上 下
3 / 141
本編

第3話 ことの顛末のその後

しおりを挟む
そして、今この状況。
階段から落ちた時の傷が痛いのだ。肩から背中にかけて裂傷。キズモノと言われるやつ。我が家はお金がないのて、完全治癒は依頼できなかった。自業自得なので、借金してお金を工面されても困る。完全治療なんて、王族かお金に余裕がある高位貴族しかできないような金額である。
 
 もう、最悪。やらかしすぎだよ、この子は。自分が愛しているから、相手も愛してくれるなんて、どう思ったらそんな考えが思いつくのか。

 階段を落ちた際に前世に記憶を思い出したのか、それとも、アイリの魂は死んでしまい、私の魂が憑依したのか。アイリの記憶は引き継いでいるから憑依ではないだろう。

 さて、これからどうしましょうか。
 まずは謝らないと。迷惑と心配をかけてしまったことを。

 父「アイリ、大丈夫か。」
 母「アイリちゃん、大丈夫?喉が渇いたでしょ」
 兄 無言で睨まれる

 メイドに水をもらい、その後、みんなに謝った。

「お父さま、お母さま、お兄さま迷惑をかけてごめんなさい。」
 
兄が怒りで声を発す。
「ふざけるな!どれだけ迷惑かけたか分かっているのか!どれだけ私の友人たちに迷惑をかけたのか!お前には、恥という思いがないのか。クソッ」

「アレクセイ、今回のことは、私たちもアイリを甘やかしてしまった責任がある。悪かった。しごとにかかりきりになり、お前たちの様子を見てやることができなかった。ほんとうにすまない」

「アレクセイ、お母さまもカイルとレオンにかかりきりになってしまい、あなたたちの様子に気づけなくて本当にごめんなさい」

「お兄さま、ごめんなさい。」(本当にお兄さまには迷惑かけどうしで、友達関係に亀裂がはいらないか心配)

 傷が癒えたらアイリは領地に行くということで話がついた。領地に籠っていていいのか。ラッキーじゃない。王都にいるとお茶会や(誘われないけど)、礼儀作法などめんどくさいからいいんじゃない。領地で畑仕事したり、料理したり、スローライフできるわね。目指せスローライフ!
アイリさん、反省が必要ですよ。と、自分に言い聞かせた。

 王都タウンハウスの自室。まだ傷が癒えていないため、ベットでゴロゴロ。体は起き上がれるようになったが、痛いです。

毎日両親は顔を見にきてくれる。嬉しい。兄には恨まれている。顔を見せてくれないので、話ができない。口も聞いてくれない状態。

両親にも、お兄様にも多大なる迷惑をかけてしまった。気がかりなのは、お茶会や、学園生活で、肩身が狭くなっているのか、そこが心配。あー、もー、アイリのせいで、友達が離れていってしまったら、学園生活がつまらなくなるよね。いじめとかあっていないか心配。お父さまもお母さまも、そんな態度は取らないけど、苦労していたらどうしよう。人間関係って、一度壊れると元に戻すのが難しい。距離を置かれると悲しい。あぁ、本当にごめんなさい。

最近、双子の弟たちのカインとレオンがお見舞いに来てくれるようになった。庭のお花を持ってきてくれたのよ。モジモジと舌足らずなしゃべりで、おねえちゃま、おはなつんできまちたとな。悶絶。かわいいの極み。なんてえー子たちなんや。

 そして、お屋敷の執事、侍女、メイドたちに今までのことを謝った。突然謝られて、びっくりしたとともに訝しんでいた人、多数。また、癇癪やワガママな態度にもどるのではと思っている人が多いと思う。そうだよね、かなりのワガママぶり。そんな態度が変わるわけがないと誰もが思うよね。本当にごめんなさい。

この世界は魔法があることがわかった。メイドさんとか、魔法を使っている。貴族は魔法が使え、平民は使えないんだって。

それなら私も使えるということだ。5歳の洗礼の儀で自分の魔法属性がわかる仕組み。

しかし、この子、記憶ではまったく魔法を勉強している形跡がないぞ。どうして使わない。いったいどんな属性なのか?ラノベでは、ステータスオープンといえば、自分の魔力、魔法、状態などがわかるのよね。

さて、それではお約束の、オホン、ゴホン。
「ステータスオーーープン」ブォン
「うわ、えー、でた!!すごい。すごい、やったね」
すみません、この語彙力の無さ。

アイリ グランデ モンテスキュー
侯爵令嬢 15歳

魔力 10033
魔法属性 生活魔法(着火・発火・アクア・風生成・フラッシュ・冷却・収納(時間停止)・加熱・浄化・付与・土壌改良耕作・制作・リペア・裁縫)
※洗礼の儀では生活魔法としか宣言されていない

鑑定(転生後開花、洗礼の儀以降のため誰にも知られていない)

スキル 分解

生活魔法ってこんなにあるの。生活魔法って便利な魔法よね。生きていくうえで絶対必要なことよね。
洗礼の儀で、生活魔法と宣言され、みんなにガッカリされたわね。高位貴族なのに生活魔法って、ハズレね、なんて言われ嘲笑されたことを思い出した。そして、スキル分解。性格が酷かったから、壊し屋かと言われていた。
だから、アイリは魔法を使わなかったのか。ハズレと言われる生活魔法だったから。

でも、こんな便利な魔法はないわよね。生きていくうえで、大事。生活魔法さえあれば、国外追放だろうと、平民になったとしても生活していけるわよ。

そしてスキル 分解。これって、領地の塩害対策できるじゃない。塩を取り除けば良い。そして、生活魔法の土壌改良で、土を甦らせることができる。なんて素晴らしいスキルなの。

洗礼の儀になかった鑑定。転生後開花って。これ転生チート。やっぱり、ここはなにかの乙女ゲームですか。誰か教えて。鑑定、してもでてこないですね。

布団を眺めて鑑定をすると、材料の素材が出てきた。
花瓶を見ると、“陶器・粘土、長石、珪石で作られている。北西 コーエン領地で多く産出”
おー、物質名と産出地方まででてきた。便利ね。
花を見れば、薔薇の名前と用途が出てきた。ということは、薬草を見れば、ポーションの作り方が出てくるということか。
便利な鑑定機能。

鑑定とともに、分解スキルを使えば、いろいろな物質を取り出せるのではと、ニヤリとしてしまう。混ざり合ったものを取り出せば物質になる。前世リケジョの私にはもってこいのスキルだ。

 塩害にもこのスキルが使えそうね。土地から塩を取り出せばいいのかな。逆に海水から塩を取り出せば、塩を買わなくてすむではないか。売らないけど、自分の家で使う分にはいいのでは、またここでニヤリとしてしまう。

 よくラノベの世界では、魔力は使い切って寝れば、魔力量が上がると言われていると。魔力操作をすれば、魔力が上がるということだったような気がする。魔力操作は、丹田呼吸法と似ているのかな。お臍の下あたり丹田を意識しながらゆっくりと息を吐き、丹田にこめていた力を抜き、意識せずに鼻から息を吸うことを繰り返す。これを魔力でやればいいのか、というか魔力を感じることができるのか、そこから始めないと。基礎中の基礎ができないのがアイリなのよー。

 生活魔法の実験は、身体が回復したら、行っていこう。まずは魔力を感じることだ。どうしよう。お兄さまに頼りたいけど、話を聞いてもらえるかな。よし、女は度胸、お兄さまと話をしよう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

全裸で異世界に呼び出しておいて、国外追放って、そりゃあんまりじゃないの!?

猿喰 森繁
恋愛
私の名前は、琴葉 桜(ことのは さくら)30歳。会社員。 風呂に入ろうと、全裸になったら異世界から聖女として召喚(という名の無理やり誘拐された被害者)された自分で言うのもなんだけど、可哀そうな女である。 日本に帰すことは出来ないと言われ、渋々大人しく、言うことを聞いていたら、ある日、国外追放を宣告された可哀そうな女である。 「―――サクラ・コトノハ。今日をもって、お前を国外追放とする」 その言葉には一切の迷いもなく、情けも見えなかった。 自分たちが正義なんだと、これが正しいことなのだと疑わないその顔を見て、私はムクムクと怒りがわいてきた。 ずっと抑えてきたのに。我慢してきたのに。こんな理不尽なことはない。 日本から無理やり聖女だなんだと、無理やり呼んだくせに、今度は国外追放? ふざけるのもいい加減にしろ。 温厚で優柔不断と言われ、ノーと言えない日本人だから何をしてもいいと思っているのか。日本人をなめるな。 「私だって好き好んでこんなところに来たわけじゃないんですよ!分かりますか?無理やり私をこの世界に呼んだのは、あなたたちのほうです。それなのにおかしくないですか?どうして、その女の子の言うことだけを信じて、守って、私は無視ですか?私の言葉もまともに聞くおつもりがないのも知ってますが、あなたがたのような人間が国の未来を背負っていくなんて寒気がしますね!そんな国を守る義務もないですし、私を国外追放するなら、どうぞ勝手になさるといいです。 ええ。 被害者はこっちだっつーの!

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

処理中です...