いで後ろに飛ばされたのだ・・・。
つまり、私の一番の貫通力を持つ魔法が貫通できなかったのだ。
敵は、胸のあたりに少しだけ傷痕を残しているだけで大したダメージにもなっていないようだった。
それでも、初めてダメージを受けたことにより敵は私の方に向き直る。
私を危険と判断したようだ。
クオンを助けることは出来たが、あの敵に合成魔法でも大したダメージを与えられない・・・やばい。
私の中で一番の貫通力を持つ魔法がほとんど効いていないのだ・・・あれ・・・これ本当にやばくない?
「ガア!!」
敵は咆哮を上げ再び突っ込んでくる。
幸い、さほどスピードは速くない。
さっきは不意を突かれたが、避けようと思えばなんとかなりそうだ。
そう思い、私は敵の攻撃を躱そうとした・・・が。
「グオオオオ!」
敵が再び咆哮を上げる。
しかし、さっきまでの咆哮と違い、咆哮を上げた口から衝撃波のようなものが私へと向かってきた。
私は、それを無防備に喰らってしまった。
その衝撃波で私は再び後ろの木に叩き付けられる。
そして、その直後敵の体当たりをまともに受けてしまった。
体当たりの威力は凄まじく、私を支えていた木は折れるのではなく砕け散る。
そしてそれを突き抜け私はさらに後ろの木へと叩き付けられた。
「かはっ・・・ぁ・・・」
その攻撃で私の体はまともに動かなくなった。
立ち上がることも出来ず、地面へと倒れこむ。
「カモメ!!」
クオンの声が聞こえる・・・意識はまだ何とか保っているが、次の攻撃を喰らったら確実に死んじゃうだろう。
ヤバイ・・・絶体絶命である。
なんでこうなったの?・・・さっきまでは唯の盗賊だったのに・・・私とクオンなら負ける要素なんてなかった筈なのに・・・。
「うおおおおお!」
クオンの声が聞こえる。
私は何とか顔を上げ、その声の方を見ると、クオンが剣を敵へ突き刺そうとしていた。
しかし、敵の皮膚は堅く、刃が通らない。
だがクオンは諦めない、皮膚が堅いのなら堅くないであろう目を狙ったのだ。
「ガア!」
だが、その攻撃は敵の右腕に阻まれた。
そう簡単にはいかないか・・・。
「がはっ!」
敵の拳がクオンのお腹にめり込む。
クオンの手から剣が落ち、クオンはその場に蹲る。
苦しそうに咳をしながらも敵を睨むクオン。すぐさま落とした剣を拾い、攻撃に転じようとしたが、そこを敵に蹴り上げられ吹き飛ばされたしまった。
クオンが激しく地面を転がる。
「クオン!」
私はなんとか力を振り絞り立ち上がった。
「暴風轟炎!」
私の唱えた合成魔法が敵の周りに炎の竜巻となり襲い掛かる。
普通であればこの魔法は敵を焼きながら切り刻む・・・が。
「グガオ!!」
敵は再び口から衝撃波を出し、私の魔法をかき消した。
「うそ・・・」
勝つ手段が見つからない。
今度は私の方を向かず、地面に倒れているクオンの方へと歩き出した。
いけないっ、このままだとクオンが!
でも、どうしたらいいの?私の魔法じゃ、ほとんどダメージを与えられない、それどころか足止めにもならない。
どうしよう・・・どうしよう・・・。
ううん、迷ってる間に敵はクオンに近づいていく、何か行動しなきゃ!
私はバトーネを抜き、敵へと殴りかかった。
だが、当然のごとくダメージにはならない、いや、それどころか敵はそのままクオンに向かって歩き続ける。
私は敵の前に回り込みクオンとの間に立ちふさがった。
・・・が、バトーネを構えた瞬間、敵が横に振った拳に吹き飛ばされ、地面を転がった。
「クオン・・・」
クオンは意識を失っているのか動こうとしない。
「氷柱弾」
敵は拳を振り上げる、クオンへ叩き付けようというのだ。
私は右手を前に出し敵に氷の魔法を撃つ。
当然のごとく何の意味もなかった。
そして・・・敵は拳を振り下ろした。
「ぐあああ!」
クオンはそれを無防備に受けてしまった。
「クオン!!!」
「ぐ・・・」
まだ生きてる!
クオンは小さく声を漏らした。
敵もクオンがまだ生きていることに気づいたのか再び、拳を振り上げた。
駄目!もう一度喰らったらいくら何でも死んでしまう!
何か・・・何か、あいつを止める手段は!!
考えても考えても何も出てこない・・・なにか・・・何かないの!
なんでもいい・・・クオンを助けられる力!!
力が欲しい!!
だが、そんな私の願いも虚しく敵の拳は振り下ろされる。
「クオン!!!!」
嫌だ!失いたくない!
お母さんの時と一緒だ・・・私は何もできず大切なものを失う!
嫌だ!もう失いたくない!!
「くっ!」
クオンは敵の攻撃を転がり避けていた。
よかった・・・、でも、敵は再びクオンに近づいていく。
クオンは近くに落ちていた自分の剣を拾い、それを杖代わりに何とか立つ。
再び近づいた敵が左から拳を薙ぐ。
それを避けることが出来ず、クオンは喰らってしまった。
敵の拳をくらいクオンの腕は鈍い嫌な音をあげた。
クオンの右腕がだらりと下がっていた。
「ぐあああああああああああああ!!」
クオンの右腕が折れたのだ。
「クオン!!」
私の悲痛の叫びが響く・・・。
「ぐうう・・・カモメ・・・君だけでも逃げろ!!」
クオンが痛みを堪えながら左手で剣を構えそう言った。
逃げる・・・でも、そうしたらクオンが・・・
私はまた失う・・・の?
嫌だ!!!!!!
なんでもいい!力を!
あいつを倒してクオンを助けられる力が・・・・欲しい!
「カ・・・モメ?」
クオンが驚きの表情で私を見ていた。
それもそのはずである、黒い魔力のようなものが私の周りを包んでいた。
そして、私は闇に飲まれた。
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