耳から溶かして、声で愛して

５話

10 ＊

「川元、キスハメ気持ちいい？」
　峰谷はキスを中断し、唇が触れる距離で囁く。俺は離れた唇が無性に寂しく感じて、頷いてから、俺の方から峰谷にキスをした。峰谷は驚いたように目を見開いたが、すぐにキスに応えてくれる。
「んぅ、っは……んん、っんぅ……」
　俺は峰谷に誘われるように、舌を絡めあう。舌が触れ合う感覚は、熱く、心地いい。くちゅくちゅと水音が聞こえ、それが俺を興奮させた。中を満たされるのとは違い、心が満たされる気がして、俺は嬉しくなった。
「みね、…っ、んぅ……っ……」
　限界が近い俺は、キスの合間に訴えようとするが、うまくいかない。峰谷の腰の動きは止まらず、奥をずんずんと連続的に突き上げられる。徐々に酸素不足になってきた俺の思考は、熱く蕩けていく。
「川元」
　ふいにキスから解放され、名前を呼ばれる。俺は揺さぶられながら、峰谷の身体に抱き着く。
「あっ、イキたい、っあ、みね、やっ……イきたっ、い……」
「川元、イっていいよ」
「イく、ああっ、イくっ……あ、あああっ……」
　優しい声に誘われ、ごちゅんと奥の肉壁を抉られ、俺は後孔で絶頂に達した。全身に広がる強い快感が怖くなり、峰谷に縋りつく。きゅううと峰谷の性器を締めつけてしまい、性器の熱さや形を拾い上げ、それでまた軽く中イキする。抱き着いた峰谷の肌は汗ばんで、熱い。
「っ、……はっ……んんっ……」
　余韻に浸っていると、性器が苦しいことに気づく。下半身に視線を落とすと、俺の性器の根元を峰谷がぎゅっと握っていた。俺の性器は完勃ちで、先走りをとろとろと溢れさせている。
「なんで……、みねや、っ……出したい……」
　先ほどまでの快感が、射精できない苦しさに上書きされる。峰谷自身も俺の腹の中で熱いままだ。苦しいのは峰谷も一緒だろう。しかし峰谷は余裕そうに笑みを浮かべ、その瞳はぎらぎらと熱が光っている。
「まだ終わらないから」
　俺は峰谷に肩を押され、そのままベッドへとを倒れこんだ。クッションのきいたベッドは柔らかく、おかげで痛みはない。両足を折り曲げ、大きく足を広げさせられる。まるで赤ちゃんがおむつを替えるような体勢だ。峰谷はにやりと笑って、ゆっくりと腰を引いた。ずるずると出ていく峰谷の性器が内壁を擦るだけで、俺は小さく喘いでしまう。峰谷が出ていくと、腹の圧迫感はなくなると同時に、切なくなる。俺の後孔はすっかり峰谷の性器の虜になってしまった。
「寂しそうな顔しないで」
「っ……、してない……」
「すぐ入れてあげるから、大丈夫」
　にっこりと笑った峰谷に、嫌な予感がすると思った瞬間、ごちゅんと奥の肉壁に衝撃を感じた。と同時に「イけ」と低い声が脳に響く。
「はっ……、ひぁ、ああああっ」
　ちかちかと視界がまたたき、俺は仰け反る。腹に精液が飛び散ったのを感じ、射精したことを悟った。あまりの衝撃と瞬間的に絶頂に昇りつめた結果、俺は息が詰まる。一生懸命呼吸をするがうまくいかず、はくはくと酸素を求め、口を開けた。遅れて、全身にぶわりと快感と熱が広がり、余韻が一気に襲い掛かる。
「あっ……っ、はっ……」
「もっと気持ちよくなって、全部見せて」
「ひっ……も、イって……っ、ひ、あああっ……」
　もう一度、腰を叩き落とされ、俺は悲鳴のような声を上げた。連続で中イキした俺の身体は敏感で、絶頂の状態が続く。腹の中の峰谷の性器や肌に触れる峰谷の手のひら、峰谷の呼吸や漏れる声、俺の身体に落ちる峰谷の汗、獰猛な峰谷の視線、それらすべてが、俺にとっては快感だ。俺は身体はびくびくと悦び、峰谷の抽挿を受け止める。
「あっ、イってる、きもち、いっ、みねやのちんこ、すごっ、い」
「俺も、気持ちいい。川元、もっと感じて」
　全身が蕩けていく快感に、頭の中は熱く、ただ快感を貪欲に求めることしかできない。
「っ、おねがいっ、っ、ちくび、さわって」
　俺は胸を突きだし、疼く乳首を峰谷に晒す。峰谷は嬉しそうに目を細め、俺の乳首を口に含んだ。もう片方は指で弄られる。
「んぁっ、ちくび、きもち、いっ、ああっ」
　舌でねっとりと舐められ、指できゅっと摘ままれ、気持ちよくてたまらない。軽く甘噛みされて、俺は「ひんっ」と情けない声をだした。その間も、連続的に腰が叩きつけられる。俺自身は突き入れられるたび、びゅくびゅくと白濁を吐き出す。ぎしぎしとベッドが揺れ、俺たちの身体は跳ねた。峰谷の性器は、昂ったままで、さらに体積を増し、腹の中でぐぐっと存在を主張する。