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第三章 後輩、キモの化身と相対す

第24話

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「いやだから俺はモンスターにやられて装備を全部失っただけであって、好きでダンジョンで全裸でうろついてるわけじゃねぇんだって!」

「わかったわかった、とりあえず話は警察の人が来てから聞きますからね」

「いや今ここで話を聞けやぁあーー!」

「…………ハァッ」

 この前スライムの魔石とかを売った探索者ギルドに行き事情を話した俺と茶髪ツインテールこと花鳥愛華だったが……やはり不人気ダンジョンの近くにあるしょっぱい探索ギルドの人間は程度が知れていた。

 話を聞き毛布の下の俺の全裸姿をちょろっと確認したら問答無用でガタイがイイ恐らく兼業で探索者もしているであろう職員2人が俺の左右にセッティングされたよ。

 そして俺を警察に連行しようとしている、全く持って許せないぜ、権力の暴走である。

 かといってステータスに物を言わせて暴れれば左右の職員たちの手足とか千切れてしまうかもしれないので下手な抵抗もできない俺だ。

 なんとか口だけで激しい抵抗を見せるそんな俺を見かねてか花鳥愛華が口を挟んだ。

「少なくともそいつがダンジョンで異常事態が発生した時に私を助けたのは事実よ、探索者としてそれなりに能力があるのは間違いないと思うわ……変態かどうかについては弁明できないけど」

「いや、普通そこを弁明してくれよ、命の恩人が警察に捕まろうとしてるんだぞ!?」

「……恩人って、よくそれを自分から言えるわね」

「言わねぇと誰も信じてくれないからな!」

「あの花鳥さんがそこまで言うとは……」
「ああっそれではコイツはただの変態ではないと?」

 あの花鳥さんってこの花鳥さんか? なんなのこの眼鏡と茶髪のツインテールはこのしょっぱい探索者ギルドだと有名人なの?

 なんかムカつくのでスライムにやられそうになってた事をチクろう。

「ソイツ、スライム相手にうわぁあとかいやぁ~助けてぇえ~とか悲鳴上げてました!」

「あっあんたフォローしてやってる私に向かって…っ!」

「……何をしてるんですか?」

 そんなしょうもないやり取りをしてると新たなギルド職員が来た。

 その人はこの前俺を受付てくれて不人気ダンジョンでゲットしたスライムの魔石やキングスライムの王冠を買い取ってくれた女性の職員である。

「そちらの方は少し前にダンジョンから大量の魔石やら高ランクモンスターのドロップアイテムをギルドに持ち込んでくれた探索者の人ですね、少なくともその時は全裸とかではありませんでしたが…」

「こっ高ランクのモンスターのドロップアイテム……ですか?」

「その通りですよ、その方の人間性については保証はできませんが探索者としての実力はある方だと存じています。下手に警察なんかに引き渡せばもうこの辺りで活動してくれなくなるかもしれませんね」

 彼女のそんな言葉を聞いて俺を捕まえていた左右のギルド職員たちが離れる。

「よくぞ来てくれました探索者殿!」

「一目見たときから只者ではないなと思っておりましたとも!」

「…………………………………………………」

 そう、今の現代社会において探索者自体はぶっちゃけそこまで良い印象を持たれていない。
 だが実力のある探索者は一目置かれる存在なのだ。

 というかそういう奴らがダンジョンに行かなくなると国の経済が色々と迷惑を被るので公務員である。

 ギルド職員から言わせれば実力のある探索者に下手に個人的に嫌われるようなことは可能な限りしたくないんだろう。

 それにしてもだけどな…能力がある探索者かもという情報だけでこの態度の変わり様、本当に公務員という連中はムカつくな。くたばれ公務員。

「……それで、日影歩様はどうしてそのような姿に?」

「今回もダンジョンで魔石を集めていたら帰りにわけのわからんモンスターとエンカウントしたんです、 そいつの攻撃で装備から集めた魔石から全部パーですよ」

「そんなモンスターがこの辺りのダンジョンに現れたと言うんですか?」

「十中八九ユニークモンスターですね、転移スキルみたいなものでいきなり現れてそして自分がやられそうになると同じスキルですぐに消えました」

 俺の言葉にその女性のギルド職員は難しい顔をした、そしてしばらく思案するように視線を動かすと一つ提案もしてきた。

「…まずは着るものを用意しましょう、話はそれからです。それとできれば何があったのかをもう少し詳しくお願いできますか?」

「着るものをそっちが用意してくるのであれば構いませんよ」

「ユニークモンスター云々については私は何も言えないわよ? けどあのダンジョンでいきなり物凄い数のスライムが大量発生したというのは事実だからね」

 そんな感じで探索者ギルドにて色々と説明をするハメになった。
 俺も知ってる事なんてあまり無いんだけどな……。
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