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第3章
#22 リハーサル
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僕は道具班の机に戻り、少し休んでいた。
蒼さん、洋一さん、キイック。
一気に3人…人?2人と1体かな、なんて考えたりして気を紛らわす。
立て続けに落ちていって、ウコイックがなんとか場を持ち直そうとしているっぽいけど、優しいのか、それとも休ませる暇も与えないのか。
キイックが落ちて複雑な気持ちだ。
優しいし、ご飯作ってくれたし良い奴らなのか。
「人生をやり直してもらう」なんて言って勝手に話を進めていく悪い奴らなのか…
まあ今はちょっと休ませてもらおう、頭が痛い。
「頭抑えて…大丈夫ですか?」
緋彩ちゃんかな…
「ちょっと休ませて、頭痛くてさ」
「ええ!大変ですっ、ちょっと横になっててください」
緋彩ちゃんは僕の体を横に倒した。
「私頭痛持ちなんで、なんとなく対処法は分かるかなと思って、えーと、ちょっと待っててくださいね」
緋彩ちゃんは2階に上がっていった。
「お待たせしました、濡らしてきたタオルです、まあ普通かもしれないですけど、これで私は和らげてます!」
「ありがとう」
「いえいえ、良くなるといいですね」
「あのさ、緋彩ちゃんさっきのことあったから心配だったけど、大丈夫だった?」
「…立ち直れては無いんですけどね、私悲しいことには耐性があって…」
なんかあんまり触れちゃいけなさそうな感じがした。
「あ、ごめんね、タオル濡らしてきてくれるかな、温かくなってきちゃったから」
「あ、はい!」
気まずい雰囲気を変えるためにとりあえずお願いした。
「ん、おいぃ!稗田っちぃ!大丈夫かぁ!」
砕が走ってこっちまで来た。
「大袈裟だよ、色々あったからか、ちょっと頭痛起きてて」
「そうかぁ、無理すんなよぉ、ゆっくり休めぇ!」
砕は僕の頭を撫でた。
「凄い汗じゃねえかぁ!!」
「それ濡らしたタオルの水だよ」
「なんだぁ、びっくりしたぁ、とりあえずゆっくりしてろよぉ!」
砕は去っていった。
「あの、またタオル濡らしてきました」
「ありがとう、緋彩ちゃん」
タオルはひんやりして気持ちいい、僕は少し目を瞑った。
あれ、今何時だ…
どうやら僕は少し寝ていたらしい。
頭痛は無くなっていてスッキリしている。
僕は起き上がって、顔に被さったタオルを取った。
「ねえ、キュダキ、あなたはどうしてそんな姿になってしまったの…あなたはとても良い人なのに…」
「ボクハ、ワ、ワルイヤツナンダー」
「はい~もっと気持ち込めてぇ~、やる気ないの~?じゃあ帰れよぉ~!!」
ウコイックがメガホンを持って椅子に座って砕に演技指導している。
もうリハーサルが始まっていたのだろう。
もう演者は全員着替え終わっている。
櫻さんは真っ赤なドレス、これを作ったのはたしか響子さんだ、赤い服の下の方に薄いヒラヒラ~とした素材の布をくっ付けた物だ、完成度は凄く高い、その場にあったものだけで作ったとは思えないほどに。
「うーん、難しいなぁ、お、稗田っち起きたかぁ、演技ってどうやるんだぁ?」
「感情を乗せるのよ、言葉にね」
櫻さんが答えた。
「そうかぁ、頑張るぜぇ!」
「今の、「頑張るぜぇ!」みたいにセリフを言ってみたらどう?」
「おうぅ、僕はぁ!悪いやつじゃないんだぁ!!」
「結構良い感じじゃない!セリフ違うけど」
「じゃあ砕~、今みたいにもっかい言ってみよ~、セリフは間違えないでね~」
あれ、ウコイックが砕を名前で呼んでる、僕が寝てる間に砕の名前を知ったのだろうか。
「僕はぁ!悪いやつじゃないってぇぇ!!」
「だからセリフちがぁぁう~!!勢いだけじゃだめ~!!はい~!もう1回~!」
砕は弱った顔で練習を続けた。
蒼さん、洋一さん、キイック。
一気に3人…人?2人と1体かな、なんて考えたりして気を紛らわす。
立て続けに落ちていって、ウコイックがなんとか場を持ち直そうとしているっぽいけど、優しいのか、それとも休ませる暇も与えないのか。
キイックが落ちて複雑な気持ちだ。
優しいし、ご飯作ってくれたし良い奴らなのか。
「人生をやり直してもらう」なんて言って勝手に話を進めていく悪い奴らなのか…
まあ今はちょっと休ませてもらおう、頭が痛い。
「頭抑えて…大丈夫ですか?」
緋彩ちゃんかな…
「ちょっと休ませて、頭痛くてさ」
「ええ!大変ですっ、ちょっと横になっててください」
緋彩ちゃんは僕の体を横に倒した。
「私頭痛持ちなんで、なんとなく対処法は分かるかなと思って、えーと、ちょっと待っててくださいね」
緋彩ちゃんは2階に上がっていった。
「お待たせしました、濡らしてきたタオルです、まあ普通かもしれないですけど、これで私は和らげてます!」
「ありがとう」
「いえいえ、良くなるといいですね」
「あのさ、緋彩ちゃんさっきのことあったから心配だったけど、大丈夫だった?」
「…立ち直れては無いんですけどね、私悲しいことには耐性があって…」
なんかあんまり触れちゃいけなさそうな感じがした。
「あ、ごめんね、タオル濡らしてきてくれるかな、温かくなってきちゃったから」
「あ、はい!」
気まずい雰囲気を変えるためにとりあえずお願いした。
「ん、おいぃ!稗田っちぃ!大丈夫かぁ!」
砕が走ってこっちまで来た。
「大袈裟だよ、色々あったからか、ちょっと頭痛起きてて」
「そうかぁ、無理すんなよぉ、ゆっくり休めぇ!」
砕は僕の頭を撫でた。
「凄い汗じゃねえかぁ!!」
「それ濡らしたタオルの水だよ」
「なんだぁ、びっくりしたぁ、とりあえずゆっくりしてろよぉ!」
砕は去っていった。
「あの、またタオル濡らしてきました」
「ありがとう、緋彩ちゃん」
タオルはひんやりして気持ちいい、僕は少し目を瞑った。
あれ、今何時だ…
どうやら僕は少し寝ていたらしい。
頭痛は無くなっていてスッキリしている。
僕は起き上がって、顔に被さったタオルを取った。
「ねえ、キュダキ、あなたはどうしてそんな姿になってしまったの…あなたはとても良い人なのに…」
「ボクハ、ワ、ワルイヤツナンダー」
「はい~もっと気持ち込めてぇ~、やる気ないの~?じゃあ帰れよぉ~!!」
ウコイックがメガホンを持って椅子に座って砕に演技指導している。
もうリハーサルが始まっていたのだろう。
もう演者は全員着替え終わっている。
櫻さんは真っ赤なドレス、これを作ったのはたしか響子さんだ、赤い服の下の方に薄いヒラヒラ~とした素材の布をくっ付けた物だ、完成度は凄く高い、その場にあったものだけで作ったとは思えないほどに。
「うーん、難しいなぁ、お、稗田っち起きたかぁ、演技ってどうやるんだぁ?」
「感情を乗せるのよ、言葉にね」
櫻さんが答えた。
「そうかぁ、頑張るぜぇ!」
「今の、「頑張るぜぇ!」みたいにセリフを言ってみたらどう?」
「おうぅ、僕はぁ!悪いやつじゃないんだぁ!!」
「結構良い感じじゃない!セリフ違うけど」
「じゃあ砕~、今みたいにもっかい言ってみよ~、セリフは間違えないでね~」
あれ、ウコイックが砕を名前で呼んでる、僕が寝てる間に砕の名前を知ったのだろうか。
「僕はぁ!悪いやつじゃないってぇぇ!!」
「だからセリフちがぁぁう~!!勢いだけじゃだめ~!!はい~!もう1回~!」
砕は弱った顔で練習を続けた。
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