上 下
11 / 77
2.にかいめ

5 *

しおりを挟む

「あんまり締めないで」
「だって、舐めるからっ」
「ここは?開発してるの?」
 キヨは見せつけるように、麻琴の乳首を舐めた。舌先でぐにぐにと刺激し、甘噛みすると、麻琴は身じろいだ。未知の感覚に戸惑い、麻琴はふるふると首を横に振った。
「そんなとこ、いやや……」
 潤む瞳に見上げられ、今日はまだ一回も射精していないキヨは我慢の限界だった。
「ごめん、ちょっとイかせて」
「え、ちょっと、ひっ…、あ、ああっ」
 唐突に奥に突き入れられ、麻琴の足は空中を蹴った。キヨは射精したい一心で、腰を動かす。
「あっ、ああっ、キヨ、待って、っあ、あ……」
「やばい、ちんこ溶けそう」
「ひあっ、あ、あかんって、きもちいっ、ああっ」
 挿抽が繰り返され、たんたんと尻たぶと腰骨が当たる音が響く。二人は荒い息を吐きながら、手をぎゅっと握りあった。お互いに熱い視線を交わし合い、快楽に浸る。
「んぁっ、あ、イく、あぁっ、あ、あっ」
「俺も、っ、イくっ……」
「あ、いいっ、あ、イく、イくっ、っあああ!」
 キヨはばちゅんと奥に腰を叩きつけて、ゴムの中に射精した。腹の中でどくどくと脈打つ性器を感じながら、麻琴も白濁を吐き出す。
 キヨは麻琴の手を解放して、額に浮かぶ汗を拭った。そして、射精後の余韻に浸るように、ふぅと息を吐く。キヨの一挙一動を見上げていた麻琴は、かっこいいと改めて感じ入っていた。麻琴の視線を感じ、キヨはにっこりと笑いかける。
「麻琴、まだ足りないよね?」
 キヨは硬度を取り戻しつつある性器を、麻琴の奥に擦り付ける。麻琴は小さく喘いだ後、素直に頷いた。麻琴の腹の奥はきゅんきゅんと切なく、キヨを求めている。
 キヨは自身を抜き、ゴムを付け替えた。再び麻琴に挿入して、奥まで腰を進める。ある程度まで入ったところで、キヨは麻琴の背に手を回し、上半身を起こした。姿勢が急に変わったことで麻琴は慌てるが、抵抗する間もなく、対面座位の姿勢になる。自重でキヨ自身がぐぐぐと奥へと押し入ってくる。
「っあ、あ……この体勢、あか、んっ……」
「奥まで入るでしょ?」
 楽し気に笑うキヨに、麻琴は頷くことしかできなかった。はふはふと浅い呼吸を繰り返して、キヨ自身を受け入れる。
「麻琴、俺の肩につかまって、腰上げて」
 麻琴が両手をキヨの肩に置き、腰をあげると楔のように打ちこまれた性器がずるりと抜けていく。腹の中の喪失感に、麻琴は切なげな表情をする。その表情はキヨの興奮を助長させるだけだった。
「大丈夫、すぐ気持ちいいのあげるから」
 キヨはにこりと微笑んで、逃げられないように麻琴の腰を掴んだ。そして、麻琴の腰を引き下ろしながら、キヨは自らの腰を突き上げた。
「っあ、…キヨ、っ、あああっ……!」
 勢いよく突き入れられ、麻琴は後ろだけで達する。麻琴はびくびくと身体を震わせ、内壁はキヨ自身を搾り取るように蠢く。キヨは中の熱さに酔いしれながら、敏感な状態の麻琴の中を抉るように、もう一度腰を突き上げた。
「ひぁっ、っあ…ああっ!!」
 麻琴の背筋をびりりと快感が走り抜ける。連続で達した麻琴の視界は、ちかちかとスパークした。麻琴の手に力が入り、指がキヨの肩に食い込む。キヨは鈍痛に眉根を寄せたが、痛みすら興奮を煽る一因にしかならない。追い打ちをかけるように、キヨは連続的に腰を突き上げる。二人の動きにベッドがきしみ、肌同士が当たる音が部屋に響いた。
「イって、るからぁ、ああっ、あ」
「麻琴、気持ちいい?」
「わから、んっ、あ、あたま、おかしっ、なる」
 麻琴の身体は揺さぶられ、麻琴自身は先走りをぱたぱたと周囲に落とした。中イキばかりさせられ、射精できないのが辛い。麻琴は性器に刺激が欲しくて、キヨの鍛えられた腹に擦り付ける。汗ばんだ肌と濡れた性器が擦れ、ぬちぬちと鈍い水音を立てた。突然の麻琴の行為に、キヨはにやりと笑みがこぼれる。
「出したいんだ?」
「お願い、っ、あ、イかせてぇ、っ、あっ」
「ちんこ擦り付けるの、気持ちいい?」
「うん、きもちっ、っあ、いい」
 一生懸命に性器を擦り付ける麻琴の表情は恍惚として、瞳は情欲に染まっていた。前と後ろの両方の快感に、麻琴の思考は完全に蕩けている。腹にくすぐったさを感じながら、キヨは意地悪を思いつく。
「じゃあ、俺は動かなくてもいいよね?」
 キヨが腰の動きを止めると。麻琴は「なんで?」と泣きそうな顔をした。さながら与えられたおもちゃを取り上げられた子供のようだった。
「だって麻琴はちんこが気持ちいいんでしょ?」
「そうやけど、でも……」
 後ろでの快感を覚えてしまった麻琴は、物足りなさを感じていた。麻琴がねだるように中を意識的にきゅっと締めれば、キヨは眉をぴくりと動かす。その手には乗らないと、キヨは飄々と言葉を発する。
「麻琴、動いて欲しいなら、おねだりして」
「おねだり……?」
 首を傾げ、どうすればいいか考えた麻琴だが、わかるはずがない。けれど、しなければこのまま生殺しのままで、身体が辛いことはわかっていた。麻琴は覚悟を決めた。羞恥は欲望を前にして、とっくに消え去っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

鏡に映る

雪乃
恋愛
愛していた。 愛されていると、思っていた。 それは間違っていない。 ※ゆるゆるなんでもありをゆるせるかた向け♡

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

転生皇太子は、虐待され生命力を奪われた聖女を救い溺愛する。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

やんちゃ系イケメンに執着されて他に彼氏作ったように思わせたらブチ切れられた

ノルジャン
恋愛
大学のキャンパス内でひらりと舞い落ちてきたプリント用紙を拾ってあげた。そこから成撮先輩の執着は始まった。「みうちゃんは俺の彼女だから」と言う先輩に毎回「違います」と切り返すみう。それでもしつこく絡んできて、もうこれ以上は我慢の限界だと、苦肉の策でみうは先輩と離れようとするのだが……? 先輩に些細なきっかけでなぜか激重感情押しつけられる女の子の話。ムーンライトノベルズからの転載。

太ったからと婚約破棄された令嬢は復讐に動く

あんみつ豆腐
恋愛
令嬢リディアは、太ったからという理由でカレンス男爵に婚約破棄された。 彼女は復讐の為彼の全てをぶち壊そうとする。

家畜少年の復讐譚〜虐められていた俺はアクマ達を殺した〜

竹華 彗美
ファンタジー
俺──斎藤 誠はクラス内で最底辺地位である「家畜」に認められた唯一の人間だった。 才能もなく勉強も運動もできない俺は、両親からも諦められ彼らのストレス解消「道具」として扱われていた。 そんなある日、ホームルーム学習の時間に俺たちはクラスごと転移されてしまう。 そこで待ち受けていた現実は悲惨なもの。 だが、あるスキルによって俺の人生は一変していくのだった。 ────────── (注) この物語には性的暴力、暴言、嘔吐表現、残酷な表現、人を陥れる描写、身分制描写などが多数含まれています。 苦手な方はお控えください。 なおこの作品はR18作品となっております。18歳未満の方は自己責任のうえお読みください。 ────────── 一週間に一回は最低でも投稿! コメント、お気に入り登録 常に待ってます! ※コメントについては近況ノートにて『承認基準』を定めました。詳しくは近況ノートでご確認ください。

【R18】幼馴染の魔王と勇者が、当然のようにいちゃいちゃして幸せになる話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

転生したら服がなかった

Sion ショタもの書きさん
BL
学校での帰り道、トラックにひかれたと思ったら森にいた……! それからわかったことだけど、どうやら俺は欲しかったけど年齢的に買えなかった、R18えろえろゲームの世界に転生してしまったみたいだ。 神さまは中学一年生の少年ーー俺に何を、求めているのだろう。 追伸。湖で出会った親子とゲームシステムのせいで、俺の性癖がねじ曲がってきました。もう俺は、元いた世界に帰れないかもしれない(泣) ※主人公は時たま、性欲に支配されてそれしか考えられないアホの子になります。お気をつけを。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 注意:見切り発車、不定期更新、作者の息抜き&練習作品です、頭を空っぽにして読んでください。 タイトルの『※』は性的表現が含まれる回です、作者の練習部分ですのでおそらく多くなります、ご容赦ください。

処理中です...