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3話
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しおりを挟む峰谷の指で、きゅっと乳首を摘ままれると、背中が反る。こりこりと転がされ、最後はピンッと指で弾かれると、下腹部にも熱が灯る。右側の乳首だけを弄られて、物足りなさとじれったさに、俺は縋るように峰谷を見上げた。
『こっちも可愛がってあげる』
峰谷はニップレスを貼ったままの左の乳首に触れた。乳首の周囲をさわさわと撫で、ニップレスの上から爪を立てる。もどかしい刺激に俺は首を横に振った。
『なに?舐めて欲しい?』
「そんなことっ、……ひぁっ……っ、待って……」
峰谷は俺の胸に顔を埋め、ニップレスを剥がした右側の乳首を口に含んだ。生暖かい舌が皮膚を撫でる感覚に、俺はパニックになる。峰谷の舌は、俺の乳首を舐め、舌の先端で乳首をつつく。優しく歯を立てられると、俺の身体はびくんと揺れた。そして反対側の乳首は、ニップレスの上から、かりかりと引っかかれる。
「あっ、……や、だっ……」
右と左で与えられる刺激が違い、また、初めて他人から与えられる刺激の強さに、俺はただ感じるしかなかった。身体の中で熱が高まって渦巻く。
『ちんこ勃ってるよ。気持ちいい?』
峰谷の膝が、俺の股間をぐにぐにと押す。性器を刺激され、俺は否応なく喘いだ。
「ひぅ……待って、峰谷……」
『待てないのは川元だろ』
犬飼の声で呼ばれ、俺は息を飲んだ。今まで聞いていた音声は、当たり前だが大衆向けなわけで、犬飼が俺の名前を口にすることはない。しかし、今、目の前にいる峰谷は名前を呼んでくれる。
「千寿って呼んで」
苗字では味気ない。どうしても犬飼の声で名前を読んで欲しかった。少しくらい夢を見てもいいはずだ。というか、これは夢なんだから、何を言っても何をやっても問題ない。
峰谷は驚いたように一瞬黙って、その後ゆっくり口角を上げて微笑んだ。
『千寿』
犬飼の低音が、俺の鼓膜を震えさせる。名前を呼ばれただけで、どきどきと鼓動が高鳴り、腹の奥がきゅうっと疼く。皮膚がひりつき、もっとと快感を求めた。
『続けていい?』
尋ねられ、俺は頷いた。夢なんだから、と割り切ってしまえば、沸々と欲が湧いてくる。
峰谷は今度はニップレスの上から俺の乳首を舐めた。そして、唾液で濡れた右側の乳首を指で摘まむ。唾液がローションのように肌の滑りを良くし、ぬるぬると指の腹が乳首を這う。
『乳首、気持ちいいね』
唾液で濡れたニップレスに息がかかる。それすら快感に変換され、俺は息を吐いた。
『ちんこ、すっかり濡れてる』
いつの間にか下半身に何も身に着けてない状態になっていた。俺自身は首を擡げて、先走りをとろりと溢れさせている。乳首だけの刺激では物足りず、俺は性器に手を伸ばそうとしたが、峰谷に憚られる。峰谷は胸から顔をあげ、にやりと笑った。
『乳首だけでイケるだろ』
「っ、無理……」
『大丈夫、イケるよ』
犬飼の声が、暗示のように鼓膜に染み込んでいく。それだけで期待してしまい、性器にぐぐっと熱が集まった。
峰谷は俺の耳元に口を近づける。ふっと息を吹きかけられ、俺はびくりと肩を揺らした。
『カウントダウンのゼロで、千寿は乳首だけでイっちゃう。目を瞑って、身体の力を抜いて、深呼吸して』
声が、吐息が、耳に当たる。俺は目を閉じ、身体をベッドに沈めた。峰谷の呼吸に合わせて、息を吸って吐く。
『千寿、その調子』
犬飼の甘い声が名前を呼び、峰谷の唇が耳に触れる。
『五……』
峰谷の指の動きが再開される。濡れた乳首の周囲をゆるりと撫でられ、ニップレスの上からこすこすと指の腹で擦られる。
『千寿の乳首、ぷっくりして、触ってって言ってる……』
「あっ、……そんな、こと……んんっ……」
『四……』
峰谷の指の動きは予測できず、俺は翻弄され続けた。
『爪でカリカリするのと、摘まんでコリコリするの、どっちが好き……?』
峰谷は乳首に爪を立て、指で摘まんで、左右の乳首でそれをする。ニップレスを貼っている左側はもどかしく、右側は直接の強い刺激だ。じんじんと胸から広がった快感は、下半身へと到達し、性器はより硬く反りあがる。
『千寿、どっちが好き?教えて?』
「っ、はぁ……どっちも、好きっ……」
『よく言えたね。三……』
カウントダウンの遅さに、射精感が募る。早く射精したい気持ちと、乳首だけでイく屈辱が、心の中でせめぎ合う。
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