上 下
97 / 141
本編

第90話 虫取りと薬草採取

しおりを挟む
 朝早く、カイル、レオン、フェルナンド様を起こし、薬錬(薬師・錬金コースの略)メンバーと共に、薬草散策と虫取りに出かける予定だった。

「フェルナンド様、朝早いですが大丈夫ですか?よく寝られましたか」

「あい、よくねられまちた。あさごはんもおいちかったです。あのあまいシロップのふわふわしたパンがおいちかったです。たまごもふわふわでちた」
 かわいい。ぷくぷくしたほっぺとモグモグとしたお口が可愛かった。うちの2人もかわいい。いずれイケメンになるのか、この世界は。小さい頃は可愛く、大きくなるとイケメンになる世界。なんだそれは。トニー先輩とかは普通よりはいい感じとだけ言っておこう。

「虫は怖くないですか?」

「こわくないでしゅ。むしとりたのしみでしゅ。カイルとレオンといっしょにむしさがしをするのでしゅ」

 そこへカイデール殿下がやってきた。
「アイリ嬢、おはよう。昨日はフェルのことすまなかった。いい子にしていたかな」

「フェル、おはよう。よく寝られたかい?」

「おにいしゃま。あい、きょうのむしとりのためにはやくねまちた。おにいしゃまたちも、いっちょにいくのでしゅか?」

「フェルの護衛として一緒に行くよ。楽しみだな、フェル」

「あい、おにいしゃまたちもいっしょはこころづよいでしゅ」

「さあ、行こう。フェル。みんなが待っている」
 2人は手を繋いで行った。

 私たちも薬草採取、楽しみだなぁ。 

 ちびっ子たちはお兄さま、カイデール殿下たちご学友メンバーにお任せした。私たち薬錬メンバーは薬草採取に行くこととなった。

 ちびっ子たちの洋服は、虫に刺されない長袖、長ズボン、編み上げ靴の出立でかっこいい。洋服自体に冷温装備。暑い時に涼しくなり、寒い時にカイロのように暖かくなる皮膚温感センサー付き洋服。そしてポシェット型マジックバッグ装備。遭難用魔導のろし。蓋を開ければのろしのような魔力が漂い遭難者のところまで導いてくれる。
 そしてお菓子を入れてある。

 護衛騎士にもポシェット型マジックバッグ。そこには虫刺され、ケガのポーション。椅子、テーブル。パラソル。遭難用魔導のろし。料理、飲み物を持たせた。念の為。

 お兄さまにも渡しておいた。

「アレクセイ、テントや魔導グッズもすごかったが、フェルの洋服、あれはなんだ?抱っこした瞬間涼しいと感じたが、あの洋服は一体どうなっているのだ。そしてこの水筒。冷たいのだが」

「あはは、魔法陣を考えたり本当に忙しいよ。便利グッズばかり作らされているよ」
 お兄さま、ごめんなさい。心労で禿げないように祈ってます。

 薬錬メンバーはトニー先輩を先頭に薬草探しに出かけた。

「道端にもポーションとなる薬草がある。朝露もポーション材料になる。朝日が昇る前に咲く花もあれば、月の光で咲く花もある。教本や図鑑などで特長を覚えポーション作りをして欲しい」

「「「「はい!」」」」

「ルー、道端にもいっぱいポーションとなる薬草があるのね。びっくりだったわ。ただの雑草と思っていたものもポーションになるのね」

「アイちゃん、ほんとよね。雑草っぽいのにポーションの材料だったなんて。いろいろ作ってみたいわね。楽しみね」

 昼前にみんなが帰ってきた。生き生きとしたフェルナンド様がルーのところに駆け寄ってきた。

「おねえしゃま。いっぱいいっぱいむしがとれたの。みてみて、おねえしゃま、おにいしゃまがね、いっしょにとってくれたの。たのちかったでしゅ。こんどおねえしゃまもいきましょうね」

 虫かごいっぱいに入っていた。それも大きいな。ルー、大丈夫かな。

「キャーーーー、虫が、虫が大きいのですけどーーいやー」
 女性陣ドン引きですね。フェルナンド様はニコニコしながら籠を掲げていた。

 カイルとレオンも私に見せにきた。

「おねえさま、こんなにいっぱいむしがとれました。おにいさまもおともだちもいっぱいとってました。これポーションのざいりょうになるといってましたのでとってきました」

「まぁ、お姉さまのために取ってきてくれたの。ありがとう」
 ぎゅっと抱きしめた。可愛いぞ、君たち。

 さぁ、お昼ご飯にしましょう。そしてお昼寝だよ。

「お姉さま、またおみずあそびがしたいでしゅ。だめでしょうか」
 カイル、やっぱり惜しい。あと一歩。

「では、今日もお泊まりしますか?そうすれば明日、お水遊びしましょう」

「ほんとうですか、うれしいです。あっ、でもフェルナンドさまのごいこうをきかないといけないですね」

 フェルナンド様に提案したら、とても喜ばれ、お兄さまのご学友もいっしょにお泊まりとなりました。そうなりますよねぇ。そして次の日は、また水遊びをして帰って行きました。楽しいキャンプ?だったね。
 
 フェルナンド様は帰りたくないと言って駄々をこねられてましたが、カイデール殿下に抱っこされ帰って行きましたよ。

 最後のカイデール殿下の言葉には焦った。

「アイリ嬢、今度の夜会でジェイシス様の番として出席されるのですよね。ジェイシス様、楽しみにしていたのでなんだかこちらも嬉しくなりました。夜会楽しみにしています。あとモンテスキュー領地に行くのも楽しみにしてますよ」

「ぼくもたのちみにしていましゅ」

 ???フェルナンド様も?
 2人してニコリ。まさかー。目を見開いて2人をガン見してしまった。

「よろちくおねがいちましゅ」
 いやーー、王家一家のおもてなし?ですか。なぜ、なぜなのよ。

 その前に夜会だ。マーガレット様との約束の夜会。それも有ったわ。あっ、ジェイシス様に手紙忘れていた。今日書きましょう。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

静かなる魔王!!

友坂 悠
ファンタジー
〜魔王の娘は次期魔王? 能力チートの絶対魔王は平凡な冒険者として平和な世界でスローライフをおくりたい〜 パーティーのポーターとして働くシズカははしっこいのが取り柄な下級冒険者。 でも実は魔王の娘で次期魔王と目されていたのだけど、自分の中に流れる魔王の血を嫌って家出中だったのです。 力の無いふりをしながらパーティーが危機になった時だけこっそり助けたりしてました。 このまま平和なスローライフを送れるかなぁと思ってた矢先、父の魔王が寿命で消失。 後継者争いの果て地上の平和が脅かされるのを見過ごせなくなったシズカはなんとかしようと奮闘するのですが……。 実は最強の魔王シズカが繰り広げる最強最カワイイファンタジー!

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました

桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて… 小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。 この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。 そして小さな治療院で働く普通の女性だ。 ただ普通ではなかったのは「性欲」 前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは… その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。 こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。 もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。 特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

【R18】溺愛される公爵令嬢は鈍すぎて王子の腹黒に気づかない

かぐや
恋愛
公爵令嬢シャルロットは、まだデビューしていないにも関わらず社交界で噂になる程美しいと評判の娘であった。それは子供の頃からで、本人にはその自覚は全く無いうえ、純真過ぎて幾度も簡単に拐われかけていた。幼少期からの婚約者である幼なじみのマリウス王子を始め、周りの者が シャルロットを護る為いろいろと奮闘する。そんなお話になる予定です。溺愛系えろラブコメです。 女性が少なく子を増やす為、性に寛容で一妻多夫など婚姻の形は多様。女性大事の世界で、体も中身もかなり早熟の為13歳でも16.7歳くらいの感じで、主人公以外の女子がイケイケです。全くもってえっちでけしからん世界です。 設定ゆるいです。 出来るだけ深く考えず気軽〜に読んで頂けたら助かります。コメディなんです。 ちょいR18には※を付けます。 本番R18には☆つけます。 ※直接的な表現や、ちょこっとお下品な時もあります。あとガッツリ近親相姦や、複数プレイがあります。この世界では家族でも親以外は結婚も何でもありなのです。ツッコミ禁止でお願いします。 苦手な方はお戻りください。 基本、溺愛えろコメディなので主人公が辛い事はしません。

【R18】ファンタジー陵辱エロゲ世界にTS転生してしまった狐娘の冒険譚

みやび
ファンタジー
エロゲの世界に転生してしまった狐娘ちゃんが犯されたり犯されたりする話。

処理中です...