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25 棒に当たる者、引っ掛かる者
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「ハチ、コーラル様と結婚するの!?」
帰宅後、家に飛び込んで来たカンナが玄関ホールで大声で言った。途端、リビングにいた父親と母親、飼い犬(ゴールデンレトリバー)が一斉にカンナの元へ駆け寄る。
キッチンにいた(晩御飯前のつまみ食い中)僕は口に入れかけたクッキーをもろに落としてしまった。
「は、蜂太郎!どっ、どういうことなの?」
カンナから詳細を聞いたであろう母親が嬉しそうな…しかし、蒼い顔で戻ってくるなり僕に詰問する。
「そ、それはいろいろあって、」
「プロポーズしたんでしょ?!こ、コーラル様は何て?」
「だ、だから、コーラルさんがしろって言ってきて、」
「したんでしょ?いいって言ったの?返事はどうなのよ?」
「はい、って…。」
「蜂太郎っ!でかしたっ!!」
真面目で寡黙な父親までもが見たこともないような満面の笑みと大きなガッツポーズを見せ、母親と手を取りくるくる回り出した。
…どうした。
カンナもリビングに入ってきて、回り続ける両親をぽかんと眺めている。
おいおいおい。
「か、カンナ…ちょっと、ちょっと!」
回る両親の横をすり抜け、リビングからカンナを連れて玄関ホールに向かう。何のことやらと首を傾げるポン(ゴールデンレトリバー)を撫でながらカンナに訂正を入れようとした途端、
「小川先生から聞いたわ。」
わぉ。
「こ、コーラルさんも小川先生に言われて…その、こういう風になったんだよね?」
「それが…違うの。」
…は。
「コーラル様の話を聞いて小川先生は考えを巡らせたんだと思うんだけど…。それはいいから、ハチ!婚約おめでとう!」
違う違う違う違う。
「カンナまで…ち、違うんだよ!僕はちょっと前にコーラルさんとは、その…喧嘩して、交際もしてないことになったというか、」
「…え?」
「だから、コーラルさんがなんでそんなこと言ったのか僕もわからないんだけど。ただ、僕は小川先生にほだされて…」
「え、何。立場を守るために婚約したの?!そういうこと??」
…そういうことです。(汗)
カンナの顔が呆れに呆れ、今にも最悪、と言いそうな、
「最悪。」
没。
「いや、だ、だから、」
「ハチ、ちょっと…。」
未だに喜びまくる両親の声を聞きながら二階の自室に向かった。部屋に入り、カンナは話しづらそうな表情で兄から聞いたという話を話し始めた。
「…え。」
「だから、ハチが五花の家の娘さんと結婚しないと、この家は終わりなのよ。」
「そ、そんな。ぼ、僕は家のためにコーラルさんと結婚しなくちゃいけないの?」
「そうは言ってない…(言ってる)けど。でも、ちょっと前まで好きだったんでしょ?恋愛結婚よ?良いじゃない?」
「何が恋愛結婚だよ?喧嘩して他人になったんだよ、他人以下だよ?結婚なんてできるわけ、」
「しなきゃいけないのよ!それに幸運にもコーラル様からの、逆プロポーズなんだから受けて損はないじゃない。」
大損だよ。
「あんな気の強い、鬼みたいなドSとは結婚なんて無理だよ!」
「薔薇の女性はみんなそうよ?なんなら女はみんなそうよ。」
カンナもそうなのか?(衝撃)
「い、嫌だよ…。確かに素敵な人だなとは思ったけど、大勢の前でぷ、プロポーズさせるような女性は嫌だよ…」
「ハチ…じゃあ、今回のことがなかったらちゃんとハチが考えてちゃんとプロポーズができたの?良い機会だったと思えばいいじゃない。」
「何がいい機会だよ!?それにこんな女性だってわかったら僕はプロポーズはしないよ。」
「…したじゃない。」
確かに。
「だけど、コーラルさんはあの場の(凌ぎ)で僕に強要しただけで、真に受けてはいないんじゃないかな。」
「そんなことないわ。誇らしそうに帰って行ったもの。明日にでもスタンウィック家から連絡が来るわよ?」
…嫌だ。
コンコン
「はっ、はい。」
ドアが開き、母親が入ってきた。顔は赤く興奮冷めやらぬ、といった感じだ。
「蜂太郎、今ね…スタンウィック様から電報が届いてね、近いうちにお食事会を、って。」
マジか。
「ほらハチ!!両家顔合わせよ!頑張ってね!」
ああぁぁあぁぁぁあぁ…(絶望)
(三時間前 スタンウィック家)
「あら、レオナルドじゃない。」
「お久しぶりですお母様。変わらずの、いえ、一層の美しさで…旦那様も気が気ではないですね。」
「また口の上手いことを。(喜)コーラルに用事かしら?」
「はい。せっかくの休日(祝日)なので、お散歩にでも、と。」
「まぁ…ごめんなさいね、今日は学校の行事で留守なのよ。本人も忘れていたみたいで、昨日からアリアナの家に泊まって準備してて、ね…。」
「そうでしたか、それは失礼いたしました。…いつ頃帰られますか?」
「…そろそろ帰ってくるんじゃないかしら?(寄り道しなければ)」
「待たせてもらっても構いませんか?」
「…?何か大切なお話があって?(含)」
「え、えぇ。お母様もお耳に入れていらっしゃると思いますが…コーラルが真剣に取り合ってくれないので。」
「まぁ、あの子ったら。帰って来たらちゃんとお話なさって。…あ、パール!」
「……!!レオナルド!久しぶりね!…わぁ、また一段と素敵(イケメン)になられて…(惚)」
「お久しぶりです、パール様。(…また太ったな)」
「パール、コーラルが帰るまでレオナルドのお話相手、お願いね。(小声)」
「(ちっ コーラル目当てか)…はい。レオナルド、談話室で海外でのお話でもお聞かせ願えるかしら?」
「はい、喜んで。(無)」
(一時間後)
「奥様、コーラル様の学校からお電話が。」
「え…?(何かやらかしたか?)」
ガチャ
「もしもし、コーラルの母ですが、」
(三十分前)
「ただいま~」
「コーラル!」
「れ、レオナルド?な、なんで家にいる、の?」
「そんなことより!コーラル、なんで権田原家の次男坊と…か、勝手に婚約なんて、」
「え?なんで知ってるの?学校に来たの?」
「コーラル、本当にプロポーズされたの?蜂太郎さんとは交際を辞めたって言ってたじゃない。」
「お母様、その…ち、ちょっとした喧嘩で、ね?その、まだ別れてなかったというか。」
「プロポーズは受けたんだよな?なんで?!」
「なんでって…。っていうかレオナルドに関係ある??」
「大有りだよ?!こっちが先にプロポーズしたのに…返事をしないまま他の男のプロポーズを受けるなんて、」
「レオナルドのプロポーズはパフォーマンスでしょ?…返事の前に真に受けてないわよ。」
「コーラル!そんな言い方ないでしょ?!失礼よ!」
「で、どうなんだ?権田原と結婚するのか?!」
「そ、それは…」
「権田原のプロポーズがパフォーマンスかも知れないぞ?しないなら、俺と結婚しろ!」
「まぁ…(惚)。コーラル、どうするの!?」
「えぇっ!?なにその二択!?」
「どっちなの?!」
「俺と結婚するなら、権田原には早々に断りの連絡を、」
「蜂太郎さんに決まってるでしょ!」
ガシャーン(立ち尽くしたパール。ティーカップが割れたのも気にせず棒立ち)
「…パール?」
「レオナルド様が可哀想…。なんて可哀想なの。(涙)」
「…え。い、いや、俺はそんな、か、可哀想か…?…え?」
「レオナルド様、そんな酷い妹に振り回されることなんてないわ。」
「……(ブタ、どうした?)」「……(パール?)」
「レオナルド様、私と結婚して下さらない?」
(は。)(…は。)(……は?)
「え。」
「お、お父様…。」
「レオナルド、ぱ、パールと結婚する、のか?」
「お、お帰りなさいませ…こ、これは、ち、ちょっと、その、」
「レオナルド!君はなんて良い青年なんだ!パールはね、見た目とは違い心優しく包容力のある娘だよ?見た目だけのコーラルとは違い妻にするにはうってつけだ!君は見る目がある!さぁ、詳しく話を聞かせてくれ。」
親父、嘘ばっか言うなよ。
「い、いや、そうじゃなくって…え?ち、違うんです…!」
「レオナルド、私、良い妻になるわ。」
「……(えぇ?!)」「………(よっしやあぁぁあっ!)あなた、ブランデーをお持ちするわね。」
(ドッカリー家)、(スタンウィック家)、スタートでございます。
帰宅後、家に飛び込んで来たカンナが玄関ホールで大声で言った。途端、リビングにいた父親と母親、飼い犬(ゴールデンレトリバー)が一斉にカンナの元へ駆け寄る。
キッチンにいた(晩御飯前のつまみ食い中)僕は口に入れかけたクッキーをもろに落としてしまった。
「は、蜂太郎!どっ、どういうことなの?」
カンナから詳細を聞いたであろう母親が嬉しそうな…しかし、蒼い顔で戻ってくるなり僕に詰問する。
「そ、それはいろいろあって、」
「プロポーズしたんでしょ?!こ、コーラル様は何て?」
「だ、だから、コーラルさんがしろって言ってきて、」
「したんでしょ?いいって言ったの?返事はどうなのよ?」
「はい、って…。」
「蜂太郎っ!でかしたっ!!」
真面目で寡黙な父親までもが見たこともないような満面の笑みと大きなガッツポーズを見せ、母親と手を取りくるくる回り出した。
…どうした。
カンナもリビングに入ってきて、回り続ける両親をぽかんと眺めている。
おいおいおい。
「か、カンナ…ちょっと、ちょっと!」
回る両親の横をすり抜け、リビングからカンナを連れて玄関ホールに向かう。何のことやらと首を傾げるポン(ゴールデンレトリバー)を撫でながらカンナに訂正を入れようとした途端、
「小川先生から聞いたわ。」
わぉ。
「こ、コーラルさんも小川先生に言われて…その、こういう風になったんだよね?」
「それが…違うの。」
…は。
「コーラル様の話を聞いて小川先生は考えを巡らせたんだと思うんだけど…。それはいいから、ハチ!婚約おめでとう!」
違う違う違う違う。
「カンナまで…ち、違うんだよ!僕はちょっと前にコーラルさんとは、その…喧嘩して、交際もしてないことになったというか、」
「…え?」
「だから、コーラルさんがなんでそんなこと言ったのか僕もわからないんだけど。ただ、僕は小川先生にほだされて…」
「え、何。立場を守るために婚約したの?!そういうこと??」
…そういうことです。(汗)
カンナの顔が呆れに呆れ、今にも最悪、と言いそうな、
「最悪。」
没。
「いや、だ、だから、」
「ハチ、ちょっと…。」
未だに喜びまくる両親の声を聞きながら二階の自室に向かった。部屋に入り、カンナは話しづらそうな表情で兄から聞いたという話を話し始めた。
「…え。」
「だから、ハチが五花の家の娘さんと結婚しないと、この家は終わりなのよ。」
「そ、そんな。ぼ、僕は家のためにコーラルさんと結婚しなくちゃいけないの?」
「そうは言ってない…(言ってる)けど。でも、ちょっと前まで好きだったんでしょ?恋愛結婚よ?良いじゃない?」
「何が恋愛結婚だよ?喧嘩して他人になったんだよ、他人以下だよ?結婚なんてできるわけ、」
「しなきゃいけないのよ!それに幸運にもコーラル様からの、逆プロポーズなんだから受けて損はないじゃない。」
大損だよ。
「あんな気の強い、鬼みたいなドSとは結婚なんて無理だよ!」
「薔薇の女性はみんなそうよ?なんなら女はみんなそうよ。」
カンナもそうなのか?(衝撃)
「い、嫌だよ…。確かに素敵な人だなとは思ったけど、大勢の前でぷ、プロポーズさせるような女性は嫌だよ…」
「ハチ…じゃあ、今回のことがなかったらちゃんとハチが考えてちゃんとプロポーズができたの?良い機会だったと思えばいいじゃない。」
「何がいい機会だよ!?それにこんな女性だってわかったら僕はプロポーズはしないよ。」
「…したじゃない。」
確かに。
「だけど、コーラルさんはあの場の(凌ぎ)で僕に強要しただけで、真に受けてはいないんじゃないかな。」
「そんなことないわ。誇らしそうに帰って行ったもの。明日にでもスタンウィック家から連絡が来るわよ?」
…嫌だ。
コンコン
「はっ、はい。」
ドアが開き、母親が入ってきた。顔は赤く興奮冷めやらぬ、といった感じだ。
「蜂太郎、今ね…スタンウィック様から電報が届いてね、近いうちにお食事会を、って。」
マジか。
「ほらハチ!!両家顔合わせよ!頑張ってね!」
ああぁぁあぁぁぁあぁ…(絶望)
(三時間前 スタンウィック家)
「あら、レオナルドじゃない。」
「お久しぶりですお母様。変わらずの、いえ、一層の美しさで…旦那様も気が気ではないですね。」
「また口の上手いことを。(喜)コーラルに用事かしら?」
「はい。せっかくの休日(祝日)なので、お散歩にでも、と。」
「まぁ…ごめんなさいね、今日は学校の行事で留守なのよ。本人も忘れていたみたいで、昨日からアリアナの家に泊まって準備してて、ね…。」
「そうでしたか、それは失礼いたしました。…いつ頃帰られますか?」
「…そろそろ帰ってくるんじゃないかしら?(寄り道しなければ)」
「待たせてもらっても構いませんか?」
「…?何か大切なお話があって?(含)」
「え、えぇ。お母様もお耳に入れていらっしゃると思いますが…コーラルが真剣に取り合ってくれないので。」
「まぁ、あの子ったら。帰って来たらちゃんとお話なさって。…あ、パール!」
「……!!レオナルド!久しぶりね!…わぁ、また一段と素敵(イケメン)になられて…(惚)」
「お久しぶりです、パール様。(…また太ったな)」
「パール、コーラルが帰るまでレオナルドのお話相手、お願いね。(小声)」
「(ちっ コーラル目当てか)…はい。レオナルド、談話室で海外でのお話でもお聞かせ願えるかしら?」
「はい、喜んで。(無)」
(一時間後)
「奥様、コーラル様の学校からお電話が。」
「え…?(何かやらかしたか?)」
ガチャ
「もしもし、コーラルの母ですが、」
(三十分前)
「ただいま~」
「コーラル!」
「れ、レオナルド?な、なんで家にいる、の?」
「そんなことより!コーラル、なんで権田原家の次男坊と…か、勝手に婚約なんて、」
「え?なんで知ってるの?学校に来たの?」
「コーラル、本当にプロポーズされたの?蜂太郎さんとは交際を辞めたって言ってたじゃない。」
「お母様、その…ち、ちょっとした喧嘩で、ね?その、まだ別れてなかったというか。」
「プロポーズは受けたんだよな?なんで?!」
「なんでって…。っていうかレオナルドに関係ある??」
「大有りだよ?!こっちが先にプロポーズしたのに…返事をしないまま他の男のプロポーズを受けるなんて、」
「レオナルドのプロポーズはパフォーマンスでしょ?…返事の前に真に受けてないわよ。」
「コーラル!そんな言い方ないでしょ?!失礼よ!」
「で、どうなんだ?権田原と結婚するのか?!」
「そ、それは…」
「権田原のプロポーズがパフォーマンスかも知れないぞ?しないなら、俺と結婚しろ!」
「まぁ…(惚)。コーラル、どうするの!?」
「えぇっ!?なにその二択!?」
「どっちなの?!」
「俺と結婚するなら、権田原には早々に断りの連絡を、」
「蜂太郎さんに決まってるでしょ!」
ガシャーン(立ち尽くしたパール。ティーカップが割れたのも気にせず棒立ち)
「…パール?」
「レオナルド様が可哀想…。なんて可哀想なの。(涙)」
「…え。い、いや、俺はそんな、か、可哀想か…?…え?」
「レオナルド様、そんな酷い妹に振り回されることなんてないわ。」
「……(ブタ、どうした?)」「……(パール?)」
「レオナルド様、私と結婚して下さらない?」
(は。)(…は。)(……は?)
「え。」
「お、お父様…。」
「レオナルド、ぱ、パールと結婚する、のか?」
「お、お帰りなさいませ…こ、これは、ち、ちょっと、その、」
「レオナルド!君はなんて良い青年なんだ!パールはね、見た目とは違い心優しく包容力のある娘だよ?見た目だけのコーラルとは違い妻にするにはうってつけだ!君は見る目がある!さぁ、詳しく話を聞かせてくれ。」
親父、嘘ばっか言うなよ。
「い、いや、そうじゃなくって…え?ち、違うんです…!」
「レオナルド、私、良い妻になるわ。」
「……(えぇ?!)」「………(よっしやあぁぁあっ!)あなた、ブランデーをお持ちするわね。」
(ドッカリー家)、(スタンウィック家)、スタートでございます。
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