上 下
48 / 141
本編

第46話 スキル分解、こんな詠唱で良いのか?

しおりを挟む
さて、ドリガン親方たちに頼んだ土中炉ができ、石灰を作る。二酸化炭素に気をつけて!

今は、土壌改良を先に進めようとなった。ちなみにココヤシの木はスクスク育ってます。

ここで、私のスキル、分解を初お目見え。南といえども、だんだん朝晩寒くなってきた今日この頃。誰も起きていない時間に、眠い目を擦りながら畑へ。立会人、お父さま、お兄さま、執事のロイド。
「では,お父さま、スキル分解で塩を取り除こうと思います」

「くれぐれも無理はするな。わかっているな、アイリ。ムリはダメだ。一気にしようとしなくていいから。徐々にだよ、徐々に」

「わかってます。お父さま。ふぅ、では」

畑の大きさのイメージして、魔力を集中させ、塩を取り除くイメージ。そういえば、詠唱はなに?分解と言えば良いのか?何を分解すればいいのかわからないよね?でも、分解する物質自体わからない時は?その時は分解か?うーん、いまいち自分のスキルの使い方がわからない。
とりあえず、今回の場合は、詳しく言ったほうがいいかな。

よし。
≪塩を取り除け、塩は木箱にいけ≫

詠唱、分解じゃないの?と思われるが、塩を取り除く行為だから、そのまま発してみた。ダメなら分解と唱えることにする。
土地が光った。あら、広範囲に光っている。魔力込めすぎたかな。

お父さま、お兄さま、ロイドがポカーンとしていた。
光がおさまった。木箱を見ると大量の塩がある。これは成功?

「お父さま、これは除塩されたで良いのでしょうかね?塩が大量にできましたね。浄化して料理に使えそうですね」

「そ、そうだな。木箱に大量の塩があるしな。除塩、ど、どうだろうな」

「まだ、魔力が大丈夫なので、土壌改良してしまいますね」
土に手を置き、≪栄養のある土になぁれ≫土壌改良を唱えた。
やっぱり、光った。この詠唱?魔法で良いのかな。楽だからいいか。

まだ、魔力は大丈夫なので、他の場所も分解、土壌改良をした。

「このあと、土魔法士のキャナルさん、へレーナさん、ホルストさんに耕してもらいましょう」
おーい、お父さま、お兄さま、ロイド、意識を戻してくださーい。

「あ、あぁ。そうだな、土魔法士たちにお願いしよう」
お父さま、まだ放心状態ですね。

「アイリ、体は大丈夫か?痛いところなどないか?」
お兄さまが心配してくれた。

「ありがとう、お兄さま。体は問題ないです。ごっそり魔力を持っていかれた感じはしますけど」

「そうか、無理はするなよ」
また、いつもの頭撫で撫でです。

最近、土魔法士を雇いました。農地改良するので、土魔法士は必要な人材です。
うちの領地にも土魔法士がいるので募りました。
できれば下水道完備し、トイレ大事、そして水路も作りたい。

その後、土魔法士たちに土を耕してもらいました。サンゴで作った石灰や貝灰を撒いたり、森の腐葉土を撒きました。魔法以外でもできることをやる。これ大事。急ぐ時は魔力を使ってしまうが、極力使わずに、自然に任せたい。

野菜のところは畝も作ってもらいました。魔法で、さぁーっと、綺麗な形の畝が一直線にできている。羨ましい。労力の時短も大事。

まず、今月ジャガイモ、小麦、大麦区域を植える。
来月、玉ねぎ、にんじん区域。
春がトマト、かぼちゃ、春のジャガイモ
春から夏がコットンフラワー(綿花)。
夏が大豆を植えるよう区画割し、一画はレンゲを植え、連作障害を起こさないよう、輪作する。きゅうりも植えないと。

なぜ、大麦を植えるかは、それはビールのため。私が大人になって飲むのはビール。
ビールを作り、飲むためなのです。
ビールと枝豆でプリン体になる?まずいか?

野菜類はこのように進めていくことになりました。徐々にです。魔力ばかり頼るのではなく、自然に対応していけるように、徐々に進めていきます。これが第一歩。
よし、領民にも、今より、豊かなで楽しい生活をしてもらわないと。明るい領地生活よ!

そういえば、繭の検証をしていなかった。

「メリーは虫とか爬虫類など大丈夫」

「はい、昔から弟たちと虫取りしたり、畑には虫やトカゲ、カエルなどがいっぱいいますので大丈夫です」

「本当、よかった、実験に付き合って欲しいの。でも、かなり気持ち悪いかも、大丈夫かな、私が。」

コンコン、誰かが来た?
お兄さまだった。

「アイリ何かするのかい?手伝うよ」
「お兄さま、虫とか爬虫類とか大丈夫ですか?」

「ああ、騎士の演習では野営で、毒のない色々なものを食べたぞ」
と、遠い目をしていた。いろいろ野生のもの食べたのね。よし、やるぞ。

確か鑑定では、お湯で糊が剥がれ、糸ができるとあった。
お湯を沸かし、繭を入れる。しばらくつけておけば糸と糸がほぐれてくる。その後中身の蛹が出てくるよね。小さい体で大きな繭を作ると鑑定さんが教えてくれたので、繭は大きいが、蛹は小さいのよね。

気合いだ。気合いだ。よし。ふー。

「この白いのをお湯につけるのか。」
「そうよ、熱いお湯で、糸と糸の間の粘着が取れるはず。それと、中に蝶の蛹がいるだろうから、取り除く」

「蛹がいるのか」

「蝶になる前に、まゆを作って蛹になるの。それから蝶になるの。蝶になる前に繭を回収できれば、糸が紡げます。蝶になったあとの抜け殻の繭も使用できます」

しばらくして、糸と糸の間にあった糊が取れてきたのだろう。ほぐれていっている。糸を取り出し、送風で乾かす。
おおー、一つの繭でかなり多くの糸ができるなぁ。これを紡ぐ作業の方が大変だなぁ。ここでも、道具を作らないと。ぐるぐる回せば糸が巻き付くようにしよう。ぐるぐる回すのは手動だけど。とりあえず、棒に巻きつけていった。引っ張っても切れない。強度性十分な糸だ。これを織ればシルク布。

「すごい、糸ができた。これを紡いでいけば糸ができるのか。それを織っていけば布になるのだな。これなら領土の特産物や雇用も生まれる。この休み期間になんとか道筋をつけたいな。アイリ!」

「蛹が蝶になってしまった後の繭も使えるのですが、糸の長さが短くなるのが欠点です」

「量産できるかは、育成できるかが勝負だな」
力強く頷いた。これからが勝負。

また、お兄さまとロイドと護衛騎士とで、シルキーバタフライの生育調査に来ていた。
シルキーバタフライは、蚕と同じのようだが、繭玉に生育させるべく"まぶし・蔟"がこの絹蛾に必要かどうか、今の所、ミノムシのように繭玉がぶら下がっている状態。蔟を収納から出し置いておこう。

「アイリ、なんだ、このリバーシの盤をくり抜いたものは?」
「まぶしといって、ここに絹蛾が繭玉をつからないかなぁと思って、ドリガン親方の弟のドリルさんに頼んで作ったの」

「面白いこと考えるな」

「うーん、木のあちこちに繭玉があるから、まぶしに繭玉に作ってくれるかわからないけど、とりあえず置いておこうかな。そして、数日ごとに様子を見に来るわ」
2、3日後は全く変化がなかった。10日過ぎくらいから動きがあった。
まぶしに幼虫が動き、繭玉を形成する準備をしていた。おー、蚕と同じなのか?同じなら、蔟まぶしに繭を作ってくれるのだけどなぁ。

まぶしセットをほどほどに置いておこう。そうこうして、繭玉をいっぱい回収することができた。こんなに繭玉を回収してしまったら、来年のこの時期に同じような数が取れなくなってしまうので、ほどほどに採った。もう少し研究が必要だ。

かなりの繭玉から糸を紡いだ。これを機織り機で織っていかないと。ドリガン親方の弟、ドリルさんに機織り機を作ってもらわないと。また、絵を描いて持っていこう。

着々と領地改良されてくれればいいな。

そして、なんとなんと、ドリルさん、私のロイター板の絵でサスペンションのようなものを作り、馬車に取り付けることに成功しました。まだ、試作段階ということで、お兄さまとお父さまとドリルさんで、改良の話し合いをしていた。男の人って、馬車だけど、車がやはり好きなのね。男のロマン?なのかな。

これで王都まで、お尻が痛くならなければ良い。お父さまやお兄さまが帰るまでにクッション作っておこう。痛くならない、防止策。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈 
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

いいえ、望んでいません

わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」 結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。 だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。 なぜなら彼女は―――

執着系逆ハー乙女ゲームに転生したみたいだけど強ヒロインなら問題ない、よね?

陽海
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したと気が付いたローズ・アメリア。 この乙女ゲームは攻略対象たちの執着がすごい逆ハーレムものの乙女ゲームだったはず。だけど肝心の執着の度合いが分からない。 執着逆ハーから身を守るために剣術や魔法を学ぶことにしたローズだったが、乙女ゲーム開始前からどんどん攻略対象たちに会ってしまう。最初こそ普通だけど少しずつ執着の兆しが見え始め...... 剣術や魔法も最強、筋トレもする、そんな強ヒロインなら逆ハーにはならないと思っているローズは自分の行動がシナリオを変えてますます執着の度合いを釣り上げていることに気がつかない。 本編完結。マルチエンディング、おまけ話更新中です。 小説家になろう様でも掲載中です。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

処理中です...