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かわれるものなら
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五十嵐未知子は悩んでいた。
何故、娘の未有がお義母さんと会いたがらないのか知っていたからだ。
しかし、わざわざ遠方から来てもらっているお義母さんを追い返すわけにもいかない。
それに、入院費用をある程度援助してもらっている手前もあるし、なにより...
本人に全く悪意がないというのが一番の理由である。
未知子「でもね...。」
未知子は何度目かのため息をついた
未有「ため息つくと何かが逃げるらしいよ。」
未知子「そうね。」
そう言って気持ちを切り替えると
お義母さんの待つ部屋へと急いだ。
部屋に入ると未知子の夫の順次とその母の町子が待っていた。
未知子「あら、あなたも来てたの?」
順次「ああ、仕事が一段落したんでね。」
町子「あら、来てちゃいけないの?」
未知子「い、いえ、そういうわけでは...。」
町子はそれには応えずすぐに未有に話しかけた。
町子「まぁ、しばらくぶりねー大きくなったわねぇ!」
未有「お久しぶりです...。」
町子「なぁにぃ?水臭いいいかたじゃない?おばあちゃんの顔わすれた?そんなわけないかぁ?あはは!」
未有「い、いえ覚えてます。」
町子「あらやだぁ!そうよねぇ?若いもんねー、でも来年は中学生になるんだから早いわよねぇ。」
未有「ま、まぁ」
町子「でも、こんなに若いのに病院にいなきゃならないなんてねぇ...代われるものなら代わってあげたいわ。」
でた・・・未有は少し眉間にシワを寄せたが、それには気が付かないようでお義母さんは続けた...。
町子「ほんとよ、私なら後の余生、病院でも大丈夫だもの。」
未知子はやれやれという感じで小さくため息をついた...。もとより悪気がないのはわかっている...しかし、出来ないことを何度も同情して言われる未有の気持ちを考えるとやりきれなくなる。
未知子「あのぉ...お義母さん?申し訳ないんですけどあんまり時間がないんで...。」
未有「代われるよ」
未知子の言葉を遮るように未有が言った
「「え?」」未知子と町子は同時に言った。
未有「代われるんだよ?代わりたいなら...。」
町子「な・・・」
未有は町子や順次の横を通って部屋の奥まで移動すると皆の顔が見えるようにクルリと椅子を回転させてから言った。
未有「いま世間を騒がしてるチェンジシンドロームって病気しってる?」
未知子「政府が緊急事態宣言をしたあの?」
順次「たしか、人と人が入れ替わったと錯覚するって聞いたが...。」
未有「それが、実は本当に入れ替わるんだよ、本当の本当に!」
町子「まさか!」
未有「私もこの目で見るまでは信じられなかったけど、この病院の奥の特殊病棟にその人たちが集められてるの。」
町子「・・・おどろいたわ。」
未有「そう、だから本当に入れ替われるんだから、代わりたいなんて言わない方がいいよ。」
町子「...いつからそんな嘘をつく子になったの?」
未有「・・・うそじゃない!」
町子「未知子さん?育て方が悪いんじゃなくて?」
未知子「そんな...。」
未有「お母さんは関係ない!」
町子「・・・でもね」
順次「もういい!」
大人しかった順次が、いきなり大声をだしたのでみんな静まり返った。
順次「もういいよお母さん」
町子「なにがいいのよ私はあなた達の為に...」
順次「だからそれが!もういいって言ってるんだ!今日は帰ってくれ...。」
町子「順次...。」
重苦しい空気が室内に流れた...。
町子「...どうやら、育てかたを間違っ
たのは私の方らしいわね。」
そう捨て台詞を残すと町子帰って行った
未知子「あなた...大丈夫なの?」
順次「ん?あ...あぁ...問題ない」
未有「お父さん...ゴメンね。」
順次「ん?なにが?嘘をついてないなら謝る必要はない。」
未知子「そうよ、お父さんの言う通り」
未有「ありがとう...あと...お父さん少しカッコよかった。」
順次「そ、そうか?ははっはははっ」
未知子「そうね、ふふ...。」
久しぶりに三人の間に穏やかな空気が流れた。
何故、娘の未有がお義母さんと会いたがらないのか知っていたからだ。
しかし、わざわざ遠方から来てもらっているお義母さんを追い返すわけにもいかない。
それに、入院費用をある程度援助してもらっている手前もあるし、なにより...
本人に全く悪意がないというのが一番の理由である。
未知子「でもね...。」
未知子は何度目かのため息をついた
未有「ため息つくと何かが逃げるらしいよ。」
未知子「そうね。」
そう言って気持ちを切り替えると
お義母さんの待つ部屋へと急いだ。
部屋に入ると未知子の夫の順次とその母の町子が待っていた。
未知子「あら、あなたも来てたの?」
順次「ああ、仕事が一段落したんでね。」
町子「あら、来てちゃいけないの?」
未知子「い、いえ、そういうわけでは...。」
町子はそれには応えずすぐに未有に話しかけた。
町子「まぁ、しばらくぶりねー大きくなったわねぇ!」
未有「お久しぶりです...。」
町子「なぁにぃ?水臭いいいかたじゃない?おばあちゃんの顔わすれた?そんなわけないかぁ?あはは!」
未有「い、いえ覚えてます。」
町子「あらやだぁ!そうよねぇ?若いもんねー、でも来年は中学生になるんだから早いわよねぇ。」
未有「ま、まぁ」
町子「でも、こんなに若いのに病院にいなきゃならないなんてねぇ...代われるものなら代わってあげたいわ。」
でた・・・未有は少し眉間にシワを寄せたが、それには気が付かないようでお義母さんは続けた...。
町子「ほんとよ、私なら後の余生、病院でも大丈夫だもの。」
未知子はやれやれという感じで小さくため息をついた...。もとより悪気がないのはわかっている...しかし、出来ないことを何度も同情して言われる未有の気持ちを考えるとやりきれなくなる。
未知子「あのぉ...お義母さん?申し訳ないんですけどあんまり時間がないんで...。」
未有「代われるよ」
未知子の言葉を遮るように未有が言った
「「え?」」未知子と町子は同時に言った。
未有「代われるんだよ?代わりたいなら...。」
町子「な・・・」
未有は町子や順次の横を通って部屋の奥まで移動すると皆の顔が見えるようにクルリと椅子を回転させてから言った。
未有「いま世間を騒がしてるチェンジシンドロームって病気しってる?」
未知子「政府が緊急事態宣言をしたあの?」
順次「たしか、人と人が入れ替わったと錯覚するって聞いたが...。」
未有「それが、実は本当に入れ替わるんだよ、本当の本当に!」
町子「まさか!」
未有「私もこの目で見るまでは信じられなかったけど、この病院の奥の特殊病棟にその人たちが集められてるの。」
町子「・・・おどろいたわ。」
未有「そう、だから本当に入れ替われるんだから、代わりたいなんて言わない方がいいよ。」
町子「...いつからそんな嘘をつく子になったの?」
未有「・・・うそじゃない!」
町子「未知子さん?育て方が悪いんじゃなくて?」
未知子「そんな...。」
未有「お母さんは関係ない!」
町子「・・・でもね」
順次「もういい!」
大人しかった順次が、いきなり大声をだしたのでみんな静まり返った。
順次「もういいよお母さん」
町子「なにがいいのよ私はあなた達の為に...」
順次「だからそれが!もういいって言ってるんだ!今日は帰ってくれ...。」
町子「順次...。」
重苦しい空気が室内に流れた...。
町子「...どうやら、育てかたを間違っ
たのは私の方らしいわね。」
そう捨て台詞を残すと町子帰って行った
未知子「あなた...大丈夫なの?」
順次「ん?あ...あぁ...問題ない」
未有「お父さん...ゴメンね。」
順次「ん?なにが?嘘をついてないなら謝る必要はない。」
未知子「そうよ、お父さんの言う通り」
未有「ありがとう...あと...お父さん少しカッコよかった。」
順次「そ、そうか?ははっはははっ」
未知子「そうね、ふふ...。」
久しぶりに三人の間に穏やかな空気が流れた。
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