リピートライフ

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第6章

#49慣れてきた

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ふと気づくとになっている。
靄に入り、しばらく歩き、そしたらだ。
砕と日向ちゃんは無事だろうか、あんな砕、見てられなかったな…
というか、櫻さんから日向ちゃんをって…ことなのかな…
日向ちゃんは一瞬明るくなってたけど、また暗くなって、さっきは喋れてたけど、また櫻さんの件で暗くなって…
どうにかしたいけど、櫻さんが日向ちゃんをいつも面倒見てたから何をすればいいか分からないし、何よりまだ出会って数日だ。
櫻さんは姉妹だから昔から知っているだろうし…
あれ?
なんで櫻さんはあんなに昔のことを思い出してたんだろう…
個人差なのか?日向ちゃんは最初、僕と同じように名前を覚えてなかったし。

ぐっ…頭に痛みがきた…
今回は痛みが大きい、頭が脈を打つようにズキズキと。
ただ、どの記憶か分からないけど、心の見えない隙間が埋まった感じがする、そして安心感のようなものが押し寄せてくる。
…やっと思い出せた、ずっと疑問に残っていたお母さんの顔が、安心感の正体はこれだったのかもしれないな…

「起きろ、稗田っち」
いつもは砕だけど、今回はジョーさんの声が聞こえてきた。
何回目だ、これ、もう慣れてきた。
「…ここは?」
「さあな、とりあえず起きとけば損は無いだろ、さあ、手を掴め」
ジョーさんが差し伸べてくれた手を掴み、僕は立ち上がった。
そこは真っ白な壁に囲まれ、真ん中に大きな施設が建っている。
「起きたな~?」
ウコイックが施設の中から出てきた、見た目は最初にウコイックが着てた警官服と全く同じものだった、そして手にはこれも最初に警官が持っていた拡声器。
「どうだ~原点回帰ってやつだ~」
口調も最初の時に似ている、寄せてるのか?
「お前たちにはとりあえず着替えてもらう~さあ着いてこい~」
ウコイックはそういうと施設に戻っていった。
「じゃあ先行くぞ、あと砕はそこにいる、できれば連れてきた方がいいかもな」
ジョーさんは先にウコイックに付いて行った。

「砕、大丈夫?」
「まあ大丈夫だぜぇ、あの後部屋で少し落ち着いてきた時に日向ちゃんを抱えて靄に入ったんだぁ、急がないとってなぁ」
砕はとりあえずは元気になったようだ。
「それで、日向ちゃんは?」
「ここに来てからはまだ見てないなぁ、お、あそこにいるぞぉ」
日向ちゃんはウコイックに付いて行っていた。
「行こう、砕」
「おうぅ!」

「日向ちゃん?大丈夫?」
「いい、来ないで」
「えっ…」
「いいから来ないでって、あなたも…」
日向ちゃんに話しかけてから1度も日向ちゃんはこっちを見てくれない、口調も荒くなっている。
「分かった、あの、落ち着いたら…」
「…」

「どうしたんだろうなぁ、日向ちゃん」
「様子がおかしい、思い出した記憶に何か嫌な思い出とかあったのかな」
「まあお姉ちゃんがいなくなるってのも相当心にくるだろうしなぁ」
少し日向ちゃんから距離を置き、僕達も付いて行った。

「付いてきたな~まあいつも通り赤と青の扉があるから入ってくれ~服装はだ~」
自由?珍しいな、いつもはウコイックと同じ服なのに。
「よし、行こうぜぇ」
砕は早速扉へ入った、僕も後を追って入る。
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