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店で食べるくらい美味かった
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「・・・体が」
オレは自分の体をぎゅっと抱きしめた。
「ホコッホコッする………!」
次の瞬間、叶多の噴き出す音が聞こえた。
「だって!
湯船に浸かるの実家にいる頃以来だしっ」
「お前、家族いるんだ」
「いるよ。
弟二人の長男♪」
「え、こんなちっちゃいくせに」
「背は関係ねえだろ!
…確かに一番チビだけど。
って、お前だって家族くらいいるだろ」
「いたけど、連絡とってないからいないも同然だな」
「え、連絡しろよ。
心配してるって」
「ウザ。
俺はお前みたいなノホホンとしたやつとは違うんだよ」
「お前、ちょっと寝ろよ」
「は?」
オレは寝室から掛け布団を引っ張ってきて、ソファにいる叶多にバサッとかけた。
「そうやってマイナス思考になるときって疲れてるんだよ。
売れっ子で忙しいんだろ。
ちょっと休んどけ」
「人を落としいれようとしてる奴が何言ってんだ」
「あ、腹へっててもくだらねえこと考えるぞ。
何か作ってやるから寝て待ってろ」
オレは有無を言わせず叶多をソファに寝転がすと、台所に向かった。
「おい、まだかよ」
「うるせーな!
もうすぐできるって」
叶多が帰ってきたのは昼過ぎだったようで、今はもう夕食の時間になろうとしていた。
寝ろって言ったのに、叶多の奴ソファにじっと座ってオレのすることなすことを片時も目を離さず見ていた。
「別に毒とか入れたりしねえから安心しろって」
「できたぞ!」
でん!と叶多の前に皿を置く。
「…何だこれ」
「カ、カルボナーラ………」
「いり卵スパゲティの間違いじゃねえか?」
「なら作り直す!」
オレはパスタ鍋に水を入れてもう一度温め始めた。
次にフライパンに牛乳と卵を入れて火をつけようとした。
「そこだよ。
いり卵になった原因」
「え?」
「卵と牛乳が混ざるまで温めない。
完全に混ざったら、弱火で温める。
やってみろ」
叶多が言う通りにやってみる。
叶多は何も言わずにじっとこっちを見ている。
何でか妙に緊張する。
今度はツヤツヤのカルボナーラが出来上がった。
「叶多すごい!
これうまそう!」
叶多は最初驚いた顔をしてからふっと笑った。
「変な奴。
奴隷にされたままで料理して喜んでる場合か。
しかも下手くそだし」
「なら自分が作れば良かったじゃん」
「…やっぱかわいくねえな、っと」
「!」
やっぱ、って何だよ!と言いかけて口を塞がれた。
もぐもぐもぐ。
「おいしい…!」
「餌付け。
ほら食べるぞ」
「餌付けって、オレはペットじゃねえぞ!」
叶多はオレを無視してさっさと席に着くと失敗したほうのパスタを食べ始めた。
「そっちはオレが食べるって」
「何?
お前また、あーんしてもらいたいの?」
「!
んなわけねえだろ!
もう勝手にそっち食べてろ!」
怒りに任せてオレは成功したほうのカルボナーラを頬張った。
「・・・まずいだろ」
「いや」
「嘘つくなよ」
「嘘じゃない。
俺の為に作ったって、気持ちが美味い」
「じゃ、あと片づけしとけよ」
「おう、もう寝るよな」
「いや、仕事行ってくる」
「………え?」
だって、叶多寝てない。
バタン、と扉の閉まる音がした。
そうだった。
叶多は人気俳優だった。
昨日も家で寝ないまま仕事行って、絶対疲れてるはずなのに、気長にオレの料理を待ってた。
何だよ、態度は偉そうなくせに。
「オレなんか構ってる場合じゃないじゃん」
オレは叶多への申し訳なさで胸が一杯になったまま、叶多が空にした皿を見つめていた。
オレは自分の体をぎゅっと抱きしめた。
「ホコッホコッする………!」
次の瞬間、叶多の噴き出す音が聞こえた。
「だって!
湯船に浸かるの実家にいる頃以来だしっ」
「お前、家族いるんだ」
「いるよ。
弟二人の長男♪」
「え、こんなちっちゃいくせに」
「背は関係ねえだろ!
…確かに一番チビだけど。
って、お前だって家族くらいいるだろ」
「いたけど、連絡とってないからいないも同然だな」
「え、連絡しろよ。
心配してるって」
「ウザ。
俺はお前みたいなノホホンとしたやつとは違うんだよ」
「お前、ちょっと寝ろよ」
「は?」
オレは寝室から掛け布団を引っ張ってきて、ソファにいる叶多にバサッとかけた。
「そうやってマイナス思考になるときって疲れてるんだよ。
売れっ子で忙しいんだろ。
ちょっと休んどけ」
「人を落としいれようとしてる奴が何言ってんだ」
「あ、腹へっててもくだらねえこと考えるぞ。
何か作ってやるから寝て待ってろ」
オレは有無を言わせず叶多をソファに寝転がすと、台所に向かった。
「おい、まだかよ」
「うるせーな!
もうすぐできるって」
叶多が帰ってきたのは昼過ぎだったようで、今はもう夕食の時間になろうとしていた。
寝ろって言ったのに、叶多の奴ソファにじっと座ってオレのすることなすことを片時も目を離さず見ていた。
「別に毒とか入れたりしねえから安心しろって」
「できたぞ!」
でん!と叶多の前に皿を置く。
「…何だこれ」
「カ、カルボナーラ………」
「いり卵スパゲティの間違いじゃねえか?」
「なら作り直す!」
オレはパスタ鍋に水を入れてもう一度温め始めた。
次にフライパンに牛乳と卵を入れて火をつけようとした。
「そこだよ。
いり卵になった原因」
「え?」
「卵と牛乳が混ざるまで温めない。
完全に混ざったら、弱火で温める。
やってみろ」
叶多が言う通りにやってみる。
叶多は何も言わずにじっとこっちを見ている。
何でか妙に緊張する。
今度はツヤツヤのカルボナーラが出来上がった。
「叶多すごい!
これうまそう!」
叶多は最初驚いた顔をしてからふっと笑った。
「変な奴。
奴隷にされたままで料理して喜んでる場合か。
しかも下手くそだし」
「なら自分が作れば良かったじゃん」
「…やっぱかわいくねえな、っと」
「!」
やっぱ、って何だよ!と言いかけて口を塞がれた。
もぐもぐもぐ。
「おいしい…!」
「餌付け。
ほら食べるぞ」
「餌付けって、オレはペットじゃねえぞ!」
叶多はオレを無視してさっさと席に着くと失敗したほうのパスタを食べ始めた。
「そっちはオレが食べるって」
「何?
お前また、あーんしてもらいたいの?」
「!
んなわけねえだろ!
もう勝手にそっち食べてろ!」
怒りに任せてオレは成功したほうのカルボナーラを頬張った。
「・・・まずいだろ」
「いや」
「嘘つくなよ」
「嘘じゃない。
俺の為に作ったって、気持ちが美味い」
「じゃ、あと片づけしとけよ」
「おう、もう寝るよな」
「いや、仕事行ってくる」
「………え?」
だって、叶多寝てない。
バタン、と扉の閉まる音がした。
そうだった。
叶多は人気俳優だった。
昨日も家で寝ないまま仕事行って、絶対疲れてるはずなのに、気長にオレの料理を待ってた。
何だよ、態度は偉そうなくせに。
「オレなんか構ってる場合じゃないじゃん」
オレは叶多への申し訳なさで胸が一杯になったまま、叶多が空にした皿を見つめていた。
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